最弱召喚士:練習で召喚したら出て来たのは『魔王』でした

もかめ

文字の大きさ
上 下
35 / 91
第四章:「新たなる大陸へ」

第34話 「首都到着」

しおりを挟む
 そんな他愛ない話をして歩いていると、大きな街が見えて来た。
結構な距離があったが、色々とバルバラとの会話が弾んだ為か。
それほど距離を感じなかった。

「バルバラ!首都が見えてきたぞ!」

久しぶりに来たがやはりその、規模と言いとても壮大だな。

「おぉ!!あれがサモンの言う首都か!」

初めて食べ物以外に、喜んでいるな。
そんな事を思って俺は思わず笑ってしまった。

――――

レッツェル王国の首都である「レフィナド」

白を基調とした城を中心に、城下町が広範囲に拡がっており。
城、そして入り口正門と並ぶように位置する、見張り塔の頂点にはレッツェル王国の国章が、そよ風に吹かれなびいている。

――――

そう言えば首都は初めてって言ってたが…

バルバラはどこか行きたい所はあるんだろうか?

「どこか興味がある所はあるのか?」

「ふふっ、そうだな…書物を見てみたいな」

書物?
俺はバルバラの意外な一面に驚いてしまった。

「書物なら王国図書館にあるから、案内するよ」

「ふふっ、そうか。ありがとう」

でも、どうしてわざわざ書物なんだろか?
他にも色々と見る所はあるはずなのに。

「でも、どうして書物なんだ?」

「ふふっ、前にも言ったであろう?[私は人間がどの様に歴史を築いたか]気になるのだ」

なるほどな、確かにそう言ってたな。
意外とバルバラは真面目な面もあるんだな。
俺はまた、新たに垣間見えたバルバラの一面に惹かれた。

「なるほどね」

そんな会話を交わした時、何やら後ろから馬の駆ける音が聞こえた。
俺達はその音に振り返ったが、馬は目の前まで迫っていた。

驚いた俺は思わず尻もちをついてしまった。

同時に馬も止まり、前足を上げいななき声を出した。

「ふん、危ないであろう?こんな所をの召喚士が歩いていたら」

男性はそんな事を俺に言い放った。
そして男性は俺のローブの家紋が目に入ったんだろう。

「なんだ、噂で聞いている『オラクロ家の落ち零れ』では無いか」

そう言う男性のローブには『魔導士』の紋章が描いてあった。

「ふん。まぁ、良い。次からは気を付けろ。そこに居るもな」

そう言うと、手綱を引っ張り、馬はいななき声を上げて男性は去ってしまった。

「大丈夫か?」

心配そうな表情でバルバラは俺の手を引っ張り引き起こしてくれた。

「あぁ、大丈夫だ。ありがとう」

「あいつは誰だ?」

そう言って俺に聞いてきたが、俺も知らない。
召喚士なら顔などはある程度は知っているが、「魔導士」となるとまた別だ。

「分からない、『魔導士』と言うのは分かったが…」

「そうか…」

少し考えるとバルバラは去ってゆく男性に向け、何やら片腕を伸ばした。

まさか殺したりはしないだろうか?

「まさか…」

「大丈夫だ、少しだけだ」

そう言うとバルバラは指を鳴らす。

同時に馬は急に止まり、その反動で男性は投げ飛ばされた。
飛ばされた男性は、派手に地面に叩き付けられ転がった。

その様子を見ていた俺は驚いてしまうと共に、あの男性の痛みを想像してしまった。

「い、痛そうだな…」

「私をと言うからだ」

そして俺の方を向くとバルバラはこう言った。

「ふふっ、私はでは無く、将来のだ」

バルバラはそこに怒っていたのか。

そう思うと先ほど男性から受けた嫌味な態度も忘れ、つい吹き出してしまった。
そんな俺の表情を見てか、バルバラも思わず笑いだした。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

処理中です...