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第三章 大事な繋がり

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 翌日、いつもより少し遅めに目が覚めると、二人ともまだ起きてなく、俺は寒くて毛布の中に潜る。


 うぅ……まだ寒い。寒いの苦手なんだよな……こたつ欲しい。


 もぞもぞと動いて、どんどん下に潜っていき、目の前のゼンの服の中に入ると暖かくて落ち着く。 


 ゼルが俺の中に潜って、寝てる気持ち分かるなあ。これ凄い……いつまでも寝てられる。


「凛くん……どうしたん、寒いんか??」


 潜り込む俺に気づいたのか、ゼンは眠そうな声で聞いてくる。


「うん。ここあったかい」


「どれ、俺の後ろに手回してみ」


 言われた通り、ゼンの後ろに手を回して抱きつくと、ゼンは俺を抱き寄せて密着する。その間もゼルは、俺の腰に抱きついたまま、ずっと寝ていて起きる気配がなく、ゼンもまた眠ってしまった事で、俺ももう一度寝ようと目を閉じた。


 次に起きたのは昼頃だった。俺は毛布に包まれた状態で、ソファに座るゼルに抱えられていて、その横ではゼンがパソコンをいじっている。


「凛、おはよう」


「ん……おはよう」


 俺はゼルの顔を見た後、また毛布の中に潜ろうとすると、ゼンに止められてキスされる。


「凛くん、冬眠でもするんか?? ほれ、外見てみ。雪降っとるで」


 毛布を取られた俺は、ゼンに言われた通り外を見てみると、雪がちらついていた。


 うぅ……どおりで寒いわけだ。


「凛くん、どうする?? デート行くか?? 俺は買い物もあるから外出るけど、ゼルとお留守番しとってもええよ」


「行きたい。折角のクリスマスだし……いろんなところ、一緒に行きたい。デートもいっぱいしたい」


「ぐっ……可愛すぎる。そういや、凛とはあんま恋人らしい事しとらんかったもんな」


「俺等が、出来るだけ凛くんは外に出したなかったし、凛くんもなかなか人多いとこ、行けんかったもんなあ」


 その後、お昼ご飯だけ済ませて出かける準備をし、俺はゼンに寒くないよう、あったかい格好に着替えさせられて、厚手のストールを首に巻かれる。


「冬場はええなあ。凛の色気が隠せるわ」


「けど、可愛すぎんか?? 凛くん、ストールで口元隠しとってな」


 ストールを口元まであげられると、ゼンの匂いがして、スリスリとしながら顔を埋めれば、二人が急に抱きついてきた。


『可愛い!!』


「やっぱ外出したないな。冬場は冬場で、眠そうなんがかわええ」


「凛くん、水族館は夜の空いてきた頃に行こうな」


 俺達は車に乗って、先にゼンが言ってた買い物に行く事になったが、なんの買い物なのかは分からず、俺がウトウトしている間に、インテリアショップに着いた。


「ゼン、何買うの??」


「凛くんの冬用家具や。あっちの家は床暖つけてもろとるし、ある程度気温が一定になるよう頼んだんやけど、マンションは暖房つけとっても、凛くんには寒いんやろ??」


「佐良さんに聞いたら、寒い日はこたつで寝とった言うとったしな」


「俺は今朝の凛くんが、可愛くて仕方なかったんやけど、凛くんが冬眠にでも入ってまいそうやからな」


 二人が迷いなくお店の中を進んでいくと、何故かソファゾーンで止まった。


「凛くん、こん中やったらどれがいい??」


「えっと……ソファ??」


「こっちのフロアコーナーの方な。ラグとこたつはそれに合わせるから、凛が好きなやつ選んでええよ」


 いや、全部高そうなんだけど……なんか選びづらいな。


 俺は何種類かあるフロアコーナーソファから、恐る恐る触ったりして、しっかりした背もたれの、家にあるコーナーソファに似たものを選んだ。


「これ家にあるのと同じ種類やな。すんませーん」


 ゼンが店員さんを呼んで話している間に、値段を見ようと思ったが、ゼルが見せてくれなかったため、他の物を参考にしようとしたら、抱えられてしまった。それからは、店員さんにサイズが合う物を聞いて、こたつやラグも選び終わると、全部配送してもらう事にしたらしく、いつの間にかお会計が済んでいた。


 お店を出ると、もう夕方近くになっていて、雪も止んで綺麗なイルミネーションが光っていた。


「凛くん、ここから水族館も近いし、歩いて行こうか?? 凛くんはこうゆうんが好きなんやろ??」


「ただの電飾にしか見えんけど、凛が好きなら歩こか。ちゃんと手繋いでな」


 確かにただの電飾なんだけど……あれ?? 俺の感覚がズレてるのか??


「車からも見えるから大丈夫。ゼンとゼルはあんまり好きじゃないでしょ?? それに寒いし」


「ブハッ……凛くん、それ結局寒いからやろ」


「なら凛、俺と一緒に後ろに乗らん??」


「それはアカン!! 座席倒してええから、凛くんは助手席や!!」


「チッ……そんなら、俺の車ん時も凛は助手席な」


 水族館に着くと人がかなり少なく、俺は二人に手を繋がれて初めての水族館に入った。少しの怖さとワクワクで手に自然と力が入り、キラキラと光る水槽から目が離せず、少しずつ水槽に近づいていく。


「凛くん、大丈夫か??」


「凛??……なんや、物凄い集中しとらん??」


 綺麗……怖いけど、川とは全然違う。海の中ってこんなに綺麗なのかな。


「そっとしとこか。俺等は凛くんの写真でも撮ってようや」


「せやな。それに……凛はやっぱ海が合うな。これが本物の海なら、もっと綺麗なんやろうな」


 なかなかエリア毎に動かない俺を、ゼンとゼルは時間を見ながら移動させてくれる。


「なあゼル……さっきから、おかしくないか??」


「凛に挨拶しに来きとるように見えるな。さっきのアザラシなんか、動かんかったで」


「今なんか、イルカと凛くんが話しとるようにみえるしな」


 このイルカ達、キュイキュイ言ってる。なんか俺に喋ってる?? 聞いた事あるような……これなんだっけ?? でも確か、連れて行ってくれるんだよな。ゼンとゼルに聞けば分かるかな。


「ゼン、ゼル、このイルカ達が連れてってくれるって。でもなんだったか覚えてな……」


『アカン!!』


「今までの事は感謝しとる。けどな、次に凛くんを連れてくのは俺等や」


「お仲間には世話んなったな。けど、もう大丈夫や」


 ゼンとゼルが俺を強く抱きしめながらそう言うと、イルカ達はバブリングをして離れて行ってしまった。


「どういう事?? ちゃんと話してくれるよね??」


 二人の顔を見ると、不安げな表情で俺を見てくる。


「凛くん、そろそろ帰ろか」


「ここでは話せんしな。家でちゃんと説明するから」


「じゃあ、大きい水槽のとこで三人で写真撮りたい。ゼンとゼルばっかり、俺の写真撮ってたし……ちゃんと連れて行って」


『喜んで!!』


 二人はさっきまでの不安そうな顔ではなく、笑顔で俺の手を引っ張って連れて行ってくれた。


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