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第4章ダイジェスト(2):3
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翌日の木曜。
「おはようございます!」
いつものように元気いっぱいで挨拶して総務部に入る。
自分のデスクで仕事の準備をしていると、留美先輩が出勤してきた。
「タンポポちゃん、おはよ」
「おはようございます」
挨拶を返して先輩を見上げると、なんだか晴れやかな顔をしていた。
「今日は元気そうですね」
「いくらか落ち着いてきたからね。あぁ、よかったぁ」
そう言って、先輩が伸びやかに腕を伸ばす。
「落ち着いてきたって……。ああ、もしかして、後輩たちの質問攻撃のことですか?」
私の問いかけに、留美先輩がニコッと笑った。
「昨日の午後から、私のところに押しかけるお嬢さんたちが減ったのよ」
「昨日の午後からですか?」
キョトンとして見上げていると、先輩がクスリと笑う。
「昼休み、竹若君に言い寄ってくるお嬢さんたちをスパッと切り捨てたでしょ。そのおかげ」
先輩が言うのは、スマートフォンの操作を教えてほしいと願い出た後輩たちを、和馬さんが無表情で拒否したことを指しているのだろう。
「私の話を聞いて、大げさにならないうちに何とかしないとって思ったんじゃない?それで、自分に言い寄ってくるお嬢さんたちがいたから、これ以上自分に近づくなって意味で、素っ気ない対応に踏み切ったみたい」
ああ、そういう事情があったなんだ。普段の和馬さんらしくない応対だなとは思っていたから。留美先輩のことを気遣ってのことであれば、納得だ。
「あのお綺麗な顔で冷たく見下ろされたら、大抵の人は怯むわよね。そのことが他のお嬢さんたちの間で広まって、竹若君に近づこうとする人が減ったってこと」
確かにそうかも。和馬さんの表情と声、纏った空気は鋭さがあって、正直怖かったから。
「これまでみたいに集団で囲まれる機会が減るとなれば、私も随分と気が楽だわ」
先輩の晴れやかな顔を見て、私はちょっと気になることを口にした。
「留美先輩の苦労が減るのは嬉しいですけど、でも、そう簡単にいくのでしょうか?笑っている和馬さんも素敵ですけど、怖い顔の和馬さんも素敵だなって……」
「あら、やだ。タンポポちゃん、惚気?朝から、ご馳走さま」
口に手を当ててニマニマ笑っている先輩に、カッと頬が熱くなる。
「留美先輩!私は、今、そういう話をしているんじゃなくってですね!」
バッと立ちあがって言い返せば、
「はいはい、分かってるわよ。厳しい顔の竹若君を好きになっちゃうお嬢さんたちがいるんじゃないかって、心配なんでしょ?」
ポンポンと頭を叩かれた。
「そんなに心配するとはないと思うわよ。竹若君が怒っただけじゃ引かなかったお嬢さんたちも、現実を思い知れば諦めざるを得ないだろうし」
「現実?」
はて、と首を大きく傾げる私に、先輩が口元を隠すことなくニンマリと笑った。
「公開羞恥プレイのこと。竹若君、相変わらずみたいじゃない」
「え?え?」
「タンポポちゃんを総務部に迎えに来て、手を繋いで帰っていくだけでもそれなりのインパクトがあるでしょうけど。タンポポちゃんに『あーん』ってケーキを食べさせたり、口元に付いたものを指で取って食べたりとか」
――留美先輩も、私に盗聴器と盗撮用カメラを仕掛けているんですか!?
まるで見ていたかのように話す先輩にブルブル震えていれば、先輩の顔が優しいものに変わった。
「タンポポちゃんにはベタ甘だけど、それ以外のお嬢さんたちにはこれでもかってほど素っ気ない態度。そんなことを目の当たりにしていたら、自分たちが付け入る隙がないんだって、嫌でも分かるでしょうし」
「で、でも、そううまく行くものでしょうか?」
問いかける私の肩を、留美先輩がガシッと掴んできた。
「うまく行くまでやればいいじゃない。だから、タンポポちゃん。私に質問攻撃したり、竹若君に言い寄ってくるお嬢さんたちがいなくなるまで、みんなの前で徹底的に竹若君から溺愛されなさいね」
「は?え?」
「そうすれば、私が平和に過ごせる日も近いわぁ」
――先輩に平和が訪れる前に、私の心臓が爆発しそうです!
和馬さんが私と他の人に対する態度をはっきり区別することで、彼や先輩に近づく後輩たちは日に日に減っていった気がする。
週が変わった頃には、後輩たちの熱意はかなり落ち着いたものになっていた。
このまま事態が収まればいいなと思っていたのに、なかなかそうはいかないようで。
三階にある大休憩室で息抜きをした帰り、いきなり廊下で呼び止められた。
「小向日葵先輩」
そう呼んだのは、今年入社した後輩たちの内の一人だった。
「はい?」
足を止めて振り返ると、彼女は小走りにやってきた。
「今、お時間よろしいですか?」
親しみのある笑顔を浮かべている後輩は、私より少し背が高い。
「どうしたの?総務部に提出する書類でもある?戻るところだから、預かってあげるよ」
直接の接点があるわけでもない他部署の後輩に呼び止められた理由が分からず、僅かに見上げながら、そう水を向ける。
すると、「社長秘書の竹若さんとお付き合いしているんですよね?」と、切り替えされた。
いきなりの質問に言葉を失ってれば、彼女がニコッと笑う。
「社内で竹若さんと小向日葵先輩が一緒にいるところを何度か見ましたけど、そうなんですよね?」
見られていたのなら誤魔化しても仕方がないので、素直に答えた。
「あ、う、うん。そうだよ」
ちょっと照れながら返事をすると、彼女はまたニコッと笑う。
「いつ見ても仲が良くて羨ましいです」
その言葉は、私と和馬さんの付き合いを応援してくれているということだろうか。
彼女の意図するところを察することが出来ず、私の表情は微妙だ。
そんな私の様子には構うことなく、彼女は話を進めてゆく。
「お休みの日は、いつも一緒ですか?」
「まぁ、そうかな。和馬さんが休日出勤しなければの話だけどね」
「メールや電話のやり取りは、どんな感じですか?竹若さんから連絡来ます?」
「割りとマメな方かも。メールも電話も、和馬さんから来ることが多いし」
「社内だけじゃなく、どこでも仲良しなんですね。お二人が本当に羨ましいです」
熱っぽくうっすらと頬を染める彼女の様子は、とても無邪気だ。お世辞や妬みではなく、私と和馬さんのことを好意的に羨んでいるのが伝わってきた。
「ありがとう。あなたにも素敵な彼氏が出来るといいね」
そう言葉を返せば、彼女は私の目を見て満面の笑みを浮かべた。
「つまり、私が竹若さんの彼女になったら、小向日葵先輩がされているように接してもらえるということですよね?」
「……え?」
即座に理解できなかった。
――この子が和馬さんの彼女になったら、私と同じように扱ってもらえるって?彼女になったらって……?
思わず眉を寄せ、目の前の後輩を見遣る。彼女は私の視線を気にすることなく、ウットリとした様子で話を進めた。
「竹若さんは小向日葵先輩にだけ、すっごく優しいじゃないですか。私が彼女になったら、そうやって竹若さんに愛してもらえるって考えただけで、ドキドキしちゃいます」
これはライバル宣言?それにしては、私に意地悪して蹴落とそうという感じではなかった。
言葉に迷っていると、後輩がペコリと頭を下げる。
「引き留めてしまって、すみませんでした。それでは、失礼します」
彼女は笑顔で立ち去って行った。
突然現れた掴みどころのない後輩にどうしたものかと悩んでいるうちに、事態はさらにおかしなことになった。
こういった後輩は、実は一人ではなかったのだ。
私に直接会いに来たのは、この前の後輩を含めて三人いる。
その三人ともが『私が竹若さんの彼女になったら、あんなにも優しくしてもらえるんですね』と、楽しげに言ってくるのだ。
だからといって、和馬さんと別れてくれとは口にしない。とにかく羨ましがるばかり。
どうしたらいいのだろうか。
時は進んで、四月下旬に差し掛かった。
和馬さんに近付こうとする後輩たちの数はかなり減ったけれど、状況としてはむしろ厄介な方向に進んでしまっている。
周りからやたらと視線を向けられ、居心地の悪さを味わいながら仕事をすること数日。
水曜日のお昼休みに、先輩から「話があるから、一緒にご飯を食べましょ」と誘われた。
二人で会社近くの公園に出かけ、私がいつも座るベンチに並んで腰を下ろす。
さぁ、お弁当を食べようとした時、先輩が口を開いた。
「社内にタンポポちゃんが四人いるの」
「……はい?私が四人いるって、どういうことですか?エイプリルフールはとっくに終わっていますけど」
唖然とした顔で先輩の言葉を待っていれば、私を見ている先輩が困った顔をしている。
「タンポポちゃん本人は一人なんだけど、あなたによく似た人が三人いるのよ」
ますます意味が分からない。
「どういうことでしょうか?」
箸を下ろし、私は話を聞く体勢になる。
留美先輩はペットボトルのお茶を一口飲むと、ふぅと短く息を吐いた。
「お嬢さんたちの中には、いまだに竹若君のことを諦めていない人がいるのは知ってるわよね?」
問われてコクンと頷く。
「その人たちが、何か?」
「それがね、ちょっとおかしな方向に進んでいる人がいるのよ」
津島さんのように、私と和馬さんの仲を引き裂こうとしている存在を示すのであれば、『面倒』や『危ない』といった言葉使いになりそうなものだけど。
「おかしなって、どういう意味ですか?」
先を促せば、先輩はまたお茶を一口飲んでから話を再開する。
「ここ最近、私がタンポポちゃんに今までどこにいたのかとか、服装を変えたのかとか、何度も訊いたことがあったでしょ?」
「はい、ありましたね」
「それって、あなたによく似た人を見かけたからなの。遠目で見た時は、一瞬タンポポちゃんかと思ってしまったほどよ」
「まさか」
私は目を丸くする。ただ、先輩の顔つきはとても嘘や冗談を言っているものではない。
言葉の続きを待っていると、留美先輩は静かに話し出す。
「その一人だけなら何かの偶然かなとも思えて、特別気にならなかったんだけど。実は、タンポポちゃんに似せようとしている人が他にもいるのよ」
「似せようとしているって、どういうことですかね?たまたま、服や髪形の好みが似てしまったということではないんですか?」
私の言葉に、留美先輩は緩く首を横に振った。
「それだったら、入社直後に噂になりそうなものでしょ。タンポポちゃんによく似た後輩が入ってきたわよって、そんな話、聞いたことあった?」
「いえ。留美先輩に言われて、自分に似ている人がいるってことを初めて知りました」
「つまり、彼女たちはあえて似せようとしているの。しかも、ここ最近になって急に。本当におかしいわ」
先輩は前方の地面を見つめ、考え込む。
「その三人を見て、妙な感じがしたのよ。あなたに似せようというよりも、あなたそのものになろうとしているっていうか。そのぐらい似ているの。近くで見ると流石に別人だなって分かるけれど、一瞬見間違えるわ」
仲良しの留美先輩が言うくらいだ。その似せ具合はかなりのものらしい。
ここで、単純な疑問が。
「でも、何のために私のマネをしているんですかね?」
「それが分からないから、妙なのよ。ねぇ、タンポポちゃん。心当たりがある?」
尋ねられて、私と和馬さんのことをしきりに羨ましいと言っていた三人の後輩を脳裡に描く。
思い返してみれば、どことなく私に通じる雰囲気があったかもしれない。身長も大きくは違わなかった。
「心当たりというほど、はっきりしたものではないのですが……」
私は三人の後輩のこと先輩に話した。
聞き終えて、留美先輩はまた考え込むように視線を伏せる。
「私の予想からして、タンポポちゃんに話しかけた三人と、あなたによく似ている三人は同じ人物だと思うわ。あなたに似せることで、竹若君に自分を選んでもらおうって思っているんじゃないかしら。そうじゃなかったら、似せる理由が他に思いつかないもの」
と、少し渋い顔つきで留美先輩は言ったのだった。
対処しようがない後輩たちに出会ってから整理のつかない気持ちを抱えたまま、時間だけが過ぎてゆく。
三人の後輩は直接私の前に現れることがなかったが、注意して社内を窺うようにしていれば、時折、その姿を目にすることが出来た。
確かに、三人ともが私が好む色合いやデザインの服を纏っている。
それは日を追うごとに度合いが深まり、髪型や服だけではなく、バッグやアクセサリーといった身の回りの物まで、どこで調べたのか私と同じものを手にしていた。
そこまでして何のために?と考えれば、先日の留美先輩の言葉が浮かぶ。
――和馬さんに選んでもらうため?
考えてはいけないと思うほど、『もしかしたら』という囁きがどこからともなく聞こえてしてしまう。
――あの三人のうちの誰かと……。
小柄な外見も、少し子供っぽい服装も、和馬さんは可愛いといって微笑んでくれる。
そんな彼が私とよく似た人を前にした場合、その目にはどう映るのだろうか。
ある程度の仕事が片付いたところで時計を見れば、午後四時を回っていた。
「一息入れようかな」
社員通用口脇の自販機で大好きなカフェオレを買うと、すぐ横にある簡易休憩スペースの丸椅子に腰を下ろした。
温かいカフェオレを飲み終えて気持ちが和んだところで、満足そうに大きく息を吐く。
「さて、もう一頑張りしますかねぇ」
空になった紙コップをダストボックスに入れたところで、人の気配を感じた。
そちらを見遣って、息を呑む。
一瞬、そこに鏡があるのかと思った。それほどまでに、目の前の人物が私に似通っていたからだ。
私たちの付き合いを羨ましいと言った三人の中で、一番はじめに話しかけてきて、一番私に身長が近い後輩女性が声をかけてくる。
「お疲れ様です、小向日葵先輩。先輩も休憩ですか?」
「あ、うん……」
屈託のない笑顔を向けられ、それが逆に裏が読めなくて戸惑いが先立つ。
ぎこちない物言いの私を特に気にした様子もなく、
「私もそうなんです。喉が渇いたから、何か飲もうと思って」
そう言って、ドリンク自販機の前に立った後輩。お金を入れ、迷いのない手つきでボタンを押す。さっき、私が飲んでいたカフェオレのボタンだ。
私と同じカフェオレを選んだからと言って、そこまで深い意味などないだろう。
そう思いたいのに、目の前の彼女の格好がなかなかそうはさせてくれない。
手にしたカフェオレを一口飲み、笑みを浮かべる後輩。
「そうそう。恥ずかしがる先輩のためなのかは分かりませんけれど、竹若さんって、前ほど社内でいちゃつかなくなったじゃないですか。それでも、コッソリ仲良くしているのは時々目に入って来ちゃうんですよ」
やっぱり、目の前の彼女はニコニコと話すばかり。初めて会った時と変わっていない。
「みんなの前で堂々と仲良くしているのもいいですけど、密かに仲良くしているのも、また素敵です。小向日葵先輩って、竹若さんに相当大事にされていますよねぇ」
「そ、そうかも、ね。和馬さんは優しい人だから……。でも、やっぱり社内では控えるべきだよね。ごめん、先輩として、しっかりしていなくて」
何とか言葉を発すると、カフェオレを飲み終えた後輩は首を傾げた。
「そんなことをする必要はありませんよ」
私と同じフワフワとした茶色の髪が少し揺れる。
「小向日葵先輩は、いつも通りでいいです。お二人の仲がいいところを見て、『いずれ私もあんな風に竹若さんに愛してもらえるんだ』という励みになりますから」
「……え?」
「そうだ、先輩。どうですか?」
サラリと髪の先を指で払い、後輩が一歩私へと近づいた。
「ど、どうって?」
「私と先輩。似ていると思いませんか?我ながら、良い出来栄えだと思っているんですけど」
「それは……」
見た時にハッとなったのは事実だ。さすがに顔の造りの細部まではそっくりといかないものの、メイクの力があるのか、自分でも似ていると思った。
彼女は本来目尻が上がっているが、それをメイクでうまくカバーして私に似せている。
その出来栄えは、血の繋がった妹と言ってもいいくらいに。
「な、何で、私に似せるの?」
このところ、胸の中で渦巻いていた疑問を言葉にする。
それを聞いた後輩は一瞬意外そうに目を瞠り、そしてニコッと笑った。
「そのほうが、竹若さんに選んでもらえるかなって」
――和馬さんに、選んでもらう?
ギクリと固まる私に、後輩は得意げに語りだす。
「だって、これまでにどんなに美人や可愛い女性が迫ってもダメだったって言うじゃないですか。だから、現在の彼女である小向日葵先輩に似せたら、お付き合いできる可能性がありそうだなって。……そう考えたのが、私一人じゃなかったことは誤算でしたが」
少し唇を尖らしてむくれる様子は、私の癖でもある。そんなところまで真似てくるのかと、少し怖くなった。
何も言えずにいると、後輩は表情を明るいものに変えてくる。
「今、カメラについて勉強中なんです。先輩のように、一眼レフを使いこなせるようになって見せますよ」
胸の前で拳を小さく握るのも、私の癖だ。
後輩は、私の唯一の取り柄と言ってもいいカメラさえも真似ようとしてくる。ううん、私になろうとしてくる。
「ねえ、先輩。竹若さんが小向日葵先輩を選ぶのでしたら、先輩に似ている私を選んでもいいじゃないですかねぇ。そう思いませんか?」
その笑顔は、本来の彼女を窺わせる。メイクで隠されている上がった目尻が、気の強さを滲ませていた。
「そ、それは……」
無邪気さを装ったしたたかさに、私は言葉を失う。
以前感じた揺らぎが大きくなった。和馬さんが私とよく似た彼女を選ばないという保障はあるのだろうか?
言い返せない私に、彼女は、
「お先に失礼します」
と言って、軽やかに去って行った。
私が身に着けているものと同じデザイン、同じ色のスカートを翻して。
「おはようございます!」
いつものように元気いっぱいで挨拶して総務部に入る。
自分のデスクで仕事の準備をしていると、留美先輩が出勤してきた。
「タンポポちゃん、おはよ」
「おはようございます」
挨拶を返して先輩を見上げると、なんだか晴れやかな顔をしていた。
「今日は元気そうですね」
「いくらか落ち着いてきたからね。あぁ、よかったぁ」
そう言って、先輩が伸びやかに腕を伸ばす。
「落ち着いてきたって……。ああ、もしかして、後輩たちの質問攻撃のことですか?」
私の問いかけに、留美先輩がニコッと笑った。
「昨日の午後から、私のところに押しかけるお嬢さんたちが減ったのよ」
「昨日の午後からですか?」
キョトンとして見上げていると、先輩がクスリと笑う。
「昼休み、竹若君に言い寄ってくるお嬢さんたちをスパッと切り捨てたでしょ。そのおかげ」
先輩が言うのは、スマートフォンの操作を教えてほしいと願い出た後輩たちを、和馬さんが無表情で拒否したことを指しているのだろう。
「私の話を聞いて、大げさにならないうちに何とかしないとって思ったんじゃない?それで、自分に言い寄ってくるお嬢さんたちがいたから、これ以上自分に近づくなって意味で、素っ気ない対応に踏み切ったみたい」
ああ、そういう事情があったなんだ。普段の和馬さんらしくない応対だなとは思っていたから。留美先輩のことを気遣ってのことであれば、納得だ。
「あのお綺麗な顔で冷たく見下ろされたら、大抵の人は怯むわよね。そのことが他のお嬢さんたちの間で広まって、竹若君に近づこうとする人が減ったってこと」
確かにそうかも。和馬さんの表情と声、纏った空気は鋭さがあって、正直怖かったから。
「これまでみたいに集団で囲まれる機会が減るとなれば、私も随分と気が楽だわ」
先輩の晴れやかな顔を見て、私はちょっと気になることを口にした。
「留美先輩の苦労が減るのは嬉しいですけど、でも、そう簡単にいくのでしょうか?笑っている和馬さんも素敵ですけど、怖い顔の和馬さんも素敵だなって……」
「あら、やだ。タンポポちゃん、惚気?朝から、ご馳走さま」
口に手を当ててニマニマ笑っている先輩に、カッと頬が熱くなる。
「留美先輩!私は、今、そういう話をしているんじゃなくってですね!」
バッと立ちあがって言い返せば、
「はいはい、分かってるわよ。厳しい顔の竹若君を好きになっちゃうお嬢さんたちがいるんじゃないかって、心配なんでしょ?」
ポンポンと頭を叩かれた。
「そんなに心配するとはないと思うわよ。竹若君が怒っただけじゃ引かなかったお嬢さんたちも、現実を思い知れば諦めざるを得ないだろうし」
「現実?」
はて、と首を大きく傾げる私に、先輩が口元を隠すことなくニンマリと笑った。
「公開羞恥プレイのこと。竹若君、相変わらずみたいじゃない」
「え?え?」
「タンポポちゃんを総務部に迎えに来て、手を繋いで帰っていくだけでもそれなりのインパクトがあるでしょうけど。タンポポちゃんに『あーん』ってケーキを食べさせたり、口元に付いたものを指で取って食べたりとか」
――留美先輩も、私に盗聴器と盗撮用カメラを仕掛けているんですか!?
まるで見ていたかのように話す先輩にブルブル震えていれば、先輩の顔が優しいものに変わった。
「タンポポちゃんにはベタ甘だけど、それ以外のお嬢さんたちにはこれでもかってほど素っ気ない態度。そんなことを目の当たりにしていたら、自分たちが付け入る隙がないんだって、嫌でも分かるでしょうし」
「で、でも、そううまく行くものでしょうか?」
問いかける私の肩を、留美先輩がガシッと掴んできた。
「うまく行くまでやればいいじゃない。だから、タンポポちゃん。私に質問攻撃したり、竹若君に言い寄ってくるお嬢さんたちがいなくなるまで、みんなの前で徹底的に竹若君から溺愛されなさいね」
「は?え?」
「そうすれば、私が平和に過ごせる日も近いわぁ」
――先輩に平和が訪れる前に、私の心臓が爆発しそうです!
和馬さんが私と他の人に対する態度をはっきり区別することで、彼や先輩に近づく後輩たちは日に日に減っていった気がする。
週が変わった頃には、後輩たちの熱意はかなり落ち着いたものになっていた。
このまま事態が収まればいいなと思っていたのに、なかなかそうはいかないようで。
三階にある大休憩室で息抜きをした帰り、いきなり廊下で呼び止められた。
「小向日葵先輩」
そう呼んだのは、今年入社した後輩たちの内の一人だった。
「はい?」
足を止めて振り返ると、彼女は小走りにやってきた。
「今、お時間よろしいですか?」
親しみのある笑顔を浮かべている後輩は、私より少し背が高い。
「どうしたの?総務部に提出する書類でもある?戻るところだから、預かってあげるよ」
直接の接点があるわけでもない他部署の後輩に呼び止められた理由が分からず、僅かに見上げながら、そう水を向ける。
すると、「社長秘書の竹若さんとお付き合いしているんですよね?」と、切り替えされた。
いきなりの質問に言葉を失ってれば、彼女がニコッと笑う。
「社内で竹若さんと小向日葵先輩が一緒にいるところを何度か見ましたけど、そうなんですよね?」
見られていたのなら誤魔化しても仕方がないので、素直に答えた。
「あ、う、うん。そうだよ」
ちょっと照れながら返事をすると、彼女はまたニコッと笑う。
「いつ見ても仲が良くて羨ましいです」
その言葉は、私と和馬さんの付き合いを応援してくれているということだろうか。
彼女の意図するところを察することが出来ず、私の表情は微妙だ。
そんな私の様子には構うことなく、彼女は話を進めてゆく。
「お休みの日は、いつも一緒ですか?」
「まぁ、そうかな。和馬さんが休日出勤しなければの話だけどね」
「メールや電話のやり取りは、どんな感じですか?竹若さんから連絡来ます?」
「割りとマメな方かも。メールも電話も、和馬さんから来ることが多いし」
「社内だけじゃなく、どこでも仲良しなんですね。お二人が本当に羨ましいです」
熱っぽくうっすらと頬を染める彼女の様子は、とても無邪気だ。お世辞や妬みではなく、私と和馬さんのことを好意的に羨んでいるのが伝わってきた。
「ありがとう。あなたにも素敵な彼氏が出来るといいね」
そう言葉を返せば、彼女は私の目を見て満面の笑みを浮かべた。
「つまり、私が竹若さんの彼女になったら、小向日葵先輩がされているように接してもらえるということですよね?」
「……え?」
即座に理解できなかった。
――この子が和馬さんの彼女になったら、私と同じように扱ってもらえるって?彼女になったらって……?
思わず眉を寄せ、目の前の後輩を見遣る。彼女は私の視線を気にすることなく、ウットリとした様子で話を進めた。
「竹若さんは小向日葵先輩にだけ、すっごく優しいじゃないですか。私が彼女になったら、そうやって竹若さんに愛してもらえるって考えただけで、ドキドキしちゃいます」
これはライバル宣言?それにしては、私に意地悪して蹴落とそうという感じではなかった。
言葉に迷っていると、後輩がペコリと頭を下げる。
「引き留めてしまって、すみませんでした。それでは、失礼します」
彼女は笑顔で立ち去って行った。
突然現れた掴みどころのない後輩にどうしたものかと悩んでいるうちに、事態はさらにおかしなことになった。
こういった後輩は、実は一人ではなかったのだ。
私に直接会いに来たのは、この前の後輩を含めて三人いる。
その三人ともが『私が竹若さんの彼女になったら、あんなにも優しくしてもらえるんですね』と、楽しげに言ってくるのだ。
だからといって、和馬さんと別れてくれとは口にしない。とにかく羨ましがるばかり。
どうしたらいいのだろうか。
時は進んで、四月下旬に差し掛かった。
和馬さんに近付こうとする後輩たちの数はかなり減ったけれど、状況としてはむしろ厄介な方向に進んでしまっている。
周りからやたらと視線を向けられ、居心地の悪さを味わいながら仕事をすること数日。
水曜日のお昼休みに、先輩から「話があるから、一緒にご飯を食べましょ」と誘われた。
二人で会社近くの公園に出かけ、私がいつも座るベンチに並んで腰を下ろす。
さぁ、お弁当を食べようとした時、先輩が口を開いた。
「社内にタンポポちゃんが四人いるの」
「……はい?私が四人いるって、どういうことですか?エイプリルフールはとっくに終わっていますけど」
唖然とした顔で先輩の言葉を待っていれば、私を見ている先輩が困った顔をしている。
「タンポポちゃん本人は一人なんだけど、あなたによく似た人が三人いるのよ」
ますます意味が分からない。
「どういうことでしょうか?」
箸を下ろし、私は話を聞く体勢になる。
留美先輩はペットボトルのお茶を一口飲むと、ふぅと短く息を吐いた。
「お嬢さんたちの中には、いまだに竹若君のことを諦めていない人がいるのは知ってるわよね?」
問われてコクンと頷く。
「その人たちが、何か?」
「それがね、ちょっとおかしな方向に進んでいる人がいるのよ」
津島さんのように、私と和馬さんの仲を引き裂こうとしている存在を示すのであれば、『面倒』や『危ない』といった言葉使いになりそうなものだけど。
「おかしなって、どういう意味ですか?」
先を促せば、先輩はまたお茶を一口飲んでから話を再開する。
「ここ最近、私がタンポポちゃんに今までどこにいたのかとか、服装を変えたのかとか、何度も訊いたことがあったでしょ?」
「はい、ありましたね」
「それって、あなたによく似た人を見かけたからなの。遠目で見た時は、一瞬タンポポちゃんかと思ってしまったほどよ」
「まさか」
私は目を丸くする。ただ、先輩の顔つきはとても嘘や冗談を言っているものではない。
言葉の続きを待っていると、留美先輩は静かに話し出す。
「その一人だけなら何かの偶然かなとも思えて、特別気にならなかったんだけど。実は、タンポポちゃんに似せようとしている人が他にもいるのよ」
「似せようとしているって、どういうことですかね?たまたま、服や髪形の好みが似てしまったということではないんですか?」
私の言葉に、留美先輩は緩く首を横に振った。
「それだったら、入社直後に噂になりそうなものでしょ。タンポポちゃんによく似た後輩が入ってきたわよって、そんな話、聞いたことあった?」
「いえ。留美先輩に言われて、自分に似ている人がいるってことを初めて知りました」
「つまり、彼女たちはあえて似せようとしているの。しかも、ここ最近になって急に。本当におかしいわ」
先輩は前方の地面を見つめ、考え込む。
「その三人を見て、妙な感じがしたのよ。あなたに似せようというよりも、あなたそのものになろうとしているっていうか。そのぐらい似ているの。近くで見ると流石に別人だなって分かるけれど、一瞬見間違えるわ」
仲良しの留美先輩が言うくらいだ。その似せ具合はかなりのものらしい。
ここで、単純な疑問が。
「でも、何のために私のマネをしているんですかね?」
「それが分からないから、妙なのよ。ねぇ、タンポポちゃん。心当たりがある?」
尋ねられて、私と和馬さんのことをしきりに羨ましいと言っていた三人の後輩を脳裡に描く。
思い返してみれば、どことなく私に通じる雰囲気があったかもしれない。身長も大きくは違わなかった。
「心当たりというほど、はっきりしたものではないのですが……」
私は三人の後輩のこと先輩に話した。
聞き終えて、留美先輩はまた考え込むように視線を伏せる。
「私の予想からして、タンポポちゃんに話しかけた三人と、あなたによく似ている三人は同じ人物だと思うわ。あなたに似せることで、竹若君に自分を選んでもらおうって思っているんじゃないかしら。そうじゃなかったら、似せる理由が他に思いつかないもの」
と、少し渋い顔つきで留美先輩は言ったのだった。
対処しようがない後輩たちに出会ってから整理のつかない気持ちを抱えたまま、時間だけが過ぎてゆく。
三人の後輩は直接私の前に現れることがなかったが、注意して社内を窺うようにしていれば、時折、その姿を目にすることが出来た。
確かに、三人ともが私が好む色合いやデザインの服を纏っている。
それは日を追うごとに度合いが深まり、髪型や服だけではなく、バッグやアクセサリーといった身の回りの物まで、どこで調べたのか私と同じものを手にしていた。
そこまでして何のために?と考えれば、先日の留美先輩の言葉が浮かぶ。
――和馬さんに選んでもらうため?
考えてはいけないと思うほど、『もしかしたら』という囁きがどこからともなく聞こえてしてしまう。
――あの三人のうちの誰かと……。
小柄な外見も、少し子供っぽい服装も、和馬さんは可愛いといって微笑んでくれる。
そんな彼が私とよく似た人を前にした場合、その目にはどう映るのだろうか。
ある程度の仕事が片付いたところで時計を見れば、午後四時を回っていた。
「一息入れようかな」
社員通用口脇の自販機で大好きなカフェオレを買うと、すぐ横にある簡易休憩スペースの丸椅子に腰を下ろした。
温かいカフェオレを飲み終えて気持ちが和んだところで、満足そうに大きく息を吐く。
「さて、もう一頑張りしますかねぇ」
空になった紙コップをダストボックスに入れたところで、人の気配を感じた。
そちらを見遣って、息を呑む。
一瞬、そこに鏡があるのかと思った。それほどまでに、目の前の人物が私に似通っていたからだ。
私たちの付き合いを羨ましいと言った三人の中で、一番はじめに話しかけてきて、一番私に身長が近い後輩女性が声をかけてくる。
「お疲れ様です、小向日葵先輩。先輩も休憩ですか?」
「あ、うん……」
屈託のない笑顔を向けられ、それが逆に裏が読めなくて戸惑いが先立つ。
ぎこちない物言いの私を特に気にした様子もなく、
「私もそうなんです。喉が渇いたから、何か飲もうと思って」
そう言って、ドリンク自販機の前に立った後輩。お金を入れ、迷いのない手つきでボタンを押す。さっき、私が飲んでいたカフェオレのボタンだ。
私と同じカフェオレを選んだからと言って、そこまで深い意味などないだろう。
そう思いたいのに、目の前の彼女の格好がなかなかそうはさせてくれない。
手にしたカフェオレを一口飲み、笑みを浮かべる後輩。
「そうそう。恥ずかしがる先輩のためなのかは分かりませんけれど、竹若さんって、前ほど社内でいちゃつかなくなったじゃないですか。それでも、コッソリ仲良くしているのは時々目に入って来ちゃうんですよ」
やっぱり、目の前の彼女はニコニコと話すばかり。初めて会った時と変わっていない。
「みんなの前で堂々と仲良くしているのもいいですけど、密かに仲良くしているのも、また素敵です。小向日葵先輩って、竹若さんに相当大事にされていますよねぇ」
「そ、そうかも、ね。和馬さんは優しい人だから……。でも、やっぱり社内では控えるべきだよね。ごめん、先輩として、しっかりしていなくて」
何とか言葉を発すると、カフェオレを飲み終えた後輩は首を傾げた。
「そんなことをする必要はありませんよ」
私と同じフワフワとした茶色の髪が少し揺れる。
「小向日葵先輩は、いつも通りでいいです。お二人の仲がいいところを見て、『いずれ私もあんな風に竹若さんに愛してもらえるんだ』という励みになりますから」
「……え?」
「そうだ、先輩。どうですか?」
サラリと髪の先を指で払い、後輩が一歩私へと近づいた。
「ど、どうって?」
「私と先輩。似ていると思いませんか?我ながら、良い出来栄えだと思っているんですけど」
「それは……」
見た時にハッとなったのは事実だ。さすがに顔の造りの細部まではそっくりといかないものの、メイクの力があるのか、自分でも似ていると思った。
彼女は本来目尻が上がっているが、それをメイクでうまくカバーして私に似せている。
その出来栄えは、血の繋がった妹と言ってもいいくらいに。
「な、何で、私に似せるの?」
このところ、胸の中で渦巻いていた疑問を言葉にする。
それを聞いた後輩は一瞬意外そうに目を瞠り、そしてニコッと笑った。
「そのほうが、竹若さんに選んでもらえるかなって」
――和馬さんに、選んでもらう?
ギクリと固まる私に、後輩は得意げに語りだす。
「だって、これまでにどんなに美人や可愛い女性が迫ってもダメだったって言うじゃないですか。だから、現在の彼女である小向日葵先輩に似せたら、お付き合いできる可能性がありそうだなって。……そう考えたのが、私一人じゃなかったことは誤算でしたが」
少し唇を尖らしてむくれる様子は、私の癖でもある。そんなところまで真似てくるのかと、少し怖くなった。
何も言えずにいると、後輩は表情を明るいものに変えてくる。
「今、カメラについて勉強中なんです。先輩のように、一眼レフを使いこなせるようになって見せますよ」
胸の前で拳を小さく握るのも、私の癖だ。
後輩は、私の唯一の取り柄と言ってもいいカメラさえも真似ようとしてくる。ううん、私になろうとしてくる。
「ねえ、先輩。竹若さんが小向日葵先輩を選ぶのでしたら、先輩に似ている私を選んでもいいじゃないですかねぇ。そう思いませんか?」
その笑顔は、本来の彼女を窺わせる。メイクで隠されている上がった目尻が、気の強さを滲ませていた。
「そ、それは……」
無邪気さを装ったしたたかさに、私は言葉を失う。
以前感じた揺らぎが大きくなった。和馬さんが私とよく似た彼女を選ばないという保障はあるのだろうか?
言い返せない私に、彼女は、
「お先に失礼します」
と言って、軽やかに去って行った。
私が身に着けているものと同じデザイン、同じ色のスカートを翻して。
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