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第4章 大侵略の前兆
42-ドゥフディ
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受付で依頼を受けてから、ドゥフディさんと一緒に家に戻った。
「これが、ユウマさんの家ですか?」
「そうだよ。」
『レモン、僕まだ名前名乗ってないよね。』
『そうね。まあ、ユウマはある意味有名みたいだから、名前を他の人から聞いた可能性あるけどね。』
『あまり良い意味ではないけどね……。』
「ドゥフディさん、元の姿に戻ってもらえる?」
「ここでは、ちょっと……。」
「あ、ごめんね。クレア、彼女を空いてる部屋に案内して欲しいんだけど。」
「わかったわ。」
ドゥフディさんは人間ではないけど、人前で服を脱ぐのは恥ずかしいんだろうな。
元の姿に戻ったドゥフディさんは、凄く美しかった。
体毛の大部分は金色に近い茶色だった(表現力の無さが悔しい!)。そう言えば、人化した時の髪の色がこんな感じだったな。
そして、お腹から尻尾の裏にかけては銀色にも見える白色。
ちなみに、種族の説明にあった通り、角はない
「そんなにじっくり見られると、恥ずかしいです。」
「ごめんごめん。あまりに美しかったものだから……。」
あ、そういえば、さっき何でもするって言ってたよね!
『ユウマ、相変わらずいやらしいわね。』
『も、もちろん、冗談だよ。』
レモンの読心術がこっちにも効いていたみたいだ。危な……いや、本当に変なことするつもりはないからね。
精々、撫でさせてもらう位かな。
『……。』
念話でレモンが何が言いたげなのが伝わって来たが、どういうしくみなのだろうか。
ところで、ドゥフディさんは服を全部脱いでいるにも関わらず、ペンダントだけはしたままだ。あのペンダント怪しいな。
トリートさんの所で扱ってるものと外見は違うが、同じ様な機能を持っているのかも知れない。
~~~
「近くに寄っても良いですか?」
「ど、どうぞ。」
ドゥフディさんは、僕に密着して来た。
ドゥフディさんがドキドキしてるのが伝わって来る。
『レモン。あのペンダント、盗聴機能あるのかな?』
『そんな感じね。』
『ということは、彼女が近くに来たのは、盗聴しやすい様にだろうか。』
『それもあるでしょうけど、それだけじゃないと思うわよ。』
ん?何か別の意味もあるのか……。
ずいぶんドキドキしているが、きっと、盗聴がバレないか不安だからだろう。
彼女の話では、彼女は群れのリーダーをやっているということだった。
仲間が病気になったから、薬草が欲しいが、入手には危険が伴う。
その薬草を採取する依頼が掲示されたので、受ける冒険者を待っていた。
ざっくり、こんな感じだった。
『レモン、今の話はどこまで本当なのかな。』
『多分ほとんど嘘ね。群れのリーダーというのだけは、本当だと思うけど。』
『彼女の狙いはわからない?』
『詳しくはわからないけど、誰かの命令で、ユウマに取り入ろうとしてるみたいね。』
僕に取り入っても、メリットないと思うけど……。
「クレア。病気は回復魔法で治せないの?」
「ヒールで体力を回復するとか、病気が引き起こす状態異常をキュアで治すとかはできるけど、病気を根本的に治すことはできないわ。」
「そうなんだ。じゃあ、ドゥフディさん、依頼の間だけ同行を認めるよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「その代わり、ちょっと撫でさせてくれる?」
「は、はい。」
「あなた、それが目的なのね?」
あ、ルナがジト目で見てる……。
ちょっと後ろめたいが、スルーして、ドゥフディさんを撫でさせてもらおう。
馬より毛足が長く、モフモフ感がある。
ドゥフディさんも、目を細めてるから、気持ち良いのかな?
ヤバい、抱き着きたい!
