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第四章 ちょいとボス狩りする?

第50話 行動開始

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 こうして、ボクたちも『リッチ討伐チーム』に加わることになった。

 それからは場所を移動し、全員受付前のロビーに集まる。
 すでに、一般の客は退出していて、今、ココにいるのは警備服をきたメンバーが二十人ほど。
 つまり――

四角よつかどセキュリティのちょいダン警備メンバーになります」
 そう篠崎さんが説明する。

『ちょいダン』プレオープンにあたり、出資会社である四角物産の警備部門である四角セキュリティがダンジョンの警備を任されることになった。
 それは、今回のような強力なモンスターが現れるという不測の事態で、お客さんを守るという任務もあるのだが、外部からの侵入者に対処するという本来の警備も含まれている。

 ただ、ダンジョンという、今までにない『施設』の警備ということで、会社としてもまだ手探りというところがあるようだが――

 四角セキュリティのメンバーは、今のところ、ふだんから『ちょいダン』に常駐している人はいない。一応、モンスターを狩る知識と一定時間の実施訓練を行ってはいるのだが、実のところ素人に近い。

「すみません――」

 不本意ながら、パーティー名『戸越レンとゆかいな仲間たち』、略称名『レンユカ』の一員となったボクたち六人に、警備服を着た男性が近寄ってきた。

「あ……」とボクはつぶやく。
「あのう――あのときはすみませんでした」
 ボクや綾瀬さんに向かって頭を下げてきた若者。名前は確か神田とか言ったはずだ。
 そう、綾瀬さんにからんできたあの男たちの一人だ。

「え、えーと――」
 戸惑っている綾瀬さんに、男は話を続ける。
「あの時は、そのう、いろいろあって、ムシャクシャしていたんで、ついカアッとして――今は反省してます」
 そう言って、また頭を下げる。

「そ、そのう――謹慎は解けたのですか?」
 綾瀬さんがたずねると、「いえ、まだなのですが、事態が事態なので緊急招集されました」と神田は応える。

「罪滅ぼし――とはならないかもしれませんが、全力でみなさんをサポートさせていただきます!」
 もう一度、彼が頭を下げるので、綾瀬さんが「わかりました。もうイイです」と手をパタパタさせて、ゆるそうとするので――

「綾瀬さんはああ言ってるけど、ボクはアナタたちをゆるす気はありませんから」
 そう本心を言う。

 社用車を私用で使って事故を起こし、それを上司に怒られてムシャクシャした。だから、他人に八つ当たりしてイイなんて法律はどこにもない。
 あやまれば、それで済む――そんなことが世の中なら、あやまちを起こす前にガマンした人たちがバカを見るじゃないか!

 だけど――

「今回は一緒に戦う仲間ですからね。今だけは忘れることにします」
 ボクがそういうと、神田は「ありがとうございます。よろしくお願いします」と手を差し伸べてきた。

 ボクはその手を取らなかった。
「悪いけど、そこまで気持ちの整理はできてません」

 そのまま、その場を離れる。
「なんだよ。一発ぶん殴らせろ――とか言うのかと思ったよ」
 戸越がそんなことを言うので――

「ガキかよ」
 ボクはそう言い返した。
 まあ、ウダウダと引きずっているほうがガキかもしれないな――


「全員整列!」
 篠崎さんの声で、四角セキュリティのメンバーがサッと整列した。さすが訓練が行き届いている。
 その横に、ボクたち六人が並んだ。

「すでに、作戦を伝えてあるが、改めて説明する」
 すると、正面の空間に映像が現れる。ロビーでも空間投影ができるんだ。

「現在、捕獲目標となるリッチというモンスターは、この通路を通り、ダンジョンの入口――つまりこちらに向かっている」

 そして、周囲のゴブリンが集まり、リッチを取り囲むようにして進軍しているとのこと。

「そこで、部隊を三つに分け、ひとつは正面から迎え撃つ。のこり二つは後方へ回り込んで、リッチを取り囲んだゴブリンを駆逐する」

 狭いダンジョンの中だから、挟撃は有効だ。

「そして、リッチの討伐は、この六人にお願いする」
 篠崎さんが左手を向けてた方向にボクたちがいた。
 ボクたちは頭を下げる。

「われわれは、彼らがリッチ討伐に集中できるように、ゴブリンを一掃することだ。質問はあるか?」

 誰からも質問は出てこない。

「それでは、さっそく、行動開始!」
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