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第一章:最弱伝説:始動
第6話 「一つ目への道のり」
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家から出た俺達はとりあえず近くの街に向かった。
一つ目の『大陸に聳え立つ砦』について詳しい情報を得る為だ。
(家とも暫しのお別れか…)
そんな思いに浸っていると、どこからか声が聞こえた。
「おい!」
そんな声の方に視線を向けると嫌な奴が立っていた。
「どこに行くんだ?最弱の赤き三本線」
真紅のローブを纏っている彼は『シュタール』だ。
ローブに描いている本数は一本線
髪はブロンドで、目は青色だ。
そして自慢をし、常に横柄な態度を取る奴だ。
周りには取り巻きが居る。
「お前には関係ないだろう」
「確かに関係は無い、だがそんな美女を連れていると嫌でも気になるのが普通であろう?」
バルバラの事か。
しかし、この状況を抜け出すのは至難の業だ。
例え俺が戦いを挑んだとしても、すぐに負けてしまうだろう。
仮に不意打ちで勝ったとしても周りの取り巻き相手で敗北は目に見えている。
ここは逃げるか?
そんな事を考えていたら、バルバラが話しかけて来た。
「こいつらは誰だ?」
「あぁ、此奴はシュタールだ。嫌な奴だよ」
声が聞こえたのか、シュタールは顔を顰めて眼を殺気立たせると、腕を上げてローブの袖を捲り上げる。
召喚士が召喚を行う合図だ。
俺もその動きに反応して、片足を引き、腰を落とした。
そして腕を下げ、袖を捲り、構える。
例え負けても良い。
それぐらいの覚悟だ。
手首に浮かび上がっている紋章に目が行ったのか、シュタールが驚いた様子で話した。
「お前!!その紋章はッ!?」
シュタールがそう言った瞬間、バルバラは俺の前に出た。
そして片腕を反対側の肩の高さまで上げ、勢いよく腕を斜めに振り下ろす。
振ったのも刹那。
「ウッ!」「カハッッ!!」
声にも成らぬ言葉を発し。
シュタールと取り巻き達は、そのまま地に伏してしまった。
まさか……
――殺したのか?
そんな思いが、頭を過ぎる。
「バルバラッ!?」
「大丈夫だ、例え『魔王』でも人をそう簡単には殺したりしない。真剣勝負を挑まれたら別だがな?
彼ら達には少しの間、休んでもらっただけだ」
そう言って微かに微笑む。
俺はそう言われて、安堵した。
流石に苛立だせる奴でも、殺すのはやはり気が引けるものだ。
だが、一連の出来事に、俺は足を動かす事が出来なかった。
そんな思いも意に介さず、バルバラは倒れたシュタール達を避けるようにして、歩き始めた。
俺はそんなバルバラの後を着いていくしか無かった。
だが、思わぬ所で、時間を食ってしまったな。
まさかシュタールと出逢ってしまうとは。
――――――
暫く歩くと、街が見えて来た。
白を基調とした建物が、太陽の光が燦々と降り注ぐ中、輝いて見える。
屋根は朱色の建物が大半を占めている。
その時ふと、バルバラが水晶を出していた事を思い出した。
バルバラが言っていた『嫌な予感』、とは先程の事だろうか?
気になってしまった。
「バルバラ?」
「なんだ?」
「家で嫌な予感と言ってたのはシュタールの事か?」
「詳しく見る事が出来なかったが、恐らくアイツに関係しているものだろう」
「アイツに関係している?」
どういうことだ?関係している?
アイツ自身の事では無いのか?
「あぁ、それも恐らくいずれ分かるだろう」
俺は腑に落ちない表情を浮かべつつ、歩みを進めた。
街まであと少しだ。
一つ目の『大陸に聳え立つ砦』について詳しい情報を得る為だ。
(家とも暫しのお別れか…)
そんな思いに浸っていると、どこからか声が聞こえた。
「おい!」
そんな声の方に視線を向けると嫌な奴が立っていた。
「どこに行くんだ?最弱の赤き三本線」
真紅のローブを纏っている彼は『シュタール』だ。
ローブに描いている本数は一本線
髪はブロンドで、目は青色だ。
そして自慢をし、常に横柄な態度を取る奴だ。
周りには取り巻きが居る。
「お前には関係ないだろう」
「確かに関係は無い、だがそんな美女を連れていると嫌でも気になるのが普通であろう?」
バルバラの事か。
しかし、この状況を抜け出すのは至難の業だ。
例え俺が戦いを挑んだとしても、すぐに負けてしまうだろう。
仮に不意打ちで勝ったとしても周りの取り巻き相手で敗北は目に見えている。
ここは逃げるか?
そんな事を考えていたら、バルバラが話しかけて来た。
「こいつらは誰だ?」
「あぁ、此奴はシュタールだ。嫌な奴だよ」
声が聞こえたのか、シュタールは顔を顰めて眼を殺気立たせると、腕を上げてローブの袖を捲り上げる。
召喚士が召喚を行う合図だ。
俺もその動きに反応して、片足を引き、腰を落とした。
そして腕を下げ、袖を捲り、構える。
例え負けても良い。
それぐらいの覚悟だ。
手首に浮かび上がっている紋章に目が行ったのか、シュタールが驚いた様子で話した。
「お前!!その紋章はッ!?」
シュタールがそう言った瞬間、バルバラは俺の前に出た。
そして片腕を反対側の肩の高さまで上げ、勢いよく腕を斜めに振り下ろす。
振ったのも刹那。
「ウッ!」「カハッッ!!」
声にも成らぬ言葉を発し。
シュタールと取り巻き達は、そのまま地に伏してしまった。
まさか……
――殺したのか?
そんな思いが、頭を過ぎる。
「バルバラッ!?」
「大丈夫だ、例え『魔王』でも人をそう簡単には殺したりしない。真剣勝負を挑まれたら別だがな?
彼ら達には少しの間、休んでもらっただけだ」
そう言って微かに微笑む。
俺はそう言われて、安堵した。
流石に苛立だせる奴でも、殺すのはやはり気が引けるものだ。
だが、一連の出来事に、俺は足を動かす事が出来なかった。
そんな思いも意に介さず、バルバラは倒れたシュタール達を避けるようにして、歩き始めた。
俺はそんなバルバラの後を着いていくしか無かった。
だが、思わぬ所で、時間を食ってしまったな。
まさかシュタールと出逢ってしまうとは。
――――――
暫く歩くと、街が見えて来た。
白を基調とした建物が、太陽の光が燦々と降り注ぐ中、輝いて見える。
屋根は朱色の建物が大半を占めている。
その時ふと、バルバラが水晶を出していた事を思い出した。
バルバラが言っていた『嫌な予感』、とは先程の事だろうか?
気になってしまった。
「バルバラ?」
「なんだ?」
「家で嫌な予感と言ってたのはシュタールの事か?」
「詳しく見る事が出来なかったが、恐らくアイツに関係しているものだろう」
「アイツに関係している?」
どういうことだ?関係している?
アイツ自身の事では無いのか?
「あぁ、それも恐らくいずれ分かるだろう」
俺は腑に落ちない表情を浮かべつつ、歩みを進めた。
街まであと少しだ。
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