「うわっ!」
そんなことを考えてたら、ドゥフディさんがしなだれかかって来た。
「ど、どうしたの?」
「ユウマさん、依頼の後も一緒にいさせてもらえませんか?」
『レ、レモン。これ、演技だよね。』
『どうかしら……。』
何その反応。
「でも、ドゥフディさん、群れのリーダーでしょ?」
「そ、そうなんですけど……。」
「取り敢えず、明日は薬草がある場所に案内してもらえるかな?」
「わかりました。私が案内できるのは途中までですが……。」
「それで構わないよ。ところで、今日はどうするの?帰るなら、送るけど。」
「ご迷惑でなければ、泊まらせてもらえますか?」
「何もないけど、それでも良ければ適当な所で寝て良いよ。」
「ありがとうございます。でも、適当な所と言われましても……。」
「独りで寝たければ、さっきクレアが案内した部屋が良いかな。皆と一緒の方が良ければ、それでも良いし。」
「では、皆さんと同じ部屋で寝させていただきます。」
~~~
翌日、午前中はいつも通り乗馬施設へ。
ドゥフディさんは乗馬には興味ないだろうから、家に残ってもらおうと思ったのだが、来たいというので一緒に来てもらった。
きっと、家に残っても居心地悪いのだろう。
街中に入るので、人化してもらったが、僕がドゥフデイさんと一緒にいるのを見て驚く人も多かった。
そう言えば、こっちの世界に来て、女の人と一緒にいることはほぼなかったな。ドゥフデイさんも人ではないけど……。
ルナは昨日と同じ牝馬のレッスンをして、僕はエルミナに乗った。
ルナのレッスンは、かなり長い時間掛けてたので、難航したのかも知れない。
「そっちは、どんな感じ?」
レッスンを終えて戻って来たルナに、聞いてみた。
「馬は大分良い感じになったわ。」
「随分時間掛かってたけど。」
「そろそろクールダウン入ろうかと思ったところで、乗り手の人が自分の指導もしてくれと言って来たのよ。私は人の指導は専門外だからと言ったんだけど、少しで良いからと言われて……。仕方ないから、少ししてあげたの。」
「そうなんだ。」
それって、どうなんだろう。ベルタスさんに聞いてみるか……。
「すみません、彼女には後で言っておきます。」
ベルタスさんにルナの話を伝えたら、ベルタスさんが謝ってくれた。
「お願いします。」
「ルナさん、また同じ様なことがあったら、断ってすぐに私に言ってくださいね。」
「わかったわ。」
「ルナでなく、僕に指導を頼まれたらどうしますか?」
「その場合も、私に言ってください。その上で、必要なら私から改めてお願いします。」
「わかりました。」
~~~
午後から、リーソンの依頼である薬草採取に向かった。
ステラとドゥフディさん以外、どうしようか迷ったが、ドゥフディさんに何かあった場合を考えて、クレアに来てもらった。
僕は、またステラに乗せてもらっている。いつも、申し訳ないな。
そういえば、クレアは最近ほとんど外に出てないが、運動不足とかならないんだろうか。
ちなみに、目的の森は、ドゥフディさんの普段の行動範囲内らしい。
「この森は食料となる木の実等も多いですが、その分魔物も多いです。薬草がある奥の方はかなり危険なので、私たちは普段そこまで行くことはしません。」
「そうなんだ。」
草食系を魔物が集まるから、それを狙って肉食系の魔物が居着いている訳か。
森の中には、人が通ることができる道があった。
ドゥフディさんによると、浅い所は冒険者が木の実採取のためよく訪れるということだった。
しばらくすると、道らしき道は無くなり、動物か魔物が歩いた跡……いわゆる獣道だけになった。
クレアとステラがいるため、魔物は寄って来ないが、普通の冒険者では危険な場所なのだろう。
「すみません。私も来たのはこの辺りまでなので、この先はわかりません。」
「そうなんだ。でも、助かったよ。取り敢えず、先に進んでみよう。いざとなれば、ステラにテレポートしてもらえば良いし。」
少し歩くと、赤い実を付けている木が有った。実の大きさは、小さめのリンゴ位だ。
「あれは、マジカル・チェリーですね。」
「マジカル・チェリー?」
================
【マジカル・チェリー】
魔力の豊富な場所に群生する樹木。
実はそのまま食べることも可能だが、魔力回復ドリンクとして使用することが多い。
================
あれ?群生するとなっているけど、1本しかないな。
「あの実は、ギルドでも買い取ってくれますよ。希少なので、良い値で売れます。」
「そうなの?ちなみに、この実からマナ・ポーションも作れるの?」
「私も詳しくないんですが、マナ・ポーションはいくつかの材料を元に調合したもので、この実はこれだけでドリンクを作るみたいです。マナ・ポーションの方が効果が高いんですが、この実から作ったドリンクは美味しくて人気があるんです。」
「それは、皆欲しがるよね。」
効果が高いけど不味い薬より、効果は低いけど美味しい薬の方が飲みたくなるようなものだな。
マナ・ポーションは飲んだことないけど、多分かなり不味いんだろう。
「実をもらっても平気かな?」
「少しなら大丈夫と思います。」
じゃあ、2個だけもらっておこう。
更に進むと、少し開けた場所に、魔物らしき者がいた。
モフモフだが、見た感じドラゴンだ。基本白色だが虹色に輝いている様にも見える不思議な毛色だ。
側には相当数のマジカル・チェリーの木が有り、それぞれ実を付けていた。
さっきの木は、おそらくここの木の種が運ばれて生えたのだろう。
そして、その先に薬草を発見した。形からして、竜香草で間違いないと思う。
魔物は寝ている様だが、ドゥフディさんは怯えている。
ただ、クレアとステラはそんな様子はないから、恐らく危険はないと思う。
ギルドに報告しないといけないから、種族名だけ確認させてもらおう。
================
種族:レインボー・ファー・ドラゴン
年齢:824歳
性別:♀
能力値:▼
スキル:▼
================
================
【レインボー・ファー・ドラゴン】
柔らかな被毛を持つ上位ドラゴン。
草食で、穏やかな性格。
寿命は平均5000年位。
================
わかりやすい種族名だな。
「誰なのです?」
ドラゴンさんが、こちらに気付いて声を掛けてきたので、ステラから降りて近付いた。
「冒険者のユウマといいます。お邪魔して済みません。」
「何の用なのです?」
何か言葉に違和感を感じるな。
「薬草を少し採らせてもらおうと思うのですが、通らせてもらえませんか。」
「だめなのです。ここは居心地良いから、動きたくないなのです。」
語尾が気になるんだけど……。
「わかりました。一旦帰ります。」
「え!?交渉とかしないなのです?」
何かドラゴンさんが慌てている気がするが、なぜだろうか。
「あなたがいることを、ギルドに報告しないといけないですし、また改めて来ます。あ、ここにテレポートポイント設定して良いですか?」
「ま、まあ、良いなのです。」
「ありがとうございます。ステラ、お願いね。」
「……。」
ドラゴンさん、何か言いたそうだけど……。
リーソンのギルドに戻り、やよいさんにドラゴンさんのことを報告した。
「その種族は、聞いたことないですね。」
「そうなんですか?」
「はい。で、そのドラゴンのことは、任せます。」
「任せるって……。」
「聞いた感じ人に危害を加えることはなさそうだから放っておいても問題ないでしょうし、必要なら倒しても……って、ユウマさんはそんなことしないでしょうね。まあ、どうしても通してもらえないなら、薬草は諦めます。」
「そうですね。敵対はしたくないですからね。交渉の余地はありそうだったので、なんとかなるかも知れません。」
自分から交渉しないのかとか言って来たくらいだからな。
「とにかく、任せますね。」
ギルドマスターがこんな感じで、大丈夫なんだろうか。
「あ、そうだ。マジカル・チェリーの実も有りましたので、2個採って来ました。」
「あら、珍しいですね。受付で売ってもらえますか?」
「はい。そのつもりです。」
「できたら、もう4~5個採って来てもらえないでしょうか。追加報酬も乗せますので……。」
「わかりました。ドラゴンがいた場所には結構実がなっていたので、可能なら採って来ます。」
「これが、ユウマさんの家ですか?」
「そうだよ。」
『レモン、僕まだ名前名乗ってないよね。』
『そうね。まあ、ユウマはある意味有名みたいだから、名前を他の人から聞いた可能性あるけどね。』
『あまり良い意味ではないけどね……。』
「ドゥフディさん、元の姿に戻ってもらえる?」
「ここでは、ちょっと……。」
「あ、ごめんね。クレア、彼女を空いてる部屋に案内して欲しいんだけど。」
「わかったわ。」
ドゥフディさんは人間ではないけど、人前で服を脱ぐのは恥ずかしいんだろうな。
元の姿に戻ったドゥフディさんは、凄く美しかった。
体毛の大部分は金色に近い茶色だった(表現力の無さが悔しい!)。そう言えば、人化した時の髪の色がこんな感じだったな。
そして、お腹から尻尾の裏にかけては銀色にも見える白色。
ちなみに、種族の説明にあった通り、角はない
「そんなにじっくり見られると、恥ずかしいです。」
「ごめんごめん。あまりに美しかったものだから……。」
あ、そういえば、さっき何でもするって言ってたよね!
『ユウマ、相変わらずいやらしいわね。』
『も、もちろん、冗談だよ。』
レモンの読心術がこっちにも効いていたみたいだ。危な……いや、本当に変なことするつもりはないからね。
精々、撫でさせてもらう位かな。
『……。』
念話でレモンが何が言いたげなのが伝わって来たが、どういうしくみなのだろうか。
ところで、ドゥフディさんは服を全部脱いでいるにも関わらず、ペンダントだけはしたままだ。あのペンダント怪しいな。
トリートさんの所で扱ってるものと外見は違うが、同じ様な機能を持っているのかも知れない。
~~~
「近くに寄っても良いですか?」
「ど、どうぞ。」
ドゥフディさんは、僕に密着して来た。
ドゥフディさんがドキドキしてるのが伝わって来る。
『レモン。あのペンダント、盗聴機能あるのかな?』
『そんな感じね。』
『ということは、彼女が近くに来たのは、盗聴しやすい様にだろうか。』
『それもあるでしょうけど、それだけじゃないと思うわよ。』
ん?何か別の意味もあるのか……。
ずいぶんドキドキしているが、きっと、盗聴がバレないか不安だからだろう。
彼女の話では、彼女は群れのリーダーをやっているということだった。
仲間が病気になったから、薬草が欲しいが、入手には危険が伴う。
その薬草を採取する依頼が掲示されたので、受ける冒険者を待っていた。
ざっくり、こんな感じだった。
『レモン、今の話はどこまで本当なのかな。』
『多分ほとんど嘘ね。群れのリーダーというのだけは、本当だと思うけど。』
『彼女の狙いはわからない?』
『詳しくはわからないけど、誰かの命令で、ユウマに取り入ろうとしてるみたいね。』
僕に取り入っても、メリットないと思うけど……。
「クレア。病気は回復魔法で治せないの?」
「ヒールで体力を回復するとか、病気が引き起こす状態異常をキュアで治すとかはできるけど、病気を根本的に治すことはできないわ。」
「そうなんだ。じゃあ、ドゥフディさん、依頼の間だけ同行を認めるよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「その代わり、ちょっと撫でさせてくれる?」
「は、はい。」
「あなた、それが目的なのね?」
あ、ルナがジト目で見てる……。
ちょっと後ろめたいが、スルーして、ドゥフディさんを撫でさせてもらおう。
馬より毛足が長く、モフモフ感がある。
ドゥフディさんも、目を細めてるから、気持ち良いのかな?
ヤバい、抱き着きたい!
「うわっ!」
そんなことを考えてたら、ドゥフディさんがしなだれかかって来た。
「ど、どうしたの?」
「ユウマさん、依頼の後も一緒にいさせてもらえませんか?」
『レ、レモン。これ、演技だよね。』
『どうかしら……。』
何その反応。
「でも、ドゥフディさん、群れのリーダーでしょ?」
「そ、そうなんですけど……。」
「取り敢えず、明日は薬草がある場所に案内してもらえるかな?」
「わかりました。私が案内できるのは途中までですが……。」
「それで構わないよ。ところで、今日はどうするの?帰るなら、送るけど。」
「ご迷惑でなければ、泊まらせてもらえますか?」
「何もないけど、それでも良ければ適当な所で寝て良いよ。」
「ありがとうございます。でも、適当な所と言われましても……。」
「独りで寝たければ、さっきクレアが案内した部屋が良いかな。皆と一緒の方が良ければ、それでも良いし。」
「では、皆さんと同じ部屋で寝させていただきます。」
~~~
翌日、午前中はいつも通り乗馬施設へ。
ドゥフディさんは乗馬には興味ないだろうから、家に残ってもらおうと思ったのだが、来たいというので一緒に来てもらった。
きっと、家に残っても居心地悪いのだろう。
街中に入るので、人化してもらったが、僕がドゥフデイさんと一緒にいるのを見て驚く人も多かった。
そう言えば、こっちの世界に来て、女の人と一緒にいることはほぼなかったな。ドゥフデイさんも人ではないけど……。
ルナは昨日と同じ牝馬のレッスンをして、僕はエルミナに乗った。
ルナのレッスンは、かなり長い時間掛けてたので、難航したのかも知れない。
「そっちは、どんな感じ?」
レッスンを終えて戻って来たルナに、聞いてみた。
「馬は大分良い感じになったわ。」
「随分時間掛かってたけど。」
「そろそろクールダウン入ろうかと思ったところで、乗り手の人が自分の指導もしてくれと言って来たのよ。私は人の指導は専門外だからと言ったんだけど、少しで良いからと言われて……。仕方ないから、少ししてあげたの。」
「そうなんだ。」
それって、どうなんだろう。ベルタスさんに聞いてみるか……。
「すみません、彼女には後で言っておきます。」
ベルタスさんにルナの話を伝えたら、ベルタスさんが謝ってくれた。
「お願いします。」
「ルナさん、また同じ様なことがあったら、断ってすぐに私に言ってくださいね。」
「わかったわ。」
「ルナでなく、僕に指導を頼まれたらどうしますか?」
「その場合も、私に言ってください。その上で、必要なら私から改めてお願いします。」
「わかりました。」
~~~
午後から、リーソンの依頼である薬草採取に向かった。
ステラとドゥフディさん以外、どうしようか迷ったが、ドゥフディさんに何かあった場合を考えて、クレアに来てもらった。
僕は、またステラに乗せてもらっている。いつも、申し訳ないな。
そういえば、クレアは最近ほとんど外に出てないが、運動不足とかならないんだろうか。
ちなみに、目的の森は、ドゥフディさんの普段の行動範囲内らしい。
「この森は食料となる木の実等も多いですが、その分魔物も多いです。薬草がある奥の方はかなり危険なので、私たちは普段そこまで行くことはしません。」
「そうなんだ。」
草食系を魔物が集まるから、それを狙って肉食系の魔物が居着いている訳か。
森の中には、人が通ることができる道があった。
ドゥフディさんによると、浅い所は冒険者が木の実採取のためよく訪れるということだった。
しばらくすると、道らしき道は無くなり、動物か魔物が歩いた跡……いわゆる獣道だけになった。
クレアとステラがいるため、魔物は寄って来ないが、普通の冒険者では危険な場所なのだろう。
「すみません。私も来たのはこの辺りまでなので、この先はわかりません。」
「そうなんだ。でも、助かったよ。取り敢えず、先に進んでみよう。いざとなれば、ステラにテレポートしてもらえば良いし。」
少し歩くと、赤い実を付けている木が有った。実の大きさは、小さめのリンゴ位だ。
「あれは、マジカル・チェリーですね。」
「マジカル・チェリー?」
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【マジカル・チェリー】
魔力の豊富な場所に群生する樹木。
実はそのまま食べることも可能だが、魔力回復ドリンクとして使用することが多い。
================
あれ?群生するとなっているけど、1本しかないな。
「あの実は、ギルドでも買い取ってくれますよ。希少なので、良い値で売れます。」
「そうなの?ちなみに、この実からマナ・ポーションも作れるの?」
「私も詳しくないんですが、マナ・ポーションはいくつかの材料を元に調合したもので、この実はこれだけでドリンクを作るみたいです。マナ・ポーションの方が効果が高いんですが、この実から作ったドリンクは美味しくて人気があるんです。」
「それは、皆欲しがるよね。」
効果が高いけど不味い薬より、効果は低いけど美味しい薬の方が飲みたくなるようなものだな。
マナ・ポーションは飲んだことないけど、多分かなり不味いんだろう。
「実をもらっても平気かな?」
「少しなら大丈夫と思います。」
じゃあ、2個だけもらっておこう。
更に進むと、少し開けた場所に、魔物らしき者がいた。
モフモフだが、見た感じドラゴンだ。基本白色だが虹色に輝いている様にも見える不思議な毛色だ。
側には相当数のマジカル・チェリーの木が有り、それぞれ実を付けていた。
さっきの木は、おそらくここの木の種が運ばれて生えたのだろう。
そして、その先に薬草を発見した。形からして、竜香草で間違いないと思う。
魔物は寝ている様だが、ドゥフディさんは怯えている。
ただ、クレアとステラはそんな様子はないから、恐らく危険はないと思う。
ギルドに報告しないといけないから、種族名だけ確認させてもらおう。
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種族:レインボー・ファー・ドラゴン
年齢:824歳
性別:♀
能力値:▼
スキル:▼
================
================
【レインボー・ファー・ドラゴン】
柔らかな被毛を持つ上位ドラゴン。
草食で、穏やかな性格。
寿命は平均5000年位。
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わかりやすい種族名だな。
「誰なのです?」
ドラゴンさんが、こちらに気付いて声を掛けてきたので、ステラから降りて近付いた。
「冒険者のユウマといいます。お邪魔して済みません。」
「何の用なのです?」
何か言葉に違和感を感じるな。
「薬草を少し採らせてもらおうと思うのですが、通らせてもらえませんか。」
「だめなのです。ここは居心地良いから、動きたくないなのです。」
語尾が気になるんだけど……。
「わかりました。一旦帰ります。」
「え!?交渉とかしないなのです?」
何かドラゴンさんが慌てている気がするが、なぜだろうか。
「あなたがいることを、ギルドに報告しないといけないですし、また改めて来ます。あ、ここにテレポートポイント設定して良いですか?」
「ま、まあ、良いなのです。」
「ありがとうございます。ステラ、お願いね。」
「……。」
ドラゴンさん、何か言いたそうだけど……。
リーソンのギルドに戻り、やよいさんにドラゴンさんのことを報告した。
「その種族は、聞いたことないですね。」
「そうなんですか?」
「はい。で、そのドラゴンのことは、任せます。」
「任せるって……。」
「聞いた感じ人に危害を加えることはなさそうだから放っておいても問題ないでしょうし、必要なら倒しても……って、ユウマさんはそんなことしないでしょうね。まあ、どうしても通してもらえないなら、薬草は諦めます。」
「そうですね。敵対はしたくないですからね。交渉の余地はありそうだったので、なんとかなるかも知れません。」
自分から交渉しないのかとか言って来たくらいだからな。
「とにかく、任せますね。」
ギルドマスターがこんな感じで、大丈夫なんだろうか。
「あ、そうだ。マジカル・チェリーの実も有りましたので、2個採って来ました。」
「あら、珍しいですね。受付で売ってもらえますか?」
「はい。そのつもりです。」
「できたら、もう4~5個採って来てもらえないでしょうか。追加報酬も乗せますので……。」
「わかりました。ドラゴンがいた場所には結構実がなっていたので、可能なら採って来ます。」
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