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(9)僕の本気、その体で受け止めてね
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トロリとした潤滑油は、ほのかにバラの香りを放つ。
あの日、二人が出逢ったのは、咲き誇るバラの近くだった。
初めてシリルを抱く時に使う潤滑油は、かつての出逢いに感謝するべく、バラの香りがするものを使いたかったのだ。
エディフェルドの手の平で温められた潤滑油は、品のある香りをシリルの鼻腔に届ける。
「バラ……、あの時みたいだ……」
スンと小さく鼻を鳴らしたシリルが、照れくさそうに小さな声で呟く。
エディフェルドの話を聞いてから、しまい込んでいた記憶がところどころ蘇っていた。
咲いていたバラの花の色は分からないままだが、香りだけはなんとなく思い出せたのである。
シリルの呟きに、エディフェルドの胸が熱くなった。
――本当に、シリルは可愛い。
普段はやたらと強がって、素っ気ないシリルだが、ふとした時に見せる愛らしさは、八年前から少しも変わっていない。
それが彼の本質であり、エディフェルドが惹かれてやまない部分である。
――僕がどれほどシリルのことが好きなのか、分かってもらわないと。
思い出話も絡めてエディフェルドはシリルへの気持ちを告白したのだが、シリルの心の奥底では、まだどこか、この状況を信じていないことが伝わってくる。
体を重ねることがすべてではないものの、手っ取り早くシリルに分かってもらうには、やはりエディフェルドが彼を抱くことが近道だろう。
百の言葉を囁くよりも、はっきりとした行動で示すほうがいい。
それは、この学校でシリルと再会してからエディフェルドが学んだことである。
――僕の本気、その体で受け止めてね。
エディフェルドは艶やかな微笑みを浮かべ、シリルにのしかかった。
できることなら柔らかな肌のすべてに唇を這わせ、薄紅色の乳首を手と口で可愛がってあげたかったが、エディフェルドはまずシリルに分かりやすい快感を与えることにした。
潤滑油をまとわせた右手で、シリルの性器を緩やかに扱く。
エディフェルドの手が上下するたびに、ヌチュリという湿った音が部屋に響いた。
「あ、うぅ……」
全身を小刻みに震わせ、シリルが僅かに声を漏らす。
そんな彼に、エディフェルドは「可愛い」と甘い声で囁きかけた。
すると、シリルが真っ赤な顔で睨み付けてくる。
「可愛くなんか、ない……。俺は……、平凡な、男だし……」
素っ気ない態度は、明らかに照れ隠しだ。
――ホント、なにしても可愛いなぁ。
エディフェルドは胸の奥がくすぐったくなるのを感じ、ユルリと口角を上げる。
「シリルは、れっきとした男性だよ。僕の手の中にあるモノが、その証拠だしね。でも、可愛い」
クスッと笑ったエディフェルドは、親指の腹で性器の先端にある孔を擦った。
途端に、シリルの細い体がピクンと跳ねる。
「んんっ!」
くぐもった嬌声を上げるシリルを見て、エディフェルドの口角がいっそう上がった。
「僕がシリルを可愛いと思うのは、愛してるってこと。……あとね、僕はシリルの体を綺麗だと思うし、触りたいって思ってる。だから、ココを愛撫するのも、楽しくて仕方がないんだ」
ここでもエディフェルドの観察眼が発揮される。
シリルがなにやら気にしているのを察したエディフェルドは、こっそり探りを入れていたのである。
そして先ほどのシリルの発言で、彼の心に引っかかっているものにピンときた。
エディフェルドは、本当に同性の自分を好きなのだろうか。
男の裸を見て、我に返るのではないだろうか。
そのことをシリルが心配していたことに気付いたエディフェルドは、シリルの性器にしつこいほどの愛撫を与えることにしたのである。
男性の象徴であるその部分に触れることに、いっさいのためらいがないのだと示した。
小さな乳首を優しく愛撫して快感を得る器官に変えてやりたい気持ちはあったが、そこを真っ先に弄ってしまうと、シリルが変な誤解をするだろうと踏んだのだ。
乳首は女性にもある。
ならば、女性にはない男性器に触れることで、エディフェルドが本気で同性のシリルを抱くつもりだと、行動で示したのだ。
エディフェルドの読みは当たり、シリルの表情からは戸惑いが徐々に薄れていった。
憂いがなくなったせいか、シリルは次第に甲高い声で啼くようになる。
頑固なようで素直な性格のシリルは、快感に対しても素直なようだ。
俄然やる気が出てきたエディフェルドは、より熱心にシリルの性器に愛撫を施す。
先端を擦り、竿部分を扱き、陰嚢をヤワヤワと揉みしだく。
それほど時間が経たないうちに、シリルの性器は硬く大きく成長した
ここで一度イカせたほうがいいだろうかとエディフェルドが考えていたその時、シリルが唇を震わせながら告げる。
「ルド……、もう、待てない……」
快感に潤む瞳で、シリルがエディフェルドに訴えかけた。
エディフェルドほど恋心をこじらせてはいないが、シリルもそれなりに恋焦がれていたのだ。
絶対に実らないと諦めていた片想いが成就し、しかも、抱かれたいと思っていた相手が自分に欲情している。
恋人になって一時間も経っていないとか、色々と段階をすっ飛ばしているとか、そんなことは関係ない。
シリルは、エディフェルドと一つになりたかった。
己の体で、これが現実であると感じたかった。
そんなシリルの表情は色香に溢れていて、エディフェルドの下半身を直撃するほどの破壊力がある。
「ルド……、お願い……」
泣きそうな顔でさらに懇願され、エディフェルドの下半身は限界へと近付く。
もちろん、シリルのおねだりは大歓迎だ。
そのためには、まずやらなくてはならないことがある。
「シリル、ちょっとだけ時間をちょうだい」
エディフェルドは改めて右手に潤滑油を注ぎ、次にシリルの後孔に潤滑油をたっぷり垂らした。
まずは後孔周辺を指で揉み解し、柔らかくなってきた頃合いで、エディフェルドは中指を挿入する。
「んっ……」
シリルが短く呻いた。
本来、ソコは受け入れるための器官ではない。たとえ指一本であったとしても、異物感は拭えなかった。
シリルの体がこわばり、エディフェルドは心配そうに声をかける。
「大丈夫? 痛い?」
やめることはできないが、待つことはできる。
事を急いで大切な恋人の体に苦痛を与えたくはない。
エディフェルドの問いかけに、シリルは眉根を寄せながら口を開いた。
「ええと……、痛くはないけど……、ちょっと……、変な、感じ……」
痛みがないことに安堵したエディフェルドだが、シリルが体の力を抜いてくれないことにはどうにもしようがない。
エディフェルドは深呼吸を繰り返すことで、焦る気持ちと下半身の妖しい疼きをどうにかやり過ごそうとした。
そこに、「ルド……」と声がかかる。
「シリル、どうしたの?」
呼びかければ、シリルがふたたび口を開く。
「こういう時……、どうしたらいい? 事前学習、バッチリなんだろ? 俺に、教えて……」
待つつもりだったエディフェルドに対し、シリルは先に進もうとしていた。
あれほどエディフェルドを遠ざけようとしていたシリルだが、腹を括ってしまうと、立ち止まることは考えないようだ。
目を細めたエディフェルドは、呼吸を止めないようにと指示を出した。
「深く長い呼吸をしてみて。できる?」
「……やってみる」
小さく頷いたシリルは、さっそくゆっくりと息を吸い始めた。
数回深呼吸を繰り返すと、徐々にシリルの体からはこわばりが抜けていく。
「シリル、上手だよ。その調子」
優しく声をかけたエディフェルドは、シリルのナカに埋めた指を静かに前後させた。
あの日、二人が出逢ったのは、咲き誇るバラの近くだった。
初めてシリルを抱く時に使う潤滑油は、かつての出逢いに感謝するべく、バラの香りがするものを使いたかったのだ。
エディフェルドの手の平で温められた潤滑油は、品のある香りをシリルの鼻腔に届ける。
「バラ……、あの時みたいだ……」
スンと小さく鼻を鳴らしたシリルが、照れくさそうに小さな声で呟く。
エディフェルドの話を聞いてから、しまい込んでいた記憶がところどころ蘇っていた。
咲いていたバラの花の色は分からないままだが、香りだけはなんとなく思い出せたのである。
シリルの呟きに、エディフェルドの胸が熱くなった。
――本当に、シリルは可愛い。
普段はやたらと強がって、素っ気ないシリルだが、ふとした時に見せる愛らしさは、八年前から少しも変わっていない。
それが彼の本質であり、エディフェルドが惹かれてやまない部分である。
――僕がどれほどシリルのことが好きなのか、分かってもらわないと。
思い出話も絡めてエディフェルドはシリルへの気持ちを告白したのだが、シリルの心の奥底では、まだどこか、この状況を信じていないことが伝わってくる。
体を重ねることがすべてではないものの、手っ取り早くシリルに分かってもらうには、やはりエディフェルドが彼を抱くことが近道だろう。
百の言葉を囁くよりも、はっきりとした行動で示すほうがいい。
それは、この学校でシリルと再会してからエディフェルドが学んだことである。
――僕の本気、その体で受け止めてね。
エディフェルドは艶やかな微笑みを浮かべ、シリルにのしかかった。
できることなら柔らかな肌のすべてに唇を這わせ、薄紅色の乳首を手と口で可愛がってあげたかったが、エディフェルドはまずシリルに分かりやすい快感を与えることにした。
潤滑油をまとわせた右手で、シリルの性器を緩やかに扱く。
エディフェルドの手が上下するたびに、ヌチュリという湿った音が部屋に響いた。
「あ、うぅ……」
全身を小刻みに震わせ、シリルが僅かに声を漏らす。
そんな彼に、エディフェルドは「可愛い」と甘い声で囁きかけた。
すると、シリルが真っ赤な顔で睨み付けてくる。
「可愛くなんか、ない……。俺は……、平凡な、男だし……」
素っ気ない態度は、明らかに照れ隠しだ。
――ホント、なにしても可愛いなぁ。
エディフェルドは胸の奥がくすぐったくなるのを感じ、ユルリと口角を上げる。
「シリルは、れっきとした男性だよ。僕の手の中にあるモノが、その証拠だしね。でも、可愛い」
クスッと笑ったエディフェルドは、親指の腹で性器の先端にある孔を擦った。
途端に、シリルの細い体がピクンと跳ねる。
「んんっ!」
くぐもった嬌声を上げるシリルを見て、エディフェルドの口角がいっそう上がった。
「僕がシリルを可愛いと思うのは、愛してるってこと。……あとね、僕はシリルの体を綺麗だと思うし、触りたいって思ってる。だから、ココを愛撫するのも、楽しくて仕方がないんだ」
ここでもエディフェルドの観察眼が発揮される。
シリルがなにやら気にしているのを察したエディフェルドは、こっそり探りを入れていたのである。
そして先ほどのシリルの発言で、彼の心に引っかかっているものにピンときた。
エディフェルドは、本当に同性の自分を好きなのだろうか。
男の裸を見て、我に返るのではないだろうか。
そのことをシリルが心配していたことに気付いたエディフェルドは、シリルの性器にしつこいほどの愛撫を与えることにしたのである。
男性の象徴であるその部分に触れることに、いっさいのためらいがないのだと示した。
小さな乳首を優しく愛撫して快感を得る器官に変えてやりたい気持ちはあったが、そこを真っ先に弄ってしまうと、シリルが変な誤解をするだろうと踏んだのだ。
乳首は女性にもある。
ならば、女性にはない男性器に触れることで、エディフェルドが本気で同性のシリルを抱くつもりだと、行動で示したのだ。
エディフェルドの読みは当たり、シリルの表情からは戸惑いが徐々に薄れていった。
憂いがなくなったせいか、シリルは次第に甲高い声で啼くようになる。
頑固なようで素直な性格のシリルは、快感に対しても素直なようだ。
俄然やる気が出てきたエディフェルドは、より熱心にシリルの性器に愛撫を施す。
先端を擦り、竿部分を扱き、陰嚢をヤワヤワと揉みしだく。
それほど時間が経たないうちに、シリルの性器は硬く大きく成長した
ここで一度イカせたほうがいいだろうかとエディフェルドが考えていたその時、シリルが唇を震わせながら告げる。
「ルド……、もう、待てない……」
快感に潤む瞳で、シリルがエディフェルドに訴えかけた。
エディフェルドほど恋心をこじらせてはいないが、シリルもそれなりに恋焦がれていたのだ。
絶対に実らないと諦めていた片想いが成就し、しかも、抱かれたいと思っていた相手が自分に欲情している。
恋人になって一時間も経っていないとか、色々と段階をすっ飛ばしているとか、そんなことは関係ない。
シリルは、エディフェルドと一つになりたかった。
己の体で、これが現実であると感じたかった。
そんなシリルの表情は色香に溢れていて、エディフェルドの下半身を直撃するほどの破壊力がある。
「ルド……、お願い……」
泣きそうな顔でさらに懇願され、エディフェルドの下半身は限界へと近付く。
もちろん、シリルのおねだりは大歓迎だ。
そのためには、まずやらなくてはならないことがある。
「シリル、ちょっとだけ時間をちょうだい」
エディフェルドは改めて右手に潤滑油を注ぎ、次にシリルの後孔に潤滑油をたっぷり垂らした。
まずは後孔周辺を指で揉み解し、柔らかくなってきた頃合いで、エディフェルドは中指を挿入する。
「んっ……」
シリルが短く呻いた。
本来、ソコは受け入れるための器官ではない。たとえ指一本であったとしても、異物感は拭えなかった。
シリルの体がこわばり、エディフェルドは心配そうに声をかける。
「大丈夫? 痛い?」
やめることはできないが、待つことはできる。
事を急いで大切な恋人の体に苦痛を与えたくはない。
エディフェルドの問いかけに、シリルは眉根を寄せながら口を開いた。
「ええと……、痛くはないけど……、ちょっと……、変な、感じ……」
痛みがないことに安堵したエディフェルドだが、シリルが体の力を抜いてくれないことにはどうにもしようがない。
エディフェルドは深呼吸を繰り返すことで、焦る気持ちと下半身の妖しい疼きをどうにかやり過ごそうとした。
そこに、「ルド……」と声がかかる。
「シリル、どうしたの?」
呼びかければ、シリルがふたたび口を開く。
「こういう時……、どうしたらいい? 事前学習、バッチリなんだろ? 俺に、教えて……」
待つつもりだったエディフェルドに対し、シリルは先に進もうとしていた。
あれほどエディフェルドを遠ざけようとしていたシリルだが、腹を括ってしまうと、立ち止まることは考えないようだ。
目を細めたエディフェルドは、呼吸を止めないようにと指示を出した。
「深く長い呼吸をしてみて。できる?」
「……やってみる」
小さく頷いたシリルは、さっそくゆっくりと息を吸い始めた。
数回深呼吸を繰り返すと、徐々にシリルの体からはこわばりが抜けていく。
「シリル、上手だよ。その調子」
優しく声をかけたエディフェルドは、シリルのナカに埋めた指を静かに前後させた。
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