異世界でも馬とともに

ひろうま

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第2章 神獣の解放

13-ブルードラゴン

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えっ、何?頭の中に声が響いたような……。
振り返って見ると、ドラゴンを包んでいたものが薄らいでいた。
一体、何が起こってるの?
遂にドラゴンを包んでいたものはすっかり無くなり、丸まっていたドラゴンは立ち上がってこちらを向いた。
「やっぱり、可愛いな。」

================
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 20,000/3,000,000
MP 22,000/3,500,000
能力値:
 力:SSS
 体力:SS
 知力:SSS
 精神力:SS
 素早さ:S
スキル:水魔法、氷魔法、ブレス(氷)、飛行、小型化、念話
加護:獣神の寵愛
================

================
【念話】(アクティブ)
相手の脳内に直接話し掛けることができる。
使用している間、念話スキルを持たない相手でも、念話で返答することが可能となる。

【獣神の寵愛】
・半神化し、実質的な寿命が無くなるとともに、他人に加護を与えることができるようになる。
・念話スキルが使用可能となる。
================

念話来た!さっきのがそうだろう。他のスキルは大体わかるので、とりあえず確認は置いておく。
能力値無茶苦茶高いな。しかも、バランスが取れている。
だけど、封印されていたからか、最大値の割合だとHPとMPが低くなってるな。と言っても、値だけみたら充分高いけど。
『封印を解いたのはお主か?』
「いや、覚えないんだけど……。」
『お主の力を試させてもらう!』
全然聞いてないし!コイツも戦闘狂か?
「みんな、避難して!」
「わかったわ。」
ルナたちは、急いで離れて木の陰に隠れた。
『先ずは、小手調べといこうか。』
ドラゴンがそう言った瞬間、氷の矢が無数に降ってきた。
いや、これ、小手調べのレベルじゃないだろう。

================
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 20,000/3,000,000
MP 17,000/3,500,000
能力値:▼
スキル:▼
加護:▼
================

今のでMPを5,000も消費たようだ。クレアたちが魔法撃ち合って減ったMPを遥かに越えてるな。
それにしても、このドラゴン、残りMP把握してるのかな?
『フム。さすが封印を解いた者だけのことはある。これくらいじゃあ、なんともないか。では、全力で行こう。』
「えっ?そんなことしたら……。」
ドラゴンが溜めに入った。恐らくブレスだろう。溜めの時間は隙がある気がするし、実戦ではあまり使えないのではないだろうか?
ドラゴンの口から氷のブレスが吐かれ始めた……と思ったら、ドラゴンが倒れた。

================
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
状態異常:気絶
HP 20,000/3,000,000
MP 0/3,500,000
能力値:▼
スキル:▼
加護:▼
================

やはり、魔力切れだった。
そうなるんじゃないかと思ったよ。このドラゴン、見掛けによらずドジだな。
「このドラゴン、急にどうしたのかしら?」
「魔力切れみたいだね。」
ドラゴンが倒れたので、ステラが様子を見に来たらしい。
ステラは、ルナとクレアを呼んだ。
「このドラゴンどうするの?」
「放置するわけにもいかないし、気が付くまで待つしかないだろうね。」

そろそろ10分くらい経ったかなと思った時、ドラゴンが目を覚ました。
「あ、気付いた。大丈夫?」
あるじ!』
「主!?」
立ち上がって、頭を下げるドラゴン。
思わず声に出してしまった。
『我は主に負けたため、主の僕しもべとなる……いや、なります。』
「いやいや、ドラゴンさんが勝手に倒れただけだからね。」
『我と従魔契約を結べ……いや、結んで下さい!』
「相変わらず、人の話し聞かないな!というか、ドラゴンさん、無理して丁寧な話し方しなくて良いよ?」
『申し訳ない。』
「ところで、ドラゴンさん、小さくなれるよね?見上げるの辛いんだけど。」
『はっ!我としたことが……。』
ドラゴンは、そう言うと僕とほぼ同じ大きさになった。若干頭身が下がったみたいだ。
「一段と可愛くなったな。」
『可愛いなんて、そんな……。』
「確かに、この大きさだと、可愛くないこともないわね。」
ドラゴンがモジモジしている。可愛いすぎる!
ルナも、ドラゴンの可愛さをわかったようだ。
「ちなみに、僕やルナは普通に話しても通じるから、念話でなくて良いよ。なんか気持ち悪いし。」
「そうか?どうだ、伝わってるか?」
「大丈夫だよ。」
「これは楽だな。というわけで、従魔契約をしてくれないか?」
「神獣が人の従魔になっても問題ないの?」
「神獣といっても、魔獣であるから問題ない。」
「なんか答えがずれてる気もするけど……。ちなみに、僕は従魔契約できるスキルないから、したいならそちらからどうぞ。」
「む?そこにいる小娘たちは、従魔ではないのか?」
「小娘って……。ここにいるユニコーンとバイコーンも自分から従魔になったんだ。直接聞いてみたら?あ、彼女たちには念話じゃないと通じないと思うよ。」
しばらく、ステラが対応してくれた。ドラゴンは念話を使っていると思われるが、やはり念話は対象者以外に聞こえないみたいだな。
あれ?ドラゴンが、恥ずかしそうにしてるけど、もしかして……。
「じゃあ、主行くぞ。」
やっぱり、キスするのね。
≪従魔契約が成立しました。≫
無事、契約が成立したようだ。名前着けないとな。
「名前は、ドラ子で良い?」
「いや、それはちょっと……。」
なぜか、ダメらしい。すごく合っていると思うんだけど……。
しばらく考えて、セルリアに決めた。
彼女の青色が、僕のイメージする『セルリアンブルー』だったからだ(正式に合っているかは不明だが)。

「セルリア、よろしくね。」
それから、セルリアに、改めてルナたちを紹介した。

従魔契約と名前の確認のため、ステータスを見てみた。

================
名前:ユウマ
種族:ハイ・ヒューマン
性別:♂
年齢:35歳
HP:1,200/1,200
MP:-
能力値:▼
スキル:閲覧、MP消費防御、翻訳、念話
加護:調停者の加護、獣神の加護、馬女神の加護、神竜の加護
妻:ルナ、ステラ
従魔:クレア(ユニコーン)、ステラ(バイコーン)、セルリア(ブルードラゴン)
================

================
名前:セルリア
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 20,000/3,000,000
MP 100/3,500,000
能力値:▼
スキル:水魔法、氷魔法、ブレス(氷)、飛行、小型化、念話
加護:獣神の加護
契約主:ユウマ
================

大丈夫のようだ。
ところで、念話スキルが僕にも付いているが、加護の効果かな?

================
【神竜の加護】
加護による効果は、次の通り。
・竜系の魔物から好意を寄せられやすくなる。
・念話スキルが使用可能となる。
================

正解だったみたいだ。もう一つの効果って役に立つことあるのかな?
「色々話しを聞きたいけど、ここではなんだから家に戻るか。あれ?セルリアは、ここを離れても大丈夫なの?」
「大丈夫だろう。そもそも、封印されてただけだし。」
「あ、そうだ。家に行くんなら、従魔登録しないとね。」
ステラにねぐらまでテレポートしてもらい、ギルドに向かった。

ギルド入ったら、いつも以上に注目を浴びた。
小さくなってもらっているとはいえ、ドラゴンセルリアを連れているから、仕方がないな。
「ユウマさん、ギルドマスターがお呼びです。」
「はい。」
ノアさんが、受付から声を掛けて来た。ボルムさんに気付かれたようだ。
また、職員さんと一緒にボルムさんの所に行った。
「ボルムさん、ご無沙汰してます。」
「ユウマ、色々やらかしてるようだな。」
「やらかしてますか?」
ボルムさんが、秘書さんに外すように言った。
恐らく、セルリアのステータスを見たためだろう。
「先ずはそのドラゴンのことだ。この部屋に結界を張ったので、聞かれることはない。」
「このドラゴンは、ドラ……じゃなかった、セルリアといいます。ボルムさんはわかっているとは思いますが、東の方に封印されていた神獣です。なぜか封印が解けたようで、僕の従魔になりました。」
「今、ドラ子って言いかけたか?」
「相変わらず、ユウマの話しはブッ飛んでるな。」
「すみません、僕もよくわかってなくて。この後、ドラ子……じゃなかった、セルリアに話を聞こうと思ってたんです。」
「今度は、ドラ子って言った!」
「では、この場で話を聞いてもらっても良いかな?」
「では、ボルムさんが質問してください。僕が通訳します。」
「……。」
「すまんな。それで頼む。」
「セルリア……あれ?どうかした?」
セルリアを見ると、ちょっとむくれている気がした。
「主が……いや、何でもない。」
「そう?悪いんだけど、今からいくつか質問するから答えてね。」
「……わかった。」

ボルムさんとセルリアのやり取りをまとめると、こんな感じだ。
・神獣を封印したのは獣神である。
・封印の理由は、神獣全員がかなり疲弊しており、回復する期間が必要だったため(なぜ疲弊していたかは記憶がないらしい)。
・封印が解けた理由は不明だが、獣神の意思ではなく、他の要因によると考えられる。

「しかし、伝説の神獣を、この目で見るとは思わなかったな。ところで、ユウマはなぜこのドラゴンが封印されている場所がわかったんだ?」
「それは……。」
僕は、話して良いかどうか迷ったが、すべて話すことにした。異世界から転移してきたこと。神獣の封印を解く使命を与えられたこと、等々。
ボルムさんなら、信用できると思ったからだ。
「成る程。ある意味、勇者候補よりも重い使命を与えられている訳だな。」
「勇者候補の使命は何なんですか?」
「簡単に言えば強くなることだ。勇者は、単独で軍隊よりも強いことが求められる。勇者の最大の任務は、異世界からの侵略者の迎撃だ。」
「侵略者?」
「そうだ。たまに、異世界からのこの世界を侵略しに来る者がいる。それが、この世界にとって、最もの驚異なんだ。」
「そうなんですか。」
勇者は魔王と戦うんじゃないんだな。

やっと家に帰ることができた。
もう、お風呂入って、寝るだけだな。ちなみに、今日はステラが一緒に寝るらしい。
「あ、セルリアは、お湯駄目だよね?」
「お湯を掛けられてもタメージは受けないが、できれば避けたい。」
セルリアだけ残して皆で風呂に入るのも悪いので、今日一緒に寝るステラと二人で入ることになった。他のみんなには、クレアがクリーンをかけた。

ステラと二人きりで風呂に入るのは初めてなので、ちょっとドキドキした。
二人で湯槽に浸かってると、夫婦という感じがする。ステラもいつもより色っぽく見えるし。

~~~
翌朝、クレアからお願いが有ると言ってきた。
「セルリア師匠に戦闘訓練をしてもらえることになったから、場所を貸してもらいないかしら。」
「えっ?」
「すぐでなくて良いわ。師匠の魔力が回復してからで。」
「そ、そう?……っていうか、師匠?」
ギルドはステラとの模擬戦でも厳しい感じだったけど、大丈夫かなぁ……。
「ボルムさんに聞いてみるよ。」
「ありがとう。あ、そうだ。しばらく、私はマスターと一緒に寝なくて良いから、その分は師匠と一緒に寝てね。」
「ええっ!?」
クレアは僕と一緒に寝るのを楽しみにしてたはずなのに……。
あ、セルリアの魔力回復を優先するのか。
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