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第4章 大侵略の前兆
44-ドゥフディの決断
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ドゥフディさんは、ある人に頼まれて僕の所に来たことを話してくれた。
やはり、あのペンダントは通信具で、音声が常時その人の所に届く様になっていたらしい。
「その人というのは、アランさんといわない?」
「えっ!?どうして、それを?」
「家を監視してるソニック・クロウが居るよね。アランさんの従魔の。」
「それも気付いてたんですか。」
「気付いたのは、ついこの前だけどね。それで、その鳥の名前とドゥフディという名前に共通点があるからもしかしてと思ったんだ。」
「そうだったんですか。」
「それで、ドゥフディさんは、どうしてアランという人に従ってるの?」
「もうかなり前のことになるのですが、ある日私の群れが虎の魔物に襲われそうになった時に、アランさんが助けてくれたんです。私が、彼にお礼がしたいと伝えたところ、彼は自分の手伝いをして欲しいということだったので、それから手伝いを始めました。ちなみに、この時、彼にドゥフディという名前を付けてもらい、冒険者登録もしてもらいました。」
「なるほど。でも、もう十分お礼はできたんじゃない?」
「私もそれは思ってますけど、なかなか言い出せなくて。」
「それは、そうかもね。」
「アランさんは、元々お礼なんか要らないって言ってたので、私が言えば解放してくれるとは思うのですが……。」
「他人の僕が口を出すことじゃないと思うけど、気乗りしない僕の監視とかするより、群れの皆のところに帰った方が良いんじゃないのかな……。」
「……。」
「まあ、聞きたいこと聞いたし、寝ようか。」
「は、はい。」
「あ、ベッドで一緒に寝ても大丈夫?嫌なら、僕は下で寝るけど。」
「嫌じゃないです!そのー、私を抱かないんですか?」
「えっ!?抱いて良いの?」
お言葉に甘えて、ドゥフディさんを後ろから抱いた。
これは、予想以上に毛並みが気持ち良い!安眠できそうだ。
「あのー、ユウマさん?」
「ドゥフディさん、おやすみ。」
「いや、そうじゃなくてですね……。」
あれ、抱き方がいけなかったかな?まあ、嫌がっている感じじゃあないし良いか。
~~~
「ユウマ、おはよう。」
「おはよう、レモン。今日は、クレアじゃないんだね。」
「クレアは、エルミナさんと話してたわ。」
「そうなんだ。」
まだ、エルミナは落ち込んでるのかな?
「それに、ドゥフディさんを慰めるのは、私が適任だと思うわよ。」
ん?慰める?適任?
「何の話?」
「ドゥフディさん、残念だったわね。ユウマはこんな感じで無自覚だから、諦めてね。」
「は、はい……。」
「でも、気持ち良かったでしょ?」
「はい!とっても!」
あれ?この二人って、これまで話したこと無かったはずだけど、なぜか急に打ち解けたな。
「ユウマ、おはよう。」
そこへ、ステラがやって来た。
「ステラ、おはよう。どうしたの?」
「ペンダントをお返ししようと思って。」
「ありがとう、出すのはちょっと待ってね。」
「わかった。」
「ところで、ドゥフディさん、これからどうするか決めたの?」
「はい。アランと話をして、群れに戻してもらいます。」
「そう。頑張ってね。」
「ユウマさんのお陰で、決心が付きました。ありがとうございました。」
「じゃあ、準備ができたら、リーソンに向かおうか。」
ステラにペンダントを出してもらい、僕はドゥフディさんの頚に掛けた。
テレポートしたら、直ぐにリーソンに向かうので、ドゥフディさんにはあらかじめ人化して服を着てもらうことにした。
その間に、ミノンに念話で連絡を取っておこう。
ちなみに、ミノンは昨日のうちに、ステラがテレポートで魔鳥の林に送っている。ドゥフディさんと会わせないようにするためだ。
『ミノン、おはよう。今、大丈夫?』
『ユウマさん、おはようございます。大丈夫です。』
『少ししたら、そっちに向かうから、隠れて待機しといてもらえるかな?』
『わかりました。』
ミノンとの念話を切るとすぐに、ドゥフディさんが戻って来た。
「お待たせしました。」
「じゃあ、行こうか。ステラ、お願いね。」
「任せて。」
「ドゥフディさんを送ったら、一旦戻ってくるから、他の皆は待っててね。」
『ミノン、いる?』
『います。』
魔鳥の林にテレポートしたので、ミノンがいるか確認する。
『申し訳ないけど、この人をしばらく見張ってて。ないと思うけど、もしこの人が危なくなったら助けてあげて。』
『わかりました。』
『お願いね。時々念話繋ぐから。』
~~~
『ミノン、何度も申し訳ないけど、どんな感じ?』
さっき念話繋いだら、ドゥフディさんが森に入って行くところということだったので、少し時間を置いて念話を繋いだ。
遠隔念話は便利だけど、こちらからしか繋げないのが難点だな。
『ちょうど、仲間と合流できたところです。』
『もう大丈夫かな。テレポートポイントまで迎えに行くから、林に戻ってもらえるかな?』
『わかりました。』
ドゥフディさんの件が片付いた様なので、魔鳥の林にミノンを迎えに行った。
「ミノン、お疲れ様。よくやってくれたね。」
「いえ。ユウマさんのお役に立てて良かったです!」
「別行動させて、ごめんね。ドゥフディさんについて聞きたいから、家に戻ろうか。」
家に帰って、ミノンに話を聞いた。
「ちょっと聞きそびれた所も有りましたが、彼女の要望がすんなり通ったみたいでした。」
「それは良かった。聞きそびれたのは、僕が割り込んじゃったからだね。」
一度、アランさんとドゥフディさんが会話している途中に念話を繋いでしまった時があった。
「そ、それは……。」
「僕のせいだから、気にしなくて良いよ。他に、気付いたことはある?」
「ユウマさんのことを話してましたね。監視に気付いてたとかどうとか。」
「そうか……。」
それを知ったアランさんは、どう出るだろうか。
「話ししてたのは、それくらいですね。後は、直ぐに仲間と合流しに行きました。」
「ありがとう、ミノン。」
ギルドにカード更新と従魔登録しにいかないといけないが、それは明日にして、今日はセルリアと飛行訓練を行うことにした。
このところバタバタでできなかったのもあるが、昨日ドゥフディさんの割り込みでセルリアをお預け状態にしてしまったのが最大の理由だ。
飛行訓練といいつつ、もうかなり慣れたので、訓練と呼ぶのは違和感がある。
セルリアに乗るのは、馬に乗る様にはいかない。
馬は乗り手の扶助で動くが、セルリアは扶助ではなく彼女の意思で動いてる。
馬でも、例えば何かに驚いて勝手な動きをしたりすると、乗り手は付いていくのが大変だ。
乗馬の経験が浅い者だったら、振り落とされることもある。
しかし、経験を積むと、その様な時でもついて行ける様になる。
同じ様に、セルリアに乗り始めた頃は、少し方向を変えただけでも必死でしがみついていたものだが、今では旋回しても無意識にそれに合わせることができている。
急旋回をされなければ、振り落とされることはないだろう。
そんな感じなので、セルリアに乗りながら、ついつい考え事をしてしまっていた。
考えていたのは、エラスの神獣についてどうするかについてだ。
「主、物足りないならアクロバット飛行でもやろうか?」
「それは勘弁して!」
「なら、よそ事を考えずにしっかり乗っておけ。」
「ご、ごめん。」
セルリアに注意されてしまった。
僕は反省して、乗ることに集中した。
~~~
今日は独りで風呂に入る日だったので、考えるには最適だ。
僕はエラスの神獣について、改めて考えた。
神獣が封印されている場所は、かなり西の方だと考えられるが、わかっているのはそれくらいだ。
そもそも、エラスは入ることが厳しい。
空から、封印されている場所を探すという手もあるが、エラスは空からの侵入にも対応していそうだ。
試してみて捕まっりしたらしゃれにならない。
無事に入ることができたとして、次に、封印された場所が見付けられるのかという問題がある。
見付けたとすると、今度はどうやってそこに入るかだ。
封印の場所は、恐らくこれまでと同じようにドームの中だろう。
しかも、警備されていると思われる。
ただ、ここは隠蔽のスキルを使わせてもらって入ることは可能かも知れない。
最後の問題は、神獣の封印が直ぐ解けるとは限らないということだ。
このことを考慮すると、神獣の近くにテレポートポイントを設定したいが、隠蔽を使ってしまうとその日は他のスキルが使えず、テレポートポイントを設定することができない。
日が変わるタイミングを狙うのも有りだが、時刻がわからないし、スキル使用がリセットされるタイミングも不明だ。
こう考えると、かなり困難な状況に在るのがわかる。
これまでが、順調過ぎたのかも知れない。
これがゲームなら、取ってないキーアイテムがあるとか、経験値が足りなくて必要なスキルを取得してないとかいう感じかな?
今更だが、ステータスにはレベルや経験値的なものがない。
もしかしたら、見えないだけで、隠しパラメータ的に存在しているのかも知れないが……。
「主、独りで考え込まずに、皆に話してみたらどうだ?」
「えっ?」
セルリアとベッドに入ると、セルリアが言って来た。
「まあ、これはルナから言えと頼まれたんだがな……。」
「ルナから?」
僕がずっと考え込んでいたから、ルナが心配したんだろう。
申し訳なかったな。
「そうするよ。ありがとう。」
「うむ。まあ、我は伝えただけだがな。それより、今は我と楽しむことだけ考えてくれ。」
「わ、わかった。そうするよ。」
~~~
昨夜は、セルリアにせがまれて、大分頑張ってしまった。
そういえば、今日はクレアが来ないな。
皆の所に行き、エラスの神獣について僕が考えていることを話した。
「ゴリ押しするのは、どうかしら?」
そう言ったのは、クレアだ。
「それはちょっと……。僕が、エラスの誰かと交戦することになる可能性も高いし。」
「マスターは、戦闘向きじゃないものね。」
それは、僕が望んだからではあるけど……。
「クレアの言う通り、僕のスキルは攻撃手段がない。ダメージは受けないけど、状態異常は無効化できない。」
現に、エレンさんのブレスで麻痺してしまった。
今のところ、耐性があるのは魅了だけだ。
「私がいれば、状態異常は解除できるけどね。」
「確かに、クレアのキュアが有れば状態異常は怖くないけど、エラスにクレアを連れて行ける可能性は低いからね。僕も一日一度だけなら使えるけど、それは最終手段だし。」
「スキルが足りないのなら、従魔を増やせば良いんじゃない?」
ルナがそう言ってくれたが、確かにそうだ。
「確かに、その手はあるね。ただ、闇雲に従魔にしてたら埒が空かないから、どういうスキルがあったら良いかは考える必要があるね。」
「夜一緒に寝る番も、なかなか回って来なくなるしね。」
横からクレアがそう言ったが、従魔と夜一緒に寝ることは確定なのだろうか……。
やはり、あのペンダントは通信具で、音声が常時その人の所に届く様になっていたらしい。
「その人というのは、アランさんといわない?」
「えっ!?どうして、それを?」
「家を監視してるソニック・クロウが居るよね。アランさんの従魔の。」
「それも気付いてたんですか。」
「気付いたのは、ついこの前だけどね。それで、その鳥の名前とドゥフディという名前に共通点があるからもしかしてと思ったんだ。」
「そうだったんですか。」
「それで、ドゥフディさんは、どうしてアランという人に従ってるの?」
「もうかなり前のことになるのですが、ある日私の群れが虎の魔物に襲われそうになった時に、アランさんが助けてくれたんです。私が、彼にお礼がしたいと伝えたところ、彼は自分の手伝いをして欲しいということだったので、それから手伝いを始めました。ちなみに、この時、彼にドゥフディという名前を付けてもらい、冒険者登録もしてもらいました。」
「なるほど。でも、もう十分お礼はできたんじゃない?」
「私もそれは思ってますけど、なかなか言い出せなくて。」
「それは、そうかもね。」
「アランさんは、元々お礼なんか要らないって言ってたので、私が言えば解放してくれるとは思うのですが……。」
「他人の僕が口を出すことじゃないと思うけど、気乗りしない僕の監視とかするより、群れの皆のところに帰った方が良いんじゃないのかな……。」
「……。」
「まあ、聞きたいこと聞いたし、寝ようか。」
「は、はい。」
「あ、ベッドで一緒に寝ても大丈夫?嫌なら、僕は下で寝るけど。」
「嫌じゃないです!そのー、私を抱かないんですか?」
「えっ!?抱いて良いの?」
お言葉に甘えて、ドゥフディさんを後ろから抱いた。
これは、予想以上に毛並みが気持ち良い!安眠できそうだ。
「あのー、ユウマさん?」
「ドゥフディさん、おやすみ。」
「いや、そうじゃなくてですね……。」
あれ、抱き方がいけなかったかな?まあ、嫌がっている感じじゃあないし良いか。
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「ユウマ、おはよう。」
「おはよう、レモン。今日は、クレアじゃないんだね。」
「クレアは、エルミナさんと話してたわ。」
「そうなんだ。」
まだ、エルミナは落ち込んでるのかな?
「それに、ドゥフディさんを慰めるのは、私が適任だと思うわよ。」
ん?慰める?適任?
「何の話?」
「ドゥフディさん、残念だったわね。ユウマはこんな感じで無自覚だから、諦めてね。」
「は、はい……。」
「でも、気持ち良かったでしょ?」
「はい!とっても!」
あれ?この二人って、これまで話したこと無かったはずだけど、なぜか急に打ち解けたな。
「ユウマ、おはよう。」
そこへ、ステラがやって来た。
「ステラ、おはよう。どうしたの?」
「ペンダントをお返ししようと思って。」
「ありがとう、出すのはちょっと待ってね。」
「わかった。」
「ところで、ドゥフディさん、これからどうするか決めたの?」
「はい。アランと話をして、群れに戻してもらいます。」
「そう。頑張ってね。」
「ユウマさんのお陰で、決心が付きました。ありがとうございました。」
「じゃあ、準備ができたら、リーソンに向かおうか。」
ステラにペンダントを出してもらい、僕はドゥフディさんの頚に掛けた。
テレポートしたら、直ぐにリーソンに向かうので、ドゥフディさんにはあらかじめ人化して服を着てもらうことにした。
その間に、ミノンに念話で連絡を取っておこう。
ちなみに、ミノンは昨日のうちに、ステラがテレポートで魔鳥の林に送っている。ドゥフディさんと会わせないようにするためだ。
『ミノン、おはよう。今、大丈夫?』
『ユウマさん、おはようございます。大丈夫です。』
『少ししたら、そっちに向かうから、隠れて待機しといてもらえるかな?』
『わかりました。』
ミノンとの念話を切るとすぐに、ドゥフディさんが戻って来た。
「お待たせしました。」
「じゃあ、行こうか。ステラ、お願いね。」
「任せて。」
「ドゥフディさんを送ったら、一旦戻ってくるから、他の皆は待っててね。」
『ミノン、いる?』
『います。』
魔鳥の林にテレポートしたので、ミノンがいるか確認する。
『申し訳ないけど、この人をしばらく見張ってて。ないと思うけど、もしこの人が危なくなったら助けてあげて。』
『わかりました。』
『お願いね。時々念話繋ぐから。』
~~~
『ミノン、何度も申し訳ないけど、どんな感じ?』
さっき念話繋いだら、ドゥフディさんが森に入って行くところということだったので、少し時間を置いて念話を繋いだ。
遠隔念話は便利だけど、こちらからしか繋げないのが難点だな。
『ちょうど、仲間と合流できたところです。』
『もう大丈夫かな。テレポートポイントまで迎えに行くから、林に戻ってもらえるかな?』
『わかりました。』
ドゥフディさんの件が片付いた様なので、魔鳥の林にミノンを迎えに行った。
「ミノン、お疲れ様。よくやってくれたね。」
「いえ。ユウマさんのお役に立てて良かったです!」
「別行動させて、ごめんね。ドゥフディさんについて聞きたいから、家に戻ろうか。」
家に帰って、ミノンに話を聞いた。
「ちょっと聞きそびれた所も有りましたが、彼女の要望がすんなり通ったみたいでした。」
「それは良かった。聞きそびれたのは、僕が割り込んじゃったからだね。」
一度、アランさんとドゥフディさんが会話している途中に念話を繋いでしまった時があった。
「そ、それは……。」
「僕のせいだから、気にしなくて良いよ。他に、気付いたことはある?」
「ユウマさんのことを話してましたね。監視に気付いてたとかどうとか。」
「そうか……。」
それを知ったアランさんは、どう出るだろうか。
「話ししてたのは、それくらいですね。後は、直ぐに仲間と合流しに行きました。」
「ありがとう、ミノン。」
ギルドにカード更新と従魔登録しにいかないといけないが、それは明日にして、今日はセルリアと飛行訓練を行うことにした。
このところバタバタでできなかったのもあるが、昨日ドゥフディさんの割り込みでセルリアをお預け状態にしてしまったのが最大の理由だ。
飛行訓練といいつつ、もうかなり慣れたので、訓練と呼ぶのは違和感がある。
セルリアに乗るのは、馬に乗る様にはいかない。
馬は乗り手の扶助で動くが、セルリアは扶助ではなく彼女の意思で動いてる。
馬でも、例えば何かに驚いて勝手な動きをしたりすると、乗り手は付いていくのが大変だ。
乗馬の経験が浅い者だったら、振り落とされることもある。
しかし、経験を積むと、その様な時でもついて行ける様になる。
同じ様に、セルリアに乗り始めた頃は、少し方向を変えただけでも必死でしがみついていたものだが、今では旋回しても無意識にそれに合わせることができている。
急旋回をされなければ、振り落とされることはないだろう。
そんな感じなので、セルリアに乗りながら、ついつい考え事をしてしまっていた。
考えていたのは、エラスの神獣についてどうするかについてだ。
「主、物足りないならアクロバット飛行でもやろうか?」
「それは勘弁して!」
「なら、よそ事を考えずにしっかり乗っておけ。」
「ご、ごめん。」
セルリアに注意されてしまった。
僕は反省して、乗ることに集中した。
~~~
今日は独りで風呂に入る日だったので、考えるには最適だ。
僕はエラスの神獣について、改めて考えた。
神獣が封印されている場所は、かなり西の方だと考えられるが、わかっているのはそれくらいだ。
そもそも、エラスは入ることが厳しい。
空から、封印されている場所を探すという手もあるが、エラスは空からの侵入にも対応していそうだ。
試してみて捕まっりしたらしゃれにならない。
無事に入ることができたとして、次に、封印された場所が見付けられるのかという問題がある。
見付けたとすると、今度はどうやってそこに入るかだ。
封印の場所は、恐らくこれまでと同じようにドームの中だろう。
しかも、警備されていると思われる。
ただ、ここは隠蔽のスキルを使わせてもらって入ることは可能かも知れない。
最後の問題は、神獣の封印が直ぐ解けるとは限らないということだ。
このことを考慮すると、神獣の近くにテレポートポイントを設定したいが、隠蔽を使ってしまうとその日は他のスキルが使えず、テレポートポイントを設定することができない。
日が変わるタイミングを狙うのも有りだが、時刻がわからないし、スキル使用がリセットされるタイミングも不明だ。
こう考えると、かなり困難な状況に在るのがわかる。
これまでが、順調過ぎたのかも知れない。
これがゲームなら、取ってないキーアイテムがあるとか、経験値が足りなくて必要なスキルを取得してないとかいう感じかな?
今更だが、ステータスにはレベルや経験値的なものがない。
もしかしたら、見えないだけで、隠しパラメータ的に存在しているのかも知れないが……。
「主、独りで考え込まずに、皆に話してみたらどうだ?」
「えっ?」
セルリアとベッドに入ると、セルリアが言って来た。
「まあ、これはルナから言えと頼まれたんだがな……。」
「ルナから?」
僕がずっと考え込んでいたから、ルナが心配したんだろう。
申し訳なかったな。
「そうするよ。ありがとう。」
「うむ。まあ、我は伝えただけだがな。それより、今は我と楽しむことだけ考えてくれ。」
「わ、わかった。そうするよ。」
~~~
昨夜は、セルリアにせがまれて、大分頑張ってしまった。
そういえば、今日はクレアが来ないな。
皆の所に行き、エラスの神獣について僕が考えていることを話した。
「ゴリ押しするのは、どうかしら?」
そう言ったのは、クレアだ。
「それはちょっと……。僕が、エラスの誰かと交戦することになる可能性も高いし。」
「マスターは、戦闘向きじゃないものね。」
それは、僕が望んだからではあるけど……。
「クレアの言う通り、僕のスキルは攻撃手段がない。ダメージは受けないけど、状態異常は無効化できない。」
現に、エレンさんのブレスで麻痺してしまった。
今のところ、耐性があるのは魅了だけだ。
「私がいれば、状態異常は解除できるけどね。」
「確かに、クレアのキュアが有れば状態異常は怖くないけど、エラスにクレアを連れて行ける可能性は低いからね。僕も一日一度だけなら使えるけど、それは最終手段だし。」
「スキルが足りないのなら、従魔を増やせば良いんじゃない?」
ルナがそう言ってくれたが、確かにそうだ。
「確かに、その手はあるね。ただ、闇雲に従魔にしてたら埒が空かないから、どういうスキルがあったら良いかは考える必要があるね。」
「夜一緒に寝る番も、なかなか回って来なくなるしね。」
横からクレアがそう言ったが、従魔と夜一緒に寝ることは確定なのだろうか……。
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