異世界で普通に死にたい

翠雲花

文字の大きさ
上 下
27 / 69
前編

26夢

しおりを挟む



  僕は今騎士団に来ています。そして、僕の目の前にいる二人がとても険悪です……はぁ、どうしたものか。


「イルは行かなくていいよ。私とカーディルや、その部下達がいれば問題ない。一層カーディルだけでもいい。だからイルはここで鍛錬していなよ」


「いいえ、ジル殿下。私は日頃人一倍鍛錬に励んでいるので問題ありません。それに、ジル殿下の馬にわざわざハルを乗せる事はできません。私がハルを乗せますよ」


「いいや、ハルは私の婚約者だ。ハルが私の馬に乗る事は問題ではないよ」


   そう、事の始まりは、イルが僕を自分の馬に乗せようとしたのが原因だ。


  はぁ、この人達は本当に。僕別に誰でも……そうだっ!!


「二人とも、喧嘩やめてよ。僕はカーディルさんに乗せて貰うから。これも断るなら僕は今日一日中フードをかぶらないよ。いいの?なんならローブも……」


「わ、分かった、ハル。カーディルに乗せてもらって。だからローブもフードも脱がないで。お願いだから」


   ジルは焦った様に言ってきた。


「ハル、団長に乗せてもらっていいから。だからそれだけはやめて」


   イルも慌てて、了承してくれた。


    もう、最初からそんな事で喧嘩しないで。行きと、帰りで分けたらいいじゃんよ。


「今度からは、ちゃんと行きと帰りでどっちが乗せるか決めておいてよ。じゃないと、他の騎士団の人にも迷惑でしょ」


「分かった」


「ごめん、ハル」


   二人の声は重なり、態度は正反対だった。ジルは少し不満気で、イルは反省している様だった。


「じゃあ、行こう。カーディルさん、ごめんね。今日だけ行きも帰りもお願いしていい?」


「勿論です。ハルーティア様、前に乗って下さい。私が押さえていますので」


   父様やジルは後ろに乗せてくれた為、自分で抱きつくかたちになっていたが、カーディルさんは、僕を前に乗せて、押さえてくれるらしい。なんて紳士なんだ。


「くっ……反応しない奴はいいな」


  ジルがボソッとなんか言った。なに?反応って。そんなに悔しいなら、自分も前にも乗せたらいいんじゃ。


   僕はカーディルさんに押さえられながら、討伐に向かった。


   森に着き馬から降りる。今回の討伐目標は、ゴブリンの集落だ。どうやら大きめの集落がこの奥にあるらしい。


「ゴブリンってどんな奴なの?」


   僕は殆どの魔物を知らない。その為どんな奴なのかも分からず、この前みたいに気持ち悪い奴なら、心構えをしておこうと思った。


「んー、人みたいだけど、深緑色で耳は長めの、小さい奴らだよ。」


  へーー、そうなのか。なんかもっと気持ち悪いの想像してたから安心だ。


「しかし、ハルをゴブリンなんかの前に出すなんて……父様何を考えているだ。ハル?ゴブリンは汚いし、臭いから絶対、絶っっっ対に魔法でしか攻撃しちゃダメだからね!!」


「う、うん」


   臭いの!?なんか臭いのはやだなーー。あ……


「創造、マスク」


   僕はマスクを作って、それを付けた。


「ハル、それ何?」


   ジルはそれを見ると、やっぱり聞いてきた。
 

「これは、本当は病気にかかった時とかに、他の人にうつさない様につけたり、病気を貰ったりしない様に、予防したりするものなんだっ!でも今回ゴブリン臭いっていうから、少しでも臭く感じなければいいなって思って作った」


「ハル、それ私にも作ってくれないか?」


    やっぱり臭いのは嫌なのだろう、ジルに続いて、イルも作ってくれと言ってきた。


   僕は二人のマスクも作ると、二人は僕の付け方を見ながら付けた。


「これはいいね。息苦しさもないのに、嫌なものを吸ってる感じがしない」


   ジルは感心した様に言ってきた。


   だよね。やっぱり前世の技術は凄いと思う。


「これなら多少匂いも紛れそうだ!ありがとうハル」


   イルは僕に向かってマスク越しに微笑んできた。


「しかし……これはハルはずっと付けているべきじゃない?これは顔を隠すにも丁度いい」


   ジルは怖い事を言っている。


「そ、そんなずっと付けてたら、肌が荒れちゃうよ!保湿し過ぎちゃうし!それに毎回新しいのに取り替えないと、汚いからだからやめた方が」


「それは確かにダメだね。それに毎回創造するのも疲れるだろうし。仕方ないね」


    ジルは残念そうだけど、納得してくれたみたいだった。


「じゃ、じゃあ僕は予知使って場所把握するからちょっと待ってて!」


  そう二人に伝えてから、僕は未来予知を使った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オークなんかにメス墜ちさせられるわけがない!

空倉改称
BL
 異世界転生した少年、茂宮ミノル。彼は目覚めてみると、オークの腕の中にいた。そして群れのリーダーだったオークに、無理やりながらに性行為へと発展する。  しかしやはりと言うべきか、ミノルがオークに敵うはずがなく。ミノルはメス墜ちしてしまった。そしてオークの中でも名器という噂が広まり、なんやかんやでミノルは彼らの中でも立場が上になっていく。  そしてある日、リーダーのオークがミノルに結婚を申し入れた。しかしそれをキッカケに、オークの中でミノルの奪い合いが始まってしまい……。 (のんびりペースで更新してます、すみません(汗))

羽田家の日常

瀬界
BL
ちょっとぶっ飛んだものを書きたくなったので、エロ多めな上になんだそれなお話です。苦手な人は回れ右推奨。 BL/近親相姦/父×息子/兄×弟 です。 【概要】 羽田家。 父 雅臣(まさおみ) 35歳。IT社長、185センチ、筋肉質。 長男 玲(れい)16歳。高校2生、176センチ、文武両道。 次男 勇(ゆう)8歳。小学3年生、128センチ、天然。 ぼくのお家は、おっきくて優しいパパと頭が良くてなんでも教えてくれるお兄ちゃんの3人家族です。生まれた時からママはいないけど、優しいパパとお兄ちゃんがたくさんかまってくれるので、毎日たのしいです。 ぼくの家にはたくさんのルールがあるけど、これはぼくを守るためで家族みんなが仲良しのためのひけつ?なんだって! 自分たちだけのとくべつだから、みんなにはしーなんだって、パパとお兄ちゃんが教えてくれました! ぼくはいいこなので約束は守れます!! シングルパパの羽田家のえっちな日常をお送りします。 普通に家族がいちゃいちゃしてる常識はずれな家庭です。 誤字脱字、リクエストなどありましたら気軽にお声掛けよろしくお願いします。

【R18】性の目覚め、お相手は幼なじみ♂【完結】

桜花
BL
始まりは中2の夏休み。 あれは幼なじみの春樹と初めてAVを見た日。 僕の中で、何かが壊れた。 何かが、変わってしまった。 何年も続けてきた、当たり前の日常。 全て特別なものに思えてくる。 気付かれるのが怖い。 もし伝えたら、どんな顔をするのかな…。 幼なじみ2人の数年にわたる物語。

ショタの小学校卒業を性的にお祝いさせられるお兄さんの話

松任 来(まっとう らい)
BL
鬼畜風味。せーどれーにされ続けたショタの小学校卒業の日、「お兄ちゃん、お祝いしてくれるよね?」と部屋に押しかけられ、夕暮れに染まる部屋ではちゃめちゃにえっちするお兄さんの話 急遽書いた短篇です。

優しかったお兄ちゃんに近親相姦されました

天災
BL
 優しかったお兄ちゃん……

イケメンエルフ達とのセックスライフの為に僕行きます!

霧乃ふー  短編
BL
ファンタジーな異世界に転生した僕。 そしてファンタジーの世界で定番のエルフがエロエロなエロフだなんて話を聞いた僕はエルフ達に会いに行くことにした。 森に行き出会ったエルフ達は僕を見つけると……♡

えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回

朝井染両
BL
タイトルのままです。 男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。 続き御座います。 『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。 本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。 前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。

性的に奔放なのが常識な異世界で

霧乃ふー  短編
BL
幼い頃、ふとした瞬間に日本人の男子学生であることを思い出した。ファンタジーな異世界に転生したらしい俺は充実感のある毎日を送っていた。 ある日、家族に成人を祝ってもらい幸せなまま眠りについた。 次の日、この異世界の常識を体で知ることになるとは知らずに幸せな眠りに微睡んでいた……

処理中です...