ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~

テツみン

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第四章 ちょいとボス狩りする?

第52話 混乱

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 何が起きた?

 中ボスであるリッチが目の前に現れたと思ったら、戸越が倒れた――

「みなさん! 逃げてください!」
 月島さんがそう叫ぶ! でも、いったいどこへ?

 ババババ――!

 今度はそう叫んでいた月島さんが倒れた!

「うわぁぁぁぁっ!」
 今度はマコちゃんの前にリッチが!
 彼は剣を振り下ろすのだが、その前に電撃を食らい、やはり、うつぶせに倒れる――

 その様子に呆然ぼうぜんと見てしまう。
 いや、何をしている⁉
 この作戦、要は『呪いの書』を持つ、ユミさんだ!
 ユミさんを守るんだ!

 ボクは全速力で駆け出した!
「ユミさん!」

 そのとき、頭蓋骨のモンスターが彼女の正面に現れる!
「ひいっ!」
 杖と『呪いの書』をしっかり持ち、そのまま身を屈め、丸くなる!

「このヤロウ!」
 ボクはリッチに向かって、飛びかかった!

 グシャァァァァ!

 センツネくんばりのタックルで、リッチを一緒に地面を滑った。両腕が痛い――
 だが、そんなことを気にしている余裕はない。
 絶対、この手を離さない――ユミさんが逃げるまでは――

 ボクは、右手に持っていたダガーを振り上げ、リッチに突き刺そうとした!
 それで、リッチが倒せない――そんなことはわかっているが、少しでもみんなが逃げる時間を稼がないと――

 グサッ!

「――えっ?」
 自分がカラダを押さえていたはずのモンスターがパッといなくなる。空を切ったダガーがそのまま地面に突き刺さった!

「キャア!」
 ユミさんの悲鳴。

 振り向くと、リッチが彼女の前に⁉
「そ、そんな――」
 リッチは空間移動して再び彼女を襲ったのだ!

 ババババ――!

 また激しい光が放つ。
 今度はとても間に合わない。

「ユミさん!」
 ボクは叫んだ!

 バタッ!

 大きな音がして、何かが倒れる。

「えっ?」

 それは、角の生えたヘルムをかぶった。大男だった。

「セ、センツネくん!」

 リッチが彼女に向かって電撃を加わせる前に、センツネくんが彼女に抱きついて、電撃を代わりに受けたのだ!

 彼のカラダがすーっと消えてしまう。

「ひっ!」

 ババババ――!

 またも電撃――もはや、彼女をかばう者はいない。結局、彼女もやられてしまう。

「ユミさーん!」
 ボクが叫んでいる間にユミさんの姿は消えてしまった。

 あっという間に、こちら側の部隊はボクひとりだけになっていた。ほんの数秒――それだけの時間で、全滅されてしまう。
 それほど圧倒的だった。リッチというモンスターは――

「うわぁぁぁぁっ!」

 ボクは短剣を振り上げ、そのアンデットに向かっていった。
 勝てる望みはゼロだ。だからって、何もしないでやられるつもりはない!

 せめて、ひと刺しだけでもして死んでやる!

 ババババ――

 リッチは振り返ることなく、ボクに電撃を食らわせた。
 悔しい――ボクの顔さえ見ようとしない。敵とさえ認識されてない。まとわりつく虫を払い除けるくらいにしか思っていない――きっと、そんな感じなのだろう。

 薄れゆく意識の中で、リッチの姿がパッと消えていくのを確認した――
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