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ミコト
しおりを挟む「なにか騒ぎになっていると思って来てみれば、こんなところに、叔父様が……、しかも、オーバン・ノアイユととても仲良くしていらっしゃった、とか……?」
ヒィイイイイ! なんか知らないけど、テオドールの後ろから禍々しい黒いオーラがが立ち上っているっ!!
「きゃああああああああ!!!! テオドール様よっ!」
「叔父様の貞操の危機に駆けつけていらっしゃったのよっ!!」
「叔父様のテオ呼び! 早速いただきましたわっ!!」
「尊い! 尊すぎる! このスリーショット、眼福以外の何者でもありませんわっ!!」
「オーバンっ、頑張るのですっ! 当て馬としての役目を立派に果たしなさい!! 私がここで見守っていますからねっ!」
ーーほんと、何言ってるの? この娘たち……。
「やあ、テオドール。遅かったね。おかげで、ジュール叔父様とすごく楽しいひとときを過ごすことができたよ」
また意地悪公爵令息仕様に戻ったオーバンが、挑戦的な目つきでテオドールに近づいていく。
「オーバン、貴様っ、俺の叔父様に無理やり口づけしたというのは本当かっ?」
オーバンを凌ぐほどの凶悪な視線を向けるテオドール。
え、テオドールってば、こんな怖い顔もできるんだ……。なんか、新鮮……。
「見られちゃったんだね。秘密にしておくつもりだったのに。ねえ、ジュール叔父様」
俺にウィンクしてくるオーバン。やめてくれ、俺を、巻き込まないでくれ……。
「叔父様、本当、なんですか? 俺だって、まだしたことがないのに……、こんな下衆な男と……、叔父様はこういう男が好みだったんですかっ!?」
テオドールの絶望の表情。
「いやっ、違う、違うよ、テオ。誤解だっ! 口づけっていうけど、ほら、ほっぺたにちょっとかすっただけ、みたいな? テオの考えているようなことじゃ、全然、ないから……!」
「ほっぺた、かすった……!?」
しかしテオドールの後ろの黒いオーラは、ますますその禍々しさを増していき……、
「貴様っ、オーバンっ! 今日という今日は許しはしないっ!」
テオドールは、腰に刺していたその長剣に手をかける。
「うわあああ、やめろ、テオドール!」
学園内での流血沙汰など、テオドールの評価がだだ下がりになってしまう!
俺は後ろからテオドールに飛びついて制止した。
「「「「きゃあああああ!!!!」」」」
なぜか上がる絶叫。しかし、そんなことにかまっていられない。
「テオ、俺は大丈夫だから、ね? 俺の用事も済んだし、一緒に帰ろう? 帰ったら、なんでもテオの好きなこと、してあげるから!」
耳元で語りかけるように言うと、俺の腕のなかで、テオドールがピクリと反応した。
「俺の、好きなこと……?」
「うん、なんでもいいよ。ボードゲームでも、一緒に本を読んでも……」
「わかりました……、約束、ですよ、叔父様」
低く言うと、テオドールは長剣を戻した。
「オーバン、次に叔父様に近づいたら、殺す!」
テオドールはオーバンに向き直った。
「怖いなあ、テオドールは。じゃあ、ジュール叔父様、またね!」
オーバンがひらひらと俺に手を降ってくる。
「はは、またね、オーバン君」
「叔父様っ、あんなヤツ、相手にしないでくださいっ!!」
そして、俺たちのやり取りを、なぜか両手を組んで祈るような姿でじっと見守っている王女とご令嬢たち……。
「帰ろうか……、テオ」
「はい、叔父様……」
ーーなんか、色々疲れた……。
ヒィイイイイ! なんか知らないけど、テオドールの後ろから禍々しい黒いオーラがが立ち上っているっ!!
「きゃああああああああ!!!! テオドール様よっ!」
「叔父様の貞操の危機に駆けつけていらっしゃったのよっ!!」
「叔父様のテオ呼び! 早速いただきましたわっ!!」
「尊い! 尊すぎる! このスリーショット、眼福以外の何者でもありませんわっ!!」
「オーバンっ、頑張るのですっ! 当て馬としての役目を立派に果たしなさい!! 私がここで見守っていますからねっ!」
ーーほんと、何言ってるの? この娘たち……。
「やあ、テオドール。遅かったね。おかげで、ジュール叔父様とすごく楽しいひとときを過ごすことができたよ」
また意地悪公爵令息仕様に戻ったオーバンが、挑戦的な目つきでテオドールに近づいていく。
「オーバン、貴様っ、俺の叔父様に無理やり口づけしたというのは本当かっ?」
オーバンを凌ぐほどの凶悪な視線を向けるテオドール。
え、テオドールってば、こんな怖い顔もできるんだ……。なんか、新鮮……。
「見られちゃったんだね。秘密にしておくつもりだったのに。ねえ、ジュール叔父様」
俺にウィンクしてくるオーバン。やめてくれ、俺を、巻き込まないでくれ……。
「叔父様、本当、なんですか? 俺だって、まだしたことがないのに……、こんな下衆な男と……、叔父様はこういう男が好みだったんですかっ!?」
テオドールの絶望の表情。
「いやっ、違う、違うよ、テオ。誤解だっ! 口づけっていうけど、ほら、ほっぺたにちょっとかすっただけ、みたいな? テオの考えているようなことじゃ、全然、ないから……!」
「ほっぺた、かすった……!?」
しかしテオドールの後ろの黒いオーラは、ますますその禍々しさを増していき……、
「貴様っ、オーバンっ! 今日という今日は許しはしないっ!」
テオドールは、腰に刺していたその長剣に手をかける。
「うわあああ、やめろ、テオドール!」
学園内での流血沙汰など、テオドールの評価がだだ下がりになってしまう!
俺は後ろからテオドールに飛びついて制止した。
「「「「きゃあああああ!!!!」」」」
なぜか上がる絶叫。しかし、そんなことにかまっていられない。
「テオ、俺は大丈夫だから、ね? 俺の用事も済んだし、一緒に帰ろう? 帰ったら、なんでもテオの好きなこと、してあげるから!」
耳元で語りかけるように言うと、俺の腕のなかで、テオドールがピクリと反応した。
「俺の、好きなこと……?」
「うん、なんでもいいよ。ボードゲームでも、一緒に本を読んでも……」
「わかりました……、約束、ですよ、叔父様」
低く言うと、テオドールは長剣を戻した。
「オーバン、次に叔父様に近づいたら、殺す!」
テオドールはオーバンに向き直った。
「怖いなあ、テオドールは。じゃあ、ジュール叔父様、またね!」
オーバンがひらひらと俺に手を降ってくる。
「はは、またね、オーバン君」
「叔父様っ、あんなヤツ、相手にしないでくださいっ!!」
そして、俺たちのやり取りを、なぜか両手を組んで祈るような姿でじっと見守っている王女とご令嬢たち……。
「帰ろうか……、テオ」
「はい、叔父様……」
ーーなんか、色々疲れた……。
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