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第三章 大事な繋がり
72☆
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無事に凛くんとゼルのデビュー戦が終わり、今はバスに乗って帰っているところだ。
今日の凛くん、楽しそうやったな。俺等も全員楽しめたした。公式戦で、あんだけ攻撃しまくって、いろいろ試す事できるって贅沢よな。凛くんが後ろに居るだけで安心やし、拾ってくれるん分かっとるから、攻撃に入りやすいんよな。
あとは、凛くんの判断が早いからすぐ動けるし、基本うちは攻撃好きしか居らんから、凛くんが居ってくれるだけで、思いっきり出来るわ。愁なんか、あんま動いとらんからって、頭フル回転で最後の方はゼル使て遊んどったしな。
「兄貴、次俺にも凛の事抱っこさせてや」
「ええけど、俺にしがみついて離れんのや」
凛くんは、俺の服にしがみついて、歯が痒いのか俺のシャツをかじっている。
「ほんまや……かわええ。それに兄貴のシャツ穴空いとるやん」
「これ穴空けて、そこに歯嵌めると気持ちええらしいんや。朝起きると、よくこんなんなっとるわ。凛くんには言っとらんけどな」
「凛、気にしそうやもんな」
「そうな……ッ!!」
な、なんで起きとるんや!? 起きるにはまだ早いやろ。
凛くんを見ると、何故かこっちを見て起きていて、俺と目が合った途端、嬉しそうに目を輝かせて笑った。
「ぜん……チュウして」
「凛、起きるんはやない?? それに……兄貴、これやばいで」
「分かっとるわ。せやから今我慢しとるやろ……凛くん、今どこ居るか分かっとる??」
凛くんに確認してみると、可愛らしく首を傾げてキョトンとした顔をしている。そしてゼルを見つけると、ゼルの首に抱きついた。
「ぜるぅ……すきぃ」
「ぐっ……可愛すぎるッ!!」
このままやとアカンな。家までもうすぐやし、ここで降ろしてもろて走って帰るか。
「佐良さん!! 俺等ここで降ろしてもろてええです?? 聞こえとったと思うけど、凛くん熱あるみたいなんや……」
佐良さんは、俺達の所まで来て凛くんの様子を見ると、少し険しい顔をする。
「思った以上に気を張ってたのかしら。このままだと風邪になっちゃうわね……凛ちゃん、身体怠くない??」
「かあさん……あのね。おれ、今日たのしかったんだよ。でもまだやりたい」
その瞬間、凛くんの耳と尻尾が出てきて、俺とゼルで凛くんの腹に尻尾を巻きつけた。
「それは良かったわね。楽しくて、はしゃぎ過ぎちゃったのかしらね。凛ちゃん、また出来るから」
「ほんとう??」
「本当よ。だから、今日はもうお休みしましょうね」
「わかった!!」
可愛すぎる!! やばい、色も耳も尻尾も全部出とるから、これで幼児返りは可愛すぎる!! ん?? 色?? げっ……髪色出てもうてるやん!! だからか、さっきから周りが妙に静かなんは……大丈夫なんか??
「もう着いたみたいよ。愁は……寝てるのかしら。取り敢えず、凛の事よろしく頼むわね。明日と、明後日も休みでいいから、沢山甘やかしてあげて。凛は基本、甘えるのが好きだから……」
確かに、ここ最近ずっと俺等の方が、凛くんに甘えてもうてたな。
俺達は凛くんにブランケットをかけてやり、耳は二人で押さえて家に帰った。リュカも心配そうにしていたが、祐希と剛は凛くんが可愛いかったのか、珍しく悶えていた。
「ほい、凛くん。先に風呂入ってまおうな」
凛くんを下ろしてやると、俺達を引っ張って風呂場に行き、ポヤポヤした表情で気持ちよさそうにしていた。
「凛、兄貴は飯作るんやって。こっちおいで」
これ以上熱があがらないように、さっさと風呂からあがって髪の毛を乾かしてやると、俺に抱きついた状態だったためか、そのまま台所までついて来ようとしていた。ゼルはその様子を見て、自分の髪の毛を乾かし終えると、嬉しそうに凛くんを呼ぶ。
「ゼル……おれ、おなかすいた」
「今から兄貴が作ってくれるんやって。もうちょい待っとこうな」
「ちがう。あかちゃん……おなかすいたって」
「ブフッ!!……ゲホゲホ……凛、まず凛の飯が先や」
凛くんの初めての赤ちゃん発言に、ゼルが飲んでいた水を吹き出した。
「ゼル、お前ちゃんと拭いとけよ。それと簡単なもんにするから、まだ襲ったらアカンからな」
「分かっとるわ。凛、水かからんかったか??」
「うん。ゼル……あかちゃん、きたからビチャビチャ。どうしよう」
来たからビチャビチャって……下りてきてもうたって事か!?
凛くんを見ると、自分のシャツを捲って、濡れてるのが気持ち悪いといった感じだ。しかし、俺等にとっては誘ってるようにしか見えず、ゼルはガン見で手を伸ばしている。
「ゼル、先に凛くんベッドに運んでやり。俺これだけ作ってまうわ」
「分かった。凛、ベッド行こうか……可愛すぎる」
確かに可愛い。耳と尻尾出た状態で、あの色気に幼児返りのコラボ……俺等、今日止められるんかな。
俺はすぐに飯を作り終えて寝室に行くと、既にゼルが抱いてる最中だった。
「んンッ……あッ、アッ……ぜるぅ……いっぱいちょうだい」
「はあ……凛、かわええな」
「凛くん、俺も入らせて」
「ぜん……アッ、はぁ……きて。いっぱいほしい」
あぁ、可愛い。ほんま綺麗やな。
キスをしながら中へ入ると、耳がピクリと動いて、尻尾が俺とゼルに巻きつき、花のフェロモンを出してくれる。
ええ匂い。コレ多分のノウゼンカズラの匂いなんよな。ゼルはローゼルの匂いか?? 凛くんの発情期ん時も花の香りやし、あれはスズランなんやろうな。
その後は何も考えられず、ただただ凛くんを抱き続け、凛くんも気持ちよさそうに、俺等を求め続けていた。
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