45 / 200
(43)SIDE:奏太
しおりを挟む
上半身全体で呼吸するかのように、僕はゼイゼイと大きく喘いでいた。
体の奥深いところまで斗輝に愛された感覚は最高に幸せで、頭の芯が最高級のはちみつで漬けられたみたいにトロリと蕩けている。
ボンヤリと自分の呼吸音を聞きながら、幸せな脱力感を味わっていた。
僕を乗せたまま激しい突き上げを繰り返していた斗輝も、多少は呼吸を乱している。
ただし、彼は射精に至っていない。僕のナカに埋め込まれているペニスは、今もガチガチに硬いままだった。
さっきのようにナカを締め付けることで斗輝を気持ちよくさせてあげたいけれど、酸素を取り込むことだけで精一杯だ。
なんとかソコに意識を向けることはできても、ナカを締め付けたり緩めたりという微妙なコントロールはできそうにない。
「とき、ごめん、ね……」
しょんぼりと眉尻下げて謝ると、彼は色気を放ちながらも優しく目を細めた。
「なにを謝っているんだ?」
「とき、イってないでしょ」
僕の答えに、斗輝はクスリと笑う。
「そんなこと、奏太は気にしなくていいんだ」
「きにするよ。だって、ときのことがだいすきだから、ちゃんときもちよくなってほしい……」
ようやく呼吸が整った僕がいっきに告げたら、彼の目元がいっそう優し気に細められた。
「十分、気持ちいいよ」
そう言って、斗輝は緩く腰を突き上げる。
二度目の射精と同時に体の奥から分泌液がゴプリと溢れ出したせいで、小さな動きでもグチュグチュと湿った音がしてしまう。
その音が響くたびに、僕の体がふたたび熱くなった。
「あ、ん……」
僅かに喘ぐ僕の様子に彼が改めて笑みを深め、ズンと一度だけ大きく突き上げる。
「んっ!」
キュッと目を閉じで短く喘ぐと、僕の腰を掴んでいた大きな手が引きしまった腹筋に上に置いていた僕の手を掴んだ。
「気持ちいいから、こんなに硬いんだよ」
そう言って、やんわりと僕の手を包み込む。
「で、でも……、とき、イってない……」
気持ちいいからこんなに勃っているのだとは分かっていても、やはり射精に至るには足りなかったのだということだ。
呼吸が整うと同時に体がコントロールできるようになってきたので、彼のペニスを咥え込んでいる後孔に意識を向けた。
そして、おへその裏辺りの筋肉を動かすように集中する。
ところが、しっかり締め付けるほどには僕の体が元には戻っていなかった。締め付ける強さは、さっきの半分にも満たないだろう。
そのことが悔しくて下唇を噛み締めると、握られていた手がグイッと引き寄せられた。
「……え?」
驚いて目開いた時には僕はベッドの上で左半身を下にして横になっていて、背後から斗輝に抱き締められている状態だった。
なにが起きたのかと困惑に満ちた目で背後を窺うと、彼の右腕が僕の右膝を掬うようにして持ち上げる。
広げられた太腿の間に彼のペニスがスルリと侵入してきて、そのことに気付いた時には、改めて深々と貫かれていた。
「は、あ……」
鼻にかかった甘い喘ぎ声と共に、ヌプッ、ズチュッという水音が重なる。
背中に逞しい胸板を感じながら、僕はしきりに喘いでいた。
「俺のことは気にしなくていいのに。そういうところも、奏太は可愛いよ」
そう言いながら、彼はひときわ大きく腰を突き入れる。
張り出しているペニスの先端が、ゴリゴリと内壁を押し広げて最奥を目指していた。
それでも斗輝の抱き方は乱暴ではなく、僕を気持ちよくさせるために前立腺にもしっかりと刺激を与えてくれる。
「ああっ、ん、んんっ!」
揺さぶられて突かれる動きに合わせ、僕の頭の芯には新しいはちみつが注がれていく。
おかげで、喘ぎ声がいっそう甘くなったと思う。
快感のままに喘ぐと、斗輝が僕の耳元で優しく囁く。
「奏太の啼く声は、何度聞いても飽きない」
そう言ってペニスが抜ける直前まで腰を引いた彼は、勢いをつけて一気に奥まで挿入してきた。
互いの体がぶつかって、肉を打つ音が連続して耳に届く。
その音が大きくなるごとに、僕の体は快感に震えた。
だけど、今度こそ、斗輝にも気持ちよくなってもらわなくては。
強い快感のせいで力が抜けそうになっている体に喝を入れ、僕は彼と繋がっている内壁に意識を集中させた。
それなのに、彼のペニスが僕のナカにある気持ちいいポイントを刺激するたび、そのことに意識を持って行かれてしまう。
絶頂を迎えることだけに意識が向き、斗輝に気持ちよくなってもらうということがおろそかになってしまった。
「は、あぁ……。と、とき、まって……、ん、く……。ぼくの、ことは、いいか、ら……、ときも、きもち、よ、く、なって……」
途切れ途切れになりながらも、なんとか訴える。
ところが、彼の腰の動きは緩やかなものに変わるどころか、より大きく激しいものになった。
「とき、ま、まって……。とき、と、き……、あぁ、ん!」
頭の芯だけではなく、全身がはちみつ漬けになったかと思えるほど、快感が隅々まで広がっていく。
これでは駄目なのに。
首を横に振って必死に正気を保とうとするものの、斗輝は容赦なく挿入を繰り返す。
おまけに、うなじにチュッと音を立てて吸い付いてきた。
その瞬間、僕の体には快感とは違う感覚が走り抜ける。
気持ちいいと言ってしまえばそうかもしれないけれど、それとはどこか違う。
幸せ。
喜び。
安堵。
そういった感覚に近かった。
唇だけではなく、僕の体は彼にキスされたところがたくさんある。
だけど、今のような感覚はなかった。
どうして、うなじへのキスだけが、違うのだろう。
そのことを問いかけようと開いた僕の口からは、代わりに甲高い嬌声が飛び出した。
「や、あぁっ!」
疑問が一瞬で霧散してしまうほどの快感が、連続して僕を襲う。
ズンズンと力強い動きで斗輝のペニスは前後し、繋がっている部分からは卑猥な水音がますます大きな音を立てて寝室に響いた。
こんな状況では、正気を保てる訳がない。
僕はなにもかもを放り投げ、彼が与える快感だけを追いかける。
その間も、彼の唇は僕のうなじから離れることはなかった。
何度も吸った後に、彼はその場所にソッと歯を立てる。
軽く当てられただけだというのに、幸せと喜びと安堵が入り混じった感覚が背筋を駆け上がった。
その瞬間、僕のペニスからは精液がピュクリと溢れ出す。
短時間で三度も射精したので、勢いはない。代わりに、ピュク、ピュクと、弱々しい射精が何度か続いた。
斗輝はというと、今度こそしっかり射精に至ったようで、僕のナカがジワリと温かくなる。
――よかった。とき、イッタんだ……。
心の中でそう呟きながら、僕はグタリと体の力を抜いた。
体の奥深いところまで斗輝に愛された感覚は最高に幸せで、頭の芯が最高級のはちみつで漬けられたみたいにトロリと蕩けている。
ボンヤリと自分の呼吸音を聞きながら、幸せな脱力感を味わっていた。
僕を乗せたまま激しい突き上げを繰り返していた斗輝も、多少は呼吸を乱している。
ただし、彼は射精に至っていない。僕のナカに埋め込まれているペニスは、今もガチガチに硬いままだった。
さっきのようにナカを締め付けることで斗輝を気持ちよくさせてあげたいけれど、酸素を取り込むことだけで精一杯だ。
なんとかソコに意識を向けることはできても、ナカを締め付けたり緩めたりという微妙なコントロールはできそうにない。
「とき、ごめん、ね……」
しょんぼりと眉尻下げて謝ると、彼は色気を放ちながらも優しく目を細めた。
「なにを謝っているんだ?」
「とき、イってないでしょ」
僕の答えに、斗輝はクスリと笑う。
「そんなこと、奏太は気にしなくていいんだ」
「きにするよ。だって、ときのことがだいすきだから、ちゃんときもちよくなってほしい……」
ようやく呼吸が整った僕がいっきに告げたら、彼の目元がいっそう優し気に細められた。
「十分、気持ちいいよ」
そう言って、斗輝は緩く腰を突き上げる。
二度目の射精と同時に体の奥から分泌液がゴプリと溢れ出したせいで、小さな動きでもグチュグチュと湿った音がしてしまう。
その音が響くたびに、僕の体がふたたび熱くなった。
「あ、ん……」
僅かに喘ぐ僕の様子に彼が改めて笑みを深め、ズンと一度だけ大きく突き上げる。
「んっ!」
キュッと目を閉じで短く喘ぐと、僕の腰を掴んでいた大きな手が引きしまった腹筋に上に置いていた僕の手を掴んだ。
「気持ちいいから、こんなに硬いんだよ」
そう言って、やんわりと僕の手を包み込む。
「で、でも……、とき、イってない……」
気持ちいいからこんなに勃っているのだとは分かっていても、やはり射精に至るには足りなかったのだということだ。
呼吸が整うと同時に体がコントロールできるようになってきたので、彼のペニスを咥え込んでいる後孔に意識を向けた。
そして、おへその裏辺りの筋肉を動かすように集中する。
ところが、しっかり締め付けるほどには僕の体が元には戻っていなかった。締め付ける強さは、さっきの半分にも満たないだろう。
そのことが悔しくて下唇を噛み締めると、握られていた手がグイッと引き寄せられた。
「……え?」
驚いて目開いた時には僕はベッドの上で左半身を下にして横になっていて、背後から斗輝に抱き締められている状態だった。
なにが起きたのかと困惑に満ちた目で背後を窺うと、彼の右腕が僕の右膝を掬うようにして持ち上げる。
広げられた太腿の間に彼のペニスがスルリと侵入してきて、そのことに気付いた時には、改めて深々と貫かれていた。
「は、あ……」
鼻にかかった甘い喘ぎ声と共に、ヌプッ、ズチュッという水音が重なる。
背中に逞しい胸板を感じながら、僕はしきりに喘いでいた。
「俺のことは気にしなくていいのに。そういうところも、奏太は可愛いよ」
そう言いながら、彼はひときわ大きく腰を突き入れる。
張り出しているペニスの先端が、ゴリゴリと内壁を押し広げて最奥を目指していた。
それでも斗輝の抱き方は乱暴ではなく、僕を気持ちよくさせるために前立腺にもしっかりと刺激を与えてくれる。
「ああっ、ん、んんっ!」
揺さぶられて突かれる動きに合わせ、僕の頭の芯には新しいはちみつが注がれていく。
おかげで、喘ぎ声がいっそう甘くなったと思う。
快感のままに喘ぐと、斗輝が僕の耳元で優しく囁く。
「奏太の啼く声は、何度聞いても飽きない」
そう言ってペニスが抜ける直前まで腰を引いた彼は、勢いをつけて一気に奥まで挿入してきた。
互いの体がぶつかって、肉を打つ音が連続して耳に届く。
その音が大きくなるごとに、僕の体は快感に震えた。
だけど、今度こそ、斗輝にも気持ちよくなってもらわなくては。
強い快感のせいで力が抜けそうになっている体に喝を入れ、僕は彼と繋がっている内壁に意識を集中させた。
それなのに、彼のペニスが僕のナカにある気持ちいいポイントを刺激するたび、そのことに意識を持って行かれてしまう。
絶頂を迎えることだけに意識が向き、斗輝に気持ちよくなってもらうということがおろそかになってしまった。
「は、あぁ……。と、とき、まって……、ん、く……。ぼくの、ことは、いいか、ら……、ときも、きもち、よ、く、なって……」
途切れ途切れになりながらも、なんとか訴える。
ところが、彼の腰の動きは緩やかなものに変わるどころか、より大きく激しいものになった。
「とき、ま、まって……。とき、と、き……、あぁ、ん!」
頭の芯だけではなく、全身がはちみつ漬けになったかと思えるほど、快感が隅々まで広がっていく。
これでは駄目なのに。
首を横に振って必死に正気を保とうとするものの、斗輝は容赦なく挿入を繰り返す。
おまけに、うなじにチュッと音を立てて吸い付いてきた。
その瞬間、僕の体には快感とは違う感覚が走り抜ける。
気持ちいいと言ってしまえばそうかもしれないけれど、それとはどこか違う。
幸せ。
喜び。
安堵。
そういった感覚に近かった。
唇だけではなく、僕の体は彼にキスされたところがたくさんある。
だけど、今のような感覚はなかった。
どうして、うなじへのキスだけが、違うのだろう。
そのことを問いかけようと開いた僕の口からは、代わりに甲高い嬌声が飛び出した。
「や、あぁっ!」
疑問が一瞬で霧散してしまうほどの快感が、連続して僕を襲う。
ズンズンと力強い動きで斗輝のペニスは前後し、繋がっている部分からは卑猥な水音がますます大きな音を立てて寝室に響いた。
こんな状況では、正気を保てる訳がない。
僕はなにもかもを放り投げ、彼が与える快感だけを追いかける。
その間も、彼の唇は僕のうなじから離れることはなかった。
何度も吸った後に、彼はその場所にソッと歯を立てる。
軽く当てられただけだというのに、幸せと喜びと安堵が入り混じった感覚が背筋を駆け上がった。
その瞬間、僕のペニスからは精液がピュクリと溢れ出す。
短時間で三度も射精したので、勢いはない。代わりに、ピュク、ピュクと、弱々しい射精が何度か続いた。
斗輝はというと、今度こそしっかり射精に至ったようで、僕のナカがジワリと温かくなる。
――よかった。とき、イッタんだ……。
心の中でそう呟きながら、僕はグタリと体の力を抜いた。
0
お気に入りに追加
1,256
あなたにおすすめの小説
孤独を癒して
星屑
BL
運命の番として出会った2人。
「運命」という言葉がピッタリの出会い方をした、
デロデロに甘やかしたいアルファと、守られるだけじゃないオメガの話。
*不定期更新。
*感想などいただけると励みになります。
*完結は絶対させます!
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる