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メイドさんは少々変態
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つらつらと私の賞賛を話し、げそっとしてきた頃にようやく解放された。
「ですが、その日はどういたしましょうか?」
家には沢山の貴族や王族が押し掛けてくるのだ。
家に居ようにも、自室しか居場所がないし、一歩も外に出ないことも可能だけど…。
正直、息がつまる。
「うーん…やりたいことは沢山あるけど…バレないでできることといえばー」
「では、私とお着替えごっこをー」
「却下」
きゃっ、と頬を染めてこっちを見るマリアに素早く否定する。
だから、10歳に何を求めている。
マリアのこの愛は、百合なのか?
百合の花なんてこの世界にないけど。
(そうじゃないって、誰か言ってー)
そんなお嬢様も素敵です、とますます悶えるメイドにため息をつきたい。
「どうでしょうか、また変装して、街の悪い奴ら殺しに回りますか?」
「まままマリアさん??ヤメマショウヨ過激すぎませんカ?」
「ああっ!あの時のお嬢様の表情をまた拝見したいのです!」
血に怯えた表情、倒れてる人の中に立つ私に震えながらもそれでも、お怪我はありませんか?と聞いてくださったその心根。
そして、息があった野郎にトドメを刺したあの無情さ!あぁっ、私、興奮しすぎて、濡れー
「はいストップ!もういいから!何でまたそーゆー話になるの!」
もう、お茶でも入れてきて!とマリアに言うと、身体を震わせてあぁ叱咤されたわ…と恍惚の顔を浮かべた。
そのあと死ぬもの狂いで、行ってきます、となんとか言わせ部屋から出した。
「もー、マリアは…」
とんだ変態だ。
しまいに何を言わなくても靴を舐め出すのではないかと身震いする。
やりかねないので違う意味で怖い。
ー確かにあの日は少し気が動転していて、マリアに対して麻痺している部分があった。一目でヤバイとわかる人に話しかけるほど、警戒心がない訳ではない。
あの時は、マリアが何かに傷ついているように見えたから。
それで優しくしてしまったのかもしれない。
その時、スゥ、と風が耳を撫でた。
そのぞくぞくっとした感触に、思わず鳥肌が立つ。
「ファイ!いきなりやめてよ!」
『俺んとこくるか?』
そのセリフにリーゼントが浮かび、噴き出してしまい、変な目で見られた。
「ごめんごめん、」
肌が少し緑がかった腕と腕輪がシャララ…と流れるのが見えた。何1人でおもしろがってんだよ、と少し拗ねた男は、その長い腕をスル…と首に回した。
精霊は実体がないので、重くはないけれど見える分暑苦しい。しかも成人男性っぽいので、余計暑苦しい。
『さっき言ってた日、森に来いよ、一緒に過ごそうぜ』
お前のためにいい風運んできてやる、と緑の精霊には最高の口説き文句と思われるセリフを吐き、イケメンを無駄に振りまいた。
そんなイケメンに微々たるほども心動かされず、ソファにもたれた。
「森ね…森もいいな…」
そういえば、結局今日も全然まったりできなかったからその提案は随分魅力的だった。
『また運んでいってやるよ』
いつもこっそり外に出る時は、窓からファイに運んでもらって誰かが部屋に訪ねてきた時は緑の精霊の眷属が教えにきてくれる。
そう、なんてこったなのだが、このファイは緑の精霊の最上精霊なのだ。最上精霊と契約できるなんて知られたら、火種にしかならないことは目に見えてる。なんせ王族でも最上精霊と契約できるのも数少ないからだ。
この世界で最上精霊と契約してる人なんて数えるくらいだろう。まぁ上の階級になればなるほど精霊も少ないから必然的にそうなる。
精霊にも階級があって、上から最上、上位、中位、下位に分けられる。
そのマナの質や量などによって、精霊と契約できる階級が決まってくると常識だ。
私みたいな例外はあるけれど。
(正直なところ、平和に過ごしたいから、下位中位あたりと契約したいけど…怯えられるんだよな…恐れ多いって…辛い)
後ろで睨みをきかせてる緑の精霊と水の精霊がいればそーなるか…。
本当はあのプルプルした綿毛みたいな精霊と触れ合いたい。この大きな犬っぽい子も可愛いけど…
あの小さな存在は別。くすぐられる!
