ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~

テツみン

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第二章 ちょいとパーティー組む?

第17話 電話

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 どうしよう――勢いで、LINまで交換しちゃった。

 結局、ちょいダンにちょっと入っただけで、家に帰ってきてしまった私は、ベッドの上でそんなことをウダウダ考えていた。

 だって、なんかスゴそうなつえをもらっちゃったんだもの。それに、「また一緒にパーティーを組みませんか?」なんて言われたら、それじゃ、連絡先を教えてもらわなくちゃ――ということになるよね?

「また、一緒に――って、やっぱり、そういうことなのかなぁ……」
 ひとりでそんなことをつぶやいてしまう。

 その時、LINの着信音が――

 えっ? まさか、タカアキさんから⁉

 ドキドキしながら、スマホの画面を見ると、「アスナ」の文字が――
「ふう……」とため息をついて、LINを開く。

『今日はゴメン。ドタキャンしちゃって――で? どうだった? 会えた?』
 そんな文章が送られてきた。

 私は、『うん――』とだけ返信する。

 ピロロロロ――

「うわっ!」
 いきなり、LIN電話がかかってきた。もちろん、アスナから。急いで出る。

「も、もしもし――」
『本当に会えたのぉ⁉』
 ハイテンションの声が聞こえてきた。

「う、うん――」
『で、どうだった? なんか、言われた?』
「えーと、なんかスゴそうな魔法の杖をもらった」
『――えっ?』
「それと、また一緒にパーティーを組みましょうって――」

 数秒の沈黙――

『それは――相手、本気だわぁ』
 アスナの『はあ……』というため息が聞こえた。

「そ、そうなのかなぁ――」
『そうよ! モノで気を引こうとするのは、オトコの常とう手段なんだから!』
 まあ……そういう話はよく聞くけど――

『そうなんだって! まさか、連絡先とか教えてないよね?』
「えっ? LINを交換したけど――」

 すると、スピーカーから『はあ……』とまた、ため息が聞こえてくる。
『それは、相手の策にハマっているわよ』
「だ、だけど、パーティーを組むなら連絡を取らないと、時間とかわからないし――」
『だから、それが相手の策なの! そうやって、教えざる状況に持ち込むの!』
 ――と、説教される。

「そうなの?」
『そうなの! あー、もう仕方ないわね――で? どこの会社かは教えてもらったの?』

 そう言われたので「うん――」と応える。
『ユミって、そういうところはしっかりしているよね? それで、どこだって?』
「――四角よつかど物産」

 アスナからの応答がない。
 五秒ほど、待つ。
「あのう――」
「そ、それは、イイんじゃない?」

 なんか、とまどった声が聞こえた。どうしてだろう?

「――イイの?」
『当たり前でしょ? 四角物産の平均年収を知らないの?』
 うん、知らないけど――
『まあ、四角物産でも、いろいろな人がいるとは思うけどね。出身校も聞いた?』
「うん、聞いた」
『どこ?』
、東大――だって」

 再び沈黙――
 六秒経過――

「あ、あのうアスナ?」
 問いかけても、応答がない。

 どうしようかと思っていると、突然――
』と祝辞の言葉が聞こえた。

 えっ? なんで、おめでとう?

『アナタの人生、しました』

 ――――――――えっ?

「えっ? えっ?」
 
 勝ち組? 勝ち組って、ナニ?
 なにがなんだかわからない。

『ああ! ユミに先を越されるなんて、思ってもいなかったわ!』
 なんか、怒っている。

「あのう、アスナ?」
『その幸せ、私のも分けてほしいわ』
 分けてほしい――と言われても――

 すると――

『そうよ! 分けてもらえばイイのよ!』
 彼女の語気が強まる。

「分けるって――?」

『合コンしましょ!』

「――えっ?」
 合コン?
『ユミ! その人に、合コンしようってお願いして! そうね……マナミとカナちゃんを入れて四対四で!』

 なんか、勝手に話を進められる。

「合コン……って、そんな話をしたら、引かれたりしない?」
 まだ、連絡先を教えてもらったばかりなんだけど――と思う。

『そ、そうよね。いくらなんでもガッツキすぎよね。イマドキの男子には逆効果だわ』
 それはやめよう――と言われ、ホッとする。

『それじゃ、パーティーを組む約束をしましょう!』
 今度はそんなことを言われる。

「そうね――次の土曜日、どうですかって? 友達が行きたいと言うのだけど――って、どう?」
 友達とは、もちろんアスナのことみたい。

「うん――それなら、聞いてみるけど……」
「お願い!」
 スマホの向こうに、アスナが私に向けて拝んでいる姿が目に浮かぶ。

 はあ……また、アスナに乗せられちゃったなあ。
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