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新しい朝

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 ”新しい朝が来た。希望の朝が。”

 2022年が終わりを告げ、いよいよ2023年が始まった。とは言っても、今のところ特にそんな大きな案件はないのだけれど。それでも年の初めは年始特有の独特な気持ちになる。

 完全に私事だが、今年の1月1日は人生で初めて初日の出を見に行った。見に行ったと言っても、近所の橋の上から眺めただけなのだけれど。
 その橋は”桜橋”と言い、歩道しかない車の通れない橋。その割に橋の幅が広く、駆け出しバンドのMV等で使われたりもする橋だ。ちなみにその名の通り、春先には桜が咲き乱れる両岸を繋ぐ橋となる。僕は生まれも育ちも在住もその近辺なので、慣れ親しんだところでもある。

 午前6時15分。掛けていたスマートフォンのアラームのスヌーズを止め、目を覚ます。東京の初日の出は6時51分。ギリギリ間に合う時間だ。顔も洗わず、慌てて着替えて、コートを羽織る。最近買ったお気に入りのニューバランス574を履き、自転車で桜橋に向かう。慌てたせいで上下スウェットになってしまった。(上:黒、下:グレー)まぁ誰にも会わないだろうからいいか。

 現地に着いて驚いたこと。今まで見たことのないくらいの人が桜橋の上に居た。皆同じ穴の狢である。上下スウェットで来てしまったことを後悔したのは言うまでもない。地元の中学生だろうか。ちょっとした同窓会みたいになっている人達も居た。その中を掻き分け、一人橋の中腹まで進んでいく。
 いよいよ6時51分。初めての初日の出で知らなかったのだが、日の出時刻丁度に初日の出は見えない。そりゃそうだ。都会は建物だらけなのだ。当然だ。そんなことを考えながら、無数の鳥の群れが頭上を通り過ぎていくのを眺めていた。

 実際に初日の出が見えたのは7時15分くらいだった。周りから上がる歓声。一斉に切られるスマートフォンのシャッター。
 初めて見た初日の出はとても神々しかった。心が洗われるような不思議な感覚に陥る。
 ”新しい朝が来る。希望の朝が。”
 2023年。初めて口ずさんだのは、ラジオ体操でお馴染みのそんなフレーズだった。希望に満ちた年になるといいな。そんなことを思いながら。






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