魔王君と俺 〜婚活から逃げて異世界へ行ったら、初日からヤバいのに誤解されてゴールインした件〜

一一(カズイチ)

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1000年前から愛してる

全身90分コース ※作中注意喚起あり

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「戦うのは構わないが、肩慣らしをしたい」

 魔王様の思いつきで、事前相談なしに俺VS魔族の公開試合が決定した。
 参加条件・人数制限はなく、俺に挑みたければ誰でも何人でもエントリー可能。

「希望者全員との連戦だぞ。本当に構わないのか」

 楽しそうなアウクトルの姿に腹が立つ。お前が言い出した事だろ。

「構わん。先程参加希望者を確認したが、1300人ほどだった。3日で終わる」
「休憩なしで1人180秒程度で片付けるつもりか」
「トイレ休憩があれば充分だ。早急に終わらせたい」

 誇張でもなんでもなく俺は3日くらいなら不眠不休の無飲食であっても、パフォーマンスの質を落とす事なく戦闘可能だ。

「だが開始前に、この体に慣れておきたい。体格が違いすぎる」

 視線を下げるが色々と違いすぎて、自分の体という実感がない。
 俺が女になってまだ1日も経っていない。
 性器の有無くらいの変化であればまだしも、今回は元の体との乖離が甚だしい。
 F1レーサーにレース直前で、車体変更して走らせるようなものだ。重心もリーチも違うのに、ぶっつけ本番は流石に嫌だ。

「前哨戦に魔王を指名するなどお前くらいのものだ」

 アウクトルが喉を鳴らして笑った。人に無茶振りしておいていい気なものだ。
 よし、どさくさに紛れてボコボコにしてやろう。

 =========

 こうして開催された天下一武道会・エキシビジョンマッチだが、開始5分で中止になった。
 勿論その後に続く予定だった本戦も中止。
 理由は城の一角が吹っ飛んだから。嘘だ、保身に走った。本当は城の1/3が倒壊した。
 言い訳をさせてほしい、決してそんなつもりはなかった。

 試合会場は城の演習場。
 未来では国会議事堂兼皇居と化している魔王城の平面駐車場で行われた。
 充分な広さがあるが、観客に何かあっては問題なのでアウクトルが結界を作成。充分安全に配慮した。

 試合開始当初は、普通に新しい体の試運転をしていた。アウクトルもそれに合わせていた。ここまでは良かった。
 だが奴はヒートアップし手加減を忘れた。
 驚いた俺が全力でフィールドを展開。結界の一部を無効化してしまい、アウクトルが放った一撃が城を直撃。
 過失割合8:2。勿論俺が2割の方!

 死者は出なかったが、結構な数の怪我人が出たので大会は中止になった。
 救助活動の後で、延期開催希望されるかなと思ったけど誰も言い出さなかった。結局、大会自体そのまま流れた。
 瓦礫に埋もれた負傷者の捜索に俺の魔力ソナーが貢献したので、魔族の方々はそれで俺を認めたんだろう。
 平和的解決したならそれに越したことはないな、うん。

 =========

 魔王城で生活を始めて数日が経った。
 アウクトルの側近を何人か紹介されたが、その中にはエコールもいた。

「ご要望があれば、このエコールに何なりとお申し付け下さい。妃殿下がこの宮で健やかに過ごされますよう、若輩ながら尽力いたします」
「確かに此奴は若いが、この歳で今の地位に登りつめるだけの実力がある。お前の中身は男だから、侍女よりエコールの方が話しやすいだろう。お前の身の上もある程度話しておいた」

 今の彼は学園長ではなく侍従長。
 過去も未来もアウクトルにこき使われるなんて、有能なのも考えものだな。

 ====ここから先は女体化状態でヤってます。苦手な方は自衛してください=====

 俺がここにいる目的は、子作りである。
 俺も分体と同じ方法で妊娠する事を希望したが却下された。
 あれは生まれてくる生命にバグが起きかねない、危険な行為らしい。
 確かにクローンもホムンクルスも短命だったり、生まれながらに致命的な欠陥を抱えていたな。
 今の所、長男(?)の光玉に異常はないが、偶々うまく行っただけとのこと。
 そんな訳で、俺は渋々体を張る事にした。

 俺の体を楽しそうに弄るアウクトルに感心する。
 見た目女だが、中身俺だぞ。コイツ、中の人の影がチラついても平気なタイプか。

 元の姿とかけ離れているからか、俺自身は女のアバターを操作している感覚なので、アウクトルに抱かれることに特に抵抗はない。男のままだったら、多分抵抗する。
 多分アウクトルも女になった時、同じような状態だったんだろう。

 俺は他人の体を触っても、他人に体を触られても特に楽しくないのだが、アウクトルは違うらしい。随分熱心に触れてくる、楽しそうで何よりだ。お互い嫌々するよりは、片方だけでもノリノリの方がマシだ。でも耳舐めるのは止めろ。音が響く。

 正直ここまで丁寧にされると俺は気まずい。何故って多分濡れてないからだ。
 性別問わず俺の肉体は、性器へ直接刺激を受ければ反応するが、離れた部位への接触から快感を得るのは難しい。だからそんなに胸を揉まなくても良いんだ。

 きっとアウクトルは俺に快感を与えようと頑張って愛撫しているのだろう。だが俺にとってそれはリンパマッサージと同列なんだ。
 手を突っ込んでどんな具合か確認するわけにもいかないのでもどかしい。
 俺がソワソワしているのに気づいたのか、アウクトルの手が伸びてきたので、腿を閉じて身を捩った。ついでに足を擦り合わせることで、濡れているか確認できるかと思ったけど、結局よくわからなかった。

 いつまでも逃げることはできない。彼の手が俺の陰部に到達した時のことを考える。
 タイムスリップ初日の気まずさなんて比較にならない程、場が凍りつきそうだ。
 ダメだ、嫌な予感しかしない。
 ベッド周辺に視線を走らせるが、誤魔化せそうな液体はない。

 覚悟を決めた俺は彼の股間に手を伸ばした。
 しっかり反応している。先走りが手をぬるつかせた。
 これならいけると思った俺はアウクトルを押し倒し、彼の股間の上に跨る。互いの陰部を軽く擦り合わせる。
 一連の俺の動きを興味深そうに見ていた彼だが、腰に手を回すと楽しそうになすがままにさせている。何も知らずにいい気なものだ。これはお前の尊厳を守るためにやってるんだからな!

「もう充分だから、早く挿れてくれ」

 俺に時間をかけたマッサージは必要ない。
 言い終わらないうちに、彼は身を起こして俺を押し倒し返した。

 何とか最後までやりきった俺たちだったが、悲劇はその後に訪れた。
 アウクトルが2回戦に挑もうとしたら、処女膜が復活していた。
 俺の<超回復>が空気を読まずに発動したのだ。
 マジか。あれだけ時間をかけたのに、3歩進んで3歩下がったぞ。
 慌てて<超回復>をオフにするが、はたと気付く。俺には<恒常性維持>諸々、自分の肉体に変化を与えないスキルが満載だ。

 俺は妊娠できないんじゃないか、アウクトルに泣き言をもらしたら何故か彼のテンションが上がった。
「俺に任せろ。必ずお前を孕ませてやる」と言って押し倒してきた。俺が求めているのは根性論じゃなくて、お前お得意の魔術でミラクルを起こすことなんだ。

 女になって日が浅いから、排卵日の予測ができない。
 1晩に何回もするんじゃなくて、1晩1回を小分けにした方が妊娠する確率が高いんじゃないかと提言したらほぼ毎晩することになった。
 何故か俺がおねだりした事になり、寝室が共同のものに変わった。
 俺たちの頑丈さが無ければなし得ない、無茶な生活だ。
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