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第二章 ちょいとパーティー組む?
第30話 なやみごと
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『えっ? 今日もタカアキさんと一緒だったの?』
その日の夜、アスナから電話がかかって来たので、私は今日参加したオリエンテーションについて話した。
「うん、そうなんだけど――」
私が浮かない声で応答するので、『なに? どうしたの?』とアスナが心配する。
「実は――」
『キャ、ハ、ハ、ハ!』
スマホのスピーカーから、大笑いする声が聞こえた。
「そんなに笑わないでよ――」と私はムッとする。
『いやあ、ゴメン。だ、だって――なに? タカアキさんが、ずーっとゴスロリコスプレの女性を見ていたから、あんなのが好みなのかなぁ……だってぇ? キャ、ハ、ハ、ハ!』
また笑われる。
「だからぁ……」
こっちは真剣に悩んでいるのに――
「いや、ほんとうにゴメン。まあ、そうね。男の子は誰だって、ゴスロリコスプレとかが気になる時期があるのよ」
アスナはそんなふうに、私を慰める。アスナって、ときどきこういうことを言うんだよね。本当に同い年なのかなぁ――
「そうなの?」
「そうなの。でもね、そういうのは一過性で、だいたい、すぐに飽きてしまうみたいだから。まあ、中にはこじれてしまう人もいるみたいだけど――」
こじれることもあるんだぁ……
「別に、ああいうコスプレをしてほしい――なんて、タカアキさんから言われたわけではないんでしょ?」
「えっ? そんなことを言われてないけど――」
一応、否定する。
「だったら、イイじゃん」
「う、うん――」
まあ、結局は私が勝手にウダウダしているだけなんだよなぁ――そうはわかっているんだけど……
「それで、もしタカアキさんから『コスプレして』と頼まれたら、ユミならどうする?」
「――えっ?」
コスプレを頼まれたら?
「うーん……わからない」
そんなこと、急に言われても――
私がそう応えると、『ふーん』とつぶやく声が聞こえた。
『ごちそうさま』
「――えっ?」
なに? ごちそうさまって――
『ああん。私もがんばろう! それじゃ、また明日ね。おやすみ』
そう言われて、電話を切られてしまった。
私も――って、どういう意味なんだろう……
その日の夜、アスナから電話がかかって来たので、私は今日参加したオリエンテーションについて話した。
「うん、そうなんだけど――」
私が浮かない声で応答するので、『なに? どうしたの?』とアスナが心配する。
「実は――」
『キャ、ハ、ハ、ハ!』
スマホのスピーカーから、大笑いする声が聞こえた。
「そんなに笑わないでよ――」と私はムッとする。
『いやあ、ゴメン。だ、だって――なに? タカアキさんが、ずーっとゴスロリコスプレの女性を見ていたから、あんなのが好みなのかなぁ……だってぇ? キャ、ハ、ハ、ハ!』
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「だからぁ……」
こっちは真剣に悩んでいるのに――
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こじれることもあるんだぁ……
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一応、否定する。
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「う、うん――」
まあ、結局は私が勝手にウダウダしているだけなんだよなぁ――そうはわかっているんだけど……
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そんなこと、急に言われても――
私がそう応えると、『ふーん』とつぶやく声が聞こえた。
『ごちそうさま』
「――えっ?」
なに? ごちそうさまって――
『ああん。私もがんばろう! それじゃ、また明日ね。おやすみ』
そう言われて、電話を切られてしまった。
私も――って、どういう意味なんだろう……
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