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chapter1
理事長室にて
しおりを挟む僕が目を覚ますと、理事長と怜さん、慶がニコニコと笑って僕の顔を見ていた。
……もう1回寝よう。
「涙。」
あーー、もう分かったよ!!だからその笑顔やめて!!怖いから!!
「涙これからは、これをつけて授業を受けてくれ。わからない所は俺が教えるから。」
そう言って、起きたばかりの僕に渡されたのは、イヤホンとタブレットだった。
どうやら、僕は教室ではなく、理事長室か寮か風紀室で授業を受ける事になったらしい。
「え…嫌だ。」
「「ダメだ!!」」
いやいや、理事長も慶もハモらないでよ!!もう、僕には怜さんしか味方が……
「涙様?分かってくれますね?」
味方だと思っていた怜さんを見ると、悪魔の微笑みで怜さんは僕に言い聞かせる。
「は…はい。」
「本当なら涙を寮に閉じ込めようと思ったのに。……怜さんの提案で、寮か理事長室か風紀室なら、涙のストレスも減るだろうと思ってこうなった。」
え…僕軟禁されそうになったってこと!?それなら怜さんの提案のむしかないじゃないか!!でも、これでは納得できない!!
「分かったよ。そのかわり……僕に萌えを提供して!!それが条件だ!!もう、最近萌えが足りないんだよ。なんでか、僕が告られるし…王道からどんどん外れていくし。」
萌えがないと、僕がここに来た意味がない!!
「よし!ならBLの漫画や、限定CDなどありとあらゆる物を、買ってこよう!!」
「そうですね、俺は外国の方で出ている物を買ってこよう。」
「理事長も慶も、そんな無駄づかいするな!!そりゃ嬉しいけども!?できたらオメガバース、溺愛系多めでって違う!!そうじゃないッ!!僕はね、リアルが欲しい!!!」
そりゃ、嬉しいに決まってる!!でも、僕はリアルを求めているんだ!!
「涙くん、そろそろ私の名前を呼んでくれてもいいじゃないか。こんなにも、慣れてくれたのだから!!」
嫌だよ!!名前呼びフラグは絶対に要らない!!
「怜の事は呼んでるだろ?最初は執事さんだったのに…今では……うっ、うぅ…」
うわ~、この人いい歳して泣きだしたよ。
「分かりました、上条さん。」
「違う!!!」
あれ?上条じゃなかったっけ??上条雅人だったような…。
「涙、合ってるからそれでいい。」
「ちょっと慶くん!?良くない!!涙くん、それは苗字だ!!私は名前と言ったんだよ!?」
あーー、そういう事か。面倒くさいな。
「涙様、そのままで結構ですよ?それと、私の苗字は一生思い出さないで下さいね?」
う…怜さんが怖い。そして僕が忘れてたの分かってるあたり……恐ろしいな。
「怜さんは"幹"だ。幹怜。涙は"幹さん"でもいいんじゃないか?」
あーー!!そうだ、幹だ!!!
初めの頃は、よく"キミさん"って間違えてたから、執事さんって呼んでたんだよな~。
「慶様余計な事を。」ボソ
うん、怖い。だから僕は今まで通り、怜さんで呼ぶよ。
「うぅ…涙く~ん。」
あー、この泣いてる人どうにかして!!だから、会いたくなかったんだよ!!でも、これからはここにも来ないととか……憂鬱。
…………あれ?それよりも僕、なんか話を逸らされた気が…。
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