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第三章:「新たなる歩み」
第22話 「焔蛇と迎撃戦の後」
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現れた『焔蛇』はとぐろを巻きつつ、身体を高く伸ばした。
すると、先程突破して越えてきたオーク達を、身体を伸ばして、口を大きく開け、頭から飲み込み始めた。
一体、また一体と…
まるで、その動きは
――――『逃がすものか』――――
と言わんばかりに。
オーク達は必死に抵抗をしたが、口の中には入れられた瞬間、猛火に炙られながら飲み込まれてゆく。
その姿にオーク達は、恐怖や驚きのあまり、転げる者も出た。
だが、転げゆく者には足から咥え、空に放り投げ。
飲み込んでゆく。
オークの群れは次第に数を減らして行った。
そして、最後の一体を飲み込んだ『焔蛇』は、しばらく俺の方を見つめると、舌を出し、自らの長い身体を猛火の中に引き込んだ。
それと共に紋章は縮小して消えていった。
気付けば、あれだけ地を揺らしていた足音は消え、燻っている僅かばかりの残り火である。
俺は自分が今、目の前で起きた事に動揺を隠せなかった。
なんだ今の生き物は?
そう思い、ファルシアの方を見つめた。
同じく浮かべる表情は、驚きを隠せないでいた。
だが、ファルシアは俺と視線が合うとこう言った。
「私達では無かった…もはやあなた一人でしたね」
どうやら、ファルシアは一切手を出してない様だ。
という事は「本当に俺の力なのか?」
未だに理解出来ない頭に、俺は考えを必死に巡らせた。
そんな時、ファルシアが話しかけた。
「しかし、さすがは『オラクロ家』のご子息…実際、あれだけの術…私は初めて見ました」
そう言って、微笑み掛けた。
ファルシアでさえ見た事が無い「術」を俺は使ったのか…?
俺はその微笑みに苦笑いで返すしか無かった。
「とにかく、戻りましょうか」
「は、はい」
俺達はそう言って、みんなを待たせている見張り小屋に向かった。
着いた途端にアルシアは父に抱き着いた。
「凄かった!!」
「そうだな、私も驚いたよ」
案内してくれた男性も喜びの声を上げ、戻った俺達に感謝をしている。
「本当にありがとうございました。お陰で村が救われました!」
俺はその言葉に、喜びより、安堵の気持ちの方が大きかった。
良かった、何とか退治する事が出来た。
ん?
そう言えばバルバラは?
そんな事を思っていたら、肩をポンっと叩かれた
振り向いた瞬間、バルバラは俺の唇にキスをした。
突然の事で驚いてまた、バルバラを引き離した。
そんな不意打ちをしないで欲しい。
「や、やめろっ!」
「ふふっ、さすが私の婿殿、間近で見ていて、とても格好良かったぞ?」
バルバラが見張り小屋に居なかったのは、そう言う訳だったのか。
そう言うバルバラはとても嬉しそうな表情をしている。
だが、俺は未だ驚きのせいで、バルバラの「婿」と言う言葉に、反応する余裕さえ無い。
「お、俺にあんな事が…出来るなんて」
「ふふっ、出来るに決まっているだろう?私を呼び出したんだぞ?」
俺達の話を聞いていたファルシアが、話しかけて来た。
「そうですよ、もっと「自信」を持って大丈夫ですよ。あのオーク達を退治したのは紛れもない、あなたなんですから」
あれだけ自他共に認める「最弱」の俺が…
俺は不意に手首に浮かび上がる紋章を撫で、そして眺めた。
すると、先程突破して越えてきたオーク達を、身体を伸ばして、口を大きく開け、頭から飲み込み始めた。
一体、また一体と…
まるで、その動きは
――――『逃がすものか』――――
と言わんばかりに。
オーク達は必死に抵抗をしたが、口の中には入れられた瞬間、猛火に炙られながら飲み込まれてゆく。
その姿にオーク達は、恐怖や驚きのあまり、転げる者も出た。
だが、転げゆく者には足から咥え、空に放り投げ。
飲み込んでゆく。
オークの群れは次第に数を減らして行った。
そして、最後の一体を飲み込んだ『焔蛇』は、しばらく俺の方を見つめると、舌を出し、自らの長い身体を猛火の中に引き込んだ。
それと共に紋章は縮小して消えていった。
気付けば、あれだけ地を揺らしていた足音は消え、燻っている僅かばかりの残り火である。
俺は自分が今、目の前で起きた事に動揺を隠せなかった。
なんだ今の生き物は?
そう思い、ファルシアの方を見つめた。
同じく浮かべる表情は、驚きを隠せないでいた。
だが、ファルシアは俺と視線が合うとこう言った。
「私達では無かった…もはやあなた一人でしたね」
どうやら、ファルシアは一切手を出してない様だ。
という事は「本当に俺の力なのか?」
未だに理解出来ない頭に、俺は考えを必死に巡らせた。
そんな時、ファルシアが話しかけた。
「しかし、さすがは『オラクロ家』のご子息…実際、あれだけの術…私は初めて見ました」
そう言って、微笑み掛けた。
ファルシアでさえ見た事が無い「術」を俺は使ったのか…?
俺はその微笑みに苦笑いで返すしか無かった。
「とにかく、戻りましょうか」
「は、はい」
俺達はそう言って、みんなを待たせている見張り小屋に向かった。
着いた途端にアルシアは父に抱き着いた。
「凄かった!!」
「そうだな、私も驚いたよ」
案内してくれた男性も喜びの声を上げ、戻った俺達に感謝をしている。
「本当にありがとうございました。お陰で村が救われました!」
俺はその言葉に、喜びより、安堵の気持ちの方が大きかった。
良かった、何とか退治する事が出来た。
ん?
そう言えばバルバラは?
そんな事を思っていたら、肩をポンっと叩かれた
振り向いた瞬間、バルバラは俺の唇にキスをした。
突然の事で驚いてまた、バルバラを引き離した。
そんな不意打ちをしないで欲しい。
「や、やめろっ!」
「ふふっ、さすが私の婿殿、間近で見ていて、とても格好良かったぞ?」
バルバラが見張り小屋に居なかったのは、そう言う訳だったのか。
そう言うバルバラはとても嬉しそうな表情をしている。
だが、俺は未だ驚きのせいで、バルバラの「婿」と言う言葉に、反応する余裕さえ無い。
「お、俺にあんな事が…出来るなんて」
「ふふっ、出来るに決まっているだろう?私を呼び出したんだぞ?」
俺達の話を聞いていたファルシアが、話しかけて来た。
「そうですよ、もっと「自信」を持って大丈夫ですよ。あのオーク達を退治したのは紛れもない、あなたなんですから」
あれだけ自他共に認める「最弱」の俺が…
俺は不意に手首に浮かび上がる紋章を撫で、そして眺めた。
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