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chapter1
嫌だ!!
しおりを挟む「慶……どうしても行かなきゃダメ??」
「そうだな、涙を寮においていくと、俺が責められる。それに、俺だって涙を連れてくのは、気が進まない」
あ~嫌だ、憂鬱だ。あの人には、なるべく会いたくないのに!!
学校に何故あるのだろうと、疑問に思うエレベーターのついた先は、高級ホテルのスイートルームに繋がりそうな長い廊下だ。
この廊下は長いくせに、部屋の扉は1つだ。まあ、説明しなくても分かるよね?? ようは、この階にある部屋はここだけで、その大きな部屋に居るのは、この学園の理事長……僕が会いたくない人だ。
コンコン
「慶です」
慶がノックをすると、その扉は開き、中から執事のような人が出てきた。
「け……涙様~!!」
「うげぇ……く、苦しいから……」
こいつ、慶の名前呼ぼうとしてたくせに、僕に抱きついて来やがった!!
「怜さん、やめてください。涙が潰れる」
「申し訳ございません!! 昨年の9月12日以来だったので……つい」
え……最後に会った日付け覚えてるの?? 普通覚えてないよ。
この黒髪黒目の、スラッとした身長に、燕尾服を着た執事さんは……苗字なんだっけ??……忘れた。
まぁ、怜さんって人で、理事長の執事であり、秘書のような仕事もしている。
「怜さん、お久しぶりです!!」
僕は慶に姫抱きされながら、頭だけ下げて挨拶をすると、部屋の奥から、僕の会いたくない人が走ってきた。
「涙く~~ん!!」
ドドドドッと、勢いよく走ってきた、僕の会いたくない人…理事長は、僕に抱きつこうとしたと同時に、慶がスっと避けた為、カスッと効果音が聞こえそうなくらい、綺麗にカスった。
「慶くん、酷いじゃないか。私は涙くんに毎日毎日毎日毎日!! 会いたくて仕方ないのに、連れてきてくれるどころか、去年の9月12日以来の再会で、ハグすらさせてくれないなんて」
あんたも覚えてるんかいッ!!
「本当は俺だって連れてきたくないんですよ。貴方達は涙にベタベタくっついてくるし。でも、今回は仕方なく連れてきたんですから、対処お願いしますね」
ぶっきらぼうにそう言うと、慶は当たり前のように、理事長室のソファへ腰掛け、僕を隣に置いた。……座らせたんじゃない、置いたんだよ!! 置かれた僕どうなってると思う!? 姫抱きのまま置かれたたら、ソファに寝転がってる感じになるでしょ!?
慶のやつ、僕が起き上がろうとしても、自分の膝に僕の頭押し付けるし……こうなると、大概寝ろって意味だから、話を聞かれたくないんだろう。
僕は慶の膝枕で、そのまま大人しく眠りについた。
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