異世界悪霊譚 ～無能な兄に殺され悪霊になってしまったけど、『吸収』で魔力とスキルを集めていたら世界が畏怖しているようです～

エピローグ

第五十九話

ゲハルトの大森林、その奥地――

ココの支配者は魔物ではない。鬱蒼うっそうとした森は植物たちの楽園。そして――

「ふう、ここまで修理できればもう大丈夫ね」

　甲高い、舌足らずのしゃべり方は幼い少女の声のように思われるが、その主は実際のところ五百歳をゆうに超えている。緑の髪に大きな葉を纏まとった姿。有識者は彼女のことを森の妖精王、『ドライアード』と呼ぶ。

「女神様から頼まれた時にはどうしようかと思ったけど、まあ、なんとかなるモノね。エッヘン！」

　小さな胸を張って見せた。


　それはひと月ほど前――ゲハルトの大森林の管理人である彼女の住処すみかに、この世界の創造主が降臨。こう告げた。

『森の妖精王ドライアード、シエラ、頼みがあります。この森で命を落とした少年の蘇生をお願いします』

　妖精族は本来、他の生物との干渉を好まない。特に自然を壊す人間を嫌っている。人間を助けるなんてまっぴらゴメン――と思ったのだが、創造主の頼みとあっては断れない。最初は、イヤイヤだったのだが、相手がカワイイ男の子だったので、情が移ってしまう。今ではウキウキ気分で作業を行っていた。

「あとは、あの場所につなぎ留めた魂を運んできて、蘇生すればイイのよね？」

　ひとりごとを口にしながら、この森の地脈につながった大きなクリスタルのコアをのぞき込む。

「うーん、見れば見るほどカワイイ男の子よね。ドキドキしちゃう」

　中肉中背、中性的な顔の少年が、コアの中で眠っていた――

≪　終わり　≫


＊最後までお読みいただき、ありがとうございました！

『救国編』はココまでです。このあと『学園編』の構想はありますが、読者様の反応しだいで続きを書くか考えたいと思います。

　ですので、感想を待ってます！　一言でもイイです！
『続きが読みたい！』という感想が多ければ、続編を書くかも――

　よろしくお願いします！