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第三章 ちょいとこらしめる?
第40話 指導
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それから、『ちょいダン』に入った三人。パーティーを組むと、初心者がいるということで、ダンジョン入口近くのゴブリンが出没するエリアへ向かう。
「それにしても、千川くん――いや『センツネ』クン。その格好が似合うね」
『センツネ』とは彼のプレイヤーネームだ。千川ツネヒコだから、センツネらしい。
「そ、そうですか?」
恥ずかしそうに、彼が頭を掻く。
白のワイシャツに黒のスラックス。初心者用のムネ当て、左手に盾という、一般的な『ちょいダン』プレイヤーの装備なのだが、彼が纏うととても強そうに見える。ハリウッド映画に登場する、剣闘士のようだ。
「大丈夫かな? 見ただけで、ゴブリンが逃げ出さなければイイのだけど――」
ボクはそんなことをつぶやいた。
「はい? なにか言いましたか?」
「いや……なにも……」
さっそく、ゴブリンを発見。最初のころは、やみくもに歩いて、なかなかゴブリンを見つけられずに苦労したが、今ではなんとなく「いそうだな」とわかるようになってきた。
最初にゴブリンの習性をセンツネくんに説明する。
「ゴブリンはすばしっこいけど、攻撃力はたいしたことないから――」
石斧の持ったゴブリンなら、ケガをするようなことはない。
「ただし、短剣を持ったゴブリンがたまにいるのから。そういう場合は、ケガさせられると思うので、気をつけてね」
「はい、わかりました」
ゴブリンは、こちらの攻撃が当たると逃げてしまう。だから、一発で仕留めないといけない――
「まあ、しっかり相手を見て剣を振れば当たるよ」
「あ、はい」
「それじゃ、最初だけボクがやるね」
そう言って、二、三歩前に出た。
「キィィィィッ!」
ゴブリンが向かってきたので、盾を前に出し、ゴブリンの攻撃を防ぐ。
「盾に攻撃している間は、間合いが離れているので、こっちが攻撃しても当たらないから――」
そして、相手が飛びかかってきたとき――
「キィッ!」
ヨシ! 今だ!
ボクが短剣を突き出す。
「ギャァァァァ!」
ゴブリンのカラダに剣が刺さり、ドタッと地面に転がる。
そのまま、スーッとゴブリンの姿が消えて、魔石が残った。
「まあ、こんな感じなんだけど、どう?」
センツネくんは何度かブツブツとつぶやいたあと――
「わかりました。だぶん、いけると思います」
そう言うので、次は彼に任せようということになった。
それから、数分後にまたゴブリンを発見。今度も石斧を持ったタイプだ。
「それじゃセンツネくん、たのむね。まあ、危なそうならフォローするから。気楽にやってみて?」
「は、はい」
「がんばってください!」とユミさんが応援すると、少し顔を引きつらせながら彼が前に出た。
二、三歩進むと、ゴブリンが襲い掛かってくる!
「キィィィィッ!」
ゴブリンの石斧を盾でしっかり受け止める。ここまでは問題ない。
すると、ゴブリンが飛びかかる前に、彼は剣を振り下ろした!
あ、それじゃ早すぎる――致命傷にならないから逃げられちゃうな――
そう思った――のだが……
「ギャァァァァ!」
ゴブリンが地べたに転がり、苦しんでいる。それを、センツネくんは容赦なくトドメを刺した。
「えーと……これでイイんでしょうか?」
「う、うん」
どうやら彼はリーチが長いので、ふつうなら致命傷を負わせられない間合いでも倒せてしまうらしい――
これは、良い人材を見つけられた。
「それにしても、千川くん――いや『センツネ』クン。その格好が似合うね」
『センツネ』とは彼のプレイヤーネームだ。千川ツネヒコだから、センツネらしい。
「そ、そうですか?」
恥ずかしそうに、彼が頭を掻く。
白のワイシャツに黒のスラックス。初心者用のムネ当て、左手に盾という、一般的な『ちょいダン』プレイヤーの装備なのだが、彼が纏うととても強そうに見える。ハリウッド映画に登場する、剣闘士のようだ。
「大丈夫かな? 見ただけで、ゴブリンが逃げ出さなければイイのだけど――」
ボクはそんなことをつぶやいた。
「はい? なにか言いましたか?」
「いや……なにも……」
さっそく、ゴブリンを発見。最初のころは、やみくもに歩いて、なかなかゴブリンを見つけられずに苦労したが、今ではなんとなく「いそうだな」とわかるようになってきた。
最初にゴブリンの習性をセンツネくんに説明する。
「ゴブリンはすばしっこいけど、攻撃力はたいしたことないから――」
石斧の持ったゴブリンなら、ケガをするようなことはない。
「ただし、短剣を持ったゴブリンがたまにいるのから。そういう場合は、ケガさせられると思うので、気をつけてね」
「はい、わかりました」
ゴブリンは、こちらの攻撃が当たると逃げてしまう。だから、一発で仕留めないといけない――
「まあ、しっかり相手を見て剣を振れば当たるよ」
「あ、はい」
「それじゃ、最初だけボクがやるね」
そう言って、二、三歩前に出た。
「キィィィィッ!」
ゴブリンが向かってきたので、盾を前に出し、ゴブリンの攻撃を防ぐ。
「盾に攻撃している間は、間合いが離れているので、こっちが攻撃しても当たらないから――」
そして、相手が飛びかかってきたとき――
「キィッ!」
ヨシ! 今だ!
ボクが短剣を突き出す。
「ギャァァァァ!」
ゴブリンのカラダに剣が刺さり、ドタッと地面に転がる。
そのまま、スーッとゴブリンの姿が消えて、魔石が残った。
「まあ、こんな感じなんだけど、どう?」
センツネくんは何度かブツブツとつぶやいたあと――
「わかりました。だぶん、いけると思います」
そう言うので、次は彼に任せようということになった。
それから、数分後にまたゴブリンを発見。今度も石斧を持ったタイプだ。
「それじゃセンツネくん、たのむね。まあ、危なそうならフォローするから。気楽にやってみて?」
「は、はい」
「がんばってください!」とユミさんが応援すると、少し顔を引きつらせながら彼が前に出た。
二、三歩進むと、ゴブリンが襲い掛かってくる!
「キィィィィッ!」
ゴブリンの石斧を盾でしっかり受け止める。ここまでは問題ない。
すると、ゴブリンが飛びかかる前に、彼は剣を振り下ろした!
あ、それじゃ早すぎる――致命傷にならないから逃げられちゃうな――
そう思った――のだが……
「ギャァァァァ!」
ゴブリンが地べたに転がり、苦しんでいる。それを、センツネくんは容赦なくトドメを刺した。
「えーと……これでイイんでしょうか?」
「う、うん」
どうやら彼はリーチが長いので、ふつうなら致命傷を負わせられない間合いでも倒せてしまうらしい――
これは、良い人材を見つけられた。
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