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第五章:「大陸到着」
第57話 「隣の大陸到着とそして『認めた最弱』」
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然しかなりの大きさだな…
着いた場所は先程の漁村とは比べ、かなりの規模だ。
人の行き来も多く、賑わっている。
建物に所々掲げられている旗が目を引く。
国旗かなにかだろうか?
船を降りて街を眺めていると、バルバラが話しかけた。
「ふふっ、とうとう着いたな?」
「あぁ、本当だな?」
本当だ、とうとう着いた。
今まで色々とあったが、これから先もあるのでは無いかと思うと、些か不安だ。
だが、『着いた』という達成感を、今は街を眺めて感じている。
「ふふっ、これからどうするんだ?」
「そうだな…街を散策しながらでも、『塔』に関する事を調べよう」
「ふふっ、分かった」
やはり情報と言うのは、冒険者ギルドだろう。
だが、先程まで体調がわるかったんだ。
今すぐ向かうのも少し気が引ける。
まずは、この街を知るのも良いだろう。
「良いところだな?」
「ふふっ、そうだな」
恐らく俺を気遣って気丈にも返事を返したのだろうか?
普段通りの表情が戻ってきてはいるが、まだ少し体調が悪そうだ。
俺はそんなバルバラを気遣って、街中に置いてあったベンチに腰を掛けた。
「ふふっ、ありがとう。ところで…サモンに謝らなければいけない事がある」
「どうした?」
「ふふっ、本を借りたまま隣の大陸に来てしまったな?」
いきなりどうしたかと思えばその事か。
「それなら大丈夫だ」
その言葉にバルバラは不思議そうな顔を浮かべた。
「どうしてだ?」
「あの図書館にある本は、全て複製魔法で作られたものだ。返却期限があるのはあるが、それもあって無いような物だ」
これは魔導師にしか出来ない事だ。
実際に俺の家にある本もそうだった。
「ふふっ、そうだったのか」
「あぁ、でも帰ったら返そうか」
「ふふっ、そうだな」
そう言ってバルバラは俺の鞄に手を掛けて開くと、思い出した様に中から『神話』の本を取り出した。
「ふふ、たまには外で読むのも良いだろう?」
そう言って読んでいた本を出した
確かにそうだ、街の散策も良いがこの様に外で本を読むのも良い。
そう思い、俺も同じく借りた本を取り出した。
しばらく本を読み進めると何やら遠くの方で声が聞こえた。
――――泥棒だ!!誰かあいつを止めてくれ!
その声を聞き、バルバラの方を見た。
バルバラは俺の顔を見ると微笑み、そして静かに頷いた。
同じ俺も頷き返し、本を読んでいるフリをした。
強盗が目の前を通ったのを確認し、俺は本を閉じ、静かに立ち上がった。
逃げる強盗の背中に対して、俺は腕を伸ばし、指を鳴らした。
強盗は、足が縺れると共に、持っていた鞄が宙に舞った。
鞄の中からばら撒く様にして辺りに散乱したのは、『お金』だ。
しばらく地面を転がった男性はうめき声をあげている。
「いてぇ…」
声の主である男性が、しばらくして走ってきた。
覆いかぶさる様に取り押さえ、巡回していた兵士達に両脇を抱えられ
連行されていった。
俺は椅子に座り直し本を開き直した。
「ふふっ、使いこなせているではないか?」
そんな事をバルバラは、本を眺めつつ俺に言った。
「たまたまだ」
本当に今のはたまたまだ。
ファルシアが言っていた『使いこなす』とは程遠いだろう。
すると突然声を掛けられた。
「失礼ですが…魔導師ですか?」
「いえ…召喚士です」
目の前にはまだ幼さが残る少年が立っていた。
かなり端正な顔立ちで、見たところ俺よりも年下では無いだろうか?
だが着ている服装からして、恐らく兵士だろう。
胸元には勲章が付いており、そして軍帽を被っている。
この年齢で、勲章を貰えるとは恐らくやり手なのだろう。
「そうですか…召喚士にしては、かなり珍しいですね」
確かに、少し珍しいかも知れない。
「確かに少し珍しいかも知れませんね…」
「えぇ、『召喚士』は魔物しか出せないと聞いた事がありまして…あの様な事が出来るとは
思ってもいませんでした」
そう言って少年はバルバラの方を見ながら俺に訊いてきた。
「彼女さんですか?」
俺はその言葉に、バルバラをしばらく見つめこう返した。
――いえ…妻です――
その言葉を聞いた少年は頷き、軽く会釈をした。
「そうでしたか、読書中すみませんでした。では…」
少年は踵を返し、人混みの中に去って行った。
「ふふっ」
「どうしたんだ?」
「いや、サモンが私を妻と言ってくれた事が嬉しい」
そう言ったバルバラは本で顔を隠している。
普段では考えられない仕草だ。
そんな仕草を見て、俺も初めて言った言葉の恥ずかしさが後からこみ上げて来た。
「いや、俺も恥ずかしいんだぞ?」
「ふふっ、そうだな?顔に出ている」
先程まで顔を隠していたバルバラに人の事が言えるだろうか。
「バルバラも本で隠していたでは無いか」
「ふふっ、何の事かさっぱりだな、見間違えでは無いか?」
そう言うバルバラの表情はとても嬉しそうに、そして楽しそうに笑っている。
普段から笑顔が多いバルバラでも、ここまで笑うのは珍しいな。
俺もそんな表情に自然と笑ってしまった。
「確かにそうかも知れないな?」
「ふふっ、そうだとも」
そんな言葉を交わし、お互い本を読み始めた。
ある程度読み進め、不意にバルバラの横顔を眺めた。
潮風に吹かれて、バルバラの黒髪が風になびいている。
(何だか……良いな)
それはバルバラに対する事も含まれてはいるが、俺としてはこの今のひとときが、表せない程で心地良い。
「ふふっ、どうした?そんなに見つめて?」
バルバラはそう言って微笑みかけた
「いや、なんでもない」
――守れる様にならなければ――
そんな事を思い。
気付けば、ネックレスを握っていた。
着いた場所は先程の漁村とは比べ、かなりの規模だ。
人の行き来も多く、賑わっている。
建物に所々掲げられている旗が目を引く。
国旗かなにかだろうか?
船を降りて街を眺めていると、バルバラが話しかけた。
「ふふっ、とうとう着いたな?」
「あぁ、本当だな?」
本当だ、とうとう着いた。
今まで色々とあったが、これから先もあるのでは無いかと思うと、些か不安だ。
だが、『着いた』という達成感を、今は街を眺めて感じている。
「ふふっ、これからどうするんだ?」
「そうだな…街を散策しながらでも、『塔』に関する事を調べよう」
「ふふっ、分かった」
やはり情報と言うのは、冒険者ギルドだろう。
だが、先程まで体調がわるかったんだ。
今すぐ向かうのも少し気が引ける。
まずは、この街を知るのも良いだろう。
「良いところだな?」
「ふふっ、そうだな」
恐らく俺を気遣って気丈にも返事を返したのだろうか?
普段通りの表情が戻ってきてはいるが、まだ少し体調が悪そうだ。
俺はそんなバルバラを気遣って、街中に置いてあったベンチに腰を掛けた。
「ふふっ、ありがとう。ところで…サモンに謝らなければいけない事がある」
「どうした?」
「ふふっ、本を借りたまま隣の大陸に来てしまったな?」
いきなりどうしたかと思えばその事か。
「それなら大丈夫だ」
その言葉にバルバラは不思議そうな顔を浮かべた。
「どうしてだ?」
「あの図書館にある本は、全て複製魔法で作られたものだ。返却期限があるのはあるが、それもあって無いような物だ」
これは魔導師にしか出来ない事だ。
実際に俺の家にある本もそうだった。
「ふふっ、そうだったのか」
「あぁ、でも帰ったら返そうか」
「ふふっ、そうだな」
そう言ってバルバラは俺の鞄に手を掛けて開くと、思い出した様に中から『神話』の本を取り出した。
「ふふ、たまには外で読むのも良いだろう?」
そう言って読んでいた本を出した
確かにそうだ、街の散策も良いがこの様に外で本を読むのも良い。
そう思い、俺も同じく借りた本を取り出した。
しばらく本を読み進めると何やら遠くの方で声が聞こえた。
――――泥棒だ!!誰かあいつを止めてくれ!
その声を聞き、バルバラの方を見た。
バルバラは俺の顔を見ると微笑み、そして静かに頷いた。
同じ俺も頷き返し、本を読んでいるフリをした。
強盗が目の前を通ったのを確認し、俺は本を閉じ、静かに立ち上がった。
逃げる強盗の背中に対して、俺は腕を伸ばし、指を鳴らした。
強盗は、足が縺れると共に、持っていた鞄が宙に舞った。
鞄の中からばら撒く様にして辺りに散乱したのは、『お金』だ。
しばらく地面を転がった男性はうめき声をあげている。
「いてぇ…」
声の主である男性が、しばらくして走ってきた。
覆いかぶさる様に取り押さえ、巡回していた兵士達に両脇を抱えられ
連行されていった。
俺は椅子に座り直し本を開き直した。
「ふふっ、使いこなせているではないか?」
そんな事をバルバラは、本を眺めつつ俺に言った。
「たまたまだ」
本当に今のはたまたまだ。
ファルシアが言っていた『使いこなす』とは程遠いだろう。
すると突然声を掛けられた。
「失礼ですが…魔導師ですか?」
「いえ…召喚士です」
目の前にはまだ幼さが残る少年が立っていた。
かなり端正な顔立ちで、見たところ俺よりも年下では無いだろうか?
だが着ている服装からして、恐らく兵士だろう。
胸元には勲章が付いており、そして軍帽を被っている。
この年齢で、勲章を貰えるとは恐らくやり手なのだろう。
「そうですか…召喚士にしては、かなり珍しいですね」
確かに、少し珍しいかも知れない。
「確かに少し珍しいかも知れませんね…」
「えぇ、『召喚士』は魔物しか出せないと聞いた事がありまして…あの様な事が出来るとは
思ってもいませんでした」
そう言って少年はバルバラの方を見ながら俺に訊いてきた。
「彼女さんですか?」
俺はその言葉に、バルバラをしばらく見つめこう返した。
――いえ…妻です――
その言葉を聞いた少年は頷き、軽く会釈をした。
「そうでしたか、読書中すみませんでした。では…」
少年は踵を返し、人混みの中に去って行った。
「ふふっ」
「どうしたんだ?」
「いや、サモンが私を妻と言ってくれた事が嬉しい」
そう言ったバルバラは本で顔を隠している。
普段では考えられない仕草だ。
そんな仕草を見て、俺も初めて言った言葉の恥ずかしさが後からこみ上げて来た。
「いや、俺も恥ずかしいんだぞ?」
「ふふっ、そうだな?顔に出ている」
先程まで顔を隠していたバルバラに人の事が言えるだろうか。
「バルバラも本で隠していたでは無いか」
「ふふっ、何の事かさっぱりだな、見間違えでは無いか?」
そう言うバルバラの表情はとても嬉しそうに、そして楽しそうに笑っている。
普段から笑顔が多いバルバラでも、ここまで笑うのは珍しいな。
俺もそんな表情に自然と笑ってしまった。
「確かにそうかも知れないな?」
「ふふっ、そうだとも」
そんな言葉を交わし、お互い本を読み始めた。
ある程度読み進め、不意にバルバラの横顔を眺めた。
潮風に吹かれて、バルバラの黒髪が風になびいている。
(何だか……良いな)
それはバルバラに対する事も含まれてはいるが、俺としてはこの今のひとときが、表せない程で心地良い。
「ふふっ、どうした?そんなに見つめて?」
バルバラはそう言って微笑みかけた
「いや、なんでもない」
――守れる様にならなければ――
そんな事を思い。
気付けば、ネックレスを握っていた。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
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