53 / 84
第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く
その十三
しおりを挟む
オレたちを尾行していた、猫人族の姉妹、サリアとミリア。捕まえると、今度は自分たちも仲間に入れろと言い出すので、もちろん断った。
なのに、とてもビックリされてしまう。
「ど、どうしてよ! こんな優良物件、他にないわよ! オマケにカワイイし! お買い得、間違いなし!」
今度は押し売りの様相になってきたぞ? しれっと、自分のことを『カワイイ』とか言っているし――
「オマエたちを仲間にする理由がこっちにない」
「そんなことないでしょ! 宝物庫にカギがかかっているかもしれないのよ。私は鍵開けには自信あるの」
「オレたちお宝目的じゃないし」
「へっ? じゃあ、何しに?」
「それをオマエらに言う義理はないだろ?」
まったく……盗人猛々しいとはよく言ったもんだ。だいいち、自分たちがそれほど有能なら、オレたちのあとをこっそりついていくようなマネをしなくても、立派にトレジャーハンターをやってるだろ?
「わかったら、さっさと帰れ」
とんだ邪魔が入った。
まあ、オレたちの命を狙っている組織の刺客――とかじゃなくてよかったがな。
「仕方ない。それじゃ、仲間になるのはあきらめる」
そう、サリアは応える。なんだ、思ったより聞き分けがイイじゃないか。
「だから、アンタたちのあとを勝手についていく」
「……はあ? 今、あきらめるって言っただろ?」
「仲間になるのはね。でも、うしろをくっついていくのは私たちの自由よね?」
「オマエなあ」
屁理屈もイイところだ。ヘンなやつらに絡まれてしまった。
「グエル様。イイじゃないですか? 仲間は多いほうが楽しいですよ」
「そうだよねえ! ほら、彼女もそう言っていることだし」
「おい、調子に乗るんじゃねえ。フィルもこんなやつらを甘やかすな。シーフなんて、仲間を簡単に裏切るに決まっている。信用できねえ!」
「ちょっと! グエルさんだっけ? それは偏見だっつーの! 本当のシーフというのは義理堅い人間なんだから」
だから、自分で言うな! なおさら、信じられるか!
「それよりも、私たちこれからお食事なの。一緒にどうですか? お弁当、オイシイですよ」と、フィルが言う。
おいこら!
「えっ? イイの? 実は私たち、途中で食べるモノを落としてしまったのよね」
「イイの? じゃない! フィルも誘うな――てか、まさか、オレたちの食料を分けるつもりじゃないよなぁ?」
「はい、そのつもりですよ」
いやいや、貴重な食料を知らないヤツラに分け与えるようなお人好しはいないって――
「大丈夫だよ。アスワンさんからたくさんお弁当をいただいたから、ふたりくらい増えても平気だよ」とマルタ。
「そういう問題じゃなくてなあ」
「まあまあ、カタイこと言わないで。ほら、ミリアも座ろ?」と、双子の姉が言う。
「あ、はい」とふたりして座った――て、おい!
「はい、サリアさんとミリアさんの分です」と、マルタは当たり前のようにお弁当を渡している。
「こうやって魔力を加えると温かくておいしく食べられるんですよ」とフィルが楽しそうだ。
「本当だぁ。温かい! これ、魔道具なの? スゴーイ!」
「なんか、とてもイイ匂いがします」
いつの間にか、四人で囲んでお弁当を広げている。もしかして、オレがおかしいのか? いや、そうじゃないだろう?
「ほら、グエルも座って。冷めるよ」
こうして、なし崩し的に食い扶ちがふたり増えてしまったオレたち。なんかハラ立つが、弁当を食べ終わると、どうでもイイ気分になった。それにしても、アスワンの弁当はウマい。
「はあ、美味しかった! これなら、毎日食べられるよ」
「はい! ダンジョンでこんなに美味しい食事をいただけるなんて思ってもいませんでした!」
サリアとミリアも満足といった顔をしている。そりゃあ、タダ飯だもんな。美味しいだろうよ。
「全部で五種類あるから、食べ飽きることはないと思うよ」とマルタ。
「本当ぉ? いやあ、夕飯が楽しみだなぁ!」
おいおい。オマエら、まさか五食全部、食べる気じゃないだろうな?
