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第三章:「新たなる歩み」
第21話 「迎撃戦での最弱召喚士」
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そんな急に呼ばれても、果たして俺に出来るだろうか…?
極度の不安と緊張が俺を包み込む。
「ふふっ、良いでは無いか?早速サモンの開花した実力も見てみたいものだ」
そう言ってバルバラは席を立ち俺の背中を軽く叩いた。
「わ、私も行きます!」
なんだか、全員気乗りしているが、俺はまだ行くとも言ってないぞ。
それに覚えたばかりであって実戦はまた別だ。
「ファルシアさん…その男性は…?」
「あぁ、この方は『オラクロ家』のご子息だ」
「それは本当ですか!?」
そう言ってノックをした男性は俺の方に走り寄って来た。
俺の手を掴み握手をしながら言った。
「お願いします!村を救ってください!」
痛い程、握っている手を揺さぶる。
だが、ここまで頼まれたら断れない。
「わ、分かりました」
「ふふっ、決まったな?」
俺の返事を聞き嬉しそうにバルバラは微笑んだ。
「アルシア?来るのは良いが安全な位置で見ているだけだぞ?」
「はい!」
こんな子まで行っても大丈夫だろうか。
「では、案内しますのでこちらへ」
俺達は男性の先導の元、村から少し離れた場所へ案内された。
そこには少し高く作られた、見張り小屋が建ってあった。
男性はそこに上り、それに続く様に俺達も上った。
「あれです」
そう言って双眼鏡を手渡された。
俺は言われるがまま双眼鏡を覗き込んだ。
平原から歩く巨大なオークの群れ。
数は詳しくは分からないが、10体~15体と言うところだろうか。
覗き終えた俺はファルシアに双眼鏡を手渡した。
「些か数が多いな…だが、今の私達なら行ける!」
ファルシアはそう言うと、娘さんと案内してくれた男性を見張り小屋に残して、俺達と共にオークの集団が、通るであろう道に先回りした。
どうやらここを通るのは間違い無いという事だが、本当に逸れたりしないのだろうか。
そんな事を考えていたら、地響きが鳴り響いた。
ゴーレムの足音とは、また違う重たい足音だ。
「サモンさん!」
「はい!」
ファルシアの掛け声で、俺は臨戦態勢を取った。
ファルシアも構えを取る。
距離は、着実に近付いてきている。
双眼鏡で見た時よりも巨大で、強そうだ。
肌は緑色で、筋肉は隆々だ。
これだけの巨体と筋肉なら一振で建物も半壊には出来るだろう。
構えたは良いものの迫り来る、『オーク』に内心怯えてしまっている。
「サモンさん!あなたなら出来ます!」
隣に居るファルシアが俺を励ましてくれた。
俺なら出来る筈…
深呼吸し集中する。
そして手をかざした。
オークの足元に混ざり合った紋章が浮かび上がる。
その紋章は急速に広がった。
横方向に長く、そして直線状に広がった線は紅色に染まり、猛火が立ち上る。
それは巨体なオークの背丈がすっぽりと収まる程だ。
前列当たりを歩いていたオーク達は回避する間も無く、燃え盛る炎に呑み込まれた。
脳裏に焼き付く様な悲痛な呻き声。
ある程度オーク達を燃やした業火は、勢いを弱めた。
このままでは、残っているオーク達を対処出来ない!
「サモンさん!!集中して下さい!」
そうだ、集中しなければ!
だが既に、炎を突破してきたオーク達が
何体か迫って来ている。
俺は再び集中した。
再び炎が勢いを増してゆく。
だが、先程とは炎の様子がおかしい。
揺らめく炎は左右に別れる様な動きを不規則に繰り返したのも刹那。
炎の中から現れたのは、スライムでは無く。
―――激しい焔を見に纏いし紅き『焔蛇』だった―――
極度の不安と緊張が俺を包み込む。
「ふふっ、良いでは無いか?早速サモンの開花した実力も見てみたいものだ」
そう言ってバルバラは席を立ち俺の背中を軽く叩いた。
「わ、私も行きます!」
なんだか、全員気乗りしているが、俺はまだ行くとも言ってないぞ。
それに覚えたばかりであって実戦はまた別だ。
「ファルシアさん…その男性は…?」
「あぁ、この方は『オラクロ家』のご子息だ」
「それは本当ですか!?」
そう言ってノックをした男性は俺の方に走り寄って来た。
俺の手を掴み握手をしながら言った。
「お願いします!村を救ってください!」
痛い程、握っている手を揺さぶる。
だが、ここまで頼まれたら断れない。
「わ、分かりました」
「ふふっ、決まったな?」
俺の返事を聞き嬉しそうにバルバラは微笑んだ。
「アルシア?来るのは良いが安全な位置で見ているだけだぞ?」
「はい!」
こんな子まで行っても大丈夫だろうか。
「では、案内しますのでこちらへ」
俺達は男性の先導の元、村から少し離れた場所へ案内された。
そこには少し高く作られた、見張り小屋が建ってあった。
男性はそこに上り、それに続く様に俺達も上った。
「あれです」
そう言って双眼鏡を手渡された。
俺は言われるがまま双眼鏡を覗き込んだ。
平原から歩く巨大なオークの群れ。
数は詳しくは分からないが、10体~15体と言うところだろうか。
覗き終えた俺はファルシアに双眼鏡を手渡した。
「些か数が多いな…だが、今の私達なら行ける!」
ファルシアはそう言うと、娘さんと案内してくれた男性を見張り小屋に残して、俺達と共にオークの集団が、通るであろう道に先回りした。
どうやらここを通るのは間違い無いという事だが、本当に逸れたりしないのだろうか。
そんな事を考えていたら、地響きが鳴り響いた。
ゴーレムの足音とは、また違う重たい足音だ。
「サモンさん!」
「はい!」
ファルシアの掛け声で、俺は臨戦態勢を取った。
ファルシアも構えを取る。
距離は、着実に近付いてきている。
双眼鏡で見た時よりも巨大で、強そうだ。
肌は緑色で、筋肉は隆々だ。
これだけの巨体と筋肉なら一振で建物も半壊には出来るだろう。
構えたは良いものの迫り来る、『オーク』に内心怯えてしまっている。
「サモンさん!あなたなら出来ます!」
隣に居るファルシアが俺を励ましてくれた。
俺なら出来る筈…
深呼吸し集中する。
そして手をかざした。
オークの足元に混ざり合った紋章が浮かび上がる。
その紋章は急速に広がった。
横方向に長く、そして直線状に広がった線は紅色に染まり、猛火が立ち上る。
それは巨体なオークの背丈がすっぽりと収まる程だ。
前列当たりを歩いていたオーク達は回避する間も無く、燃え盛る炎に呑み込まれた。
脳裏に焼き付く様な悲痛な呻き声。
ある程度オーク達を燃やした業火は、勢いを弱めた。
このままでは、残っているオーク達を対処出来ない!
「サモンさん!!集中して下さい!」
そうだ、集中しなければ!
だが既に、炎を突破してきたオーク達が
何体か迫って来ている。
俺は再び集中した。
再び炎が勢いを増してゆく。
だが、先程とは炎の様子がおかしい。
揺らめく炎は左右に別れる様な動きを不規則に繰り返したのも刹那。
炎の中から現れたのは、スライムでは無く。
―――激しい焔を見に纏いし紅き『焔蛇』だった―――
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