そうか、森に行くとあの綿毛ちゃんと触れ合えるのか。ぜひ、行かせてください
「行く。絶対行く」
と急に真剣になった私に、ファイはニカッと笑ってよっしゃ、任せろ!と首にじゃれついてきた。
「ですが、その日はどういたしましょうか?」
家には沢山の貴族や王族が押し掛けてくるのだ。
家に居ようにも、自室しか居場所がないし、一歩も外に出ないことも可能だけど…。
正直、息がつまる。
「うーん…やりたいことは沢山あるけど…バレないでできることといえばー」
「では、私とお着替えごっこをー」
「却下」
きゃっ、と頬を染めてこっちを見るマリアに素早く否定する。
だから、10歳に何を求めている。
マリアのこの愛は、百合なのか?
百合の花なんてこの世界にないけど。
(そうじゃないって、誰か言ってー)
そんなお嬢様も素敵です、とますます悶えるメイドにため息をつきたい。
「どうでしょうか、また変装して、街の悪い奴ら殺しに回りますか?」
「まままマリアさん??ヤメマショウヨ過激すぎませんカ?」
「ああっ!あの時のお嬢様の表情をまた拝見したいのです!」
血に怯えた表情、倒れてる人の中に立つ私に震えながらもそれでも、お怪我はありませんか?と聞いてくださったその心根。
そして、息があった野郎にトドメを刺したあの無情さ!あぁっ、私、興奮しすぎて、濡れー
「はいストップ!もういいから!何でまたそーゆー話になるの!」
もう、お茶でも入れてきて!とマリアに言うと、身体を震わせてあぁ叱咤されたわ…と恍惚の顔を浮かべた。
そのあと死ぬもの狂いで、行ってきます、となんとか言わせ部屋から出した。
「もー、マリアは…」
とんだ変態だ。
しまいに何を言わなくても靴を舐め出すのではないかと身震いする。
やりかねないので違う意味で怖い。
ー確かにあの日は少し気が動転していて、マリアに対して麻痺している部分があった。一目でヤバイとわかる人に話しかけるほど、警戒心がない訳ではない。
あの時は、マリアが何かに傷ついているように見えたから。
それで優しくしてしまったのかもしれない。
その時、スゥ、と風が耳を撫でた。
そのぞくぞくっとした感触に、思わず鳥肌が立つ。
「ファイ!いきなりやめてよ!」
『俺んとこくるか?』
そのセリフにリーゼントが浮かび、噴き出してしまい、変な目で見られた。
「ごめんごめん、」
肌が少し緑がかった腕と腕輪がシャララ…と流れるのが見えた。何1人でおもしろがってんだよ、と少し拗ねた男は、その長い腕をスル…と首に回した。
精霊は実体がないので、重くはないけれど見える分暑苦しい。しかも成人男性っぽいので、余計暑苦しい。
『さっき言ってた日、森に来いよ、一緒に過ごそうぜ』
お前のためにいい風運んできてやる、と緑の精霊には最高の口説き文句と思われるセリフを吐き、イケメンを無駄に振りまいた。
そんなイケメンに微々たるほども心動かされず、ソファにもたれた。
「森ね…森もいいな…」
そういえば、結局今日も全然まったりできなかったからその提案は随分魅力的だった。
『また運んでいってやるよ』
いつもこっそり外に出る時は、窓からファイに運んでもらって誰かが部屋に訪ねてきた時は緑の精霊の眷属が教えにきてくれる。
そう、なんてこったなのだが、このファイは緑の精霊の最上精霊なのだ。最上精霊と契約できるなんて知られたら、火種にしかならないことは目に見えてる。なんせ王族でも最上精霊と契約できるのも数少ないからだ。
この世界で最上精霊と契約してる人なんて数えるくらいだろう。まぁ上の階級になればなるほど精霊も少ないから必然的にそうなる。
精霊にも階級があって、上から最上、上位、中位、下位に分けられる。
そのマナの質や量などによって、精霊と契約できる階級が決まってくると常識だ。
私みたいな例外はあるけれど。
(正直なところ、平和に過ごしたいから、下位中位あたりと契約したいけど…怯えられるんだよな…恐れ多いって…辛い)
後ろで睨みをきかせてる緑の精霊と水の精霊がいればそーなるか…。
本当はあのプルプルした綿毛みたいな精霊と触れ合いたい。この大きな犬っぽい子も可愛いけど…
あの小さな存在は別。くすぐられる!
そうか、森に行くとあの綿毛ちゃんと触れ合えるのか。ぜひ、行かせてください
「行く。絶対行く」
と急に真剣になった私に、ファイはニカッと笑ってよっしゃ、任せろ!と首にじゃれついてきた。
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