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シャドウ

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同じ人から三回”はじめまして。”と言われたことがある。高校生の頃の担任の先生にアルバイトの許可証を貰いに行ったら、”自分のクラスの担任に貰いなさい。”と怒られたことがある。真面目に授業を受けて皆勤賞だったのに、出席日数を理由に単位を落としかけたことがある。僕はそれくらい影が薄い。


僕の影の薄さは折り紙付きだと自負している。それは幼少期から始まる。僕が幼い頃、母の姉家族が暮らす山形県米沢市に遊びに行ったことがある。雪まつり等を観て、夜は飲食店でご飯を食べたそうだ。僕は影が薄い。飲食店を後にし、車で帰路に走り出した訳だが、我々家族が飲食をしていたスペースに忘れものがあった。僕だ。両親は僕のことを残し、車で走り出してしまった。途中で気付き慌てて戻ったことで、大事には至らなかったらしいが、自分達の息子を忘れるというのか如何なものか。

僕が少年野球をしていた頃、遠征というのが度々あった。親御さん達が車を出し合い送迎をするわけだが、僕が荷物を纏めて駐車場に向かうと、そこには誰も居なかった。駐車場を間違えたのではないか?と見渡したが、誰も居なかった。たまたま、試合を観に来ていたチームメイトのお父さんに出逢わなかったら、僕はどうなっていたのだろうか。

それと同じようなことが中学時代にもあった。他校との合同陸上大会に参加した際、往復電車だったのだが、切符は引率の先生の管理だった。学年毎に纏まって移動をする。ここまで書いてお気付きの方もいらっしゃるだろうが、荷物を纏めて集合場所に行ったら、同級生及び引率の先生は既に居なかった。偶々一つ下の学年が残っていたので、事情を説明し連れて帰って貰った。ちなみに引率(するはずだった)の教師は、全てを影が薄い僕の所為にして罪を逃れた。今思うと酷い話だ。

僕は影が薄い。安い居酒屋のハイボールよりも更に薄い。ディズニーで言う、グーフィーの彼女よりも更に薄い。困ったものだ。まったく。どうにかならないものか。どうにもならないものか。

さて、三回”はじめまして。”と言ってきた人から、先程”良かったら仲良くしてください!”とメッセージが来た。こちらも三回目だ。果たして僕は彼と仲良くなれるのだろうか。難しい気しかしていない。

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