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付き人とメイドさんは仲が悪い
しおりを挟むいくらか経った後、くそくらえというお言葉は汚すぎますとヤンは笑った。
「あぁ、そうね。家庭教師には内緒にしてね」
クスクスと私も笑う。
するとタイミング良く、マリアがお茶とお茶菓子を乗せたカートを押して部屋に入ってきた。
そして膝枕をされているヤンを見て、舌打ちをする。きっと、もっと前から準備が出来てたんだろうなーとその様子から伺えた。
(マリアはこーゆー雰囲気の時は絶対に邪魔しないんだよな…。でも、この2人って…仲悪いんだよなぁ…)
なんですか?羨ましいですか?とヤンは不敵に鼻で笑った。なぜ喧嘩を売る。
このメイドさんはめっちゃ怖いんだぞ。
「クソ犬が…お嬢様が少し優しいからって調子にのるなよ…」
「貴方は膝枕をされたことないんですか?私は会うたびにお願いされますよ」
バチバチ!と2人の間で火花が散る。
「いやいや、耳を触りたいからでしてね?何もそこに深い意味は含まれないですし、それにしてもマリアさん、少し視線を和らげてくれたら嬉しいんですけども」
と変な言葉になっているのも効果が無かった。
「コロス、マジ犬キエロ」
「ままマリアさん?さっきから口調がちょっと乱れすぎてて、正直に言うと私怖いんです!」
ヤンも喧嘩を売らない!とたしなめると、用はすみましたので戻ります、と身を起こした。
「明後日、楽しみにしておりますね」
耳元で囁かれたと思ったらマリアが何かを投げつけたのが見えた。
それを指で挟むようにして止めて、失礼します、と頭を下げた。
丁寧にカートの上に投げつけられたナイフを置いて。
マリアさん、なぜこんな立派なナイフを持っているの…。
そのカートの上にはかき混ぜる用のスプーンしか見当たらないのに…。
「お嬢様!何かされましたか?何を言われたんですか~!」
ものすごい勢いで私に近付いて、肩をガクガクと揺らされた。くそ、ヤンめ…と心の中で呟いた。
「いや、ちょ、落ち着いて」
いや~!お嬢様が汚された~!私が1番はじめに汚したかったのに~!と問題発言しているメイドにドン引きしながら、部屋から出ようとしていたヤンに文句を言おうとして、視線を写した。
ヤンは扉の前で頭を下げていた。
「お嬢様、ありがとうございます」
文句を言おうとしたのに、その姿に何も言えなくなった。
きっとさっきのに対してだろう。
多分面と向かって言うのが恥ずかしかったのだろうけど…
「この状況をなんとかして行ってほしかったよ~!」
お嬢様~!も肩をガクガクされて、もういや、と泣きたくなった。
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