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第二章 新しい生活

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~sideゼン~


 いやぁ……凛くん怒ると、あんなおっかないんやなあ。あんだけ急に怒っとったら、そら熱も出るわな。それにあの最後のレシーブ……あれ狙ったやろ。あんなん見た事ないで。出来る奴なんか居らんやろ。アンダーサーブの応用かなんかか??


「監督サン、ちょいとサブ借りとるから、ゼル以外入れんでな」


「……ナニする気だ。やるなら帰れ」


「ナニ考えとんのか知らんけど、凛くんが起きてしもうた時、幼児返りしとるから、あんま見せたないだけや」


「もう帰れよ。どうせ凛がこの後も出来るとは限らんだろ」


「なんで帰らんか気になる?? 凛くん、多分謝りたいって思っとるはずやからな。不破とみんなにな。前の時も俺とゼルに謝っとったし。せやから起きても、起きんくても、ここに最後まで居るから」


 それを言うと、謝るくらいならなんで怒ったんだって、言いたげな表情で見てくる。


「凛くんなあ……不破の事嫌い言うとったけど、バレーは別な筈なんや。期待しとるんやないかなあ。アレ怒っとったけど、ほぼアドバイスやったやんか。自分は俺と試合したいから我慢しとったのに、それ以上にあいつと白雷虎の為に言ったんやろ。ほんま妬いてまうな」


 俺は氷嚢を持って一度更衣室に行き、凛くんを着替えさせてから、荷物を持ってサブの方へ向かった。


 俺の長袖持ってきといて正解やったな。あとは薬なんやけど……起きとらんけど飲んでくれるんかな。


 試しに口移しで水を飲ませる飲ませると、ゴクッと飲んでくれて、ついでに舌を絡ませると、気持ちよさそうな顔になった。


 口ん中熱いなあ。けどこの熱が癖んなるわ。ゼルは休憩までもう一試合あるから、まだ来んやろうし、薬だけ飲ませてイタズラしてもええかな。


 俺は薬を飲ませる為に、少し凛くんの顎を上げて、もう一度水を流し込む。その後ちゃんと飲んだか、確認の為に口を開けて見ると、薬は無かったが、小さい舌がチロッと出て、その色気に負ける。


 口を開けたままキスをして、舌を絡ませると、時々ピクッと反応する。そして口を離せば唾液が垂れて、それを見るとますますエスカレートしていく。


 エッロ。なんやねん、この色気。熱のせいもあるんやろうけど、このちっさい舌がエロいんよな。


「犯してええかな」
 

「アカンに決まっとるやろ!! ナニしとんねん!!」


 頭を叩かれ後ろを振り向くと、ゼルが凛くんのぬいぐるみを持って、仁王立ちしていた。


「お前試合まだあるやろ」


「昼休憩や。ここで全員飯食うのに、兄貴がナニやっとるか、分からんから見てこい言われたんや。どうせ薬飲ませてヒートアップしたんやろ」


 チッ……もう昼休憩かいな。


「ゼル、これ見てみぃ。この絶妙なエロさ。これ見て我慢できるか??」


「……無理やな。やるか」


ピンポンパンポン~


「ンンッ、あー……ゼン、ゼル、早く出てこい。休憩取れないだろ」


 うわっ……放送使ってきよったわ。


「しゃーないな。一回キスしたら呼んでくるわ。兄貴はその凛のエロい顔、やめさせといてや」


 そう言って凛くんにキスするゼルは、興奮気味に凛くんの頭を自分に押し付けて、荒いキスをしてから監督サンを呼びに行った。


 凛くん、ますますエロくなってもうたやんか。息あがっとるし、どうするか……更衣室は暑いしなあ。取り敢えず端に行って、周りに見えんよう俺とゼルで隠すしかないな。ぬいぐるみでも持たせときゃ、エロさ抑えられるんやないか??


 体育館の隅っこに移動し、長袖を掛けてぬいぐるみを持たせる。


「エロから可愛いになったやんか」


「ゼルか……こっちに風狼の奴等集めてや」


「分かっとるって。ちゃんと言っといたわ。それより、不破は凛の可愛さで力抜けたらしいわ」


 確かに可愛い!! せやけどバレーはバレー、趣味は趣味やろ。そこ分けれんようなら、それ以上はいけへんな。まあ、そこんとこは監督がなんとかするやろ。あの監督容赦ないしな。


「ゼン、久しぶりやな。なんや活躍しとるようやないか」


 噂をすれば、その白雷虎の高校と大学、二人の監督がこっちに来た。


「お久しぶりです。挨拶出来んくてすんません」


「かまわない、その子に付き添ってあげないとだろ?? それより、ゼンとゼル両方居る時に話したい事があったんだよ。ゼル、お前うちの大学来ないか??」


 ほんま、よう見とるな。まだ成長途中のゼルに目ぇつけるあたり……せやけどゼルは大阪は行かんやろ。凛くんと離れんやろうし。


「すんませんけど、お断り……」


「話はまだだ。うちは去年から、飛び入学制度を取り入れてた。そんでまだ日本では浸透してないだろ?? だから一人は飛び入学させたい思ってるんだが、その子……佐良凛くんを最初の一人目にしてみないか??」


 そういう事かいな。けどそれは凛くんにも聞かんとやろな。それに……俺が!! あ、いや……大阪に戻ればええだけやんか。せやけど、佐良さんがまた大変になってまうな。


「それは凛に聞いてみんと分かりません。それに凛が飛び入学出来る思っとるんですか??」


 ちゃんと調べたんか確認しとるんか。凛くんは頭ええから大丈夫なんは分かっとるくせに。


「ほんとお前等、嫌んなる程似てるね。大丈夫、ちゃんと調べてるし、なんなら凛の親御さんとも、何度もやりとりしてる。風狼側ともやりとりしてるしな。あとはなんか聞きたい事あるか??」


 俺で学んだって顔に書いとるやん。俺はそんな厄介な奴やったんかいな。ちゅーか佐良さんは知っとるって事やんな?? 今度聞いてみるか。


「凛の事は……どこまで知っとりますか??」


「多分全部かな。ここでは言えないだろうが、濁して言うんだと中学の事、心の事、お前等との関係、今の熱の原因……ちっこい身体で頑張ってるじゃないか。あとバレーにかんしては、目が良すぎるし、ゼンとゼルにもよく教えてるんだよな?? メモとやらを見せてもらったけど、アレは異常だね。そんでリベロとしては、もはや世界レベルと言ってもいい。いろんな経験をしたからこその、大人びた考え方と、自分の存在意義となるスパイカーを大事にする。選手限定のファンクラブもあるんだろ?? うちはバレーに限らず、リーグ選手を多く輩出してるから防犯設備は揃ってる」


 佐良さん、全部説明したんか。行かせる気満々やないか。陣くんと離すんは、少し不安やけどな。


「そこまで知っとるんですか……俺には正直バレーより凛が優先なんです。せやから、凛次第でもええですか?? 兄貴……兄貴が居るうちの方がええと思うんやけど、凛起こしてもええかな。監督さんの方から、直接説明受けた方がええと思うんや」


「……可哀想やけど起こそか。凛くんごめん、起きて」


「凛、起きてくれんか??」


 そして熱が出ていても、ちゃんと応えるように目を開ける凛くん。


「ゼン、ゼル……ふえっ」


 あ、幼児返りするん忘れとったわ。


「凛くん、どうしたん?? なんか怖いんか??」


「り、凛、起こしてもうて悪い……忘れとった」


 凛くんは俺達二人に抱きついて、静かに泣いている。監督達は、この事にはびっくりしていて、少し離れてその場に座った。


「なんか怖い……ちゅうして」


『うグッ……』


 俺達はチラッと周りを見ると、風狼の全員がこっちを囲むように座り直し、監督達は目を塞ぎ何度も頷く。


「……してくれないの?」


「したるよ!! 安心し」


 俺は凛くんにキスすると、凛くんから舌を絡めてきて、軽くするつもりが、ついつい激しくなってしまう。


「ンッ……ふぁ」


「兄貴!! ちょ、今はそれ以上はアカンから!!」


 ハッ……ついやってもうた。周りは……耳塞いどるな。


「ゼル……して……ンンッ……はぁ……ンむ」


 こいつもやってしもうとるやんか!!


「ゼル!! 終いや!!」


「あ……凛、悪い!! 大丈夫やった??」


「……俺、やっちゃった」


 あ、正気に戻った。

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