22 / 60
第二章 ちょいとパーティー組む?
第22話 ホブゴブリン
しおりを挟む
それから、四匹のゴブリンに遭遇し、同じ方法で倒せた。
ただ、相変わらずボクと戸越だけでことが足りてしまい、女性陣はただ立っているだけになってしまう。
つまり、弱すぎるのだ、ゴブリンが――
「――ですけど、経験値は入りましたよ。レベルも上がりました」
住吉アスナさんがそうフォローしてくれた。
「二人が戦っているところを見るだけでも楽しめる――」と、彼女たちは言うのだけど、さすがに申し訳なく感じる。
「戸越、どう思う?」
「そうだな。奥に行ってみるか?」
奥に行く――つまり、中域にいるホブゴブリンを狩ってみようか――ということだ。
「それはボクも考えたのだけど、ホブゴブリンが強すぎて、全滅とかしないかな?」
さすがに、新しい敵と戦うのは勇気がいる。
とくに今回は女性が二人いる。それで、判断に迷ってしまう。
「二人の判断に任せますよ。ね? ユミもそれでイイでしょ?」
「あ、はい――」
そうは言ってくれるのだけど――
「それじゃ、こうしよう。一度、ワープポイントでロビーまで戻って、これまで獲得したアイテムを確定してから、奥に向かおう」
そうすれば、全滅してもここまでに手に入れた経験値とアイテムは失わなくて済む――という戸越の提案。
「うん、そうだな。アスナさんとユミさんもそれでイイかな?」
二人もうなずく。
了解が得られたということで、一度、ワープポイントに行って、ロビーに向かう。そのままとんぼ返りすると、ダンジョンの奥へと向かった。
「中域まではどのくらいありそう?」
ボクがたずねると、戸越がマップを確認する。
「最短で行っても、けっこうあるなあ――距離でいうと二、三キロあるぞ」
今いる地点は、ダンジョン入口から一キロメートルくらい離れているのだから、それの二倍から三倍歩くことになる。
女性陣の体力が心配になるのだが、二人は「大丈夫です」と言ってくれた。
「よし、それじゃ行こう!」
途中、ワープポイントがあればそこに寄って、登録していく。ワープポイントを利用するとパーティーから離脱してしまうので再結成しなければならない。だけど、ワープポイントの石像にタッチして、スマホの画面に出る、『どのポイントに行きますか?』という選択画面でキャンセルすれば、ワープポイントの登録ができて、パーティーからも離脱しなくてイイことがわかった。
そんなことをしながら、三十分近く歩いただろうか――ついに、ホブゴブリンらしきモンスターを発見!
「けっこうデカいなあ」
おそらく、ボクと同じくらいの背丈なのだが、いままで戦っていたゴブリンが小さかったので、とても大きく、強そうに思えた。
「作戦はゴブリンと同じでイイかな?」
ボクが確認すると、三人は「そうしよう」と言う。
「ヨシ。それじゃ、行くぞ!」
全員が剣を構えたのを確認したところで、ボクが飛び出す。
「ギャアァァァァ!」
低音の唸り声をあげて、ホブゴブリンがこちらに向かってきた。
そして、石斧を振り上げる!
カラダが大きい分、迫力はあるが、ゴブリンに比べると格段に遅い!
余裕を持って、盾で受け止めた!
ガツッ!
打撃が重い! 左腕にずっしりきた! だが、耐えられないほどではない!
その間に戸越が後方に回り込んで、剣を突き刺した。
「ギャアァァァァ!」
奇声をあげて、今度は戸越に向かって石斧を振り下ろす。
「うわっ!」
戸越は慌てて、盾を向け、石斧を防いだ。
それならボクが――と、剣を構えて、前進する――が!
「――あっ!」
地べたの突起につまずき、バランスを崩すと、そのまま、ゴブリンの横を通り過ぎてしまう。
ま、マズい!
ホブゴブリンがボクに目掛けて、石斧を振り下ろしてきた。
だ、ダメだ! 避けられない――
その時――
ゴォォォォ!
「――えっ?」
突然、ゴブリンが炎に包まれた!
「ギャアァァァァ!」
地面に倒れのたうち回ると、そのうち動きが止まり、炎も消えた。
「こ、これって――」
ボクが振り返ると、杖を突き出していたユミさんが見えた。
彼女が魔法を唱えて、ホブゴブリンを倒したのだ。
「おお! 魔法ってスゲエ!」
戸越が声をあげる。
「ユミ、カッコイイ!」
そう言って、アスナさんがユミさんに抱きついた。本人はとてもテレている。
「ユミさん、ありがとう」
ほんとうに助かった。
すると――
「ハイ、タカアキさんの意図がわかったので――」と彼女が言う。
ボクの意図?
なんのこと?
「タカアキさんがゴブリンの注意を引き付けて、私が魔法で攻撃できるスキを作ってくれたんですよね?」
「――えっ?」
あえて、ゴブリンの横をすり抜けて、ユミさんとゴブリンの間を空けて、そのうえ注意まで引き付けてくれた――そう彼女は言う。
「スゴい! それって、頭脳プレイというのですか⁉」
アスナさんもほめてくれた。ただコケただけと言いづらくなる――
「なんだよ、根津。運だけじゃないんだな!」
いや、ごめんなさい。今のは本当に運です――
「そういえば、ドロップは?」
地べたを見ると、魔石があった。あきらかにゴブリンと違う。一回り大きく、色も少し黄色味が掛かっている。
「おい、アイテムもドロップしているぞ」
「――えっ?」
戸越が拾い上げたのは、金属製のブーツだった。
「へえ、足の防具もドロップするんだな」
受付で貸し出す防具は胸当てだけなので、足に装着するのは始めて見た。
「どれ、どういう効果があるんだ?」
戸越がスマホを取り出し、アイテム検索をする」
「種類、足の防具――? レア度、星一つか――、ボーナスは足の防御プラス二、移動速度マイナス一、疲労プラス一……って、あまり、使えそうもないな――」
「そうだな――」とボクも苦笑いする。ボーナスはプラスだけでなく、マイナスもあるんだとわかった。
「まあ、持って帰って、受付で売ろう」
そう言って、戸越は自分のナップサックにドロップアイテムを入れた。
「よし、この調子で、ホブゴブリン狩りを続けるぞぉ!」
ただ、相変わらずボクと戸越だけでことが足りてしまい、女性陣はただ立っているだけになってしまう。
つまり、弱すぎるのだ、ゴブリンが――
「――ですけど、経験値は入りましたよ。レベルも上がりました」
住吉アスナさんがそうフォローしてくれた。
「二人が戦っているところを見るだけでも楽しめる――」と、彼女たちは言うのだけど、さすがに申し訳なく感じる。
「戸越、どう思う?」
「そうだな。奥に行ってみるか?」
奥に行く――つまり、中域にいるホブゴブリンを狩ってみようか――ということだ。
「それはボクも考えたのだけど、ホブゴブリンが強すぎて、全滅とかしないかな?」
さすがに、新しい敵と戦うのは勇気がいる。
とくに今回は女性が二人いる。それで、判断に迷ってしまう。
「二人の判断に任せますよ。ね? ユミもそれでイイでしょ?」
「あ、はい――」
そうは言ってくれるのだけど――
「それじゃ、こうしよう。一度、ワープポイントでロビーまで戻って、これまで獲得したアイテムを確定してから、奥に向かおう」
そうすれば、全滅してもここまでに手に入れた経験値とアイテムは失わなくて済む――という戸越の提案。
「うん、そうだな。アスナさんとユミさんもそれでイイかな?」
二人もうなずく。
了解が得られたということで、一度、ワープポイントに行って、ロビーに向かう。そのままとんぼ返りすると、ダンジョンの奥へと向かった。
「中域まではどのくらいありそう?」
ボクがたずねると、戸越がマップを確認する。
「最短で行っても、けっこうあるなあ――距離でいうと二、三キロあるぞ」
今いる地点は、ダンジョン入口から一キロメートルくらい離れているのだから、それの二倍から三倍歩くことになる。
女性陣の体力が心配になるのだが、二人は「大丈夫です」と言ってくれた。
「よし、それじゃ行こう!」
途中、ワープポイントがあればそこに寄って、登録していく。ワープポイントを利用するとパーティーから離脱してしまうので再結成しなければならない。だけど、ワープポイントの石像にタッチして、スマホの画面に出る、『どのポイントに行きますか?』という選択画面でキャンセルすれば、ワープポイントの登録ができて、パーティーからも離脱しなくてイイことがわかった。
そんなことをしながら、三十分近く歩いただろうか――ついに、ホブゴブリンらしきモンスターを発見!
「けっこうデカいなあ」
おそらく、ボクと同じくらいの背丈なのだが、いままで戦っていたゴブリンが小さかったので、とても大きく、強そうに思えた。
「作戦はゴブリンと同じでイイかな?」
ボクが確認すると、三人は「そうしよう」と言う。
「ヨシ。それじゃ、行くぞ!」
全員が剣を構えたのを確認したところで、ボクが飛び出す。
「ギャアァァァァ!」
低音の唸り声をあげて、ホブゴブリンがこちらに向かってきた。
そして、石斧を振り上げる!
カラダが大きい分、迫力はあるが、ゴブリンに比べると格段に遅い!
余裕を持って、盾で受け止めた!
ガツッ!
打撃が重い! 左腕にずっしりきた! だが、耐えられないほどではない!
その間に戸越が後方に回り込んで、剣を突き刺した。
「ギャアァァァァ!」
奇声をあげて、今度は戸越に向かって石斧を振り下ろす。
「うわっ!」
戸越は慌てて、盾を向け、石斧を防いだ。
それならボクが――と、剣を構えて、前進する――が!
「――あっ!」
地べたの突起につまずき、バランスを崩すと、そのまま、ゴブリンの横を通り過ぎてしまう。
ま、マズい!
ホブゴブリンがボクに目掛けて、石斧を振り下ろしてきた。
だ、ダメだ! 避けられない――
その時――
ゴォォォォ!
「――えっ?」
突然、ゴブリンが炎に包まれた!
「ギャアァァァァ!」
地面に倒れのたうち回ると、そのうち動きが止まり、炎も消えた。
「こ、これって――」
ボクが振り返ると、杖を突き出していたユミさんが見えた。
彼女が魔法を唱えて、ホブゴブリンを倒したのだ。
「おお! 魔法ってスゲエ!」
戸越が声をあげる。
「ユミ、カッコイイ!」
そう言って、アスナさんがユミさんに抱きついた。本人はとてもテレている。
「ユミさん、ありがとう」
ほんとうに助かった。
すると――
「ハイ、タカアキさんの意図がわかったので――」と彼女が言う。
ボクの意図?
なんのこと?
「タカアキさんがゴブリンの注意を引き付けて、私が魔法で攻撃できるスキを作ってくれたんですよね?」
「――えっ?」
あえて、ゴブリンの横をすり抜けて、ユミさんとゴブリンの間を空けて、そのうえ注意まで引き付けてくれた――そう彼女は言う。
「スゴい! それって、頭脳プレイというのですか⁉」
アスナさんもほめてくれた。ただコケただけと言いづらくなる――
「なんだよ、根津。運だけじゃないんだな!」
いや、ごめんなさい。今のは本当に運です――
「そういえば、ドロップは?」
地べたを見ると、魔石があった。あきらかにゴブリンと違う。一回り大きく、色も少し黄色味が掛かっている。
「おい、アイテムもドロップしているぞ」
「――えっ?」
戸越が拾い上げたのは、金属製のブーツだった。
「へえ、足の防具もドロップするんだな」
受付で貸し出す防具は胸当てだけなので、足に装着するのは始めて見た。
「どれ、どういう効果があるんだ?」
戸越がスマホを取り出し、アイテム検索をする」
「種類、足の防具――? レア度、星一つか――、ボーナスは足の防御プラス二、移動速度マイナス一、疲労プラス一……って、あまり、使えそうもないな――」
「そうだな――」とボクも苦笑いする。ボーナスはプラスだけでなく、マイナスもあるんだとわかった。
「まあ、持って帰って、受付で売ろう」
そう言って、戸越は自分のナップサックにドロップアイテムを入れた。
「よし、この調子で、ホブゴブリン狩りを続けるぞぉ!」
50
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」
マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。
目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。
近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。
さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。
新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。
※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。
※R15の章には☆マークを入れてます。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ぼくらの国防大作戦
坂ノ内 佐吉
SF
始まりは、周人に届いた一通の脅迫メールだった。メールの主は2065年からタイムスリップしてきた未来人。
数年後に第三次世界大戦が勃発、日本に核ミサイルが落とされると言う未来人の話を聞いて、周人とその仲間たちは、日本を救うためのミッションに加わっていく。
終末の運命に抗う者達
ブレイブ
SF
人類のほとんどは突然現れた地球外生命体アースによって、消滅し、地球の人口は数百人になってしまった、だが、希望はあり、地球外生命体に抗う為に、最終兵器。ドゥームズギアを扱う少年少女が居た
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる