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第一章 盾職人は異世界のゲームチェンジャーとなる
第30話 銘入りとなる
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王宮から帰ってくると、アリシアは熱を出して寝込んでしまった。魔石に第三位階の魔法を封じ込めて、まだ体力が戻っていないのに王宮に行ったモノだから、疲れてしまったらしい。
彼女を寝かしつけると、ボクはあることを試そうと考える。
魔盾を作るようになってから、七十五だった盾職人のレベルが七十九にまでなった。七十から七十五までレベルが上がるのに二カ月かかったというのに、わずか一週間で、四つも上がったのだ。魔盾の効果はスキルアップの速度にまで影響しているのかもしれない。
そして、七十九のレベルになって、ひとつの変化が現れる。新たな盾の生産スキルが増えたのだ。
その盾の名前は『アイギス』。ギリシャ神話に登場する、『あらゆる邪悪、厄災を払う盾』。英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを倒したときに手にしていた盾とも言われている。
そんなスゴい盾が自分でも作れるかもしれない。
必要な部材は超合金。そして、アダマンタイトという金属だった。
オリハルコンはアーノルドさんからもらったモノが少し残っている。
「あとはアダマンタイトか……」
やはり、市場には出回らない貴重な金属である。
「それも、アーノルドさんに相談してみるか――」
まずは、オリハルコンでアイギスの土台となる部分を作り始めたところで――
「ヒロトさん、ゴメンナサイ。これから夕飯を作ります」
そう言って、アリシアが起きてきた。
「それなら、大丈夫だよ。王宮から料理の残りをもらってきたらから。それより、体調はどう?」
「はい、もう大丈夫です。ただの魔力切れですから」
ほとんど回復したと笑顔で言われたのだけど、念のため、明日も仕事をお休みしようということになった。
その翌日、武具屋のオヤジがやってきて――
「二人とも名人《マイスター》になったんだって? スゴい出世だな。もう、君《クン》付けじゃなくて、様《サマ》と言わなければならないな」
そんなことを言われる。
「やめてください。今までどおりでイイです」
ボクは苦笑いした。『様《サマ》』なんて言われたらキモチ悪い。本当にカンベンしてほしい。
「それで、今日は何でしょう? 仕事は明日から再開するつもりなんだけど」
まだ、何もできていないと伝えると、オヤジは「イヤイヤ、今日は催促に来たわけじゃない」と言う。
「マイスターのお祝いに、これを持ってきてやったんだ」
そう言って、金属の棒をボクに差し出した。先端に何かプレートが取り付けてある。
「これって?」
「焼き印だよ」
焼き印?
「ためしに押してみな」
言われるがまま、木材の切れ端に焼き印を押してみる。それには、星が三つ、その下に『A&H』と書かれていた。
「三つの星はマイスターが作った品物の証。そして、『A』と『H』、それが二人の銘柄だよ」
「銘柄――」
「これから作る盾には、この焼き印を押してくれ。銘入りとして取り扱うぞ」
銘入りの品を世に出すことは、職人になった者なら誰でも目標とすること。
ついに、ボクはそれをかなえたんだ!
そう思うとムネが熱くなる。
「そのう……」とアリシアが申し訳なさそうに、話しかける。
「私の名前が入ってもイイのですか?」
「何を言っているんだ! アリシアの名前も入ってこそ、ボクたちの盾じゃないか! そう!
『A&H』こそ、ボクたちの銘柄《ブランド》だよ!」
興奮しながら、ボクがアリシアに伝えると、彼女も「はい!」と言って、うれしそうな顔をしてくれた。
彼女を寝かしつけると、ボクはあることを試そうと考える。
魔盾を作るようになってから、七十五だった盾職人のレベルが七十九にまでなった。七十から七十五までレベルが上がるのに二カ月かかったというのに、わずか一週間で、四つも上がったのだ。魔盾の効果はスキルアップの速度にまで影響しているのかもしれない。
そして、七十九のレベルになって、ひとつの変化が現れる。新たな盾の生産スキルが増えたのだ。
その盾の名前は『アイギス』。ギリシャ神話に登場する、『あらゆる邪悪、厄災を払う盾』。英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを倒したときに手にしていた盾とも言われている。
そんなスゴい盾が自分でも作れるかもしれない。
必要な部材は超合金。そして、アダマンタイトという金属だった。
オリハルコンはアーノルドさんからもらったモノが少し残っている。
「あとはアダマンタイトか……」
やはり、市場には出回らない貴重な金属である。
「それも、アーノルドさんに相談してみるか――」
まずは、オリハルコンでアイギスの土台となる部分を作り始めたところで――
「ヒロトさん、ゴメンナサイ。これから夕飯を作ります」
そう言って、アリシアが起きてきた。
「それなら、大丈夫だよ。王宮から料理の残りをもらってきたらから。それより、体調はどう?」
「はい、もう大丈夫です。ただの魔力切れですから」
ほとんど回復したと笑顔で言われたのだけど、念のため、明日も仕事をお休みしようということになった。
その翌日、武具屋のオヤジがやってきて――
「二人とも名人《マイスター》になったんだって? スゴい出世だな。もう、君《クン》付けじゃなくて、様《サマ》と言わなければならないな」
そんなことを言われる。
「やめてください。今までどおりでイイです」
ボクは苦笑いした。『様《サマ》』なんて言われたらキモチ悪い。本当にカンベンしてほしい。
「それで、今日は何でしょう? 仕事は明日から再開するつもりなんだけど」
まだ、何もできていないと伝えると、オヤジは「イヤイヤ、今日は催促に来たわけじゃない」と言う。
「マイスターのお祝いに、これを持ってきてやったんだ」
そう言って、金属の棒をボクに差し出した。先端に何かプレートが取り付けてある。
「これって?」
「焼き印だよ」
焼き印?
「ためしに押してみな」
言われるがまま、木材の切れ端に焼き印を押してみる。それには、星が三つ、その下に『A&H』と書かれていた。
「三つの星はマイスターが作った品物の証。そして、『A』と『H』、それが二人の銘柄だよ」
「銘柄――」
「これから作る盾には、この焼き印を押してくれ。銘入りとして取り扱うぞ」
銘入りの品を世に出すことは、職人になった者なら誰でも目標とすること。
ついに、ボクはそれをかなえたんだ!
そう思うとムネが熱くなる。
「そのう……」とアリシアが申し訳なさそうに、話しかける。
「私の名前が入ってもイイのですか?」
「何を言っているんだ! アリシアの名前も入ってこそ、ボクたちの盾じゃないか! そう!
『A&H』こそ、ボクたちの銘柄《ブランド》だよ!」
興奮しながら、ボクがアリシアに伝えると、彼女も「はい!」と言って、うれしそうな顔をしてくれた。
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