異世界でも馬とともに

ひろうま

文字の大きさ
上 下
18 / 94
第2章 神獣の解放

13-ブルードラゴン

しおりを挟む
えっ、何?頭の中に声が響いたような……。
振り返って見ると、ドラゴンを包んでいたものが薄らいでいた。
一体、何が起こってるの?
遂にドラゴンを包んでいたものはすっかり無くなり、丸まっていたドラゴンは立ち上がってこちらを向いた。
「やっぱり、可愛いな。」

================
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 20,000/3,000,000
MP 22,000/3,500,000
能力値:
 力:SSS
 体力:SS
 知力:SSS
 精神力:SS
 素早さ:S
スキル:水魔法、氷魔法、ブレス(氷)、飛行、小型化、念話
加護:獣神の寵愛
================

================
【念話】(アクティブ)
相手の脳内に直接話し掛けることができる。
使用している間、念話スキルを持たない相手でも、念話で返答することが可能となる。

【獣神の寵愛】
・半神化し、実質的な寿命が無くなるとともに、他人に加護を与えることができるようになる。
・念話スキルが使用可能となる。
================

念話来た!さっきのがそうだろう。他のスキルは大体わかるので、とりあえず確認は置いておく。
能力値無茶苦茶高いな。しかも、バランスが取れている。
だけど、封印されていたからか、最大値の割合だとHPとMPが低くなってるな。と言っても、値だけみたら充分高いけど。
『封印を解いたのはお主か?』
「いや、覚えないんだけど……。」
『お主の力を試させてもらう!』
全然聞いてないし!コイツも戦闘狂か?
「みんな、避難して!」
「わかったわ。」
ルナたちは、急いで離れて木の陰に隠れた。
『先ずは、小手調べといこうか。』
ドラゴンがそう言った瞬間、氷の矢が無数に降ってきた。
いや、これ、小手調べのレベルじゃないだろう。

================
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 20,000/3,000,000
MP 17,000/3,500,000
能力値:▼
スキル:▼
加護:▼
================

今のでMPを5,000も消費たようだ。クレアたちが魔法撃ち合って減ったMPを遥かに越えてるな。
それにしても、このドラゴン、残りMP把握してるのかな?
『フム。さすが封印を解いた者だけのことはある。これくらいじゃあ、なんともないか。では、全力で行こう。』
「えっ?そんなことしたら……。」
ドラゴンが溜めに入った。恐らくブレスだろう。溜めの時間は隙がある気がするし、実戦ではあまり使えないのではないだろうか?
ドラゴンの口から氷のブレスが吐かれ始めた……と思ったら、ドラゴンが倒れた。

================
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
状態異常:気絶
HP 20,000/3,000,000
MP 0/3,500,000
能力値:▼
スキル:▼
加護:▼
================

やはり、魔力切れだった。
そうなるんじゃないかと思ったよ。このドラゴン、見掛けによらずドジだな。
「このドラゴン、急にどうしたのかしら?」
「魔力切れみたいだね。」
ドラゴンが倒れたので、ステラが様子を見に来たらしい。
ステラは、ルナとクレアを呼んだ。
「このドラゴンどうするの?」
「放置するわけにもいかないし、気が付くまで待つしかないだろうね。」

そろそろ10分くらい経ったかなと思った時、ドラゴンが目を覚ました。
「あ、気付いた。大丈夫?」
あるじ!』
「主!?」
立ち上がって、頭を下げるドラゴン。
思わず声に出してしまった。
『我は主に負けたため、主の僕しもべとなる……いや、なります。』
「いやいや、ドラゴンさんが勝手に倒れただけだからね。」
『我と従魔契約を結べ……いや、結んで下さい!』
「相変わらず、人の話し聞かないな!というか、ドラゴンさん、無理して丁寧な話し方しなくて良いよ?」
『申し訳ない。』
「ところで、ドラゴンさん、小さくなれるよね?見上げるの辛いんだけど。」
『はっ!我としたことが……。』
ドラゴンは、そう言うと僕とほぼ同じ大きさになった。若干頭身が下がったみたいだ。
「一段と可愛くなったな。」
『可愛いなんて、そんな……。』
「確かに、この大きさだと、可愛くないこともないわね。」
ドラゴンがモジモジしている。可愛いすぎる!
ルナも、ドラゴンの可愛さをわかったようだ。
「ちなみに、僕やルナは普通に話しても通じるから、念話でなくて良いよ。なんか気持ち悪いし。」
「そうか?どうだ、伝わってるか?」
「大丈夫だよ。」
「これは楽だな。というわけで、従魔契約をしてくれないか?」
「神獣が人の従魔になっても問題ないの?」
「神獣といっても、魔獣であるから問題ない。」
「なんか答えがずれてる気もするけど……。ちなみに、僕は従魔契約できるスキルないから、したいならそちらからどうぞ。」
「む?そこにいる小娘たちは、従魔ではないのか?」
「小娘って……。ここにいるユニコーンとバイコーンも自分から従魔になったんだ。直接聞いてみたら?あ、彼女たちには念話じゃないと通じないと思うよ。」
しばらく、ステラが対応してくれた。ドラゴンは念話を使っていると思われるが、やはり念話は対象者以外に聞こえないみたいだな。
あれ?ドラゴンが、恥ずかしそうにしてるけど、もしかして……。
「じゃあ、主行くぞ。」
やっぱり、キスするのね。
≪従魔契約が成立しました。≫
無事、契約が成立したようだ。名前着けないとな。
「名前は、ドラ子で良い?」
「いや、それはちょっと……。」
なぜか、ダメらしい。すごく合っていると思うんだけど……。
しばらく考えて、セルリアに決めた。
彼女の青色が、僕のイメージする『セルリアンブルー』だったからだ(正式に合っているかは不明だが)。

「セルリア、よろしくね。」
それから、セルリアに、改めてルナたちを紹介した。

従魔契約と名前の確認のため、ステータスを見てみた。

================
名前:ユウマ
種族:ハイ・ヒューマン
性別:♂
年齢:35歳
HP:1,200/1,200
MP:-
能力値:▼
スキル:閲覧、MP消費防御、翻訳、念話
加護:調停者の加護、獣神の加護、馬女神の加護、神竜の加護
妻:ルナ、ステラ
従魔:クレア(ユニコーン)、ステラ(バイコーン)、セルリア(ブルードラゴン)
================

================
名前:セルリア
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 20,000/3,000,000
MP 100/3,500,000
能力値:▼
スキル:水魔法、氷魔法、ブレス(氷)、飛行、小型化、念話
加護:獣神の加護
契約主:ユウマ
================

大丈夫のようだ。
ところで、念話スキルが僕にも付いているが、加護の効果かな?

================
【神竜の加護】
加護による効果は、次の通り。
・竜系の魔物から好意を寄せられやすくなる。
・念話スキルが使用可能となる。
================

正解だったみたいだ。もう一つの効果って役に立つことあるのかな?
「色々話しを聞きたいけど、ここではなんだから家に戻るか。あれ?セルリアは、ここを離れても大丈夫なの?」
「大丈夫だろう。そもそも、封印されてただけだし。」
「あ、そうだ。家に行くんなら、従魔登録しないとね。」
ステラにねぐらまでテレポートしてもらい、ギルドに向かった。

ギルド入ったら、いつも以上に注目を浴びた。
小さくなってもらっているとはいえ、ドラゴンセルリアを連れているから、仕方がないな。
「ユウマさん、ギルドマスターがお呼びです。」
「はい。」
ノアさんが、受付から声を掛けて来た。ボルムさんに気付かれたようだ。
また、職員さんと一緒にボルムさんの所に行った。
「ボルムさん、ご無沙汰してます。」
「ユウマ、色々やらかしてるようだな。」
「やらかしてますか?」
ボルムさんが、秘書さんに外すように言った。
恐らく、セルリアのステータスを見たためだろう。
「先ずはそのドラゴンのことだ。この部屋に結界を張ったので、聞かれることはない。」
「このドラゴンは、ドラ……じゃなかった、セルリアといいます。ボルムさんはわかっているとは思いますが、東の方に封印されていた神獣です。なぜか封印が解けたようで、僕の従魔になりました。」
「今、ドラ子って言いかけたか?」
「相変わらず、ユウマの話しはブッ飛んでるな。」
「すみません、僕もよくわかってなくて。この後、ドラ子……じゃなかった、セルリアに話を聞こうと思ってたんです。」
「今度は、ドラ子って言った!」
「では、この場で話を聞いてもらっても良いかな?」
「では、ボルムさんが質問してください。僕が通訳します。」
「……。」
「すまんな。それで頼む。」
「セルリア……あれ?どうかした?」
セルリアを見ると、ちょっとむくれている気がした。
「主が……いや、何でもない。」
「そう?悪いんだけど、今からいくつか質問するから答えてね。」
「……わかった。」

ボルムさんとセルリアのやり取りをまとめると、こんな感じだ。
・神獣を封印したのは獣神である。
・封印の理由は、神獣全員がかなり疲弊しており、回復する期間が必要だったため(なぜ疲弊していたかは記憶がないらしい)。
・封印が解けた理由は不明だが、獣神の意思ではなく、他の要因によると考えられる。

「しかし、伝説の神獣を、この目で見るとは思わなかったな。ところで、ユウマはなぜこのドラゴンが封印されている場所がわかったんだ?」
「それは……。」
僕は、話して良いかどうか迷ったが、すべて話すことにした。異世界から転移してきたこと。神獣の封印を解く使命を与えられたこと、等々。
ボルムさんなら、信用できると思ったからだ。
「成る程。ある意味、勇者候補よりも重い使命を与えられている訳だな。」
「勇者候補の使命は何なんですか?」
「簡単に言えば強くなることだ。勇者は、単独で軍隊よりも強いことが求められる。勇者の最大の任務は、異世界からの侵略者の迎撃だ。」
「侵略者?」
「そうだ。たまに、異世界からのこの世界を侵略しに来る者がいる。それが、この世界にとって、最もの驚異なんだ。」
「そうなんですか。」
勇者は魔王と戦うんじゃないんだな。

やっと家に帰ることができた。
もう、お風呂入って、寝るだけだな。ちなみに、今日はステラが一緒に寝るらしい。
「あ、セルリアは、お湯駄目だよね?」
「お湯を掛けられてもタメージは受けないが、できれば避けたい。」
セルリアだけ残して皆で風呂に入るのも悪いので、今日一緒に寝るステラと二人で入ることになった。他のみんなには、クレアがクリーンをかけた。

ステラと二人きりで風呂に入るのは初めてなので、ちょっとドキドキした。
二人で湯槽に浸かってると、夫婦という感じがする。ステラもいつもより色っぽく見えるし。

~~~
翌朝、クレアからお願いが有ると言ってきた。
「セルリア師匠に戦闘訓練をしてもらえることになったから、場所を貸してもらいないかしら。」
「えっ?」
「すぐでなくて良いわ。師匠の魔力が回復してからで。」
「そ、そう?……っていうか、師匠?」
ギルドはステラとの模擬戦でも厳しい感じだったけど、大丈夫かなぁ……。
「ボルムさんに聞いてみるよ。」
「ありがとう。あ、そうだ。しばらく、私はマスターと一緒に寝なくて良いから、その分は師匠と一緒に寝てね。」
「ええっ!?」
クレアは僕と一緒に寝るのを楽しみにしてたはずなのに……。
あ、セルリアの魔力回復を優先するのか。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

異世界から来た馬

ひろうま
ファンタジー
ユウマの子であるアイリスは優秀な乗り手を求めて、家出を繰り返していた。 ある日、勇者送還の場に遭遇したアイリスは、それに乗じて現在日本に転移し、そこで一人の青年と出会う。 ※本作品は、「異世界でも馬とともに」の続編になります。 ※本作品は、某サイトで公開していた作品の転載となります(一部、言い回しの修正や加筆あり)。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...