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第四章 ちょいとボス狩りする?
第53話 全滅
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「――はっ!」
意識が戻ると、ボクはロビーにいた。
と、いうことは――
「やられたのか――」
呆然としているボクに、「オマエもやられたか?」と肩をたたかれる。
「――戸越」
最初に死んだ戸越は、いったい何が起きたのか、まったくわからなかったと言う。
そうだ、ユミさんは?
辺りを確認すると、アスナさんに抱きついているユミさんの姿が――
「大変だったわね」
そう声をかけてきたのは綾瀬さんだった。彼女もリッチの攻撃に巻き込まれて行動不能になり、ここへ飛ばされた。
それからも、四角セキュリティの面々が、次々とロビーに現れる。やはり、リッチに攻撃されたらしい。
「リッチが空間移動するとは――これは参りましたね――」
マコちゃんこと、葛西マコトさんも頭を掻いて困った表情を見せる。
強い。
強すぎる。
中ボスだから、他のモンスターとは比べモノにならないことくらい想像していた。でも、これじゃ対処のしようがない。
なにせ、相手は空間移動し、現れたと思ったらいきなり電撃を食らわせてくるのだ。それで、こちらは即死――
これがゲームなら、クソゲー確定。ゲームバランスなんてまったく考えられていない。
「申し訳ありません。こんなことになろうとは――」
そう言葉にしたのはダンジョンファクトリーの代表、月島さん。彼女も魔導士として、討伐隊に加わっていたのだけど、リッチの予想外というべき強さに、気が動転しているようだ。
「しかし、一刻も早く攻略方法を考えないといけない。なんたって、これほどの強いモンスターが、東京の街に出てしまったら――」
現時点で、ダンジョンのモノは現実世界へ持ち出せない――そういう調査結果となっている。しかし、リッチがボス部屋から出てくるという想定外の状況が発生した以上、それが現実世界におよばない保証なんてない。
そして、そのリッチがダンジョンの出口に向かっている――それが意味することは――
「はっ! 今、リッチはどこにいる⁉」
まだ、ダンジョンの出口――つまり、こちらに向かっているのか⁉
「いや、あれから動きが止まっている」
そう、答えてくれたのは篠崎さんだった。
「見てくれ」
ロビー内の空間に、映像が現れた。リッチの姿が見える。
「これは用意したドローンからの映像だ」
四角セキュリティが警備用として、開発中のドローンを持ち込んだらしい。
「リッチの周りに再びゴブリンが集まってきている」
たしかに、そのように見えた。戦闘によって四散していたゴブリンが集結したら、またこちらに向かってくる可能性はある。
「だからといって、どうする?」
もう一度、リッチを包囲して戦う? それで、リッチの進軍を遅らせることはできるだろう。だけど、それだけだ。
リッチを無力化するためには、ユミさんが『呪いの書』を使って封じ込めなければならない。呪いの書を発動するための詠唱時間はだいたい二十秒。その間、リッチのそばに居続けなければならない。
二十秒――それだけの時間をどうやって稼ぐ?
「ドローンは攻撃されないんですね?」
映像を見ていたアスナさんがそんなことをつぶやく。
そういえば――
「おそらく、ドローンは無機物なので、敵と見なしていないのでしょう」
月島さんがそう見解を述べる。
「それなら、ドローンに爆薬を仕掛けて、爆発させれば――」
「爆薬なんて簡単に準備できないだろ? たとえ準備できたとしても、結局それでリッチを無力化できない」
リッチを無力化する手段は今のところユミさんの持つ、『呪いの書』しかないのだ。
「――いや待て。爆薬はないけど、攻撃手段はある」
ボクがつぶやくと、全員が振り向いた。
「それって?」
「マコちゃんが使っていた、木偶だ」
「――⁉」
意識が戻ると、ボクはロビーにいた。
と、いうことは――
「やられたのか――」
呆然としているボクに、「オマエもやられたか?」と肩をたたかれる。
「――戸越」
最初に死んだ戸越は、いったい何が起きたのか、まったくわからなかったと言う。
そうだ、ユミさんは?
辺りを確認すると、アスナさんに抱きついているユミさんの姿が――
「大変だったわね」
そう声をかけてきたのは綾瀬さんだった。彼女もリッチの攻撃に巻き込まれて行動不能になり、ここへ飛ばされた。
それからも、四角セキュリティの面々が、次々とロビーに現れる。やはり、リッチに攻撃されたらしい。
「リッチが空間移動するとは――これは参りましたね――」
マコちゃんこと、葛西マコトさんも頭を掻いて困った表情を見せる。
強い。
強すぎる。
中ボスだから、他のモンスターとは比べモノにならないことくらい想像していた。でも、これじゃ対処のしようがない。
なにせ、相手は空間移動し、現れたと思ったらいきなり電撃を食らわせてくるのだ。それで、こちらは即死――
これがゲームなら、クソゲー確定。ゲームバランスなんてまったく考えられていない。
「申し訳ありません。こんなことになろうとは――」
そう言葉にしたのはダンジョンファクトリーの代表、月島さん。彼女も魔導士として、討伐隊に加わっていたのだけど、リッチの予想外というべき強さに、気が動転しているようだ。
「しかし、一刻も早く攻略方法を考えないといけない。なんたって、これほどの強いモンスターが、東京の街に出てしまったら――」
現時点で、ダンジョンのモノは現実世界へ持ち出せない――そういう調査結果となっている。しかし、リッチがボス部屋から出てくるという想定外の状況が発生した以上、それが現実世界におよばない保証なんてない。
そして、そのリッチがダンジョンの出口に向かっている――それが意味することは――
「はっ! 今、リッチはどこにいる⁉」
まだ、ダンジョンの出口――つまり、こちらに向かっているのか⁉
「いや、あれから動きが止まっている」
そう、答えてくれたのは篠崎さんだった。
「見てくれ」
ロビー内の空間に、映像が現れた。リッチの姿が見える。
「これは用意したドローンからの映像だ」
四角セキュリティが警備用として、開発中のドローンを持ち込んだらしい。
「リッチの周りに再びゴブリンが集まってきている」
たしかに、そのように見えた。戦闘によって四散していたゴブリンが集結したら、またこちらに向かってくる可能性はある。
「だからといって、どうする?」
もう一度、リッチを包囲して戦う? それで、リッチの進軍を遅らせることはできるだろう。だけど、それだけだ。
リッチを無力化するためには、ユミさんが『呪いの書』を使って封じ込めなければならない。呪いの書を発動するための詠唱時間はだいたい二十秒。その間、リッチのそばに居続けなければならない。
二十秒――それだけの時間をどうやって稼ぐ?
「ドローンは攻撃されないんですね?」
映像を見ていたアスナさんがそんなことをつぶやく。
そういえば――
「おそらく、ドローンは無機物なので、敵と見なしていないのでしょう」
月島さんがそう見解を述べる。
「それなら、ドローンに爆薬を仕掛けて、爆発させれば――」
「爆薬なんて簡単に準備できないだろ? たとえ準備できたとしても、結局それでリッチを無力化できない」
リッチを無力化する手段は今のところユミさんの持つ、『呪いの書』しかないのだ。
「――いや待て。爆薬はないけど、攻撃手段はある」
ボクがつぶやくと、全員が振り向いた。
「それって?」
「マコちゃんが使っていた、木偶だ」
「――⁉」
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