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僕らのカルチャー

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僕は幼少期より、音楽が好きな母親のもとで育ってきた。そして、生まれてから現在に至るまで様々な音楽再生機器に触れてきた。レコード、CD、カセットテープ(ラジカセ)、MD、MP3プレーヤー、携帯電話(スマートフォン)、サブスク。その中でも圧倒的に好きだったのはMDだった。

近年、1980年代カルチャーが注目を集めている。その影響からカセットテープや8cmCDのことをエモいと言う時代が訪れた。我々1990年代生まれの人間からしたら、そのカルチャーは実に魅力的で、非常に興味深いものだ。なんだったら、羨ましさすらある。
こうして当時流行したものが、一周回って再びムーブメントが起こすサイクルがあるのなら、僕らの時代のカルチャーもいつの日か再び日の目を浴びることがあるのではないか。もしそうなった場合、個人的に推したいのがMD(Mini Disc)だ。

僕が初めてMDに触れたのは、中学2年生の夏だった。父から誕生日プレゼントとして、MDウォークマンを買ってもらったのだ。今の若い世代の人が聞いたら驚くだろうが、当時MDウォークマンは再生専用ので\8,000~\15,000、書き込み機能付きで\30,000以上した。僕が誕生日プレゼントに買ってもらったのは、書き込み機能付きの\30,000の物だった。というのも、コンポがないと書き込みが出来きない時代、それを解消する為に開発されたのが書き込み機能付きのNet MDだった。PCと接続して、書き込んでいくNet MD。幸い、当時にしては珍しく我が家には1人1台PCがあった。流行り物好きの母の影響で。その結果、Net MDに辿り着いたのだ。それまでCDプレイヤーを持ち歩いていた僕にとって、MDの利便性は衝撃的だった。コンパクトなフォルムもそうだが、CDと違い音飛びが少ない。(僕の印象では。)なので、ポケットに入れながら音楽が聴けるのだ。こっそり部活に持って行ったりもした。青山先輩にバレて大変だったけど。


僕がMD推したいのには、もう一つ理由がある。それは、出し入れの際の″カシャッ″というあの音だ。メカメカしいその音は男心をくすぐった。また、カセットテープ同様にMDのカートリッジを入れ替えて使用する作法は、ゲームボーイ系統を全て通ってきた僕にとってドストライクだった。そして、MDのカートリッジにも様々な色合い・デザインがあり、そこもまた魅力的だった。

結果、僕は20代前半までMDを愛用していた。青春時代はMDと共にあった。教室で休み時間の度に聴いた。教習所の待合室で聴いた。残業後の帰り道で聴いた。今思うと1番の親友立ったんじゃないかと思う。
今ではもう製造が終了してしまっているようで、手に入らないことが残念でならない。でも、いつかMDもエモいと言われる時代が来てほしい。切に願っている。


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