21 / 84
ボーイ(28)・ミーツ・ボーイ(17)
必殺!筋肉ホールド!(後半アウクトルサイド)
しおりを挟む
港町ヴォルティから帰宅。
町に温泉があったので、風呂はそこで済ませた。
温泉施設は中々立派だった。結構賑わっていたのに、俺たちが入る頃にどっと出ていったため、ほぼ貸切状態だった。
先客は見た目も服装もバラバラだったけど、団体客だったのかもしれない。
俺の最重要ミッションはこれからだ。
俺は一人暮らし。
即ち我が家に客室はない。ついでにお客様用布団なんてものもない。
ベッドは広めだが、人を泊めることを想定していないので男二人だと何とか寝返りがうてるくらい。
そう、俺は二日連続でアウクトルと同衾しなければならない。
但し今回は今までと条件が違う。今までは彼のホームだったが、今回は俺のホーム。この家では俺がルールだ。
「この家では俺の方針に従ってもらうぞ」
「わかった」
俺の部屋をチラチラと観察しているアウクトルに宣言する。
「アウクトル。俺は寝る時は服を着たい派なんだ」
言質は得た。俺は意気揚々と彼をベッドへ引き込む。
アウクトルの体を半回転させ、俺に背を向けた格好にさせると背後から拘束した。
初日に俺が彼にされたのと同じ体勢だ。しかし、今回はお互い寝巻きを着用している。布があるって素晴らしい。衣類は人類の叡智だ。
彼に抱きついているように見えるが、これも作戦だ。
お泊まり=自慰の謎の流れを断ち切るのが俺の目的。
そのための第一段階が着衣ルールの周知、第二段階が今行っている筋肉ホールド。
相手の腕も含めて拘束することで、自由に動けなくさせるのがポイント。
向かい合って抱きつくのは精神的にキツいので背後から行った。
完璧だ。
=========
アウクトルは困惑していた。
寝巻きを着て就寝するなんて、態々説明するような事ではない。
ベッドで服を脱ぐのは性交時だけだが、異世界人は違うのか。
フォンスも積極的であったし、本当は昨夜最後までしたかったのだが役割が揺らいでしまったため本懐を遂げることができなかった。
アウクトルは自分の望みを曲げることはしない。
誰かと衝突した時は、誰かの利益を考慮しつつも結局は自分の希望を押し通す。相手次第では事情を一切考慮することなく叩き伏せる。
出会った当初からアウクトルはフォンスを抱きたかった。当然そうなるものだと無意識に確信していた。
しかしフォンスはそうではなかった。風呂で積極的に秘部に触れられたことで、フォンスもアウクトルを抱きたいと思っている可能性があることに気付いてしまった。
男に抱かれる自分なんて想像できない。その逆ならいくらでも可能だ。最近はふとした空き時間に色々と妄想してしまう。
譲りたくないが、強引に事を進めてフォンスに拒否されるのはもっと嫌だ。
対等というのがお互いに立場を交換し合うことを指しているのか、もしくはもっと別の話をしているのか。自分達はこれから二人の行く道を探っていかなければならない。
デートで別行動を提案する男だ。
その感性は一般的ではない。もしかしたらアウクトルも想像できないような落とし所を提案してくるかもしれない。
(しかしあれは反則だった)
海の生き物が見たいというので、海底に連れていった時。麗しい相貌を無邪気に綻ばせ、満面の笑みでアウクトルに振り返ったフォンス。
ノータイムで記録魔術を発動したので、いつでも見返すことができる。画像がブレないように術者は静止しなければいけないので、抱きしめることができなかった。
魔眼を発動して背後のフォンスを観察する。
成人した男が、恋人を抱きしめるだけで満足そうな笑みを浮かべている。
性的な欲求なんてかけらも持っていない幼児のような愛情表現。
アウクトルとしては正直物足りないのだが、これが彼の望みならば付き合おう。
自分達はまだ付き合いたてなのだから、これからいくらでも時間はある。
町に温泉があったので、風呂はそこで済ませた。
温泉施設は中々立派だった。結構賑わっていたのに、俺たちが入る頃にどっと出ていったため、ほぼ貸切状態だった。
先客は見た目も服装もバラバラだったけど、団体客だったのかもしれない。
俺の最重要ミッションはこれからだ。
俺は一人暮らし。
即ち我が家に客室はない。ついでにお客様用布団なんてものもない。
ベッドは広めだが、人を泊めることを想定していないので男二人だと何とか寝返りがうてるくらい。
そう、俺は二日連続でアウクトルと同衾しなければならない。
但し今回は今までと条件が違う。今までは彼のホームだったが、今回は俺のホーム。この家では俺がルールだ。
「この家では俺の方針に従ってもらうぞ」
「わかった」
俺の部屋をチラチラと観察しているアウクトルに宣言する。
「アウクトル。俺は寝る時は服を着たい派なんだ」
言質は得た。俺は意気揚々と彼をベッドへ引き込む。
アウクトルの体を半回転させ、俺に背を向けた格好にさせると背後から拘束した。
初日に俺が彼にされたのと同じ体勢だ。しかし、今回はお互い寝巻きを着用している。布があるって素晴らしい。衣類は人類の叡智だ。
彼に抱きついているように見えるが、これも作戦だ。
お泊まり=自慰の謎の流れを断ち切るのが俺の目的。
そのための第一段階が着衣ルールの周知、第二段階が今行っている筋肉ホールド。
相手の腕も含めて拘束することで、自由に動けなくさせるのがポイント。
向かい合って抱きつくのは精神的にキツいので背後から行った。
完璧だ。
=========
アウクトルは困惑していた。
寝巻きを着て就寝するなんて、態々説明するような事ではない。
ベッドで服を脱ぐのは性交時だけだが、異世界人は違うのか。
フォンスも積極的であったし、本当は昨夜最後までしたかったのだが役割が揺らいでしまったため本懐を遂げることができなかった。
アウクトルは自分の望みを曲げることはしない。
誰かと衝突した時は、誰かの利益を考慮しつつも結局は自分の希望を押し通す。相手次第では事情を一切考慮することなく叩き伏せる。
出会った当初からアウクトルはフォンスを抱きたかった。当然そうなるものだと無意識に確信していた。
しかしフォンスはそうではなかった。風呂で積極的に秘部に触れられたことで、フォンスもアウクトルを抱きたいと思っている可能性があることに気付いてしまった。
男に抱かれる自分なんて想像できない。その逆ならいくらでも可能だ。最近はふとした空き時間に色々と妄想してしまう。
譲りたくないが、強引に事を進めてフォンスに拒否されるのはもっと嫌だ。
対等というのがお互いに立場を交換し合うことを指しているのか、もしくはもっと別の話をしているのか。自分達はこれから二人の行く道を探っていかなければならない。
デートで別行動を提案する男だ。
その感性は一般的ではない。もしかしたらアウクトルも想像できないような落とし所を提案してくるかもしれない。
(しかしあれは反則だった)
海の生き物が見たいというので、海底に連れていった時。麗しい相貌を無邪気に綻ばせ、満面の笑みでアウクトルに振り返ったフォンス。
ノータイムで記録魔術を発動したので、いつでも見返すことができる。画像がブレないように術者は静止しなければいけないので、抱きしめることができなかった。
魔眼を発動して背後のフォンスを観察する。
成人した男が、恋人を抱きしめるだけで満足そうな笑みを浮かべている。
性的な欲求なんてかけらも持っていない幼児のような愛情表現。
アウクトルとしては正直物足りないのだが、これが彼の望みならば付き合おう。
自分達はまだ付き合いたてなのだから、これからいくらでも時間はある。
12
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる