最弱召喚士：練習で召喚したら出て来たのは『魔王』でした

第二章：新たなる動き

第８話 「魔王のライバル：勇者召喚」【シュタール編】

　うぅ…ここは…？

俺は周りを見渡した。目の前には俺の友人下っ端共が倒れている。

そうか、思い出した。

俺はあの時、確か忌々しき。
赤き三本線サモンにやられたのだ。
どうして、俺があんな出来損ないの召喚士にやられたのか…

いや、違う。
一緒にいた女性にやられたのだ。

俺の家系は偉大でも何でもない、端的に言えば俺の家系はたかが、平民だ。

だが、実力としては俺の方が上だ。
平民の家系が故に意味のない、嫌がらせも沢山受けた。
嫌がらせを受けてゆく内にこう思った。

――――俺が偉大になれば、俺を含めた家族まで嫌がらせを受けずに済む、そして『見返せれる』

苦労知らずの最弱召喚士、家系がいくら偉大であろうが、毎回昇級試験に落ちている様な子孫とは比べ物にならないはずだ。

俺は最初から奴サモンが嫌いだった、毎年、毎年試験に落ちているのに何も言われない。

一方俺が落ちた時、こんな事を言われた。

『だから平民は』
『平民が受けようとするからいけないんだよ』

何故だ？
家系がそんなに大切なのか！？

だから俺は死ぬほど努力して、一本線を手に入れた…

――――俺は最強だ。

だが、確かあの時の紋章。


俺は頭痛がまだ残るまま、図書館に行って調べた。

分かったぞ、あいつの手首の紋章…『魔王』の紋章だ。

なるほど、それなら辻褄が合う。

だがあいつに召喚出来て、俺に召喚出来ない筈がない。

俺はあらゆる召喚士に纏まつわる文献を読み漁った。

その中に気になることが書いてあるのを見つけた。

それは『契約召喚』

俺はこれを見た瞬間に思った、これは俺の為にあるべき召喚術だと。
これで俺の『最強の名』を揺るぎないものにする。
そうと思えば居ても立っても居られない。

俺は急いで、その本を貸し出してもらった。
人目に付かぬ場所で、その本を再度開いた。

本の中のページには、契約召喚の召喚図と召喚方法が書いている。

俺は逸はやる気持ちを抑え、冷静に召喚図に手を当て、体に覚えさせる。
そして、図形を覚える。

一連の作業を終えた俺は、地面に手を当て、念を込めた。
次第に俺の手から赤い光が放たれ、そこで手を離した。

地面には掌サイズの図形が、光を放ち。明滅を繰り返した後に、光続けた。

（よしっ！！）

図形は急速に広がり、徐々に地面から現れた。

地面から現れたのは一人の黒髪の青年だった。
白の鎧を身に纏い、腰元には剣を携え。
肩には黄金のマントを羽織っている。

「俺を召喚したのは誰だ？」

その問いに俺はすかさず答えた。

「この俺だ」

　なるほど、よろしく頼む。我は、

――――世界を滅ぼさんとする『魔王』を殺めし者『勇者』だ――――

「勇者か…名は？」

「好きに呼べ、使命を果たすのに名などあって無いようなものだ」

「なるほどな、ならお前をこれから『ディルク』と呼ぶ」

「了解した」

俺はその後、血の契約を交わした。

これで最強は誰なのかを思い知らせる事が出来る。