47 / 56
chapter2
2人が居なくなった学園
しおりを挟む涙達の居なくなったクラスは、どんよりとしていた。
「ねえ、僕達がやっぱり守っておくべきだったんだよ。本当は生徒会の方々の親衛隊でも富永様の親衛隊でも…ましてや、鶴野様の親衛隊でもない、涙様の非公認親衛隊の僕達が」
「でも、富永様に涙様の好きなものを聞いて、こういう王道学園?みたいなのを期待してるって言ってたから、僕達も頑張ってたのに。やっぱり傷つけてしまってたのかな」
「富永様に僕達のこの行動を伝えとくべきだった??」
「でも、涙様が時々僕達を見て口元しか見えなかったけど、微笑んでくれてたよね」
「うんうん!僕も微笑まれた事あるよ!!頑張って良かったって思ったもん!!」
「しかし、今回のは……俺達じゃどうする事も出来なかっただろ。このクラスの奴らや涙様の親衛隊は誰も署名してないし。どうせ花月様の親衛隊がいろんな人脅して無理矢理書かせてたんだろ」
「しかも、涙様の親衛隊ってかなり居たよね?とくに、最近入ってきたC組なんて全学年だよ!?まあ、涙様の顔を見たとかムカつくけど、涙様の為に承認したし!!」
そう、涙の親衛隊は非公認だが、この学園で1番多かった。涙が1年間腐った思考で学園を楽しんでいるなか、涙の仕草がいちいち可愛いとか、慶に担がれて寝ている時にチラッと顔が見えて可愛すぎたとか、親衛隊を嫌悪せず自分達に微笑んでくれるだとか、その時の唇がエロいだとか……涙達が知らない間にファンが増え、涙が喜んでくれるならと、心を鬼にしてチワワを演じていたらしい。
そして、非公認なのに何故そこ迄大きくなったかというのは、生徒会長である神崎が、涙の親衛隊隊長だったからだ。彼の家は、涙の家に恩があり、涙の父親から頼まれた時に喜んで引きうけた。
「クソっ!俺のせいだ。本当にすまない。まさかあいつらがあそこまでするとは思わなかった。一度避難というかたちで無理矢理追い出したが……涙の父親は……むしろ喜んでいた」
そう、涙の親衛隊の数を考えれば、自分の親衛隊の数も合わせると、あきらかに署名数が足りないのだ。それでも、涙を無理矢理出ていかせたのは、涙の父親からの命令で、わざわざ架空の署名を作った。
「え!どういう事ですかバ会長!!避難?そんなの僕達聞いてませんよ!!取り敢えず、全部説明して下さい!!僕達はまだ貴方を許してませんよ!!」
「あー、分かった。取り敢えず、今回は偽の署名を俺が作り、退学というかたちで追い出した。それは全部涙の父親からの命令で、そうでもしないと、あのバカは涙を殺そうとしたんだよ。叔父が何を勘違いしたか知らねぇが、自分が理事長だからもみ消せると思ったんだろ。あいつ理事長でもなんでもねぇのに」
「え……」
「それって……」
「「「ジジイ頭大丈夫?」」」
「それよりも、バ会長に命令できる涙様のお父様って何者……」
涙のクラスはめいいっぱい人が入っているのに、誰も言葉を発しず、シンと静まりかえり、ついでに入りきれなかった者たちも、各々盗聴器と監視カメラを通して話を聞いていた為、学園中が静かになった。
21
お気に入りに追加
1,041
あなたにおすすめの小説

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる