36 / 94
第3章 平和な日常
27-クレア母の昔話
しおりを挟む
「マスター、おはよう。」
「クレア、おはよう。どうしたの?」
翌朝、起きると既にクレアがいた。
「夕べは、何もなかったみたいね。」
「それをわざわざチェックしに来たの?」
「エルミナ、残念だったわね。」
「何がですか?私はユウマさんと一緒に寝ることができて嬉しかったです。」
エルミナは、特に期待していた訳ではないようで、ほっとした。もし誘われていたら、危なかった気がする。
「ところで、マスター。お母さんの所には今日行く?」
「そうだね。行くなら早い方が良いよね。」
「そうね。」
お義母さんの所には、午前中に行くことになった。
午後からだとセルリアが文句を言いそうなので、朝ギルド寄った後、乗馬を休みにして行くことにしたのだ。
行くのはクレアと、テレポートするためステラが一緒だが、他のメンバーは留守番してもらっている。
ステラ、いつも申し訳ないな。
「お義母さん、おはようございます。」
「ユウマ、おはよう。早速子作りに来たのか?」
「違います。」
お義母さん、相変わらずだな。
「今日はお母さんにお願いが有って来たの。」
「そうか。ところで、ユウマがお前に乗ってるのは見たことないけど、乗せたこと有るのか?」
「ないわ。ユニコーンは処女以外乗せてはいけないんでしょ?」
「そんなことはない。確かに種族の特性で、処女かどうかはわかるが、乗せるのは処女である必要はない。」
「そうなの?」
クレア、どこから間違った情報仕入れたんだろう。まあ、多分前の主からだろうけど。
「お前が乗せないなら、私がユウマを乗せよう。」
「えっ?」
お義母さんは、僕にお尻を向けたと思ったら、腰を落として尻尾を上げた。これって……。
「さあ、乗ってくれ。」
「それ、乗るの意味が違いますよね?」
「お母さん、それがやりたかったのね……。」
クレアも呆れている。
お義母さんは、体勢を戻して、こちらを向いた。
「ダメか……。それで、お願いとはなんだ?」
「私の角を少し売るということになったんだけど……あ、もちろん、私から言い出したことよ。お母さんの角の方が高く売れるだろうから、できれば少しもらえないかなと思ったの。」
「失礼なことをお願いしてすみません。」
「成る程……。」
お義母さんは目を瞑り、何か考えているようだった。
しばらくして、お義母さんは目を開けて、クレアに向かって言った。
「私はユウマと二人で話がしたいから、お前は少し外してくれないか?」
「えっ!?マスターに変なことしないでよ!」
「大丈夫だ。心配するな。」
「信用できないんだけど……。」
クレアは、そう言いつつも、お義母さんの結界から出ていった。
「これから言うことは、娘には言っていない。娘に伝えるかどうかは、ユウマの判断に任せる。」
「わかりました。」
「こっちに来てくれ。」
「はい。」
お義母さんに着いて行くと、二つの石が置いてあり、お義母さんはその前で止まった。
「これは、両親の墓だ。」
「……。」
「私の母ももちろんユニコーンだが、父は勇者だったらしい。」
「ええっ!」
お義母さんはかなり高齢なはずだ。
そんな前から、勇者がいたのか!
「これは母から聞いた話だが……。母は、父に負けて従魔になった。最初は単なる主と従魔の関係だったが、そのうちお互い異性として意識し始め、遂には結婚するに至った。」
「……。」
「母が妊娠したとわかった父は、勇者を引退して穏やかに暮らそうと考えていたらしい。しかし、タイミング悪く、異世界からの侵略が始まり、父と母は戦闘に駆り出された。」
「……。」
やはり、そのときの勇者も、異世界からの侵略に対抗するための存在なんだな。
「侵略は防ぐことができたが、父は魔法では回復できないほど負傷し、ここで力尽きたということだ。」
「そんなことが……。」
「母はここに父の墓を作り、ずっとここを守ってきた。母も消耗が激しかったようで、まだ若かったにも関わらず、父を追うように亡くなってしまった。
母は亡くなる前に、この話を私にしてくれた。私は、その意志を引き継いで、この場を守っている。」
「そうだったんですね。」
僕は、お墓に向い、目を瞑って手を合わせた。
「ユウマと娘の関係を見て、父と母も似たような関係だったのだろうと思ったのだ。」
「……。」
「私は娘に、私の跡を継いでここを守って欲しいと思っていた。娘は、それに反発したのだと思う。」
「……。」
「もう、私のわがままを娘に押し付けるのはやめようと思う。ユウマ、改めて娘のことを頼む。」
「もちろん、クレアのことは大事にします!」
お義母さんは頷いて、言葉を続けた。
「角の件は問題ない。要るときに来ると良い。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
「私ももう長くないからな。私が死ぬまで待っていても良いが、生きているうちの方が、角よ質が良いだろう。」
「そんな……。クレアのためにも、まだまだ長生きしてください。」
「それは……。いや、そうだな。」
お義母さんは、言い掛けた言葉を飲み込んで、そう言った。
待てよ……。もう長くないということは、ユニコーンの平均寿命である3000年位生きているということだ。
つまり、何度も異世界からの侵略を経験しているのではないだろうか?
「お義母さん、ちょっと聞きたいんですが。」
「ん?何だ?」
「お義母さん自身は、先程言われたような異世界からの侵略は何度も経験したのですか?」
「ここに侵略者が現れたのは、この前話した娘が生まれる前の1回だけだ。」
それまでも、恐らく異世界からの侵略があったはずだ。
だとすると、ここまで影響が及んだその時は、何かがいつもと違っていたということになる。
「その時は、大丈夫だったんですか?」
「そんなに多くはなかったし、奴らは結界の中には入って来れなかったから、問題なかった。」
「さすが、お義母さん!」
「ふん!我を誰だと思っているのだ。」
うーん……、表情が読めない。
犬系と違って嬉しさが尻尾に現れたりもしないからな。
「ところで、お義母さん。折角来たので、甘えさせてもらって良いですか?」
「もちろん。乳も吸っても構わないが。」
「それは遠慮しときます。」
その後、しばらくお義母さんに抱き付かせてもらった。
お義母さんと別れて、外に出ると、クレアが話し掛けてきた。
「マスター何かされなかった?」
「何もされなかったよ。話をしただけ。あと、角もくれるって。」
抱き付かせてもらったことは、わざわざ言わなくても良いだろう。
「それは良かったわ。」
~~~
「今日は暑いね。」
「そうだな。」
午前中はそうでもなかったが、午後から暑くなった。
8月は1年で一番暑い月らしいが、日本の夏に比べると大した暑さではないと思っていた。
しかし、今日はそこそこ暑くなった。もちろん、猛暑日には程遠いが。
セルリアに、ついついそのことを話したら、彼女も同意してくれた。
彼女は暑さに弱そうだしな。
「あ、そうだ。セルリア、タルト迄氷を売りに行かない?」
「良いぞ。往復するのに十分時間があるからな。主の訓練にもちょうど良いだろう。」
「ありがとう。お願いね。」
このところあまり暑さを感じなかったので、氷のことはすっかり忘れていた。
「じゃあ、飛ばすぞ。しっかり捕まっとけよ。」
昨日よりかなり速く飛んだと思われるが、必死でしがみつく程ではなかった。
タルトまで掛かった時間は、体感で30分位。ということは、思ったより、スピードが出ていたのだろう。
「セルリア、ありがとう。今のでどれくらい?」
「昨日と比べると倍位だな。今の3倍迄は行けるが、あまり速く飛ぶと我にも負担が掛かる。主が耐えられないと思うから、上げられるのはもう少しだな。」
「そうなんだ。」
恐らく、物理的な問題だろうな。
「なので、今の速度で慣れたら、旋回や上昇下降等をやっていこうと思う。」
「わ、わかった。」
うわー。酔いそう。
タルトの前に降りると、クラルさんがやって来た。
「クラルさん、こんにちは。」
「やはり、ユウマさんでしたか。ドラゴンが近付いて来てると聞いて警戒してたのですが、水色なので恐らくユウマさんだろうと……。」
「お騒がせして、すみません。突然思い付いたので、連絡できませんでした。」
「いつもテレポートで来られてるようなので、ドラゴンに乗って来られるとは思いませんでした。」
「本当にすみませんでした。」
「それで、今日はどうされたんですか?」
「はい。今日は暑いので、氷が要るかなと思いまして。」
「おぉ、それはありがたい!確かに今日は買っていく人が多く、不足気味になってたんですよ。」
「それなら、来た甲斐が有りましたね。」
お騒がせしただけだと、申し訳無さ過ぎる。
ギルドの冷凍庫には、戦闘訓練の時見たタンクが5個並んでいた。
「3つ空になっているので、この前のようにお願いできますか?」
「セルリア、お願いできる?」
「任せておけ。」
相変わらず、豪快に氷を割るセルリア。
「ありがとうございました。代金は、受付で受け取ってください。」
「わかりました。こちらこそ、ありがとうございました。」
代金は120Gだった。これも預けることができるということなので、預けることにした。
「折角来たから、依頼見ていくか。」
ここの依頼見たことないから、どんな依頼が多いか調べるのも悪くないと思う。
依頼は、低ランク限定の採取系が多かった。討伐は無い。勝手な想像だが、ここでは軍隊も討伐を行っているのだろう。
気になる依頼はなかったので、ギルドを出ようとすると……。
「ユウマさん、ちょっと待ってください。」
「クラルさん、どうしました?」
「受ける人がいないし、緊急性もないので、掲示をやめた依頼がありまして……。期限はないので受けてもらえればありがたいのですが。」
「どんな依頼ですか?」
「これです。」
================
件名:薬用朱菊の採取
推奨ランク:B
報酬:10,000G
ポイント:1,500
内容:薬用朱菊を10本採取する。本数が少ない場合や状態が悪い場合、報酬を減額する。また、10本を超えて採取しても報酬の追加はない。
================
「どうして受ける人がいないんでしょう。」
「その場所が問題でして……。」
またか!
「山に囲まれていて、辿り着く迄が大変なんです。他の所にはまだ見付かってなくて。」
「成る程。空から行ける僕には簡単だろうということですか。」
「すみません。」
「いえ。期限がないなら、受けましょう。場所を教えてください。」
場所は、タルトの北東に有るようだ。その方向に山はあまり無く、空からだと簡単にわかるだろうということだった。
今日はあまり余裕無くなったから、明日にでも場所を特定しておこう。
「クレア、おはよう。どうしたの?」
翌朝、起きると既にクレアがいた。
「夕べは、何もなかったみたいね。」
「それをわざわざチェックしに来たの?」
「エルミナ、残念だったわね。」
「何がですか?私はユウマさんと一緒に寝ることができて嬉しかったです。」
エルミナは、特に期待していた訳ではないようで、ほっとした。もし誘われていたら、危なかった気がする。
「ところで、マスター。お母さんの所には今日行く?」
「そうだね。行くなら早い方が良いよね。」
「そうね。」
お義母さんの所には、午前中に行くことになった。
午後からだとセルリアが文句を言いそうなので、朝ギルド寄った後、乗馬を休みにして行くことにしたのだ。
行くのはクレアと、テレポートするためステラが一緒だが、他のメンバーは留守番してもらっている。
ステラ、いつも申し訳ないな。
「お義母さん、おはようございます。」
「ユウマ、おはよう。早速子作りに来たのか?」
「違います。」
お義母さん、相変わらずだな。
「今日はお母さんにお願いが有って来たの。」
「そうか。ところで、ユウマがお前に乗ってるのは見たことないけど、乗せたこと有るのか?」
「ないわ。ユニコーンは処女以外乗せてはいけないんでしょ?」
「そんなことはない。確かに種族の特性で、処女かどうかはわかるが、乗せるのは処女である必要はない。」
「そうなの?」
クレア、どこから間違った情報仕入れたんだろう。まあ、多分前の主からだろうけど。
「お前が乗せないなら、私がユウマを乗せよう。」
「えっ?」
お義母さんは、僕にお尻を向けたと思ったら、腰を落として尻尾を上げた。これって……。
「さあ、乗ってくれ。」
「それ、乗るの意味が違いますよね?」
「お母さん、それがやりたかったのね……。」
クレアも呆れている。
お義母さんは、体勢を戻して、こちらを向いた。
「ダメか……。それで、お願いとはなんだ?」
「私の角を少し売るということになったんだけど……あ、もちろん、私から言い出したことよ。お母さんの角の方が高く売れるだろうから、できれば少しもらえないかなと思ったの。」
「失礼なことをお願いしてすみません。」
「成る程……。」
お義母さんは目を瞑り、何か考えているようだった。
しばらくして、お義母さんは目を開けて、クレアに向かって言った。
「私はユウマと二人で話がしたいから、お前は少し外してくれないか?」
「えっ!?マスターに変なことしないでよ!」
「大丈夫だ。心配するな。」
「信用できないんだけど……。」
クレアは、そう言いつつも、お義母さんの結界から出ていった。
「これから言うことは、娘には言っていない。娘に伝えるかどうかは、ユウマの判断に任せる。」
「わかりました。」
「こっちに来てくれ。」
「はい。」
お義母さんに着いて行くと、二つの石が置いてあり、お義母さんはその前で止まった。
「これは、両親の墓だ。」
「……。」
「私の母ももちろんユニコーンだが、父は勇者だったらしい。」
「ええっ!」
お義母さんはかなり高齢なはずだ。
そんな前から、勇者がいたのか!
「これは母から聞いた話だが……。母は、父に負けて従魔になった。最初は単なる主と従魔の関係だったが、そのうちお互い異性として意識し始め、遂には結婚するに至った。」
「……。」
「母が妊娠したとわかった父は、勇者を引退して穏やかに暮らそうと考えていたらしい。しかし、タイミング悪く、異世界からの侵略が始まり、父と母は戦闘に駆り出された。」
「……。」
やはり、そのときの勇者も、異世界からの侵略に対抗するための存在なんだな。
「侵略は防ぐことができたが、父は魔法では回復できないほど負傷し、ここで力尽きたということだ。」
「そんなことが……。」
「母はここに父の墓を作り、ずっとここを守ってきた。母も消耗が激しかったようで、まだ若かったにも関わらず、父を追うように亡くなってしまった。
母は亡くなる前に、この話を私にしてくれた。私は、その意志を引き継いで、この場を守っている。」
「そうだったんですね。」
僕は、お墓に向い、目を瞑って手を合わせた。
「ユウマと娘の関係を見て、父と母も似たような関係だったのだろうと思ったのだ。」
「……。」
「私は娘に、私の跡を継いでここを守って欲しいと思っていた。娘は、それに反発したのだと思う。」
「……。」
「もう、私のわがままを娘に押し付けるのはやめようと思う。ユウマ、改めて娘のことを頼む。」
「もちろん、クレアのことは大事にします!」
お義母さんは頷いて、言葉を続けた。
「角の件は問題ない。要るときに来ると良い。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
「私ももう長くないからな。私が死ぬまで待っていても良いが、生きているうちの方が、角よ質が良いだろう。」
「そんな……。クレアのためにも、まだまだ長生きしてください。」
「それは……。いや、そうだな。」
お義母さんは、言い掛けた言葉を飲み込んで、そう言った。
待てよ……。もう長くないということは、ユニコーンの平均寿命である3000年位生きているということだ。
つまり、何度も異世界からの侵略を経験しているのではないだろうか?
「お義母さん、ちょっと聞きたいんですが。」
「ん?何だ?」
「お義母さん自身は、先程言われたような異世界からの侵略は何度も経験したのですか?」
「ここに侵略者が現れたのは、この前話した娘が生まれる前の1回だけだ。」
それまでも、恐らく異世界からの侵略があったはずだ。
だとすると、ここまで影響が及んだその時は、何かがいつもと違っていたということになる。
「その時は、大丈夫だったんですか?」
「そんなに多くはなかったし、奴らは結界の中には入って来れなかったから、問題なかった。」
「さすが、お義母さん!」
「ふん!我を誰だと思っているのだ。」
うーん……、表情が読めない。
犬系と違って嬉しさが尻尾に現れたりもしないからな。
「ところで、お義母さん。折角来たので、甘えさせてもらって良いですか?」
「もちろん。乳も吸っても構わないが。」
「それは遠慮しときます。」
その後、しばらくお義母さんに抱き付かせてもらった。
お義母さんと別れて、外に出ると、クレアが話し掛けてきた。
「マスター何かされなかった?」
「何もされなかったよ。話をしただけ。あと、角もくれるって。」
抱き付かせてもらったことは、わざわざ言わなくても良いだろう。
「それは良かったわ。」
~~~
「今日は暑いね。」
「そうだな。」
午前中はそうでもなかったが、午後から暑くなった。
8月は1年で一番暑い月らしいが、日本の夏に比べると大した暑さではないと思っていた。
しかし、今日はそこそこ暑くなった。もちろん、猛暑日には程遠いが。
セルリアに、ついついそのことを話したら、彼女も同意してくれた。
彼女は暑さに弱そうだしな。
「あ、そうだ。セルリア、タルト迄氷を売りに行かない?」
「良いぞ。往復するのに十分時間があるからな。主の訓練にもちょうど良いだろう。」
「ありがとう。お願いね。」
このところあまり暑さを感じなかったので、氷のことはすっかり忘れていた。
「じゃあ、飛ばすぞ。しっかり捕まっとけよ。」
昨日よりかなり速く飛んだと思われるが、必死でしがみつく程ではなかった。
タルトまで掛かった時間は、体感で30分位。ということは、思ったより、スピードが出ていたのだろう。
「セルリア、ありがとう。今のでどれくらい?」
「昨日と比べると倍位だな。今の3倍迄は行けるが、あまり速く飛ぶと我にも負担が掛かる。主が耐えられないと思うから、上げられるのはもう少しだな。」
「そうなんだ。」
恐らく、物理的な問題だろうな。
「なので、今の速度で慣れたら、旋回や上昇下降等をやっていこうと思う。」
「わ、わかった。」
うわー。酔いそう。
タルトの前に降りると、クラルさんがやって来た。
「クラルさん、こんにちは。」
「やはり、ユウマさんでしたか。ドラゴンが近付いて来てると聞いて警戒してたのですが、水色なので恐らくユウマさんだろうと……。」
「お騒がせして、すみません。突然思い付いたので、連絡できませんでした。」
「いつもテレポートで来られてるようなので、ドラゴンに乗って来られるとは思いませんでした。」
「本当にすみませんでした。」
「それで、今日はどうされたんですか?」
「はい。今日は暑いので、氷が要るかなと思いまして。」
「おぉ、それはありがたい!確かに今日は買っていく人が多く、不足気味になってたんですよ。」
「それなら、来た甲斐が有りましたね。」
お騒がせしただけだと、申し訳無さ過ぎる。
ギルドの冷凍庫には、戦闘訓練の時見たタンクが5個並んでいた。
「3つ空になっているので、この前のようにお願いできますか?」
「セルリア、お願いできる?」
「任せておけ。」
相変わらず、豪快に氷を割るセルリア。
「ありがとうございました。代金は、受付で受け取ってください。」
「わかりました。こちらこそ、ありがとうございました。」
代金は120Gだった。これも預けることができるということなので、預けることにした。
「折角来たから、依頼見ていくか。」
ここの依頼見たことないから、どんな依頼が多いか調べるのも悪くないと思う。
依頼は、低ランク限定の採取系が多かった。討伐は無い。勝手な想像だが、ここでは軍隊も討伐を行っているのだろう。
気になる依頼はなかったので、ギルドを出ようとすると……。
「ユウマさん、ちょっと待ってください。」
「クラルさん、どうしました?」
「受ける人がいないし、緊急性もないので、掲示をやめた依頼がありまして……。期限はないので受けてもらえればありがたいのですが。」
「どんな依頼ですか?」
「これです。」
================
件名:薬用朱菊の採取
推奨ランク:B
報酬:10,000G
ポイント:1,500
内容:薬用朱菊を10本採取する。本数が少ない場合や状態が悪い場合、報酬を減額する。また、10本を超えて採取しても報酬の追加はない。
================
「どうして受ける人がいないんでしょう。」
「その場所が問題でして……。」
またか!
「山に囲まれていて、辿り着く迄が大変なんです。他の所にはまだ見付かってなくて。」
「成る程。空から行ける僕には簡単だろうということですか。」
「すみません。」
「いえ。期限がないなら、受けましょう。場所を教えてください。」
場所は、タルトの北東に有るようだ。その方向に山はあまり無く、空からだと簡単にわかるだろうということだった。
今日はあまり余裕無くなったから、明日にでも場所を特定しておこう。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

糸と蜘蛛
犬若丸
ファンタジー
瑠璃が見る夢はいつも同じ。地獄の風景であった。それを除けば彼女は一般的な女子高生だった。
止まない雨が続くある日のこと、誤って階段から落ちた瑠璃。目が覚めると夢で見ていた地獄に立っていた。
男は独り地獄を彷徨っていた。その男に記憶はなく、名前も自分が誰なのかさえ覚えていなかった。鬼から逃げる日々を繰り返すある日のこと、男は地獄に落ちた瑠璃と出会う。
地獄に落ちた女子高生と地獄に住む男、生と死の境界線が交差し、止まっていた時間が再び動き出す。
「カクヨム」にも投稿してます。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!

異世界から来た馬
ひろうま
ファンタジー
ユウマの子であるアイリスは優秀な乗り手を求めて、家出を繰り返していた。
ある日、勇者送還の場に遭遇したアイリスは、それに乗じて現在日本に転移し、そこで一人の青年と出会う。
※本作品は、「異世界でも馬とともに」の続編になります。
※本作品は、某サイトで公開していた作品の転載となります(一部、言い回しの修正や加筆あり)。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる