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そして私たちは
これから 2
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涙が止まらずに言葉もつかえていると、あの人がハンカチを差し出してくれた。
そのハンカチは見たことある。それはー。
「そのハンカチは、マリー様とお揃いではないですの?!」
なぜ、そんなことができるの!なぜ、ここまで私を苦しめるんですの!とあの人を責める。
マリーが同じのを待っているかどうかなんて分からないよ、と悲しそうに言うあの人にまた腹立たしくなる。
「なぜ、そこまで無神経なことをできるのですか、私のことを愛していると言っているのに、なぜマリー様を思い出させることをするのですか…いったい何度私を傷つければすむのですか」
まだあの人はわからない、と顔をしている。
なぜここまで分からないのか。
なぜ、なぜーーー。
私のことを考えてくださらないのですかーー
それを思った時にハッとした。
突然黙った私にあの人はホッとしていた。
「そ、うです…わたくしは、私は」
「アンジー聞いておくれ、僕は」
「私は、マリー様のことは、気にしておりませんでした、」
さっきと矛盾したことが口から滑り出る。
もう疲れた。怒るのは、まだ関心があるから。
でももうこの人には、関心がなくなっていくー、
そうか、それが、このことの本心だった。
そのことにいきつき、ただただ呼吸が乱れた。
今の私はみっともないだろうー。
少しだけお化粧を施した顔は涙でぐちゃぐちゃで、世間が知っている何事も冷静沈着な私ではないだろうー。
「マリー様を優先なさっても私は構いませんでしたわ」
新しい涙がぽろぽろと流れ出る。
それを拭うこともせずに、ただあの人を見つめる。
これが最後だと、あの人も私も分かっていたー。
あの人の瞳にまだ情を感じて、私はそれをただ見つめ返した。
ーもう、その瞳には振り回されないわ。
「しかし、マリー様とお会いするたびに私へ何か罪悪感を感じたり申し訳ないなと思うのが、何もなかったのか悲しいのです」
そうだ、そこがー。
「罪悪感などは、私へ関心があってこその気持ち…あなた様から私への関心を感じたことが無いのです」
私を愛していると思っているのなら、マリー様とお会いすることに後ろめたくなるだろう。
私だけを愛していると思っているのなら、贈り物や出かける場所なども、違うものにしてくれるだろう。
私とマリー様の違いが何も無いことに、愛情の確信が持てなくて、愛情を感じられなくて。
その度に傷付いていたのだー。
そんな単純なことではない、そんな軽い話ではないのだ
「私は、もうあなたのその無関心さについていけません」
あなたに感情を感じられないのです
これでわかったでしょう
もう話し合いもお終いー
そのハンカチは見たことある。それはー。
「そのハンカチは、マリー様とお揃いではないですの?!」
なぜ、そんなことができるの!なぜ、ここまで私を苦しめるんですの!とあの人を責める。
マリーが同じのを待っているかどうかなんて分からないよ、と悲しそうに言うあの人にまた腹立たしくなる。
「なぜ、そこまで無神経なことをできるのですか、私のことを愛していると言っているのに、なぜマリー様を思い出させることをするのですか…いったい何度私を傷つければすむのですか」
まだあの人はわからない、と顔をしている。
なぜここまで分からないのか。
なぜ、なぜーーー。
私のことを考えてくださらないのですかーー
それを思った時にハッとした。
突然黙った私にあの人はホッとしていた。
「そ、うです…わたくしは、私は」
「アンジー聞いておくれ、僕は」
「私は、マリー様のことは、気にしておりませんでした、」
さっきと矛盾したことが口から滑り出る。
もう疲れた。怒るのは、まだ関心があるから。
でももうこの人には、関心がなくなっていくー、
そうか、それが、このことの本心だった。
そのことにいきつき、ただただ呼吸が乱れた。
今の私はみっともないだろうー。
少しだけお化粧を施した顔は涙でぐちゃぐちゃで、世間が知っている何事も冷静沈着な私ではないだろうー。
「マリー様を優先なさっても私は構いませんでしたわ」
新しい涙がぽろぽろと流れ出る。
それを拭うこともせずに、ただあの人を見つめる。
これが最後だと、あの人も私も分かっていたー。
あの人の瞳にまだ情を感じて、私はそれをただ見つめ返した。
ーもう、その瞳には振り回されないわ。
「しかし、マリー様とお会いするたびに私へ何か罪悪感を感じたり申し訳ないなと思うのが、何もなかったのか悲しいのです」
そうだ、そこがー。
「罪悪感などは、私へ関心があってこその気持ち…あなた様から私への関心を感じたことが無いのです」
私を愛していると思っているのなら、マリー様とお会いすることに後ろめたくなるだろう。
私だけを愛していると思っているのなら、贈り物や出かける場所なども、違うものにしてくれるだろう。
私とマリー様の違いが何も無いことに、愛情の確信が持てなくて、愛情を感じられなくて。
その度に傷付いていたのだー。
そんな単純なことではない、そんな軽い話ではないのだ
「私は、もうあなたのその無関心さについていけません」
あなたに感情を感じられないのです
これでわかったでしょう
もう話し合いもお終いー
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