運命のオメガは冥王様に囲われる
世界には運命のオメガという存在がいる。
だが、運命は三種類存在し、人々が創りだす運命や運命のツガイの他に、運命のオメガというものがある。
その運命のオメガ、ククはシャチの魚人であり、海底にある魚人の国、流底で暮らす第三王子だったが、成人を迎えても体が小さく、狩りをできる立派な男性でもなければ、子を宿せる女性でもなかったため、大切に守られて生きてきた。
そんなククがある日突然、理由も告げられる事なく国を追い出されてしまい、非力なククが弱肉強食の海で生きていけるはずもなく、海での生活を諦めて陸へ上がった。
陸での暮らしは不慣れな事ばかりだったが、ククは女性や男性の他に、アルファやベータやオメガといった第二の性がある事や、自分がオメガである事、そして自分の変わった体には理由があるのだと知り、少しずつ陸での生活に慣れていった。
しかし、陸での生活はククにとってはとても辛く、それでも独りで必死に生きようとしていたククだったが、獣人達に追いかけられた事をきっかけに、突然命をおとす事となった。
死後、ククは冥界で目を覚まし、そこで出会った冥王シシのツガイとなっていた。
シシはククを愛し、誰よりも愛に溢れる神だったが、その全てをクク一人に向けるようになる。
だが、そんなシシとは真逆であるククは愛を知らず、『恋』も『好き』も『愛してる』も知らなかったククは、シシから与えられる重すぎる愛を理解できず、とにかく自由を求めていた。
そんなククはシシと過ごす長い時間と、ある事をきっかけに少しずつ心に変化が現れ……
陸での心の傷と、知らない事への不安、シシへの複雑な気持ちなど、それらを抱えながらもシシと過ごすなかで、さまざまな事を経験し、学んでいくーー
(期間限定重複投稿)
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