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第一章 ちょいと寄ってく?
第14話 それぞれの十八時
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あっという間に、十八時になった。
午後は、新しいプロジェクトの会議に参加した。だけど、自己紹介をしたくらいしか発言しないまま終わってしまう。それからもたいした仕事はせず、その時間になってしまった。
しかし、戸越からの連絡はいっこうに来ない。あれほど遊びの時間にはうるさい男なのに――
仕方なく、電話をかけると――
『すまん、会議が入った――』
小声でささやかれると、有無も言わせず切られてしまう。
おいおい、今日もかよ――
まあ、ウチの会社では緊急会議なんて名物みたいなモノで、どんな理由があっても出席しなければならない。『働き方改革』なんて言葉は、どうやら大手町まで届いていないらしい。
国会議事堂前までは地下鉄で七分だったはずだけど――
しかし、まいったなぁ――
いつ終わるかわからない会議を待っているわけにもいかず、ボクはこれからの予定を考える――
「しかたない。ひとりで行くか――」
*
十八時にアスナと待ち合わせすると、アスナが「メイクをなおしてくる」と化粧室に入ってしまった。結局、二十分くらい待たされる。
「――さ、行こっか?」
この一言で終わった。
「う、うん――」
まあ、女子同士の付き合いだと、こんなのは茶飯事なんだけど――
今度は彼女のスマホが鳴る。
「もしもし、お世話になっております。どうしました? えっ? おケガのほうは? そうですか――わかりました。私のほうから警察へ連絡して確認しますので――はい。それでは、お大事に」
そんなことを言って、電話を切っていた。いつものアスナと違い、とても重々しい声だったので、なにかあったんだとわかる。
「どうしたの?」とたずねると――
「うん。お客さん、事故を起こしちゃったんだって。それで首を痛めて、今、病院で治療しているみたい」
「――えっ?」
事故って――さすがに心配してしまう。
「大丈夫なの?」
「えっ? うん。だって、私が行ったって、治せるわけでもないでしょ? 明日にでも顔を出せばイイよ」
その話し方はふだんのアスナである。この切り替え力は感心させられる。
「さ、行こ」
そう言って、会社を出た――
途中、「やっぱり、ちょっと食べようよ」とアスナが言い出し、いつも行くバーガーショップに立ち寄る。結局、『ちょいダン』の前に到着したのは十九時を大きく回っていた。
また、アスナのスマホが鳴る。
「もしもし――はあ――そうですか……わかりました。今から行きますので――」
そう言って電話を切った。
「ユミ、やっぱりダメだわ。なんか、揉めちゃっているみたい」
今から、お客さんのところへ行くと言う。
「今日はユミだけで、楽しんできて。それじゃ!」
そんなことを言って、アスカは小走りで引き返して行った。
「……やっぱり、こうなるんだぁ」
午後は、新しいプロジェクトの会議に参加した。だけど、自己紹介をしたくらいしか発言しないまま終わってしまう。それからもたいした仕事はせず、その時間になってしまった。
しかし、戸越からの連絡はいっこうに来ない。あれほど遊びの時間にはうるさい男なのに――
仕方なく、電話をかけると――
『すまん、会議が入った――』
小声でささやかれると、有無も言わせず切られてしまう。
おいおい、今日もかよ――
まあ、ウチの会社では緊急会議なんて名物みたいなモノで、どんな理由があっても出席しなければならない。『働き方改革』なんて言葉は、どうやら大手町まで届いていないらしい。
国会議事堂前までは地下鉄で七分だったはずだけど――
しかし、まいったなぁ――
いつ終わるかわからない会議を待っているわけにもいかず、ボクはこれからの予定を考える――
「しかたない。ひとりで行くか――」
*
十八時にアスナと待ち合わせすると、アスナが「メイクをなおしてくる」と化粧室に入ってしまった。結局、二十分くらい待たされる。
「――さ、行こっか?」
この一言で終わった。
「う、うん――」
まあ、女子同士の付き合いだと、こんなのは茶飯事なんだけど――
今度は彼女のスマホが鳴る。
「もしもし、お世話になっております。どうしました? えっ? おケガのほうは? そうですか――わかりました。私のほうから警察へ連絡して確認しますので――はい。それでは、お大事に」
そんなことを言って、電話を切っていた。いつものアスナと違い、とても重々しい声だったので、なにかあったんだとわかる。
「どうしたの?」とたずねると――
「うん。お客さん、事故を起こしちゃったんだって。それで首を痛めて、今、病院で治療しているみたい」
「――えっ?」
事故って――さすがに心配してしまう。
「大丈夫なの?」
「えっ? うん。だって、私が行ったって、治せるわけでもないでしょ? 明日にでも顔を出せばイイよ」
その話し方はふだんのアスナである。この切り替え力は感心させられる。
「さ、行こ」
そう言って、会社を出た――
途中、「やっぱり、ちょっと食べようよ」とアスナが言い出し、いつも行くバーガーショップに立ち寄る。結局、『ちょいダン』の前に到着したのは十九時を大きく回っていた。
また、アスナのスマホが鳴る。
「もしもし――はあ――そうですか……わかりました。今から行きますので――」
そう言って電話を切った。
「ユミ、やっぱりダメだわ。なんか、揉めちゃっているみたい」
今から、お客さんのところへ行くと言う。
「今日はユミだけで、楽しんできて。それじゃ!」
そんなことを言って、アスカは小走りで引き返して行った。
「……やっぱり、こうなるんだぁ」
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