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「ゆびきりげんまん」舞台台本版
第二幕 ③
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実琴 「ねえ。何? アレ?」
イズラ「ん? ああ。あいつら?」
ウリ 「アズとエルだよ。それと、シャインさん。」
イズラ「さっき、説明ン時、話したろ? 死神。」
実琴 「え!? ウソでしょ!?」
ウリ 「ウソじゃないよ~。だってほら、全身黒づくめ。」
実琴 「いや。・・・それはそうだけど・・・。」
実琴、死神達を見た後、天遣2人をしみじみ見る。
ウリ 「? なに?」
実琴 「(ため息)ま、この天使がアリなら、
あーゆー死神がいても納得・・・とゆーか。諦めとゆーか。」
ウリ、イズラ、顔を見合わせて、笑う。実琴、不思議がる。
アズ、エル、飽きたのか、見えない紐(ロープ)のようなもので遊びだす。
(綱引き、縄跳び等。)
シャイン、考え込んだまま。
イズラ「少しは、気が紛れた?」
実琴 「あ・・・。」
ウリ 「あのね。僕もイズラも、おねーさんの味方だよ。カイルもジブリも。」
実琴 「ウリちゃん。」
イズラ「俺ら4人は『ミコト』の守護天遣だかンな。
キミは絶てぇー、1人になんてなれねぇよ。」
ウリ 「だーかーら、1人で強くなることなんて、ムリ。
僕達に、助けさせてよ。ね?」
実琴、イズラとウリを交互に見る。
実琴 「・・・そっか。
なんか、貴方達が4人セットでいるの、分かる気がする。」
ウリ 「? そう?」
実琴 「うん。ありがと。イズラも。」
イズラ「ああ。」
実琴 「カイルとジブリにも謝らなきゃ。どうしよ?」
ウリ 「僕、呼んでくるよ!!」
実琴 「え?」
ウリ 「どーせ、2人とも近くにいるだろーし!」
ウリ、駆けて行く(退場)。
エル、それに気付いて、ウリの駆けて行った方と、
シャインを交互に見て悩んだ様子。
アズ、エルをのんきに観察。
実琴 「あ・・・いっちゃった。」
イズラ「アイツは、『ミコト』が大好きだから、役に立てて嬉しーンだ。」
実琴 「そんなの、ただ名前が・・・」
イズラ「(遮って)違ぇーよ。」
実琴、イズラを不思議そうに見る。
エル、悩んだ挙句、ウリの駆けて行った方へ、追いかけていく(退場)。
アズ、イズラと実琴をじっと見ている。
イズラ「(笑って)謝るよりも、お礼の方が、あの2人は喜ぶんだけどなぁ。」
実琴 「・・・べっ別にっ、喜ばせたいわけじゃ、・・・無いし!」
イズラ、笑う。
アズ、怒った表情で、ポシェットから鋏を取り出し、
遊んでいた見えない紐を切る。
シャイン「こらっ!!」
シャイン、ピコピコハンマーで、アズを叩く。アズ、擬音を発する。
実琴、イズラ、驚いて2人を見る。
シャイン「アズ!! お前!! なんて事をっ!!」
アズ 「だってー!!」
シャイン「だってじゃない!! あの娘はまだ死ぬ予定じゃないんだぞ!!」
アズ 「いいじゃん! どーせ、さっきまで死の気配させてたんだし!」
シャイン「いいわけあるかっ!! 今はもう死の気配がないと言うに!!」
イズラ、慌てたように、2人の足元に駆け寄る。
実琴、訳が分からないように、その場に立ったまま。
イズラ「こ・・・れ・・・」
シャイン「すまない。私の管理ミスだ。(実琴に向かい)お嬢さん。
申し訳ないが、今、君は死んだ。」
実琴 「・・・・・・え?」
シャイン「責任を持って、私達が君を回収してあげよう。さあ、来るがいい。」
実琴 「何の冗だ・・・」
イズラ「おいっ!!」
イズラ、立ち上がり、アズの鋏を持った手を乱暴につかむ。
イズラ「お前、何をしたか分かってンのか?」
アズ 「・・・だって・・・」
イズラ「『だって』じゃ、ねぇ。やっていい事と、悪い事も区別つかねーのか?」
