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第二章 盾職人は異世界の起業家となる
第34話 新人採用となる
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女の子の名前はタバサ・ダリ。ボクのことを商売がたきと言っている――ということは?
「タバサは盾職人なの?」
やはりムスッとしたまま、「そうだよ」と彼女は応えた。
「オマエが魔盾なんて作るから、オレたちの仕事がなくなったんだ」
「――えっ?」
そもそも、彼女の父親が盾職人で、彼女はその仕事を手伝っていたらしい。
それがこの一カ月、盾を作ってもまったく売れなくなってしまう。父親は借金を返せず、タバサと幼い弟妹を残して夜逃げしてしまった!
しかたなく、タバサが盾を作って弟妹を養おうとしたのだが、やはり、武具屋は作った盾を買い取ってくれない。借金は増えるばかりだった。
「それで、オマエの作る盾をマネすれば、売れるんじゃないかと思って――」
「どんな工具を使っているか探りにきたと……?」
タバサは「そうだ――」とぶっきらぼうに言う。
ボクは「はあ……」とため息をつく。だいたい、状況は飲み込めた。彼女の境遇はかわいそうだと思うけど、だからといって、ボクや魔盾のせいにされても困る。
「やっぱり、衛兵に連れて行ってもらうしか……」
不法侵入は立派な犯罪だ。しかし、アリシアが「手助けできることはありませんか?」なんて言うので、ボクも悩んでしまう。
「手助けしてやりたいとは思うけど……」
すると、今まで横暴な態度でいたタバサが突然、土下座して頭を土間にこすりつけてきた。
「お願いだ! オレに盾作りを教えてくれ!」
自分がおカネを稼がないと、幼い弟妹が飢えてしまう――と、今度は泣き落としで迫ってきた。
「ヒロトさん。彼女のお願いを聞き入れてもらえませんか?」
アリシアにたのまれると、ボクも断れなくなる。
「わかった。今日はもう遅いから、明日の朝、また来てくれないか?」
「――えっ?」
ボクの盾作りを手伝ってもらえるなら、相応の給料を支払うとタバサに伝える。
「本当に、イイのか?」
ビックリするタバサに、「もちろん、それだけの技量があればだけどね」と付け加えた。
「わかった! 明日の朝また来る!」
彼女がそう言うので、彼女の手足を縛っていた縄をほどいてあげる。
「それじゃ、明日! 約束だからな!」
そう言い残して、タバサは元気に帰っていった。
「ハ、ハ、ハ……」
なんか、ヘンなことになってしまったなあ……と、苦笑いする。
「でも、本当に良かったのですか?」
自分がムリにお願いしたから、ボクが苦し紛れに雇うなんて言い出したのでは? と、アリシアは心配してくれたようだ。
「うん。仕事を手伝ってくれる人がほしいと思っていたのは事実だから」
自分一人では、武具屋が注文してくる数量をとても作り切れない。これでは、せっかくの機会を失っていることになる。手伝ってくれる人を探したいとは思っていたのだが、どうすればイイのかわからなかったのだ。
思ってもいない方法で、そのアテができたのだけど――
「さて、期待してイイものなのかどうか……」
「タバサは盾職人なの?」
やはりムスッとしたまま、「そうだよ」と彼女は応えた。
「オマエが魔盾なんて作るから、オレたちの仕事がなくなったんだ」
「――えっ?」
そもそも、彼女の父親が盾職人で、彼女はその仕事を手伝っていたらしい。
それがこの一カ月、盾を作ってもまったく売れなくなってしまう。父親は借金を返せず、タバサと幼い弟妹を残して夜逃げしてしまった!
しかたなく、タバサが盾を作って弟妹を養おうとしたのだが、やはり、武具屋は作った盾を買い取ってくれない。借金は増えるばかりだった。
「それで、オマエの作る盾をマネすれば、売れるんじゃないかと思って――」
「どんな工具を使っているか探りにきたと……?」
タバサは「そうだ――」とぶっきらぼうに言う。
ボクは「はあ……」とため息をつく。だいたい、状況は飲み込めた。彼女の境遇はかわいそうだと思うけど、だからといって、ボクや魔盾のせいにされても困る。
「やっぱり、衛兵に連れて行ってもらうしか……」
不法侵入は立派な犯罪だ。しかし、アリシアが「手助けできることはありませんか?」なんて言うので、ボクも悩んでしまう。
「手助けしてやりたいとは思うけど……」
すると、今まで横暴な態度でいたタバサが突然、土下座して頭を土間にこすりつけてきた。
「お願いだ! オレに盾作りを教えてくれ!」
自分がおカネを稼がないと、幼い弟妹が飢えてしまう――と、今度は泣き落としで迫ってきた。
「ヒロトさん。彼女のお願いを聞き入れてもらえませんか?」
アリシアにたのまれると、ボクも断れなくなる。
「わかった。今日はもう遅いから、明日の朝、また来てくれないか?」
「――えっ?」
ボクの盾作りを手伝ってもらえるなら、相応の給料を支払うとタバサに伝える。
「本当に、イイのか?」
ビックリするタバサに、「もちろん、それだけの技量があればだけどね」と付け加えた。
「わかった! 明日の朝また来る!」
彼女がそう言うので、彼女の手足を縛っていた縄をほどいてあげる。
「それじゃ、明日! 約束だからな!」
そう言い残して、タバサは元気に帰っていった。
「ハ、ハ、ハ……」
なんか、ヘンなことになってしまったなあ……と、苦笑いする。
「でも、本当に良かったのですか?」
自分がムリにお願いしたから、ボクが苦し紛れに雇うなんて言い出したのでは? と、アリシアは心配してくれたようだ。
「うん。仕事を手伝ってくれる人がほしいと思っていたのは事実だから」
自分一人では、武具屋が注文してくる数量をとても作り切れない。これでは、せっかくの機会を失っていることになる。手伝ってくれる人を探したいとは思っていたのだが、どうすればイイのかわからなかったのだ。
思ってもいない方法で、そのアテができたのだけど――
「さて、期待してイイものなのかどうか……」
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