「大丈夫だよ。充分、在庫があるから」
「だから、そういう問題じゃねえ!」
その時、ゴゴーン! という激しい音が響く。ガタガタと揺れ、天井から埃が落ちてきた。
「きゃあ!」
「なんだぁ!」
なのに、とてもビックリされてしまう。
「ど、どうしてよ! こんな優良物件、他にないわよ! オマケにカワイイし! お買い得、間違いなし!」
今度は押し売りの様相になってきたぞ? しれっと、自分のことを『カワイイ』とか言っているし――
「オマエたちを仲間にする理由がこっちにない」
「そんなことないでしょ! 宝物庫にカギがかかっているかもしれないのよ。私は鍵開けには自信あるの」
「オレたちお宝目的じゃないし」
「へっ? じゃあ、何しに?」
「それをオマエらに言う義理はないだろ?」
まったく……盗人猛々しいとはよく言ったもんだ。だいいち、自分たちがそれほど有能なら、オレたちのあとをこっそりついていくようなマネをしなくても、立派にトレジャーハンターをやってるだろ?
「わかったら、さっさと帰れ」
とんだ邪魔が入った。
まあ、オレたちの命を狙っている組織の刺客――とかじゃなくてよかったがな。
「仕方ない。それじゃ、仲間になるのはあきらめる」
そう、サリアは応える。なんだ、思ったより聞き分けがイイじゃないか。
「だから、アンタたちのあとを勝手についていく」
「……はあ? 今、あきらめるって言っただろ?」
「仲間になるのはね。でも、うしろをくっついていくのは私たちの自由よね?」
「オマエなあ」
屁理屈もイイところだ。ヘンなやつらに絡まれてしまった。
「グエル様。イイじゃないですか? 仲間は多いほうが楽しいですよ」
「そうだよねえ! ほら、彼女もそう言っていることだし」
「おい、調子に乗るんじゃねえ。フィルもこんなやつらを甘やかすな。シーフなんて、仲間を簡単に裏切るに決まっている。信用できねえ!」
「ちょっと! グエルさんだっけ? それは偏見だっつーの! 本当のシーフというのは義理堅い人間なんだから」
だから、自分で言うな! なおさら、信じられるか!
「それよりも、私たちこれからお食事なの。一緒にどうですか? お弁当、オイシイですよ」と、フィルが言う。
おいこら!
「えっ? イイの? 実は私たち、途中で食べるモノを落としてしまったのよね」
「イイの? じゃない! フィルも誘うな――てか、まさか、オレたちの食料を分けるつもりじゃないよなぁ?」
「はい、そのつもりですよ」
いやいや、貴重な食料を知らないヤツラに分け与えるようなお人好しはいないって――
「大丈夫だよ。アスワンさんからたくさんお弁当をいただいたから、ふたりくらい増えても平気だよ」とマルタ。
「そういう問題じゃなくてなあ」
「まあまあ、カタイこと言わないで。ほら、ミリアも座ろ?」と、双子の姉が言う。
「あ、はい」とふたりして座った――て、おい!
「はい、サリアさんとミリアさんの分です」と、マルタは当たり前のようにお弁当を渡している。
「こうやって魔力を加えると温かくておいしく食べられるんですよ」とフィルが楽しそうだ。
「本当だぁ。温かい! これ、魔道具なの? スゴーイ!」
「なんか、とてもイイ匂いがします」
いつの間にか、四人で囲んでお弁当を広げている。もしかして、オレがおかしいのか? いや、そうじゃないだろう?
「ほら、グエルも座って。冷めるよ」
こうして、なし崩し的に食い扶ちがふたり増えてしまったオレたち。なんかハラ立つが、弁当を食べ終わると、どうでもイイ気分になった。それにしても、アスワンの弁当はウマい。
「はあ、美味しかった! これなら、毎日食べられるよ」
「はい! ダンジョンでこんなに美味しい食事をいただけるなんて思ってもいませんでした!」
サリアとミリアも満足といった顔をしている。そりゃあ、タダ飯だもんな。美味しいだろうよ。
「全部で五種類あるから、食べ飽きることはないと思うよ」とマルタ。
「本当ぉ? いやあ、夕飯が楽しみだなぁ!」
おいおい。オマエら、まさか五食全部、食べる気じゃないだろうな?
「大丈夫だよ。充分、在庫があるから」
「だから、そういう問題じゃねえ!」
その時、ゴゴーン! という激しい音が響く。ガタガタと揺れ、天井から埃が落ちてきた。
「きゃあ!」
「なんだぁ!」
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる