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第四章
3.小野原の裏切り
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瑠奈は、吉田を追いかけるのはあきらめた。
初瑠の名前を言われたことで、心情的にも、肉体的にも、前に出る気力が急激に削がれてしまったのだ。
----どうして?
会社の誰にも、彼女のことを話したことはない。
なにしろ、つい最近まで、自分の記憶からも消えていたくらいだ。
だが、そこで、あることに気づいた。
----そうだ。
----小野原にだけは、話した。
ロマンティックなバーに連れて行かれて、美味しいカクテルに浮ついた気分になって、たしか、自分の過去のことをすこし話した。
その時に、名前も言った気がする。
----ということは、まさか……。
なんだか、視界が狭くなってきたような気がする。
----小野原が、吉田さんに言ったのだろうか。
『共食い』なんて言って、笑っていた顔。
自分のことのように、瑠奈の仕事の成功を祝ってくれた、優しさ。
でも本当はあの裏に、どす黒い、別の感情があったというのか……。
----そうだ。だいたい、まだ吉田さんに未練が残ってるような、そんな風なこと、いつだったか言ってなかったっけ。
----そもそもが、実は吉田のために、情報を瑠奈から引き出すために、急激に距離を縮めてきたのでは……。
そうやって考えれば考えるほど、胸がむかむかしてくる。
そのうえ、狭くなった視界が、今度はぼやけてきているような気もする。
----数少ない、自分が心を許せる相手だと思っていたのに。
----まさか、こんな風に、裏切られるなんて……。
その考えが、まるで雷撃をくらったかのように、脳を痺れさせていた。
身体じゅうを走る悪寒。
それでも、震える足を必死に動かして、なんとか自分の席に戻るが、そこまでが精いっぱいだった。もう、何も手につかない。
そのうち熱も出てきたようなので、伊坂に申し出て、早退することにした。
さっきの話の影響だと思ってくれたのだろう。お人好しの上司は、同情めいた表情を浮かべながら、すぐに受理してくれた。
席に戻ってデスクを片づけていると、向かいの小野原が心配するような視線を送ってきた。だが、瑠奈は目を逸らすしかない。
発作的に小野原を責める言葉を叫び出す前に、とにかく、この場を離れたかった。
荷物をさっさとまとめ、オフィスを出る。
エレベーターを待っていると、ちょうど吉田が戻ってきたのに鉢合わせしてしまった。
すると具合の悪そうな瑠奈を見て、最悪なことに、勝ち誇ったような笑みを浮かべてみせる。
まんまと相手の思うつぼになっていることに腹が立ったが、それを原動力になにかをするにはもう、あまりにも心が疲れていた。
癪には障るが、今はとにかく自己が崩れてしまいそうになっているのを、急いで持ち直さなければならない。
瑠奈は悔しい気持ちを抱えながら、エレベーターに乗り込んだ。
降りているうちに、バッグのなかから、スマートフォンの着信音が響く。
取り出して見てみると、小野原からのメッセージだ。
『大丈夫?』
『あとで、なにか差し入れ持ってこうか?』
その優しい言葉が、今となっては怖い。
瑠奈は返信せず、スマートフォンをバッグのなかに戻した。
知っていた、筈だ。
優しい言葉をかけて油断させ聞き出した話を、後から攻撃の材料として使う人間がいることを。
油断したのが、心を許したのが、愚かだったのだ。
エレベーターを降り、ビルを出る。
バッグから、また着信音が聞こえてくる。
それが耐え難く、瑠奈はおぼつかない手つきで取り出すと、思い切って電源を落とした。
バッグに戻し、追い立てられるような速足で駅へ向かう。
改札を入ったとき、ごったがえす構内の人々の合間から、ガーネットレッドのスカートの裾がからかうように翻ったのが、一瞬、見えた気がした。
重い身体を引きずるような気持ちでなんとかマンションまで帰りつき、瑠奈はベッドに倒れ込んだ。
熱があるとかないとか、頭痛がどうだとか、そんなことは割とどうでもいい。
とにかく、毛穴という毛穴が全部塞がれてしまっているような、自分がまるで硬いプラスチックの人形になってしまったような、そんな感覚に全身が溺れてしまっている。
外からの刺激をなにも受けたくない。その気持ちが、まるでバリアとなって、自分をまるまる包み込んでしまったようだ。
寝転がったまま、床に置いたバッグから、つい習慣でスマートフォンを出し、電源を入れ直した。
とたんに、通知音が何度も響いた。
画面を見ると、小野原からのメッセージが、何通も届いている。
まるで、ストーカーのようだ。そう思いついて、ぞっとした。
その瞬間、今度は通話の着信音が鳴り響き、思わず取り落としてしまった。
表示には、『小野原』の登録名が表示されている。
本当は、出たくなかった。
でもこのまま放っておいたら、また何度も何度も連絡してくるかもしれない。
そのたびに怯えたようになるのは、考えただけでもうんざりする。
だからしかたなく、出ることにした。
「はい」
『あ、関戸さん。具合、大丈夫? 心配で俺も早退しちゃった。今近くのショッピングモールにいるんだ。なんか入り用の物あったら、買って届けに行こうか?』
「あの……。大丈夫、大丈夫だから」
『ホント? 独り暮らしだとさ、具合悪くても、なんでも自分でやらなきゃいけないじゃん。しんどいかな、って思ってさ』
「うん、ありがとう……」
小野原の声はどこまでも優しく、悪意が潜んでいるとはどうしても感じ取れない。
しかも、たしかに今の状態では、瑠奈はなにもする気力がなかった。
頼りたい。
でも、裏切られるのは怖い。
だから、もういっそ、と思い切って、訊いてみることにした。
「あの、小野原さん」
『……なに?』
瑠奈の改まった口調に驚いたのか、小野原は声を潜めた。
「私の姉のこと、誰かに話した? ……初瑠のこと」
『ううん。だって、関戸さん、なんか話しにくそうだったし、プライベートのことだから、黙ってたほうがいいのかな、って思って。ほら、家族って言ったって、色々ある人、けっこう多いじゃん』
声は誠実そのものに聞こえたし、第一こういう細やかなところまで気が回るのが、今まで思っていた通りの小野原らしかった。
となると、やはり、人が隠したがっていたことをべらべら喋って回るとは思えなかった。
「でも、噂が出回ってるらしいの」
『噂?』
「だから姉の名前を使って、ネットで調べたって、吉田さんが……」
ここまで言ったところで、急に電話が切れた。
「もしもし? もしもし?」
呼びかけるが、応答はない。
いったん通話を切って、しばらく待ってみたが、すぐにかけ直してもこない。
こちらからかけてみるが、電波が届かないか電源が落とされているというアナウンスの声が流れるばかりだった。
瑠奈は思わずスマートフォンを床に放り投げた。
たった今まで通話していたのだ。アンテナ状態が悪いわけでも、電源を落としているわけでもない。
つまりは、意図的に切って、その後は無視を決め込んでいるということだ。
----なんてことだ。
----ついさっきまで、そんな男を信じようとしていた自分が、バカみたいだ。
悔しさに涙がにじむ。
そのまま目を閉じ、じっとしていると、また着信音が鳴った。
小野原だ。
無視しようと思ったが、しばらく鳴ったあといったん止み、時間をおいてまた鳴ったので、しかたなく出る。
『ごめん。話してる途中で、急に電源落ちちゃってさ。最近なんか、電池なくなるの速いんだよね。急いで電気屋で充電器買ってきた』
この話を聞いて、急に思い出す。
ストーカー対策について調べたときに、これに似た話がたしかあった。
「あの、それ、いつから?」
『え? ここ一ヶ月……くらいかなあ』
「ねえ、なんか見覚えないアプリが入ってたり、しない?」
『どういうこと?』
「あの、違ったらごめんだけど、前になにかで読んだんだ。彼氏の浮気を疑った女の子が、スマホに勝手にアプリを入れて、ずっと盗聴してたって。電池なくなるのが以上に早くなって、気がついたって」
『と……盗聴?』
小野原の声が、動揺で震えている。
気持ちはわかる。
『た……確かめてみる。一旦切るから』
「うん」
そうだ。
それなら、納得できる。
小野原は話してなくても、バーでの会話を盗聴できた誰かが……というか、『誰か』はたぶん、吉田だろう。
しばらくすると、小野原がまたかけてきた。
『マジだった』
「入ってた?」
『うん。一応、アンインストールしたけど……。電話、買い替えるわ。気持ち悪い』
「うん。そのほうがいいかもね」
『うわー、こんなの、思ってもみなかったわ。俺、こんなんじゃ、今日はそっちに見舞いに行ったりするの、やめたほうがよさそうだな』
「うん。気持ちだけ、ありがとう。明日にはちゃんと出社できると思うから、心配しないで」
『ホント?』
「うん」
『なんか……、あの……、ありがとな。関戸さんが気づいてくれなかったら、俺ずっとこのままだったわ』
「うん」
ずっと盗聴されていた小野原の心情を考えると、気の毒でしかたない。
しかし、瑠奈の気持ちのある一部分は、すこしだけ軽くなった。
やはり、小野原は裏切ったわけではなかった。
本心から心配してくれていたのだ。
感謝すると同時に、たとえ一時でも疑ったのが、こうなると申し訳なくもあった。
初瑠の名前を言われたことで、心情的にも、肉体的にも、前に出る気力が急激に削がれてしまったのだ。
----どうして?
会社の誰にも、彼女のことを話したことはない。
なにしろ、つい最近まで、自分の記憶からも消えていたくらいだ。
だが、そこで、あることに気づいた。
----そうだ。
----小野原にだけは、話した。
ロマンティックなバーに連れて行かれて、美味しいカクテルに浮ついた気分になって、たしか、自分の過去のことをすこし話した。
その時に、名前も言った気がする。
----ということは、まさか……。
なんだか、視界が狭くなってきたような気がする。
----小野原が、吉田さんに言ったのだろうか。
『共食い』なんて言って、笑っていた顔。
自分のことのように、瑠奈の仕事の成功を祝ってくれた、優しさ。
でも本当はあの裏に、どす黒い、別の感情があったというのか……。
----そうだ。だいたい、まだ吉田さんに未練が残ってるような、そんな風なこと、いつだったか言ってなかったっけ。
----そもそもが、実は吉田のために、情報を瑠奈から引き出すために、急激に距離を縮めてきたのでは……。
そうやって考えれば考えるほど、胸がむかむかしてくる。
そのうえ、狭くなった視界が、今度はぼやけてきているような気もする。
----数少ない、自分が心を許せる相手だと思っていたのに。
----まさか、こんな風に、裏切られるなんて……。
その考えが、まるで雷撃をくらったかのように、脳を痺れさせていた。
身体じゅうを走る悪寒。
それでも、震える足を必死に動かして、なんとか自分の席に戻るが、そこまでが精いっぱいだった。もう、何も手につかない。
そのうち熱も出てきたようなので、伊坂に申し出て、早退することにした。
さっきの話の影響だと思ってくれたのだろう。お人好しの上司は、同情めいた表情を浮かべながら、すぐに受理してくれた。
席に戻ってデスクを片づけていると、向かいの小野原が心配するような視線を送ってきた。だが、瑠奈は目を逸らすしかない。
発作的に小野原を責める言葉を叫び出す前に、とにかく、この場を離れたかった。
荷物をさっさとまとめ、オフィスを出る。
エレベーターを待っていると、ちょうど吉田が戻ってきたのに鉢合わせしてしまった。
すると具合の悪そうな瑠奈を見て、最悪なことに、勝ち誇ったような笑みを浮かべてみせる。
まんまと相手の思うつぼになっていることに腹が立ったが、それを原動力になにかをするにはもう、あまりにも心が疲れていた。
癪には障るが、今はとにかく自己が崩れてしまいそうになっているのを、急いで持ち直さなければならない。
瑠奈は悔しい気持ちを抱えながら、エレベーターに乗り込んだ。
降りているうちに、バッグのなかから、スマートフォンの着信音が響く。
取り出して見てみると、小野原からのメッセージだ。
『大丈夫?』
『あとで、なにか差し入れ持ってこうか?』
その優しい言葉が、今となっては怖い。
瑠奈は返信せず、スマートフォンをバッグのなかに戻した。
知っていた、筈だ。
優しい言葉をかけて油断させ聞き出した話を、後から攻撃の材料として使う人間がいることを。
油断したのが、心を許したのが、愚かだったのだ。
エレベーターを降り、ビルを出る。
バッグから、また着信音が聞こえてくる。
それが耐え難く、瑠奈はおぼつかない手つきで取り出すと、思い切って電源を落とした。
バッグに戻し、追い立てられるような速足で駅へ向かう。
改札を入ったとき、ごったがえす構内の人々の合間から、ガーネットレッドのスカートの裾がからかうように翻ったのが、一瞬、見えた気がした。
重い身体を引きずるような気持ちでなんとかマンションまで帰りつき、瑠奈はベッドに倒れ込んだ。
熱があるとかないとか、頭痛がどうだとか、そんなことは割とどうでもいい。
とにかく、毛穴という毛穴が全部塞がれてしまっているような、自分がまるで硬いプラスチックの人形になってしまったような、そんな感覚に全身が溺れてしまっている。
外からの刺激をなにも受けたくない。その気持ちが、まるでバリアとなって、自分をまるまる包み込んでしまったようだ。
寝転がったまま、床に置いたバッグから、つい習慣でスマートフォンを出し、電源を入れ直した。
とたんに、通知音が何度も響いた。
画面を見ると、小野原からのメッセージが、何通も届いている。
まるで、ストーカーのようだ。そう思いついて、ぞっとした。
その瞬間、今度は通話の着信音が鳴り響き、思わず取り落としてしまった。
表示には、『小野原』の登録名が表示されている。
本当は、出たくなかった。
でもこのまま放っておいたら、また何度も何度も連絡してくるかもしれない。
そのたびに怯えたようになるのは、考えただけでもうんざりする。
だからしかたなく、出ることにした。
「はい」
『あ、関戸さん。具合、大丈夫? 心配で俺も早退しちゃった。今近くのショッピングモールにいるんだ。なんか入り用の物あったら、買って届けに行こうか?』
「あの……。大丈夫、大丈夫だから」
『ホント? 独り暮らしだとさ、具合悪くても、なんでも自分でやらなきゃいけないじゃん。しんどいかな、って思ってさ』
「うん、ありがとう……」
小野原の声はどこまでも優しく、悪意が潜んでいるとはどうしても感じ取れない。
しかも、たしかに今の状態では、瑠奈はなにもする気力がなかった。
頼りたい。
でも、裏切られるのは怖い。
だから、もういっそ、と思い切って、訊いてみることにした。
「あの、小野原さん」
『……なに?』
瑠奈の改まった口調に驚いたのか、小野原は声を潜めた。
「私の姉のこと、誰かに話した? ……初瑠のこと」
『ううん。だって、関戸さん、なんか話しにくそうだったし、プライベートのことだから、黙ってたほうがいいのかな、って思って。ほら、家族って言ったって、色々ある人、けっこう多いじゃん』
声は誠実そのものに聞こえたし、第一こういう細やかなところまで気が回るのが、今まで思っていた通りの小野原らしかった。
となると、やはり、人が隠したがっていたことをべらべら喋って回るとは思えなかった。
「でも、噂が出回ってるらしいの」
『噂?』
「だから姉の名前を使って、ネットで調べたって、吉田さんが……」
ここまで言ったところで、急に電話が切れた。
「もしもし? もしもし?」
呼びかけるが、応答はない。
いったん通話を切って、しばらく待ってみたが、すぐにかけ直してもこない。
こちらからかけてみるが、電波が届かないか電源が落とされているというアナウンスの声が流れるばかりだった。
瑠奈は思わずスマートフォンを床に放り投げた。
たった今まで通話していたのだ。アンテナ状態が悪いわけでも、電源を落としているわけでもない。
つまりは、意図的に切って、その後は無視を決め込んでいるということだ。
----なんてことだ。
----ついさっきまで、そんな男を信じようとしていた自分が、バカみたいだ。
悔しさに涙がにじむ。
そのまま目を閉じ、じっとしていると、また着信音が鳴った。
小野原だ。
無視しようと思ったが、しばらく鳴ったあといったん止み、時間をおいてまた鳴ったので、しかたなく出る。
『ごめん。話してる途中で、急に電源落ちちゃってさ。最近なんか、電池なくなるの速いんだよね。急いで電気屋で充電器買ってきた』
この話を聞いて、急に思い出す。
ストーカー対策について調べたときに、これに似た話がたしかあった。
「あの、それ、いつから?」
『え? ここ一ヶ月……くらいかなあ』
「ねえ、なんか見覚えないアプリが入ってたり、しない?」
『どういうこと?』
「あの、違ったらごめんだけど、前になにかで読んだんだ。彼氏の浮気を疑った女の子が、スマホに勝手にアプリを入れて、ずっと盗聴してたって。電池なくなるのが以上に早くなって、気がついたって」
『と……盗聴?』
小野原の声が、動揺で震えている。
気持ちはわかる。
『た……確かめてみる。一旦切るから』
「うん」
そうだ。
それなら、納得できる。
小野原は話してなくても、バーでの会話を盗聴できた誰かが……というか、『誰か』はたぶん、吉田だろう。
しばらくすると、小野原がまたかけてきた。
『マジだった』
「入ってた?」
『うん。一応、アンインストールしたけど……。電話、買い替えるわ。気持ち悪い』
「うん。そのほうがいいかもね」
『うわー、こんなの、思ってもみなかったわ。俺、こんなんじゃ、今日はそっちに見舞いに行ったりするの、やめたほうがよさそうだな』
「うん。気持ちだけ、ありがとう。明日にはちゃんと出社できると思うから、心配しないで」
『ホント?』
「うん」
『なんか……、あの……、ありがとな。関戸さんが気づいてくれなかったら、俺ずっとこのままだったわ』
「うん」
ずっと盗聴されていた小野原の心情を考えると、気の毒でしかたない。
しかし、瑠奈の気持ちのある一部分は、すこしだけ軽くなった。
やはり、小野原は裏切ったわけではなかった。
本心から心配してくれていたのだ。
感謝すると同時に、たとえ一時でも疑ったのが、こうなると申し訳なくもあった。
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