アズ 「・・・・・・イズラが、いけないんだもん。」
イズラ「は?」
アズ 「イズラは、優しいんだもん。だから、みんな笑うんだもん。」
イズラ「何・・・言って?」
アズ 「イズラに、冷たくしていいのは、アズだけなんだもん!!」
イズラ「ア・・・ズ・・・?」
アズ 「あーーーん!! イズラが怒ったー!!」
アズ、泣き出す。
ウリ、エルを腕にくっ付けた状態で、登場。
カイル、ジブリ、後から付いてくる。
エル、アズに気付いて、駆け寄る。
エル 「アズ!! どうしたのぉ~!!」
アズ 「あーーーん!!」
エル 「イズラ! アズに何したの!? アズいじめちゃだめぇ~!」
シャイン「エル、彼は悪くない。アズ、もう黙りなさい。」
アズ、しゃっくりをしながらも、泣き止もうと頑張る。
イズラ、立ち尽くしたまま。ジブリ、それに気づき、イズラの元へ。
カイル「何がどうしたんだ?」
ウリ 「分かんない。おねーさん、何があったの?」
実琴 「私も何が何だか・・・。」
ジブリ、足元を見、しゃがむ。
シャイン「この娘は、死にました。ですから、私達が連れて行きます。」
カイル「は? 何言ってんだよ!? んーなわけ・・・」
ジブリ「カイル・・・、シャインの言う通りだ。」
ジブリ、足元の切れたロープを手にする仕草。
カイル、慌てて駆け寄り、確認する。
ウリ、何かを察したように、実琴にしがみつく。
ウリ 「ダメだよ。おねーさんは、戻るんだから。
シャインさん、嘘・・・だよね?」
シャイン「ウリ。貴方に嘘を付いても意味がありません。
そうでしょう? 嘘を見抜く天遣。」
ウリ、実琴にしがみついたまま、うつむく。
実琴 「・・・ちょっと。私だけ話において行かないでよ!
死んだって何? ねえっ!!」
ジブリ「シルバーコード・・・君の命を繋ぐ紐が、切れている。」
イズラ「・・・俺のせいだ。俺が、ちゃんと見てなかったからっ! ごめん。
謝って済む問題じゃないけど、ごめん!!」
ジブリ、イズラを突き飛ばす。
ジブリ「そうだな。謝って済む問題じゃない。」
アズ 「違うの!! アズが悪いの!! イズラのせいじゃないの!!」
ジブリ、イズラに殴りかかる。アズ、必死にジブリを止めようとする。
アズ 「アズのせいなの! アズがっ!!」
エル 「ジブリ、こわいよぉ~~~!!」
実琴 「やめてっ!!」
全員、実琴を見る。
実琴 「もう・・・いいよ。」
ウリ、実琴にしがみついたまま、必死で首を横に振る。
実琴 「いいの。ウリちゃん、ありがと。イズラ君も悪くない。
ジブリも・・・怒ってくれて、ありがとう。・・・シャインさん。
私を回収してください。」
シャイン「物分かりの良いお嬢さんで、助かります。」
実琴 「物分かりなんて、良くないよ。でも、天使に会えたから。
もう、いい事にする。」
ウリ 「・・・だめだよぉ。」
実琴 「ウリちゃん。私・・・ね。小さい頃、天使に憧れてたんだ。」
ウリ 「僕・・・たちに?」
実琴、うなずくと、ウリの手をほどく。
実琴 「生まれつき・・・ね、身体弱くて、入退院繰り返して。
死にかけたことも・・・ね、実は何度かあったりで。
だからそんな時、いつも夢に天使が出てきた。」
天遣4人、うつむく。
実琴 「大きい手でね、優しく頭を撫でてくれたり。」
イズラ、自分の手を見る。
実琴 「『賢い子だ』って褒めてくれたり。」
ジブリ、口を手で覆う。
実琴 「『頑張れ』って励ましてくれたり。」
ウリ、実琴を見返す。
実琴 「(笑って)お嫁さんにしてくれる
・・・なんて、約束してくれた天使もいた。」
カイル、気まずそうに顔をそむける。
実琴 「夢だけど・・・。その度に私は元気になって、強くなってきた。
だから・・・本物の天使に会えたんだから・・・もういい。
思い残すことなんて、無いよ。」
ウリ 「・・・それでも、僕はやだよぉ~。」
実琴 「ウリちゃん。」
ウリ 「だって、約束したんだ!! 『ミコト』、約束してくれたじゃないか!!」
イズラ「ウリ! ダメだ!!」
ウリ 「僕のママになってくれるってっ!!」
実琴 「・・・え?」
ウリ 「だから、僕、人間になるって決めたのにっ!!」
エル 「(泣き声で)ウリたん。人間になるのぉ?」
アズ 「(泣き声で)なっちゃうの?」
ジブリ「この間来た、『ミコト』と約束した。」
イズラ「ジブリっ」
ジブリ「構わないだろ。もう消えた未来だ。告げても、支障はない。」
実琴 「話が、見えない・・・んだけど・・・。」
イズラ「・・・言ったろ? 俺らは『ミコト』の守護天遣なんだって。」
ジブリ「未熟児で生まれて、病弱な『ミコト』。
親に迷惑ばかりかける自分が嫌いな『ミコト』。
強くなるのに懸命な『ミコト』。
ココに来る『ミコト』は、そんな少女達ばかりだ。」
イズラ「・・・全部、キミだよ。・・・『実琴』。」
実琴 「わ・・・たし? さっきのあの子も?」
イズラ「そう。キミ自身。過去のキミ。」
ウリ 「『みっちゃん』、結構抜けてるよね・・・。
僕達は、すぐに分かるのにさ。」
ジブリ「ココは、時間の流れとは切り離された世界。
だから、ごく稀に、君みたいな成長した『ミコト』が来る。」
実琴 「じゃあ、夢だって思ってたのは・・・。
でも私、ママになるなんて約束、した記憶ない。」
ジブリ「当然だ。この間来たのは、今の君より、少し未来の『ミコト』だ。」
実琴 「未来? 私、また死にかけるの?」
イズラ「キミは結婚をして、幸せな家庭を築いてた。」
ウリ 「でも・・・赤ちゃんを流産しちゃうんだ。」
ジブリ「事故だった。でも君は、自分のせいだと責めて続けて、
・・・手首を切った。」
実琴、自分の手首を、思わず抑える。
イズラ「今まで出会った『ミコト』ン中で、一番酷かった。
地面に根付いたみたいに、うずくまって動かなくて。
俺らの存在にも気付かねーみたいで・・・。」
ジブリ「シルバーコードも、目を凝らしてやっと見えるくらいだった。」
ウリ 「だからね、約束したんだ。
僕がおねーさんの赤ちゃんになってあげるって。
僕が『ミコト』の子供になって、ずっと守ってあげるって。
だから、僕を産む為に、生きてって。」
ジブリ「君は、笑って帰って行ったよ。ウリを産む為に。
強い母親でありたいと言っていた。」
実琴 「・・・それが、私の消えた未来・・・?」
ジブリ「やはり、君は賢い子だ。」
実琴、何かに気付いたかのように、ジブリを見返す。
実琴 「・・・ごめんなさい。ずっと、見守っていてくれた・・・のに。」
イズラ「ん? ああ。あいつら?」
ウリ 「アズとエルだよ。それと、シャインさん。」
イズラ「さっき、説明ン時、話したろ? 死神。」
実琴 「え!? ウソでしょ!?」
ウリ 「ウソじゃないよ~。だってほら、全身黒づくめ。」
実琴 「いや。・・・それはそうだけど・・・。」
実琴、死神達を見た後、天遣2人をしみじみ見る。
ウリ 「? なに?」
実琴 「(ため息)ま、この天使がアリなら、
あーゆー死神がいても納得・・・とゆーか。諦めとゆーか。」
ウリ、イズラ、顔を見合わせて、笑う。実琴、不思議がる。
アズ、エル、飽きたのか、見えない紐(ロープ)のようなもので遊びだす。
(綱引き、縄跳び等。)
シャイン、考え込んだまま。
イズラ「少しは、気が紛れた?」
実琴 「あ・・・。」
ウリ 「あのね。僕もイズラも、おねーさんの味方だよ。カイルもジブリも。」
実琴 「ウリちゃん。」
イズラ「俺ら4人は『ミコト』の守護天遣だかンな。
キミは絶てぇー、1人になんてなれねぇよ。」
ウリ 「だーかーら、1人で強くなることなんて、ムリ。
僕達に、助けさせてよ。ね?」
実琴、イズラとウリを交互に見る。
実琴 「・・・そっか。
なんか、貴方達が4人セットでいるの、分かる気がする。」
ウリ 「? そう?」
実琴 「うん。ありがと。イズラも。」
イズラ「ああ。」
実琴 「カイルとジブリにも謝らなきゃ。どうしよ?」
ウリ 「僕、呼んでくるよ!!」
実琴 「え?」
ウリ 「どーせ、2人とも近くにいるだろーし!」
ウリ、駆けて行く(退場)。
エル、それに気付いて、ウリの駆けて行った方と、
シャインを交互に見て悩んだ様子。
アズ、エルをのんきに観察。
実琴 「あ・・・いっちゃった。」
イズラ「アイツは、『ミコト』が大好きだから、役に立てて嬉しーンだ。」
実琴 「そんなの、ただ名前が・・・」
イズラ「(遮って)違ぇーよ。」
実琴、イズラを不思議そうに見る。
エル、悩んだ挙句、ウリの駆けて行った方へ、追いかけていく(退場)。
アズ、イズラと実琴をじっと見ている。
イズラ「(笑って)謝るよりも、お礼の方が、あの2人は喜ぶんだけどなぁ。」
実琴 「・・・べっ別にっ、喜ばせたいわけじゃ、・・・無いし!」
イズラ、笑う。
アズ、怒った表情で、ポシェットから鋏を取り出し、
遊んでいた見えない紐を切る。
シャイン「こらっ!!」
シャイン、ピコピコハンマーで、アズを叩く。アズ、擬音を発する。
実琴、イズラ、驚いて2人を見る。
シャイン「アズ!! お前!! なんて事をっ!!」
アズ 「だってー!!」
シャイン「だってじゃない!! あの娘はまだ死ぬ予定じゃないんだぞ!!」
アズ 「いいじゃん! どーせ、さっきまで死の気配させてたんだし!」
シャイン「いいわけあるかっ!! 今はもう死の気配がないと言うに!!」
イズラ、慌てたように、2人の足元に駆け寄る。
実琴、訳が分からないように、その場に立ったまま。
イズラ「こ・・・れ・・・」
シャイン「すまない。私の管理ミスだ。(実琴に向かい)お嬢さん。
申し訳ないが、今、君は死んだ。」
実琴 「・・・・・・え?」
シャイン「責任を持って、私達が君を回収してあげよう。さあ、来るがいい。」
実琴 「何の冗だ・・・」
イズラ「おいっ!!」
イズラ、立ち上がり、アズの鋏を持った手を乱暴につかむ。
イズラ「お前、何をしたか分かってンのか?」
アズ 「・・・だって・・・」
イズラ「『だって』じゃ、ねぇ。やっていい事と、悪い事も区別つかねーのか?」
アズ 「・・・・・・イズラが、いけないんだもん。」
イズラ「は?」
アズ 「イズラは、優しいんだもん。だから、みんな笑うんだもん。」
イズラ「何・・・言って?」
アズ 「イズラに、冷たくしていいのは、アズだけなんだもん!!」
イズラ「ア・・・ズ・・・?」
アズ 「あーーーん!! イズラが怒ったー!!」
アズ、泣き出す。
ウリ、エルを腕にくっ付けた状態で、登場。
カイル、ジブリ、後から付いてくる。
エル、アズに気付いて、駆け寄る。
エル 「アズ!! どうしたのぉ~!!」
アズ 「あーーーん!!」
エル 「イズラ! アズに何したの!? アズいじめちゃだめぇ~!」
シャイン「エル、彼は悪くない。アズ、もう黙りなさい。」
アズ、しゃっくりをしながらも、泣き止もうと頑張る。
イズラ、立ち尽くしたまま。ジブリ、それに気づき、イズラの元へ。
カイル「何がどうしたんだ?」
ウリ 「分かんない。おねーさん、何があったの?」
実琴 「私も何が何だか・・・。」
ジブリ、足元を見、しゃがむ。
シャイン「この娘は、死にました。ですから、私達が連れて行きます。」
カイル「は? 何言ってんだよ!? んーなわけ・・・」
ジブリ「カイル・・・、シャインの言う通りだ。」
ジブリ、足元の切れたロープを手にする仕草。
カイル、慌てて駆け寄り、確認する。
ウリ、何かを察したように、実琴にしがみつく。
ウリ 「ダメだよ。おねーさんは、戻るんだから。
シャインさん、嘘・・・だよね?」
シャイン「ウリ。貴方に嘘を付いても意味がありません。
そうでしょう? 嘘を見抜く天遣。」
ウリ、実琴にしがみついたまま、うつむく。
実琴 「・・・ちょっと。私だけ話において行かないでよ!
死んだって何? ねえっ!!」
ジブリ「シルバーコード・・・君の命を繋ぐ紐が、切れている。」
イズラ「・・・俺のせいだ。俺が、ちゃんと見てなかったからっ! ごめん。
謝って済む問題じゃないけど、ごめん!!」
ジブリ、イズラを突き飛ばす。
ジブリ「そうだな。謝って済む問題じゃない。」
アズ 「違うの!! アズが悪いの!! イズラのせいじゃないの!!」
ジブリ、イズラに殴りかかる。アズ、必死にジブリを止めようとする。
アズ 「アズのせいなの! アズがっ!!」
エル 「ジブリ、こわいよぉ~~~!!」
実琴 「やめてっ!!」
全員、実琴を見る。
実琴 「もう・・・いいよ。」
ウリ、実琴にしがみついたまま、必死で首を横に振る。
実琴 「いいの。ウリちゃん、ありがと。イズラ君も悪くない。
ジブリも・・・怒ってくれて、ありがとう。・・・シャインさん。
私を回収してください。」
シャイン「物分かりの良いお嬢さんで、助かります。」
実琴 「物分かりなんて、良くないよ。でも、天使に会えたから。
もう、いい事にする。」
ウリ 「・・・だめだよぉ。」
実琴 「ウリちゃん。私・・・ね。小さい頃、天使に憧れてたんだ。」
ウリ 「僕・・・たちに?」
実琴、うなずくと、ウリの手をほどく。
実琴 「生まれつき・・・ね、身体弱くて、入退院繰り返して。
死にかけたことも・・・ね、実は何度かあったりで。
だからそんな時、いつも夢に天使が出てきた。」
天遣4人、うつむく。
実琴 「大きい手でね、優しく頭を撫でてくれたり。」
イズラ、自分の手を見る。
実琴 「『賢い子だ』って褒めてくれたり。」
ジブリ、口を手で覆う。
実琴 「『頑張れ』って励ましてくれたり。」
ウリ、実琴を見返す。
実琴 「(笑って)お嫁さんにしてくれる
・・・なんて、約束してくれた天使もいた。」
カイル、気まずそうに顔をそむける。
実琴 「夢だけど・・・。その度に私は元気になって、強くなってきた。
だから・・・本物の天使に会えたんだから・・・もういい。
思い残すことなんて、無いよ。」
ウリ 「・・・それでも、僕はやだよぉ~。」
実琴 「ウリちゃん。」
ウリ 「だって、約束したんだ!! 『ミコト』、約束してくれたじゃないか!!」
イズラ「ウリ! ダメだ!!」
ウリ 「僕のママになってくれるってっ!!」
実琴 「・・・え?」
ウリ 「だから、僕、人間になるって決めたのにっ!!」
エル 「(泣き声で)ウリたん。人間になるのぉ?」
アズ 「(泣き声で)なっちゃうの?」
ジブリ「この間来た、『ミコト』と約束した。」
イズラ「ジブリっ」
ジブリ「構わないだろ。もう消えた未来だ。告げても、支障はない。」
実琴 「話が、見えない・・・んだけど・・・。」
イズラ「・・・言ったろ? 俺らは『ミコト』の守護天遣なんだって。」
ジブリ「未熟児で生まれて、病弱な『ミコト』。
親に迷惑ばかりかける自分が嫌いな『ミコト』。
強くなるのに懸命な『ミコト』。
ココに来る『ミコト』は、そんな少女達ばかりだ。」
イズラ「・・・全部、キミだよ。・・・『実琴』。」
実琴 「わ・・・たし? さっきのあの子も?」
イズラ「そう。キミ自身。過去のキミ。」
ウリ 「『みっちゃん』、結構抜けてるよね・・・。
僕達は、すぐに分かるのにさ。」
ジブリ「ココは、時間の流れとは切り離された世界。
だから、ごく稀に、君みたいな成長した『ミコト』が来る。」
実琴 「じゃあ、夢だって思ってたのは・・・。
でも私、ママになるなんて約束、した記憶ない。」
ジブリ「当然だ。この間来たのは、今の君より、少し未来の『ミコト』だ。」
実琴 「未来? 私、また死にかけるの?」
イズラ「キミは結婚をして、幸せな家庭を築いてた。」
ウリ 「でも・・・赤ちゃんを流産しちゃうんだ。」
ジブリ「事故だった。でも君は、自分のせいだと責めて続けて、
・・・手首を切った。」
実琴、自分の手首を、思わず抑える。
イズラ「今まで出会った『ミコト』ン中で、一番酷かった。
地面に根付いたみたいに、うずくまって動かなくて。
俺らの存在にも気付かねーみたいで・・・。」
ジブリ「シルバーコードも、目を凝らしてやっと見えるくらいだった。」
ウリ 「だからね、約束したんだ。
僕がおねーさんの赤ちゃんになってあげるって。
僕が『ミコト』の子供になって、ずっと守ってあげるって。
だから、僕を産む為に、生きてって。」
ジブリ「君は、笑って帰って行ったよ。ウリを産む為に。
強い母親でありたいと言っていた。」
実琴 「・・・それが、私の消えた未来・・・?」
ジブリ「やはり、君は賢い子だ。」
実琴、何かに気付いたかのように、ジブリを見返す。
実琴 「・・・ごめんなさい。ずっと、見守っていてくれた・・・のに。」
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