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第四章:「新たなる大陸へ」

第42話 「最弱の変人?と強引な魔王様」

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 抱き締めた状態で暫し固まっている。
いつまでもこのままでいる訳にはいかない。
そろそろ離して欲しいのだが…

「バルバラ?そろそろ離してくれないか?」

「ふふっ、

まさかの返事だ。
困ったな…どうしたものか…

「ふふっ、しばらくこのままが良いのだがな…仕方ない」

これは、まさか離してくれるのか?

「ふふっ、このまましようか」

……一体バルバラは何を言っているんだ?
きっと冗談だろう。
このままの状態で、移動して人目に付いたらどうするんだ。

誰もが思うだろう。
――あの人は、どういうつもりだ――
と…

それと共にと言う渾名は避けられない。
いや、俺を知っている人物が見たらこう言うだろう。

”最弱の変人”だと。

そんな事を考えていたら、バルバラが笑いながら言った。

「ふふっ、冗談だ。だが、離して欲しければ…そうだな」

――サモンからキスをしてくれたら離しても良いぞ?

な!何を言っているんだ!?
その…嫌では無いが、とても恥ずかしいでは無いか。
そもそも、どうしてこうなるんだ。
素直に離してくれれば済む話ではないか?

「す、素直に離しては貰えないのか?」

「ふふっ、残念ながら

どうしたものか…何度かされてはいるが、全てバルバラからだ。

ここはやるしかないのか…

「わ…わかった」

「ふふっ」

意を決し、キスをしたが…今度は頭を押さえられた。

―――――――――――

「んー!!」

もういいだろ!
いつまで、やり続ける気だ。

息が苦しくなってきているのに、未だに離す気配が無い。

若干の後悔すら抱いてきている。

そんな事を思っているとようやくされた。

「ふふっ、ありがとう」

そう言って微笑みかけるが、俺はしそうになったんだ。

「い…良いんだが、どうして頭を押さえるんだ!く、苦しいだろ!」

「ふふっ、押さえたくなった」

押さえたくなった……?
そんな言葉に、返事しかねているとバルバラが俺を離してこう言った。

「ふふっ、ありがとう」

そうバルバラは微笑み掛けた。
俺はそんな表情を見ると不思議と先程抱いた、若干の後悔という物は抱かなくなっていた。

「だ、大丈夫だ…では行こうか」

「ふふっ、そうだな」

そう言うバルバラの表情はとても嬉しそうだ。
それは俺がキスをしたからだろうか?

そんな事を考えながら、路地から通りに出た。
幸い、近くに宿屋があった。
最初に路地に入った時は気づかなかった。
それも急いで入った為だろうか?

だが、例の……念を押しておかないとな。
いや、だがここで言ってしまうと思い出しかねない…
どうしたものか…

「ふふっ、この宿でだな?」

どうやらバルバラは忘れていなかった様だ。
何とかしなければ…

「その…お楽しみというのはまたでは駄目なのか?」

「ふふっ、顔が赤いぞ?そうだな、サモンは私の要求に答えてくれたのだ、いい」

良かった、これで一安心だ。

ん?はいい?

とういう事はあるのか?

俺はそんなバルバラの発した言葉に対し、一抹の不安を拭えないでいた。

そんな事を意に介さず微笑み掛けるバルバラが恐怖でならない。

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