最弱召喚士:練習で召喚したら出て来たのは『魔王』でした

もかめ

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第三章:「新たなる歩み」

第26話 「本人発見と隣の大陸について」

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 あれだけ騒がしかった宴も終盤に近付き、落ち着き始めている。
バルバラの皿は相変わらず、あれだけのが乗っていたとは思えない程綺麗だ。

ファルシアとアルシアは少し残してしまっている。
俺もさすがにファルシアの家でに頂いた料理がお腹に残っている為、それほど入らなかったが何とか半分ほどは食べる事が出来た。

「ふふっ、食べれないのか?」

「さっき晩御飯を頂いたばかりだから、これ以上はさすがに…」

「なら、私が食べてあげようか?」

食べれるなら良いんだが…
俺は心配よりも、驚きを感じざるを得ない。

「良いよ」

「ふふっ、ありがとう」

そう言って俺の分も食べ始めた。
あまりの食べっぷりに、ファルシアも苦笑いをしてしまっている。

そう言えばファルシアに、あの『』の事を聞かなければ…
何か知っていると良いんだが。

それに、あのは大丈夫なんだろうか…

「ファルシアさん」

「どうしたんだい?」

「実は少し伺いたい事がありまして…」

「なんでも言ってくれ」

俺は隣の街の、酒場の店主から聞いた話を伝えた。
この村にそのが居ると言う事。

「あぁ、それは…恥ずかしながらだ」

「そうだったんですか…失礼ですが、その「足」もその時に?」

「えぇ…幸いひどい打撲で済みましたが、未だに普通に歩くと痛みが出てね」

まさか、ファルシアがその時のだったとは。
驚きと共に不安も感じざるを得ない。

これほどの実力を持っている人でさえで敗北したのか…?

「そうだったんですか…その、実は俺達その塔に向かたいのですが、場所が分からなくて…」

「それは…無理な事は言わない。おいた方が良い」

ファルシアがここまで言うとは、それほど危険なのか…?

だが、バルバラと共にここまで来たんだ。
俺は何とか目的を達成したいと言う気持ちがあった。

ファルシアは暫く考えると、詳しく教えてくれた。
「実は隣の大陸は、争いが少し起きていていてね。その戦争をしている国々を越えた先の砂漠に塔は建っている」

隣の大陸で戦争?
初めて聞いたが…
それは、辿り着く以前の問題だろう。
本当に大丈夫なのだろうか?

「だが、それほど大きな戦争では無かったよ。少し緊張状態が続いている感じだった、少なくとも私が行った時はね?」

「そう……ですか……でも、隣の大陸で戦争が起きているなんて、初めて知りました」

「そうだろうな…私も初めて行ってから知ったよ。案外、自分と関係ないものはそこまで伝わってこないものだよ…それにが違うと余計にね…」


そうだ。


そう言ってファルシアは、地図を出して教えてくれた。

どうやら、ここの村から海の方へ向かうと、漁村があるらしい。
そこから隣の大陸に向かう船が出ているから、それに乗ると行ける。
と言う事だ。

今までの話を聞き、俺はバルバラを見た。

「ふふっ、の中に向かうのか。楽しみだな…それに…を知る、またとない機会だな?」

こう言ってバルバラは期待に満ちた顔を浮かべたが、俺は不安でいっぱいだ。

好奇心と夢で、冒険をしたのは良いものの、まさかこうなるとは。

いや、待てよ。

そもそも俺の好奇心のせいでこうなったのでは……

だが、俺はそう思ったもののやはり
どうしても、謎を解きたい。
と言う気持ちが強かった。

それに、バルバラと共にならこの冒険も無事に達成出来ると思っている。

そう思ったいた時。
ファルシアが継ぎ足す様に話した。

「もしかすると今のサモンさんのなら、塔に登りつめる事も出来るかもしれないな、でも決して無理はしては行けないぞ?」

――――はい!

俺はその言葉に強く頷いた。


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