2 / 69
前編
1夢
しおりを挟む………ここどこ?
僕は、あの後寝ずに学校を出た。だがそれが間違いだった。何故なら今僕は、日本かも分からない森にいるのだから。
森?学校の近くに森なんて一つもなかった。それに、まず日本じゃない。どうしてこんな所に。……ザシュッ。
次の瞬間僕は痛みを感じ、その場に倒れた。
『……きて、…さい。……起きて下さい!』
っ!!何!?え?ここは。
『やっと起きてくれました!!良かったです』
目の前には金髪で金色の瞳の白い服を着た青年がいた。
……え?何この痛い感じの見た目の人。
『……聞こえてるんだけど』
痛い格好の青年は引き攣った笑顔で言ってきた。今確かに聞こえる、と。
なんで聞こえんの!てか感想を言ったまでで、その他の感想はないよ。強いていえばここどこ?っ感じで。
『だーかーらー。聞こえてるから、もうそれ言わないで!!それと、宮間葉瑠君。君は僕が殺させて貰った。てか、殺したというより、君が悪いんだよ?あの時寝ないで帰っちゃうんだもん』
だもんって。しかも、言葉砕けてるし。あんたは誰なんだよ!僕を殺したとか言っておいて僕のせいにするとか。
『そうだね、まず私は今君が行こうとしている世界の神だ』
……神様なのは何となく分かるって。聞いてるのは名前だ!
『……そ、それは聞かないで』
青年は目を逸らし、小声でボソボソ言っている。
男ならちゃんと名乗りなよ。僕の名前は知ってるくせに。しかも僕を殺したなら僕は知る権利があると思う。
『……ン』
え?なに?
『……ァンフ……ン』
ねー。僕男の喘ぎ声とか聞きたくないんだけど。恥ずかしそうにしないでよ。
『ファンファンだ!!喘いでる訳じゃない!!』
ファンファンと名乗った青年は、顔を赤くして訂正した。
なんだ、ちゃんと言えるじゃないか。別に僕はそれ位で笑わないよ。それに、名前があるなら大事にした方がいい。
『君にそれを言われるとは思わなかったよ。ありがとう』
お礼はいいから、話を続けて欲しい。
『……はぁ、分かった。まず私が君を殺したのは、君があの時寝なかったのが原因だ』
あの時って。学校に帰った時か。僕はちゃんと体育の前に寝たし、学校を出たのは体育の時間だ。
『それは、違う。本当は、体育が終わった頃また寝る。そして地震がおき、割れた地面に落ちていく夢を見て回避出来ないと判断し、それ通りになる予定だった。その時私は、ここに直接君を連れてくる予定だったのに』
いや、だったのにって。予定なんて立てるからだよ。
『……私は、君をこちらの世界に来させたかったんだ。それなのに。君は起きるとすぐに、学校を出ていってしまった。だから、急遽地面に小さな割れ目を作ってこちらの世界に一度行って貰って、そこを私がザシュッと!!そして、君をここに連れてきた』
……ザシュッとじゃないよ!僕の体は今どうなってるのさ。しかも、結局どっちにしても、殺すのお前じゃんか。
『いやいや、ちゃんと予定通りだったら死なないでここに来れたんだよ!でも君はもう死んじゃって、体は消えたからこっちの世界で転生しないといけない』
消えたの!?僕の体消えちゃったの!?ちゃんと埋葬もされないまま?なんか嫌だなー。
『それは大丈夫!浄化されたって事だから!』
そうなの?ならいいかな。で?僕はこれから転生ってどうするの?
『あ、そうそう。転生してもらう先はこちらの世界。いわゆる異世界だ!ちなみに、君のパラレルワールド渡りはちゃんと使えるよ!異世界にもパラレルワールドはあるからね。』
え。僕それは嫌だ。あれはもう嫌だ。
『それは無理!君の個性みたいなものだから!でも安心して、転生させる時に予知する感じで使えるようにして置くから、今までみたいに、わざわざパラレルワールドに渡って痛い思いをする事はないよ!ただ、普通に寝るとあっちに引き込まれるから、気を引き締めて寝るように』
えーー。結局安心して寝れないのか。でも痛い思いしないで済むならいいか。
『そうだよー!今までよりは断然いいと思う。それと、これは固有スキルとして、君に付けておくよ。他に欲しいスキルとか転生条件とかない?』
そうだなー。人並でいいよ。転生条件も、困らない環境ならなんでもいい。あと、僕は男がいい。
『分かった!僕が好きにしていいんだね!任せて!』
いや、それは言ってな……
『じゃあ、君に転生してもらうよ!頑張ってね!楽しい生活が君を待ってるよ!』
ファンファンは、無理矢理転生させた。
僕の話を聞けーーー!!!
そこで僕の意識は途絶えた。
40
お気に入りに追加
1,211
あなたにおすすめの小説

王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。


【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。


乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
狐時雨
桂葉
BL
受験に失敗し、同時に恋も親友も失った。冴えない春を迎えた真幸(まさき)は、花見に立ち寄った小さい神社で、和風ファンタジーのモブに転生した……のではなく、傾いていた祠を立て直した。そこに、神狐が人の姿で現れる。彼は言った。「礼に、何かひとつ願いを叶えてやろう」と。俺、そんな大したことしてないけど? 戸惑う真幸に、神狐は得意げに笑った。
人ならざる者との恋。その行きつく先は――。現代を舞台にした、人外×青年の和風BLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる