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四章
旅立ちの下級冒険者4
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「ヘイル、お古になるけど良ければこの防具を使ってくれ。俺が着るには少し小さいから」
「ゴートさん、ありがとうございます!俺嬉しいです!」
予備として着ていた防具をヘイルに渡す。
まだちゃんとした防具を持っていなかったヘイルは、余程嬉しかったのか早速上着を着ている。
ヘイルに何か贈り物をしようと考えていたのだが、何が実用的かを考えたら防具が良いのではという結論になった。
というのも先日労働者で整備してもらった今使っている防具は、最近買い直したより上質の防具なのだが、予備の防具は以前使っていた仕様の防具で、旅に持っていくには流石に荷物になると思ったのだ。
「今度会うときは九級冒険者かな?怪我には気を付けてなヘイル。ファラと仲良くな」
「はい!ゴートさんも気を付けて!」
ヘイルへの挨拶を済ませホナミ孤児院を出る。
これで一通り知り合いには挨拶は済ませた。
後はどうやって隣街に行くのかだ。
方法としては主に三つ。自分で歩いて行くか、乗り合い馬車で行くか、護衛依頼のついでに行くかだ。
見張りや休憩の事も考えると乗り合い馬車か護衛依頼だが、乗り合い馬車はたまにしか出ていない。ここは冒険者組合で依頼を確認するのが良いかもしれない。早速冒険者組合に向かおう。
冒険者組合に入り依頼書を見るとセカの街の東に位置しているリンの街への護衛を見つけた。
幸運にも依頼者は面識のあるネルさん。これは受けるしかないだろう。
依頼書を持って受付に向かうと、ガイさんが居たので話し掛ける。
「ガイさん、この依頼お願いします」
「お、ゴートじゃねえか。最近見なかったから怪我でもしたのかと思ったぜ」
「心配かけてすみません。えっと、実はですね…」
ガイさんに暫くセカの街を離れることを説明する。今思えば初めて冒険者組合に来たときもガイさんにお世話になった。不思議な縁もあるものだ。
「そうか…。旅は良いもんだからな。存分に楽しめ!」
「はい!」
依頼の受付も済んだし、後は明日の午後に東門に集合すれば旅の始まりだ。
駆け出し荘に戻って荷物の最終確認とクリスさんへの挨拶をしなければ。
「あらゴート君、お帰りなさい」
何時もの柔和な笑顔で迎えてくれるクリスさん。少し前から近々出ていく事は伝えていたが、明日の依頼で出立することが決まったので改めて伝える。
「クリスさん、明日出発することに決まりました。今までお世話になりました」
約三年以上もお世話になった。胸に込み上げるものがある。
「あらあら、寂しくなるわねえ。若いから大丈夫だと思うけど、体には気を付けてね」
「はい。本当にありがとうございました」
部屋に戻り荷物をまとめベッドに寝転がる。
初めて泊まった日は掛布団が薄くて少し冷えたのを思い出す。
今は夏ということもあって寒くはないし、ベッドの上にマントを敷いているから体が痛くなることもない。
「遂に明日だ…」
立て掛けてある武器や防具を見る。
俺はこの三年で確実に成長した。不安がないと言えば嘘になるけど、今は高揚感や期待が勝っている。
デミの村から一歩踏み出した俺はもう一歩踏み出すのだ。
「ゴートさん、ありがとうございます!俺嬉しいです!」
予備として着ていた防具をヘイルに渡す。
まだちゃんとした防具を持っていなかったヘイルは、余程嬉しかったのか早速上着を着ている。
ヘイルに何か贈り物をしようと考えていたのだが、何が実用的かを考えたら防具が良いのではという結論になった。
というのも先日労働者で整備してもらった今使っている防具は、最近買い直したより上質の防具なのだが、予備の防具は以前使っていた仕様の防具で、旅に持っていくには流石に荷物になると思ったのだ。
「今度会うときは九級冒険者かな?怪我には気を付けてなヘイル。ファラと仲良くな」
「はい!ゴートさんも気を付けて!」
ヘイルへの挨拶を済ませホナミ孤児院を出る。
これで一通り知り合いには挨拶は済ませた。
後はどうやって隣街に行くのかだ。
方法としては主に三つ。自分で歩いて行くか、乗り合い馬車で行くか、護衛依頼のついでに行くかだ。
見張りや休憩の事も考えると乗り合い馬車か護衛依頼だが、乗り合い馬車はたまにしか出ていない。ここは冒険者組合で依頼を確認するのが良いかもしれない。早速冒険者組合に向かおう。
冒険者組合に入り依頼書を見るとセカの街の東に位置しているリンの街への護衛を見つけた。
幸運にも依頼者は面識のあるネルさん。これは受けるしかないだろう。
依頼書を持って受付に向かうと、ガイさんが居たので話し掛ける。
「ガイさん、この依頼お願いします」
「お、ゴートじゃねえか。最近見なかったから怪我でもしたのかと思ったぜ」
「心配かけてすみません。えっと、実はですね…」
ガイさんに暫くセカの街を離れることを説明する。今思えば初めて冒険者組合に来たときもガイさんにお世話になった。不思議な縁もあるものだ。
「そうか…。旅は良いもんだからな。存分に楽しめ!」
「はい!」
依頼の受付も済んだし、後は明日の午後に東門に集合すれば旅の始まりだ。
駆け出し荘に戻って荷物の最終確認とクリスさんへの挨拶をしなければ。
「あらゴート君、お帰りなさい」
何時もの柔和な笑顔で迎えてくれるクリスさん。少し前から近々出ていく事は伝えていたが、明日の依頼で出立することが決まったので改めて伝える。
「クリスさん、明日出発することに決まりました。今までお世話になりました」
約三年以上もお世話になった。胸に込み上げるものがある。
「あらあら、寂しくなるわねえ。若いから大丈夫だと思うけど、体には気を付けてね」
「はい。本当にありがとうございました」
部屋に戻り荷物をまとめベッドに寝転がる。
初めて泊まった日は掛布団が薄くて少し冷えたのを思い出す。
今は夏ということもあって寒くはないし、ベッドの上にマントを敷いているから体が痛くなることもない。
「遂に明日だ…」
立て掛けてある武器や防具を見る。
俺はこの三年で確実に成長した。不安がないと言えば嘘になるけど、今は高揚感や期待が勝っている。
デミの村から一歩踏み出した俺はもう一歩踏み出すのだ。
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