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第四章 ちょいとボス狩りする?
第54話 作戦名『人間導線』
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ボクたちはある作戦のため、『ちょいダン広場』にやってきた。魔導士のオリエンテーションを行った、あの場所だ。
そして、その作戦のためには、リッチをこの『ちょいダン広場』に追い込まなければならない。
「その役目、ボクたちにやらせてください」
そう言ってきたのは、四角セキュリティの神田だった。綾瀬さんを「オバサン」とバカにした、あの青年である。
「ボクたちがやれることと言ったら、そのくらいしかないので――」
「いやしかし、それは――」
「やらせてやってください。彼らが率先して言ってくれるのは頼もしいかぎりだ。それに、本当に死ぬわけではないのだし――」
そう言ったのは篠崎さん。四角セキュリティの専務で、現在、実質的な指示を出していた。
ここは、言葉に甘えることにする。
そして、今の陣形――
いや、陣形なんてモノではない。
今、リッチがいる場所から、十メートル間隔で、四角セキュリティのメンバーがならんだだけ。それが、『ちょいダン広場』まで続いている。
「それじゃ、始めます」
篠崎さんの合図で、最前線にいた四角セキュリティのメンバーがモンスターに向かって、突進した!
四角セキュリティのドローンが撮影しているライブ映像をちょいダン広場にいるボクたちは観ていた。ちょいダン広場でも空間投影で観れていたのだ。
「これって、イベントとかでやれば、面白そうだな――」
戸越はこの状況でそんなことを言う。まあ、たしかに面白そうだ。当然、月島さんはそういうことも考えているのだろうけど――
「わーっ!」
大声で叫びながら、四角セキュリティのメンバーが、ゴブリンの群れに向かって剣を振った!
ゴブリンを次々と行動不能にし、ついに、リッチの姿が見える!
次の瞬間――
「うわっ!」
突然、映像からリッチがいなくなる。それと同時に、悲鳴が――
「映像をもっと手前に!」
篠崎さんの指示で、ドローンのカメラが下方へ移動。そこに、四角セキュリティの人がうつぶせに倒れていた。
「リッチは⁉ ドローンを回転させて、後方を映せ!」
映像がぐるっと回転する。その先に黒いローブを被ったモンスターの姿が――
バリバリという音と、激しい光が見えた。
「よし! 人間導線がうまくいっている!」
篠崎さんがそう言うので、ボクは苦笑いした――
人間導線――リッチが反応する間隔で人を立たせて、リッチを誘導する作戦のことだけど、さすがに成功したと喜ぶ気持ちにならない。
いくら、復活するとわかっていても――死ぬとわかっていて人を立たせるのは、人道的にも気分的にもいかがなものかと思う。
しかし、作戦的にはうまくいっていた。リッチは確実にこちら――『ちょいダン広場』に向かっている。
「そろそろ、来るぞ――」
篠原さんの声で、ボクたちは武器を構える。
ここまでは順調だが、実のところ、この作戦が成功するかどうかは、これからにかかっている。
「キイィィィィッ!」
そういう奇声と同時に、二つの光が見えた――
そして、その作戦のためには、リッチをこの『ちょいダン広場』に追い込まなければならない。
「その役目、ボクたちにやらせてください」
そう言ってきたのは、四角セキュリティの神田だった。綾瀬さんを「オバサン」とバカにした、あの青年である。
「ボクたちがやれることと言ったら、そのくらいしかないので――」
「いやしかし、それは――」
「やらせてやってください。彼らが率先して言ってくれるのは頼もしいかぎりだ。それに、本当に死ぬわけではないのだし――」
そう言ったのは篠崎さん。四角セキュリティの専務で、現在、実質的な指示を出していた。
ここは、言葉に甘えることにする。
そして、今の陣形――
いや、陣形なんてモノではない。
今、リッチがいる場所から、十メートル間隔で、四角セキュリティのメンバーがならんだだけ。それが、『ちょいダン広場』まで続いている。
「それじゃ、始めます」
篠崎さんの合図で、最前線にいた四角セキュリティのメンバーがモンスターに向かって、突進した!
四角セキュリティのドローンが撮影しているライブ映像をちょいダン広場にいるボクたちは観ていた。ちょいダン広場でも空間投影で観れていたのだ。
「これって、イベントとかでやれば、面白そうだな――」
戸越はこの状況でそんなことを言う。まあ、たしかに面白そうだ。当然、月島さんはそういうことも考えているのだろうけど――
「わーっ!」
大声で叫びながら、四角セキュリティのメンバーが、ゴブリンの群れに向かって剣を振った!
ゴブリンを次々と行動不能にし、ついに、リッチの姿が見える!
次の瞬間――
「うわっ!」
突然、映像からリッチがいなくなる。それと同時に、悲鳴が――
「映像をもっと手前に!」
篠崎さんの指示で、ドローンのカメラが下方へ移動。そこに、四角セキュリティの人がうつぶせに倒れていた。
「リッチは⁉ ドローンを回転させて、後方を映せ!」
映像がぐるっと回転する。その先に黒いローブを被ったモンスターの姿が――
バリバリという音と、激しい光が見えた。
「よし! 人間導線がうまくいっている!」
篠崎さんがそう言うので、ボクは苦笑いした――
人間導線――リッチが反応する間隔で人を立たせて、リッチを誘導する作戦のことだけど、さすがに成功したと喜ぶ気持ちにならない。
いくら、復活するとわかっていても――死ぬとわかっていて人を立たせるのは、人道的にも気分的にもいかがなものかと思う。
しかし、作戦的にはうまくいっていた。リッチは確実にこちら――『ちょいダン広場』に向かっている。
「そろそろ、来るぞ――」
篠原さんの声で、ボクたちは武器を構える。
ここまでは順調だが、実のところ、この作戦が成功するかどうかは、これからにかかっている。
「キイィィィィッ!」
そういう奇声と同時に、二つの光が見えた――
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