精神年齢高めですが気にしないでください

フジ

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メイドさん、落ち着いてください

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「ええっ、では、出席されないのですか?!」

ストローでズコーーーとオレンジジュースを飲み切って、そーみたいーと返事をした後ソファにもたれた。
向かえのソファの後ろに控えているメイドが、何てこと…と口を覆っている。

「おいたわしい…あれだけ、あれだけ楽しみになさっていたのに」
どこからか、白いハンカチを取り出して、目尻の涙を拭う。
「いや、涙出てないよね…と、何でもないです」
視線をツゥ…と向けられてその迫力に負けてしまう。

このメイドは元々隣国の貴族に仕えていたが、本人曰くだったため、ボコボコにしてしまい、永久国外追放されたらしい。

(なんて、本当かなぁ…たまに眼光鋭いけど…)

3年前にそんなヤバそうな人と街で出逢って、何故か気に入られ、家までおしかけられた。伯爵家だよ?そんなの前代未聞すぎる…

何か知っているの?とで問いかける母親に、街に出てたことは内緒だったので、当然知らぬ存ぜぬを通した。
門前払いかと思いきや、父親がなぜか屋敷に通して、次の日からメイドに至る。正体の説明がないまま。
私が聞いても、ニッコリ笑って、お嬢様に出会うために生まれてきました、と言われる。

いやほんとなんで、怖いよ。

主人をカスって言っちゃう所とか、伯爵家におしかけてくる所とか、その次の日に伯爵令嬢付きのメイドになっている所とか。そこまで7歳だった私に心酔する所とか。
何が怖いかって最初に会ったとき、倒したと思われる数人の男が床に転がって返り血だらけだったじゃん!え、なに?精霊の気配が全くなかったってことは、拳1つでのしたの??そんでその返り血?そのスプラッターは日本人には怖すぎる!!

(できれば、お近づきになりたくない人種だと思ったんだけど…)

この3年で毒気を抜かれた。精神年齢40歳なのだ。
多少の人間性は肯定するのが大人ってもんだ。

(でも、なぜかいるようなんだよなー)
急な疲労感に、糖分が欲しくなり目の前のクッキーを食べる。


「来週の誕生日パーティのために、ドレスを10着あつらえたのに!」
「それは、やり過ぎでしょうマリア…」

一回げそっとなるまで細かく身体測定されたのはソレか。ってか、自分の趣味で私の服を準備するのはやめてくれ。10歳に露出を求めないでほしい。


「いえ!やり過ぎではありません!お嬢様はご自分の可愛らしさを分かってはいないのです!」

ーあぁ、その白き陶磁器のような肌、フワッフワの黄金の髪、そして、青がかった緑の瞳!口を開かなければ、まるで妖精ですわ!

とうっとりしながら見てくる。
(賞賛は素直にありがとうだけど、ちょっと失礼だよね?)
口開かなければって。

でもその目は、可愛い可愛いって物語っている。
その目にはなにが覚えがある。そうだ、きっと可愛い物を見かけた私の目だ。


きっとヤンも私に感じたものかもしれない。

(確かにこれは変態だ…、つ、疲れるよ!)



「お嬢様は、精霊が見える高貴なお方!わたくしめは感動しております!」


未だに出逢った時の衝撃は忘れません!
運命ですわ!


と叫ぶ、メイドに、ははは…そうなの、と空笑いするしかなかった。

誰かこのメイドを止めてくれ。




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